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霖雨
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霖雨の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.39pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 21~23 2/2ページ
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私は、小学校の6年間「月隈小学校」まで当時子供の足で20分位でしょうか歩いて通いました。 学校までは上町通り、下町通りの2つのルートがありました。朝行くときは普段は上町通りを歩いて通いますが、 下校時に気分を変えて下町通りを帰ることがありました。その下町通りコースの途中に『咸宜園』があったのです。 その頃は、淡窓先生が江戸時代に開いた学校だという程度の認識しかなかったと思います。中学だったか高校だったか 「道休他郷多苦心・・・」の詩を知りました。それから40数年、60の手習いで始めた書道が少しは書けるようになった 頃から今までこの詩を何枚も何枚も書いて来ました。そんなある日、関東在住の同窓の先輩から「霖雨」について メールを貰いました。びっくりし先輩にお礼のメールをすると同時に早速購入し一気に読みました。 これでもかこれでもかとうんざりする程の難題を受けながら咸宜園を守っていたなんて初めて知り、今まで以上に詩の一文字 一文字にわが故郷の偉人を偲び尊敬の気持ちを込め、その気持ちが表現できる様励んでいこうと思います。 | ||||
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豊後国日田で私塾・咸宜園を主宰していた江戸時代の儒学者 広瀬淡窓が主人公(実在の人物らしい…) 他の葉室作品と同様メインテーマは“理不尽に立ち向かう正義”であり、サイドストーリーとしての“純愛”だが… “正義”も“純愛”もどちらもさほど心に響かない…何故か? ストーリーの骨格をなす“正義”について言えば 前半においては、塾運営に対して西国郡代からの“理不尽な”いやがらせが続く。しかしながら、この“理不尽”に“理(ことわり)”が無い。 ある意味矛盾しているが、いやがらせにも“理”がなければ、説得力を持たないし、また、このいやがらせに対する淡窓の対応も傍から見れば 唯々諾々と従うだけでその苦悩の深さ・重さが伝わってこない。 後半は、大塩平八郎の民衆の想いに根ざしていたとは思えない過激な武力革命に対して、淡窓のいわば迂遠な敬天思想が対比して描かれるが、 思想としてのシンパシーは感じるものの、まさしく迂遠に過ぎ、小説としてのカタルシスは感じられない。 また、葉室作品の重要なスパイスである“純愛”もいただけない。 淡窓の弟久兵衛と千世のそれには、他作品に描かれている 「凛とした美しさ」も「胸を締めつけられるような切なさ」も「燃え上がるような情熱」も 感じられない。 久兵衛の千世への想いは、千世が昔叶わなかった想い人と面影が似ているというだけの安易なそれとしか思えず、また、千世の久兵衛への想いは 義弟との過ちに対する逃避のそれとしか感じられない。 一応、葉室作品らしい体裁は整っているものの深みのない作品といわざるを得ないだろう。 残念ながら“粗製乱造”気味か? | ||||
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静かで、品格のある作品でした。直木賞受賞作は、藤沢周平とかなりかぶるところがありました。しかし、それは、お二人の誠実な資質の現れであって、藤沢さんを超える、もしくは別のスタンスを見つけるのは、これからの葉室さんご自身が励みとする目標であると、私は期待して新作を待ちたいと思います。 舞台は、大分県日田市、広瀬淡窓が主宰する私塾咸宜園。誠実で穏やかな人柄で、詩人の資質も兼ね備えつつ、厳しい指導力もある漢学者淡窓と、その弟、入塾してきた、いわくありげな姉弟を名乗る男女。大塩平八郎の乱や、幕末の到来を予感させる出来事を、天領とはいえ、江戸から遠く離れた九州で見守る広瀬兄弟。 一度咸宜園を訪れたことがあります。作品を髣髴とさせるよいところでした。淡窓のことも、漢詩のことも何も知らずに訪れました。齢を重ね、漢文を読む楽しみも少しは身についた今、この作品によって、再訪したくなりました。 有名な淡窓の漢詩がいくつか出てきますが、平明な文章で口語訳?がつけられていますので、古典アレルギーの方でもだいじょうぶです。咸宜園と淡窓そのもののを表現した大切な詩を味わってください。 藤沢さんにも、『市塵』、『漆の実の実るころ』などの佳品があり、静かな慰めと励ましをいただきましたが、本作は、それらよりも読み易いので、寝る前の短時間の読書にもおすすめです。夜更かしして一気読みする悪癖をどうすることもできない私にして、実際そうできたのはうれしい驚きでした。 | ||||
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