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半落ち
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半落ちの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.74pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全216件 61~80 4/11ページ
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澄み切った眼に何を期待するか… それによって、評価が全く分かれる作品である。 ミステリー好きであれば「思いがけない素顔」や最後の「どんでん返し」などを期待するだろう。 そうしたものを求める方には、この結末は「半オチ」かも知れない。 「澄み切った瞳」のままで終わる本作は、一級のヒューマンドラマである。 意外とは言えない真相だが、最後に魂を揺さぶられる人も多いと思う。幸運なことに、私もその一人であった。 多分に感情的な意味合いから、私は「あること」に否定的な感情を持っている。しかし、この物語の結末に出てくる部分だけは、登録しようかという気になった。 それだけの力が、この作品にはあると思う。 章ごとに語り手が変わる構成だが、 登場人物の使い捨てにならず、意識のリレー、もしくは、 適当な表現ではないが、「守護霊のように被疑者の救済を望む意志」として、生かされているのはさすが。 終盤 残り僅かになり「どう落とし前をつけるのか」、読んでいるこちらが不安になった。 そこから、ほんの数ページで瓦解する湖面のさざなみのような結末。私も「年寄り眼」になった。 余談ではあるが、 筆者は地方紙の整理記者から「ドロップアウト」して小説家の道を歩んだ訳だが、 各章で「組織の中でどう生き残っていくか?」という視点が、語り手それぞれの立場で描かれている。 これは「クライマーズハイ」でも大きなテーマだったが、作者自身、自らの決断をどう受け止めているのか、興味深かった。 余談の余談で、 だからこそ、最後の最後に危ない橋を渡る決断をした刑務官の男気に、痺れた。 | ||||
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警察官が妻を殺害。自首するものの犯行から2日間の空白が…。 その2日間については語らず「完落ち」ではなく「半落ち」。 2日間の空白の謎を追い続け、最後に理由が明らかになります。 このオチに素直に共感できる人は絶賛するでしょうし、 共感できない人は中途半端に感じるのでしょう。 私はどちらかというと後者でした。 作者ならではの重厚な描写、6人の登場人物の視点を変えながらの構成など 読み始めると止められない魅力があったので、 最後の最後で、少し釈然としないというか、 犯人である警察官の行動に共感しきれませんでした。 | ||||
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クライマーズ・ハイに続いて、横山さんの2冊目として読ませていただきました。 映画を先に見たことがあったので、内容はわかっていましたが、 感動でした。 また、ラストがとてもいい。 40歳手前のオジサンだからなのでしょうか。 人生の浮き沈みを知ってきた年齢になってきているからなのでしょうか。 男たちの熱い思いが、 そして、生きるということが 重く響いてくる作品だと思います。 | ||||
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警察・検察・司法・刑務所それぞれの組織の物語であると同時に、白血病で息子を亡くし、アルツハイマーの妻を手にかけた梶という男の個人の物語でもあるなぁと思う。 オムニバス形式で出てくる各話の主人公の中で、志木(警察官)、佐瀬(検事)、藤林(裁判官)、古賀(刑務官)はそれぞれの組織の論理に縛られながらも、梶を厳しくかつ優しく見つめている気がする。 あらためて、作品のオチについて、直木賞の選考時についたあやは特に気になりませんでした。 空白の2日間の謎についてひっぱり過ぎな気はするものの、作品としては綺麗にまとまっている気がします。 | ||||
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ミステリとして読むか人間ドラマとして読むか、賛否両論にはどちらも納得がゆく。 個人的には、ミステリも人間ドラマも楽しめるのでかなり高評価だが、組織の汚点を残したまま人間ドラマとして決着してしまったのは、ミステリ好きには物足りなさを感じる。それでも、ミステリを基軸としながら、各章の登場人物の背景や視点は間違いなくドラマだろうと思う。 その点で言うなら、ミステリにありがちな大げさな種明かしで決着してしまうより良かったのかもしれない。 実際、志木にしろ佐瀬にしろ、洞察力と行動力の高い「できる」人間として描かれるが、その洞察力は「理性」だけでなく、どちらかと言えば「内面」への高さが際立っている(この辺りも非常に楽しく読めた)。 その登場人物達が「肩入れ」する流れで、このオチは出来過ぎだと言えるほど良かったのではないだろうか。犯人役である梶は、登場人物たちの期待通り、優しく温情深い男だったのだ。黙秘の心理も良く分かる。 ああ、そう言う事だったのか――。と思った時、自分も涙が出た。 目立った派手さは無いが、人情とミステリが絡み、期待通りの人物像に接した時に大きなカタルシスを得られた。読後感は非常に良い。 ただ、ミステリを期待して「人の揺れ」を読み飛ばせばつまらんだろうと思う。頭脳戦は読み応えたっぷりだと思うが……。 | ||||
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残念なのは、例の直木賞に関わる一件で、大まか「空白の二日間」についての謎が、読む前から謎ではなかったこと。 人情話としての落としどころも良いと思いましたし、複数視点から同じ事件を見つめる構成は好きでした。 | ||||
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横山秀夫の作品を全て読んだ読者であれば、本作を横山の最高傑作であるとは言わないだろう。横山作品の真髄は短篇にこそあり、長篇もむろん面白いものの、横山の代表作として選ぶのはやはりはばかられる。まして本作は横山の全長篇の中でも少々感傷的に過ぎ、あまり出来がいいとは個人的には思えない(とはいえそれは他の作品の水準があまりにも高すぎるためだが)。オムニバス形式は短篇を得意とする横山の苦肉の策と取れなくもないし、現職警察官が自首直前の空白の二日間にどこで何をしていたかという問題だけで、あれほどの大騒ぎが起こるとも思えない。 にもかかわらず、本作はおそらく横山作品の中で最も知名度が高い。映画の興行的成功も寄与しているのだろうが、やはり直木賞落選時のゴタゴタが、よくもあしくも本作の名前を読者の記憶に刻み込んでいるのだろう。しかし本作を横山の代表作と誤解し、これ以外を読まずに横山秀夫を評価する読者がいるとしたら勿体無い話である。 本作に対する評価がもとで横山は直木賞と決別し、その後は候補に挙がることさえなくなった。むろん横山秀夫ほどの大作家であれば、直木賞などという看板は必要ないであろう。横山作品の価値は読者が一番よく分かっている。しかし必要ないとはいえ、看板がないのも少しさみしいような気がする。横山側のみならず直木賞側にとってもそれは同じではないだろうか。 小説とはフィクションであり嘘なのだから、その評価に感情が絡んでしまうのは、やむをえないとはいえ少し滑稽なような気もする。しかし最後に残るのは賞ではなくて作品であり言葉である。直木賞落選は本作の価値をいささかも損なうものではない。横山作品の到達点ではなくして通過点に過ぎないことを改めて強調しておきたい。 | ||||
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小説を読んだ後、テレビに放映された映画版も観ました。 まず小説の感想・・・ 小説のほうは、主に事件を通して組織のゆがみが描かれていたように思われます。 例えば調書を捏造したり、自分がした不祥事を隠していたりと、 普段これといった事件がない限り、我々にあまり知られないことがけっこう描かれていました。 一方で映画版では、妻を殺してしまった男の悲哀が表現されていたように思います。 嘱託殺人を通して、人の命とは何なのか、ということが考えさせられます。 どちらも秀作だと思います。 小説は登場人物の息づかいまで聞こえてきそうなほどの表現でしたし、 映画だとBGMがいいし、役者も最高でした。 | ||||
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映画の予告を見て、本を読んでみたい! と思い、読みました。 検事、刑事、新聞記者…。と、 語り手がどんどん変わって行くので、 ドキドキしたまま、ぐんぐん読めました。 もちろんオチが気になって読み進んでいくのですが、 組織の中で働く男たちのドラマが なんとも良い感じです。哀愁です。 サラリーマン生活12年目の自分としても 共感できるところがたくさんありました。 読後感も、じーんと美しく、良い気持ち。 会社で読み終えたので、オフィスでじんわり泣いてしまいました。 映画の配役も気になります〜♪ | ||||
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とても面白く読めました。推理小説と知らずに呼んだのですが(もともと推理小説は好んで読まないので)、トリックのオンパレード的なわざとらしさは皆無で、登場人物に自然と感情移入出来ました。刑事や検事の役職などの詳しいことは分かりませんが、人物像が生き生きと描かれていてそれぞれの人となりを十分に感じられると思います。2日間の謎は薄々気付きますが、推理小説の枠は飛び越えた作品ではないかと思います。一つの事件で明かされない・語られない奥に、真実やドラマが幾つもあるのかもしれない。映画も観てみたくなりました。 | ||||
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刑事、検事、マスコミ、裁判官、刑務官。 さまざまな視点から主人公を見つめる。 オチはイマイチだと思ったが、物語としては面白い。 あなたは誰のために生きていますか? | ||||
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現職警察官の梶がアルツハイマーの妻を殺害、自首してきた。 事件に関わった県警の志木、検事の佐瀬、記者の中尾、弁護士の植村、 裁判官の藤林、そして刑務官の古賀を通して梶が殺害から自首するまでの 空白の2日間の謎を解明していく。 文章もさくさくと読みやすく、梶の事件に関わった人間達のそれぞれの境遇や 背負っている問題を背景にバトンを渡すようにストーリーが進行するのが面白かった。 最後の志木から古賀への申し入れは「賭け」というかやや強引な展開であったが、 みんなが梶に対して思う「願い」が叶うと信じられるラストになっている。 | ||||
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私は、横山秀雄を読むのは初めてなのだが、この人は、本当に筆力の高い作家だと思う。ミステリにおいて、「犯人はわかっている」、「動機もわかっている」というのでは、読者の興味も半減し、通常は、ミステリとして成立しないものだと思うのだが、事件後、犯人が自首するまでの空白の二日間という、いわば、「事件の余禄」に過ぎない謎だけで、読者を最後までぐいぐいと引っ張っていき、一気に読ませてしまうこの人の筆力には、素直に「凄い!」と絶賛するしかない。 この物語は、警視の志木、検事の佐瀬、新聞記者の中尾、弁護士の植村、裁判官の藤林、刑務官の古賀へと順々にバトンが渡され、空白の二日間の謎を解明しようとする過程が描かれていくのだが、作者は、それだけにとどまらず、そうした過程に、彼らそれぞれが引きずる人生を重ね合わせて描いている。さらに、綿密な取材をしたことを窺わせるそれぞれの組織の内幕や、それらの間の力関係・協力関係・取り引き関係も空白の二日間の謎の解明に絡ませて、物語に一層の深み・厚みをもたらしている。このあたりの絶妙なさじ加減で、読者をぐいぐいと引っ張っていき、一気に読ませてしまうこの人の力量は、相当なものだと思う。ラストも、読む者を、思わず「上手いなぁ」と唸らせるだけの感動的筆致で締めている。 ところで、この作品の直木賞選考にまつわる騒ぎについては、私は、この作品の読了後に初めて知ったのだが、北方謙三氏の問題提起はともかく、林真理子氏の「落ちに欠陥がある」うんぬんの批判は、どうかと思う。インターネットで検索すると、後に、その批判を否定する事実も明らかにされたようだが、そもそも、ノンフィクションならいざ知らず、フィクションを前提とした小説でそんな批判をして、作品の価値を論じようとすること自体が全くのお門違いであり、この作品の真価は、そんな批判で、いささかも揺らぐことはないと思う。 | ||||
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横山作品の中でも男性より女性向けなのがこの作品だとおもいます。なぜに”半落ち”なのか・・・。最後に感動してなきました。 | ||||
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妻を殺して自首してきた現職の警察官が、どうしても隠さなければならない「空白の2日間」の真実とは。 色々物議が醸されている作品だが、個人的にはとても好きだ。 「オチ」の部分は確かに現実味はないかもしれないが、梶警部の心情を想うと理屈抜きで泣ける。 ミステリーとしてどうこうというよりも、最後に見る「人間の優しさ、あたたかさ」に心から感動させられた。 刑事、検事、記者、弁護士、裁判官、そして刑務官、それぞれの異なった視点で語られる6つの章で構成されている。 各々が全うしなければいけない職務と義務、そして交差する様々な思惑、 これらの人物が展開する人間ドラマだけでも非常に読み応えがあった。 こうして6人の生き様を描きながらも真相に迫っていくのだが、 「一体、何のために梶は隠し事をしているのか?」とどんどん煽られて、期待が膨らみ、そして想像を絶するラストが待っている、 この展開は私は好きだが、、許せない人は許せないだろうな。しかし一読の価値のある作品には違いない。 横山作品の中でもとりわけ読みやすい一冊だと思う。 | ||||
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以前の直木賞で何かと話題になった作品です。 構造的欠陥があると言う人もいますが、そんな風には思いませんでした。実際、可能・不可能、あり得る・あり得ないを論じても仕方ない。ノンフィクションじゃないんだから娯楽小説として楽しめれば良いじゃあないかと。直木賞の某審査員からすれば、そんな私は見る目が無いのかもしれませんが……むしろ、事件の核心に関わることですから深くは書けませんけれど、ああいう例外が認められる社会であって欲しいです。ただ、他の方が書いているようにノンフィクションなら実際あんな熱い検察官やらが存在するのかは疑問。この作品を読んだあと『それでもボクはやってない』を映画で観て、何とも言えない脱力感に襲われました。読んでいる間は、作品の世界に没頭できる良い作品です。 | ||||
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主人公・梶総一郎は現職の警察官でありながら、アルツハイマーの 病に冒されている妻を殺害し自首してきた。しかし、自主は殺害後の 3日後のことであり、その空白の2日間については語ろうとしない。 この本では、空白の2日間をめぐって、基本的には時系列に展開していく。 つまり、梶が逮捕されてから順に接していく、警察官、検察官、新聞記者、 弁護士、裁判官、留置所職員それぞれ1人に焦点を当てて、点と点を 絡ませて線にしていく展開は見事だ。 また各人の立場や思惑を表現し、社会の汚さも描き切っているところに リアリティーを感じ、各人の人物描写からそれぞれのキャラクターを 感じる。 そんな中、主人公である梶総一郎のキャラクターだけは「空白の2日間」 のせいではっきりしない。本当にいい人なのか、それとも背後に何かを 抱えているのか… 最後の最後で明らかにされる空白の2日間の真実を楽しんでみてください。 難点は、警察内部の描写が詳しいことだ。それが好きな人にはいいが、 私のように知識がない人にとっては分かりづらく、頭の中でシーンが 描けない部分があった。 | ||||
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読了後考えさせられる内容である。 家族がアルツハイマーになった時、そして死を望んだ時、どうするべきか自分に置き換えて読んだ。もちろん殺人は許されないことである。しかし相手を思いやるがゆえに殺す主人公の心境には非常に共感させられた。 | ||||
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ミステリーとして爽快な謎解き、大どんでん返しを期待すると肩透かしを喰らいます。 ゆるやかにストーリが進展し、最後に主人公が黙秘し続けた秘密が、 解き明かされたとき、 「やっぱりこの主人公はいい人だったんだ。」とほのぼのとした 心地よい読後の感想をほとんどの人が持つのでは。 スピード感やハラハラドキドキを求める人には不向きだと思いますが、 読むほどに味がある渋い一冊だと思います。 | ||||
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漠然と責任と覚悟という物を考えさせられたような気がします。 守りたい者守るために自己鍛錬続けてくしかないなと。守りたいなら。 | ||||
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