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蝶
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蝶の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.69pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全16件 1~16 1/1ページ
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まず、こういった書籍の場合、発送まで時間がかかるのが常なので、今回大変迅速なご対応くださり感謝しております。 また、事前説明にあった通り丁寧な梱包をされておりました。 他の方のレビューで「説明が長い」といったようなコメントがありましたが、 ネットで買い物が当たり前となった昨今、便利さは増したものの、発送トラブル、受け取りのトラブルは減っていない現状だと感じております。 今回の説明に関してはトラブルなくスムーズな取引をするために必要な文章量だと、 個人的には感心しております。 今後も何かありましたらぜひ利用させていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。 | ||||
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初皆川博子作でした。 手にする前、他の作品も含め、レビューを読み過ぎて 期待度のボーダーが上がってしまったためか。 珠玉の短編集だと感じることは出来るのですが、 うーん。 めくるめく世界感、にはならなかったです。 読み込みが浅いのでしょうね。 | ||||
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著者の作品はほぼ初めてです。それなりにおもしろく読みましたが、美しい情景描写に残酷な結末を組み合わせるという手法が少々様式美化しているように思いました。これをずっと楽しめる人は読みつづけていくのでしょうが、自分はこの一冊でおなかいっぱいです。 | ||||
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表題のままです。なくし、わらうし、愛するし、背筋が凍るし、発狂するし。 人生の様々な場面が、こんな薄い一冊の本に込められているのです。 | ||||
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芥川龍之介が、もっと詩人の資質もちあわせており 長生きして人生経験をつんでいたなら・・・ そう思わせるような短編集です。 幻想文学といってしまえなそれまでですが、 その幻想性がどこに由来するのかというと、物語の 奇異性そのものよりも、どこかエロチックな言葉の ぬめり具合そのものから立ち現れてくるかのようで す。何度か読み返すことになると思います。 | ||||
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皆川さんの短編集の中でもこの「蝶」は1,2を争うほど好きな本です。 ここに収められている短編はどれも共通したモチーフを持っており、私はそれを「戦争によってそれまでの人生が変わってしまった人が、少年や少女だった時代を思い出す」というものだと解釈しています。 こう書くと切なげですが(実際とても切ないのですが)皆川さんなので残酷だったりグロテスクだったりする描写も多いです(でも他作品に比べると少なめ) 離れに住んでいた優しくて綺麗なお姉さんにどうして近づいてはいけないと言われていたのか…等、知らずに済んでいた色々なことを知って、子供の時代は終わります。 この「あれはこういうことだったのか…」と事実が明らかになる過程はクセになります。初めての1冊にもお勧めしたいです。読み終える頃には軽く中毒状態になり、もっともっとと皆川作品を探してはむさぼり読んでしまうことでしょう。 私の稚拙な文章では上手く伝わりませんが、少しでも興味を持って頂ければ幸いです。 | ||||
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冒頭の「空の色さへ」を読んでみて下さい。何の変哲もない我が家の裏窓にさえ、彼岸が覗くでしょう。 本作は怪奇幻想文学の類ではありませんが、読者を襖一枚隔てた「夢幻」へと誘います。 | ||||
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近代日本を舞台とした、珠玉の短編集です。 美しくも残酷な物語の数々が、詩歌の調べとともに奏でられます。 皆川博子さんの作品では「倒立する塔の殺人」「死の泉」「薔薇密室」が自分のベスト3でした。 が、この本に出会ってしまっては、「倒立する塔の殺人」に2位へ下りていただくしかない…。 陳腐な言葉しか出なくて情けないですが、最高傑作。 皆川博子さんを読んだことがない、という方にもぜひお読みいただきたい一冊です。 薄い文庫本です。 しかしその短いページ数の中に、驚くほど濃密な世界が詰まっています。 | ||||
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横瀬夜雨氏、薄田泣菫氏等の(主に浪漫派の)詩歌をモチーフとして、"死"を中心とした戦争に纏わる人間模様を描いた短編集。表題作と「遺し文」を除くと、一人称の語り手の戦争直前〜戦後の少女・少年時代の回想譚の様な形式で綴られている。そして、これに呼応するかのように、表題作と「遺し文」が戦争の悲劇をやや直截的に三人称で描いているのに対し、残りの6偏は、その時代や家族が抱える不穏な空気を少女・少年のみが感得(幻視)し得る形式で切り取っている。語り手の現在は成人後と捉えても良いが、死者の回想譚とも取れる。作者の様式美意識が際立つ短編集である。 本作を読む直前に、インパール作戦を題材とした小説及びTVの特集番組を読んだ(観た)事もあって、個人的には表題作と「遺し文」が印象に残った。特に、「遺し文」は三人称ではあるものの、作品の形式及び持つムードは他の6偏と類似であり、少年(むしろ青年)が持つ感受性を戦争の悲劇へと繋げる構成の巧みさが光る。また、「幻燈」は少女の年齢をほぼ成年に上げる事によって、淫靡さを含めた作者特有の妖美さが味わえる逸品。詩歌に長じていれば、各作品をより重層的に味わえたかと思うと個人的に残念である。作者の資質が十二分に発揮された秀逸な短編集と言えるのではないか。 | ||||
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初めて皆川さんの短編を読みました。 特に「空の色さえ」が印象に残りました。 女の子が祖母に禁止された二階へ行き、そこで若くして亡くなった自分の叔父と出会います。 現実の世界では足の不自由な女の子が、魂の世界で叔父と交流する様子が温かく描かれています。 悲惨な現実の世界と穏やかな魂の世界の両方を体験するわけですが、女の子が魂の世界で癒される様子がいいですね。 | ||||
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恐ろしい。こんな危険な物語を、このように簡単に手に取ることができて良いのだろうか、と思う(勿論、良いのだ)。 全8編。基本的に、どの収録作も同じ素材を扱っている。太平洋戦争と、幼年時代、そして詩(表題作「蝶」の主人公の男だけは、最初から成人しているけれども)。全ての短編に詩の言葉が登場する。詩と物語が結びついている。幻想的な、凄惨な話もあるけれど、どれも非常に細部にリアリティがある。一字一句ゆるがせにしていない感じ、つまり高い緊張が全編に漲っている。 たとえば冒頭の「空の色さえ」。詩のフレーズがくりかえされる。くりかえされるごとにフレーズは肉体を持ち、表情を変える。詩の言葉に肉を与えるのは、現実の悲惨な物語だ。そして詩と死の言葉はやがて、私たち読み手を含む日常の物語に魔術を呼び込む。 親本の刊行は2005年、戦後60年を経てからだ。言葉は記憶を掘り起こし、回想する現在へと往還する。幼い頃、著者の体内にとびこび深く潜った書物の言葉や体験が、一挙に作品として形を得たぐあいだ。 そしてここに新たな詩は実った。 | ||||
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初めての皆川作品である。 なぜ今まで出会えなかったのかと思う反面、出会えたことを僥倖とも運命とも思うほどに引きつけられた読書体験だった。 良き書物を評する方々の文面はそれぞれに的を得て、私がさらに稚拙な評など書き加える必要もないように思うが、あまりのレビューの少なさに、ここにせめて★五つを増やしたいとキーをたたいている。 読んだのは「1Q84」狂想曲が騒がしい時期だったが、読書がいかに個人的体験とはいえ、あまりにもひっそりと一人でこの世界を独占するのは忍びないと友人に勧めたところ、「これぞ日本文学だね・・・」との評がかえってきた。 また、家人にはなぜか最初の2ページだけを読ませたが「この出だし、凄いなぁ」とのことだった。 著者は華麗な文章をひけらかすこともなく、読みやすく饒舌に走らない文体で、時間と場所の迷路を彷徨う心の世界に読む者を誘う。1篇読み終えてもすぐに次のページにはすすめない。もう一度今読んだばかりの 世界に戻って隅々まで味わいたくなる。 どの作品の中の人物もみな作者の意図など微塵も感じさせない程に、それぞれのあちらの世界、こちらの世界で確かに存在している。これは凄いことだと思う。 読みたい本が一気に増えた。「最近面白い本に出会わない」なんて愚痴は封印しよう。 | ||||
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横瀬夜雨、薄田泣菫などの短詩をモチーフに現代最高の幻視者が紡ぎ出す戦慄の8短篇 嫋やかに揺れ惑う幻想小説だと思い手に取ったら、冷たい煌きの白刃でバッサリ斬り捨てられた、、、そんなゾッとする感触も孕んだ美しくも危ない短編集。耽美な詩句をアクセントとして持ち寄り、それに依って異なる質感を醸していく作品こそ多々あれど、詩句そのものの情動を、まるでそれを核にして生脈させていくような本作の世界観は完全に異質。詩句そのものが放つ悲鳴のように鋭い感覚と交じり合う物語は、それと気づかせることすらなく、しかし確実に読み手を狂気の淵へと誘い、食む。 既にして誰が、どういう状態で話しているのかさえ不明となる錯乱めいた異様な気配を放つ『空の色さえ』に始まり、重厚かつ仄暗い枠の中で、艶やかで畸形なる耽美が描かれる『妙に清らの』、幼年期特有の塞いだ世界へ、再び夢現(ゆめうつつ)の境(あわい)を溶かす狂ったチューンが入り込む『竜騎兵は近づけり』へと続き、さらには秘められたエロスを求心軸に進む『幻燈』は、ラストで思いもかけない荒ぶりに打たれることとなり、個人的に最も好みであった『遺し文』での、劇的に途切れる光景へと終着することになる。 今自分に取り憑いている感覚が何なのか、それすらもハッキリとは判らないまでに強い幻惑を齎す作品の多くは、しかし同時に言いようもなく冷たく、硬質で凛とした佇まいで突き刺さる。気づけばスッと体温が下がり切っているような、わけの分からない感覚に落とされている。一字一句に背筋を伸ばして臨むことを求められるような、優美だが抜き身の狂気を感じさせる緊張感が素晴らしく、そして、怖い。 | ||||
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凄まじい短編集だ。もうこの一語に尽きる。薄くてすぐに読めてしまう本なのに、世界が変わり確実に自分の中に重くずっしりしたものが沈殿していくのがわかった。本書に収められている短編は、すべて詩句にインスパイアされている。もともとぼくは詩句には疎いほうで詩集や句集などは読んだことがないのだが、ここで取り上げられている詩句を読むかぎり、どうしてこのジャンルをもっと探求しなかったのかと歯噛みしたくなった。それほどに皆川博子の取り上げる詩句の世界は魅力的なのだ。本書を読んで、まず憧れが胸中を占め、詩句の世界に遊ぶ新鮮さを味わい、そして作者のつくりだす甘美で残酷な世界にしびれた。すべて舞台は日本である。それも一昔前、先の大戦前後の時代の話である。日本が世界から孤立し、狂気にまみれ熱く沸騰した時代。だが、ここで描かれるのは戦争ではない。戦争に翻弄される人々は出てくるが、戦争そのものにたいする記述はほとんどない。かわりに本書には、この時代に日本に根付いていた負の風潮が数多く出てくる。復員兵、戦争孤児、妾、男尊女卑、結核。そこに作者は美しさと、いい匂いと、残酷で清らかな詩句をおりまぜ、この上なくなめらかな文章でもって忘れがたい物語を紡いでいくのである。特に最後の三篇のインパクトは素晴らしい。夢に見そうなくらいだ。 | ||||
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この本は「空の色さえ」他7編のあやかしの作品からなる短編集です。 この本に限らず、皆川さんの全作品にいえるのは、江戸末期から明治に続く闇の気配が色濃く、ここかしこにあらわれているということです。 それはおどろおどろしくもあり、淫猥でもあり、また矛盾するようですが、近未来的シュールリアリズムでさえあります。 前者は「谷崎潤一郎の刺青」の系譜であり後者は「川端康成の片腕」であるように思えます。 この2人の作家に共通するのは、大教養人ということです。彼等はその教養の深さから明治大正の空気を構築し披露してくれました。 あるいはジンタの流れる雑多な町並みや見世物小屋、淫靡なものを偲ばせてくれました。 皆川博子さんはまさにそれらをうけついでいる人といえます。 当然、彼女の教養の深さは現代作家の中でも群をぬいているといえます。 7編に共とも、生きていくのにどうしようもない不幸を背負っている人間の生き様が、幻視・異界をあやなしながら、密度の濃い美しい文章で描き出されています。それは旧い蔵の奥にしまってある淫靡な錦絵や、またあるものは地獄絵のようひっそりと、しかしめらめらと赤い炎ふきながら存在するようです。 圧倒的な力ある作家、それが皆川博子さんといえます。 その系譜にあるのが 川上弘美 さんではないでしょうか。 | ||||
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皆川博子の作品は読んだことが無かったが、表丁の美しさと、短編集ということで、手にとってみた。詩歌を題材にとった短編はどれも読みやすく、過去と今とが交差する、夢幻の世界がそこには広がる。読んだ後、不思議な浮遊感に包まれながら、作者の他の作品も読んでみたいと思わせる、この本はそんな本であった。 | ||||
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