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(短編集)
実話怪談 穢死
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実話怪談 穢死の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.77pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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「私達は屍者が無数に折り重なった上で生きている」…そんな思いを抱きながら収録された実録怪談全27編。 結論から言えば余り怖くはないし、ただの事件記録、或いはグロテスクなだけの内容もあるので読者の求めるものに依って評価は分かれると思うが、冒頭に紹介した川名まり子氏の言葉通り、重いテーマについて考えさせられる作品であった。 本書は、川奈氏自身の経験に加えて体験者から聞き得た話を多く収録しているので、内容は非常にヴァラエティに富んでいる。 特に場所を特定している所が現実的で、例えば「田母沢会館」の舞台でもある日光は有名な心霊スポットなので妙に納得したし、或いは「新小岩駅」で取り上げている成田エクスプレスの人身事故は偶々記憶に残っていただけに、まさかその後に様々な噂が独り歩きしていたとは知らず、如何にして怪談や都市伝説が生まれるのかを知って面白かった。 尤も、ここで紹介されている心霊スポットを敢えて訪ねる事はしない方が良いだろう。 何故なら、こうした場所は面白半分で行くべきではない…それは不謹慎という意味でもあるが、単なる興味本位で死者の眠りを妨げるような行いをすると碌な事は無いからである…そう、本書に収録されている「心霊ドライブ」のように…。 その他「祖母の力」は陰陽師顔負けの呪詛返しを扱っているので現代でもこうした概念が生きているのだという驚きもあったし、或いは「霧」は正しく映画「フォッグ」の雰囲気そのもので今にも情景が浮かんで来そうな臨場感が良かったように思う。 尚、こうした作品の中でも異彩を放つのは第二次世界大戦を題材とした「パンの実」と「屍穢」であろうか…これ等はカニバリズムや心霊現象といった枠組みを超えて、極限の状態に達した時の人間の残酷さ、人命よりも会社への責任を優先した人間の悲しさ、そして何よりも戦争の悲惨さを重く受け止めずにはいられない作品なので強く印象に残った。 私は怪談話には明るくは無いのだが、そうした中でも川奈氏の作品はよく読んでいる。 勿論、これを「作り込んでいる」と捉える向きもあるだろうが、文章運びが上手く、且つ豊富な知識をお持ちなので一つの「怪談文学」としての面白さがあるのだ。 今後も同氏の作品に期待している。 | ||||
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一方では、小池壮彦氏の怪異紀行のようにノンフィクション風のもの(東京空襲に取材したもの、鎌倉のある庭園の怪など)があり、著者の言う「我々生者はおびただしい死者の上で生きている」という世界観がうまくにじみ出ている。今後この線でもっと話を集めて発表してくれるととてもすばらしいと思う。 しかし一方、無理やり一冊分の分量にするためか、怪談ではなく単に猟奇的な話(パンの実、寄生虫など)もあり、怪異を求めて買った者としてはやや不満を感じた。 自分の家系に関する和服の三連作も、加門七海のような蘊蓄披歴部分が長く、やや密度が薄まっていた。 竹書房は変に水増しして出版を急ぐようなことはせず、ウィスキーの熟成を待つような心で、著者の最良のものを気長に待ってほしい。 | ||||
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前作の 実話怪談 出没地帯 が御自身の体験した話が多く心霊物の比重が高かったのですが、本書は他の(ご主人も含め)体験者の話の比重が高くなり、27話中ご自身の経験したものは4話(他にその場にいたが本人は体験しなかった「そういう人もいるんだよ」があります)に減りました。 また今回は戦争という極限状態での食人を暗示する「パンの実」、精神を病んだ身内に関わる「三枚がさね」3部作の様に人間の狂気を扱った題材も増えた様に思います。私は怪談というと心霊物という先入観もあり、評価は低めになりましたが、その分野が好きな方はもっと異なる評価になるかもしれません。 | ||||
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