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玄鳥さりて
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玄鳥さりての評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.73pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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やはり葉室麟さんの本は心しみます | ||||
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誰にもある幼き頃のあまい思い出、酸っぱい思い出、苦い思い出、誰にもしれたく無い惨め思い出、それに絡む今では会えない友達。そんな時いつも見守って優しくしてくれた人、自分に重ねて玄鳥を偲んだ。 | ||||
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比較的近い時期に文庫化された、作者の三作品の中で他の二作品「約束 」(文春文庫 ) 「青嵐の坂」 (角川文庫)と比較して、本書が最も「純文学」っぽく感じた。言い換えれば、本書は娯楽作品と純文学の境界でギリギリ娯楽作品に踏みとどまるという風情だ。 ここ娯楽作品と純文学の違いを筆者の独断・偏見で乱暴に決めてしまう。概ねハッピーエンドで出来事としてのカタルシスが優先されるのが娯楽作品で、ハッピーエンドとは言い難く出来事としてのカタルシスがイマイチで、観念的なそれが優先されるのが純文学である。またどちらにせよ小説作品として出来が良いとされるためには、娯楽だろうと純文学だろうとどちらも(人間)存在への究極的な肯定を惹起する。そういうわけなので究極的には両者の境界は全く相対的なのだが、本書のように登場人物が皆良い人に移行しなんとかハッピーエンドとなるところはれっき祖した娯楽作品だ。それでも副主人公の末路や舞台となった大名家中の救いのなさは純文学風味が横溢している。 最近隆盛を感じさせる娯楽・時代小説界にあって著者の作品は純文学的風味が濃いのだが、例えば同様に純文学風味が濃い青山文平氏の作品と比較していた場合に、青山氏の作品が純文を志向しつつ娯楽に止まろうとする風情なのに対して、著者は純文学に越境しそうな気配を強く漂わせる。そのあたりは著者の妙味であり本作品はその点で著者の持ち味がとてもよく生かされていることになる。 ところで似たところのある2つの領域の境界という点で、筆者は以前に腐女子・BLに詳しい同僚から様々に教示を受けたことがあるが、話を聞いて筆者はBLというものはホモソーシャルをホモセクシャルに強引に読み換えるものなのかと理解した。この「強引に読み換え」というところに被差別的ジェンダーの怒りが込められているのではないかなどと従来考えていた。この点でも本書ではホモソーシャルがホモゼエクシャルと相互浸透しながら物語世界の重要な骨組みになっていてこの相互浸透の微妙さ加減にとても感心してしまった。そちら方面に詳しい人の意見もぜひ聞いてみたい。 | ||||
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人として大切なものを教示してくれる内容でした。 また何度も読み返したいと思っています。 | ||||
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葉室麟先生 相変わらず読みやすい文章ですね。 なぜ主人公は? という問いに読者を自然に導いてくださいます。 先生、ありがとうございました! | ||||
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大変読みやすく、あっという間に一気読み。特に歴史の事実にそっているわけではない架空の藩での出来事。 昔は、意外にもよくあったらしい男同士の淡い心の交流、『衆道』という感情。 一つの気持ちを一途に貫き、最期までいく武士と、一方で、現在同様、保身に走り出世をしながら変わってしまう 武士の心の葛藤。やっぱり、一途な思いを貫いた方が、例え損したとしてもかっこいい、と思ってしまうのは、私も日本人のそんな血が流れているからかなと感じました。 映画『散り椿』を観てから、葉室さんのファンになりました。 | ||||
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己の全てを犠牲にしてでも、守り続けたい年下の友がいる。そんな武士の生き方と、人間関係の機微が哀しくも美しく描かれていた。古典的な衆道小説の<究極の愛>が、現代人にも共感できるようにアレンジされている。道を極めた男、六郎兵衛には力強い父性を感じる。それは作家自身の理想像だったのかもしれない。遺作にふさわしい物語に涙を禁じえない。 | ||||
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葉室麟の作品特有の侍に対する独特のヒューマニズムが最後に顕われ、「あー、やっぱり」 とほのぼの感に浸れる作品。肩の凝らないエンターテインメント。 | ||||
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この本、30-50代の職業人にお薦めします。人の欲望の底なし感と愛情(家族・友人)の尊さの双方が相反する価値観でありながらも融合していて胸に迫りました。仕事に行き詰まった時は、この主人公の様に発想を転換して自分を追い詰めない事が何より大切だとわかります。もちろんベストを尽くして、その後の事ですが。笑 | ||||
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葉室麟さんの大ファンで今までの作品はほぼ読んでいますが、今作は今までと少し雰囲気が違うような気がしました。 今までの作品は勧善懲悪というか、悪くいえば綺麗にまとまり過ぎ・上手くいき過ぎなハッピーエンドだったと思います。 けれど今作は、ハッピーエンドではあるかもしれませんが六郎兵衛はおそらくこのあと死んでしまうだろうし、圭吾家族も一旦難を逃れますがこの先見知らぬ地で血縁もなく生きていかねばなりません。 また作品の途中でも、今までの葉室作品だとしたら妻の美津も六郎兵衛を信じる心の綺麗な人物で、圭吾は一旦だとしても権力に溺れて六郎兵衛を信じないという展開はなかったように思います。はじめはこの美津の性格が少し嫌だなと感じたのですが、圭吾のことを思うあまり六郎兵衛に優しくできずしかしそれを美津自身も悩んでいた、という性格の方がリアリティがあってよかったと思います。 そういった今までの葉室作品とは少し違う雰囲気を感じ、これからまた多彩な作品を見せてくれるのだと楽しみになっただけに、昨年の訃報が残念です。まだまだ葉室さんの作品をたくさん読ませていただきたかったです。 | ||||
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ふと思う。1本の作品に、 これだけ心揺さぶられた事は、 最近あっただろうか。 生きる事、守るべきもの、権勢欲、裏切り、そして愛。 どんな形であれ、 どんな身分であれ、人を愛しむ心は美しいという、当たり前の事を、 全く異なる二人の生き様を通して問いかけてくる。 交わる事のない二人の武士。 そして、 目を閉じてはじめて見える、 六郎兵衞の美しさ。 葉室麟さん、あなたは命を削って、この作品を書き上げて下さいました。 玄鳥さりて、貴方もまた旅立ちましたが、 この作品の中で永遠に生きています。 | ||||
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