■スポンサードリンク
三屋清左衛門残日録
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
三屋清左衛門残日録の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全96件 61~80 4/5ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
タイトルに「残日録」とある様に、用人と言う重職を無事に終え隠居した後の「日記」と言う体裁になっています。 物語を通しては、人の集まる社会にはどこでもある「派閥争い」を描いています。 そこでは、どちらにつくかで将来の決まる虚しさの様なものが滲み出ています。 それでも、食ってゆくためには「出世」をしなくてはいけない、勤め人の悲しい性です。 私自身も長らくサラリーマンとして、大きな企業の中で働いてきたので良く解かります。 それと同時に、この小説は15編の連作短編の形態を取っています。 その15編の中で、隠居し前線から退いた主人公の生活と心情の変化を描いています。 私も定年退職して5年以上経ちますが、在職中に考えていたこととは全く違った生活が待っていました。 主人公も、のんびりした生活を考えて居たようですが、なかなかそうはいきません。 様々な相談事が持ち込まれ、のんびりさせてくれません。 又、同年配のかつての同僚たちの現在をも目撃します。 そうした中で、主人公の人間性が一層研ぎ澄まされてゆくように思えます。 「隠居」は、一つの区切りであったかも知れませんが、人間は死ぬまで「成長」してゆくものなのでしょう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
皆徳川時代によくわからない幻想を抱いているようだ。人間が人間として生きる場所は、いつの時代も混沌としている筈である。その混沌の中に、悪と善がはっきりしている場所が、果たして存在するだろうか、するはずが無い。しかし徳川時代は勧善懲悪が達成された時代だとかいう根も葉もない幻想が、現代人には蔓延っている。水戸黄門は娯楽としては面白いが、リアリティーは皆無である。 全ての問題が、根拠の無い剣術やら妖術で解決されるような勧善懲悪本や、シチュエーションとしてあり得ない設定を使いながら全く工夫がなされていないものを、「時代小説」と銘打って出版するバカがいるが、そのような三流物書きはこの小説を読むことである。 この作品は、徳川時代の社会の日常性に、人間の生きる感動を見出す作品を多く発表し続けた藤沢周平の、一つの最高点に達したものである。現代人から見れば特異な空間である徳川時代の人間を、虚飾する事無く克明に描いている。藩の用人という大役を退き、自分の生きたいように生きる時どうするか。今蔓延する自称「時代小説」の人生を達観した様な、取っ付きにくそうな老人では無く、迷い、悩み、日々を過ごす。そこには誰もが共通するリアリティーが存在し、作品内の登場人物が、存在が現実的に確証されたということは、虚構に現実性を持たすことに成功したのである。 この偉業を徳川時代を舞台にした作品で無意識レベルで達成したのは、藤沢周平のこの作品を含めてもそう多く無い。そういう面でも、この作品の価値は非常に高い。バカげたシリーズものの自称「時代小説」を買って読むなら、こっちを一回読むのがオススメである。人間の根本にある心理は、多彩な登場人物一人一人に溢れ出ている。とくに「零落」のラストは傑作。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
おだやかに雨の降る日には藤沢周平の小説が似合う。 風景描写の名手である藤沢は、山形・庄内地方の四季のうつろいを、「海坂藩」もののあらゆる作品で見せてくれる。「三屋清左衛門残日録」も15の短編すべて季節が明示されている。まるで俳句に季語が必要なように、日本の江戸時代を舞台にした小説に季節がないなどありえないと考えているかのようだ。 どうして藤沢周平の作品は雨の日に、わけても梅雨に似合うのだろうか。 秋田・山形の梅雨はおおむね6月中旬。田植えの終わった田んぼに、静かに振る。遠方はかすみ、これから来る猛暑の前に、稲はたっぷりと水分を蓄える。田植えの繁忙が終わり、炎天下での草取りがやってくる前の、束の間の安らぎが梅雨の時期であったような気がする。 今から60年近く前、田起こしは耕運機ではなく馬や牛であった時代。田植えや草取りはすべて人力であった時代。秋田県の農家の次男坊だった6~7歳の私にも、父や母が束の間の休息をしている姿が記憶に残っている。 藤沢周平の作品は、必死と働いている人々が、ほっと一息つくつかの間の休息に、よく似合う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
江戸時代のお家騒動が短編の積み重ねで書かれており、読みやすい小説である。 いつの時代も権力闘争があるということである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「島耕作」シリーズで有名な漫画家・弘兼憲史の作品に「黄昏流星群」という作品群がある。「黄昏流星群」は名作だ。人生の夕暮れどきの哀しさや深み命の輝きを伝えてくる。 この三屋清左衛門残日録も、人生の夕暮れどきを描いている。伝わってくる、いやより正確には「滲み出てくる」この「夕暮れどき」の感覚にはとても心を揺さぶるものがある。 名作だと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大変良いもので、期待意通りでした。これからも宜しくお願い致します。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
江戸時代の東北地方の小藩の話という設定ではあるが、現代のリタイアー後の高齢者の生き方のよいモデルと言えそうである。もちろん 時代設定のゆえ、交友範囲は藩内の元同僚や町人等に限られるがそれでもそこそこ主人公は人間関係を楽しみながら、時折くる現実の藩上層部の依頼に対処している。力まず、静かに生活しつつ一日一日暮らしていく晩年の歩みが好ましい。ただ 時代のためか 主人公の隠居の年齢が50台前半である。このあたり現代との懸隔を感じさせるのも致し方ないのか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
隠居しきれない自らの境遇と照らし合わせてとても深い感銘を受けた 素晴らしい老年人生 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
隠居の身の主人公、現代でいえば定年退職者であるがこの主人公は 次から次へと仕事の要請がきてあらゆる難題を解決していく、すぐれた 平衡感覚の持ち主で情緒的に安定、正義感も強い、なかなか、こんな 老後の過ごし方は現代では難しいというのが読後の感想である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
短篇集です 用人という重職を退き息子に家督を譲って、離れに起臥する隠居の身となった三屋清左衛門 想像していた以上の世間から隔てられた寂寥感、老いた身を襲う悔恨に悶々とする日々に戸惑う清左衛門は日録を残すことを自らに課す 暫く後、嫁や友人のアドバイスもあり隠居生活にも慣れて元気に暮らす毎日だったが、紛糾の渦中にある藩の執政府は彼を放っておいてはくれなかった 藩の政争、清左衛門の身の周りの小事件など、切れ味よく小気味よい展開で物語は語られます 定年を迎えたばかりの方には清左衛門が隠居した当初の気持ちがよく理解できるのではないでしょうか 定年後の生き方指南に役立つ一冊かもしれません | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
三屋清左衛門、藩主の元用人の隠居後の生活を描く。 ショートショートかと思っていたら、それぞれの話が繋がりを持ち、途中からお家騒動の太いストーリーとなる。 それぞれの事件はちょっとしたことである。だがその心の綾がこの作家に掛かるとしみじみとした深い話しとなるから不思議だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
日経新聞の書評で紹介されていたので、購入(kindle版)して、最初は面白かったが、話が冗長で、進展が遅い。途中で読むのをやめました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私は40代なので、この本は合わなかったようです。3分の1まで読みましたが それ以上は無理でした。特に今後の人生にも影響を与えるものはありません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
*****退職後に読んだら 非常に面白かったです。 ******* | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
新聞の投稿欄を見て購入 まさしく、定年を迎える前に読み非常に 参考になりました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
様々な事件が隠居の清左衛門に降りかかるが、凡庸な事件物のようにすべてがすっきりと解決されるわけではない。人生には未解決のままで通りすぎなければならない事柄が多々あるように、作者はいくつかの事件には本当の結末を迎えないところで筆を置いている。そのあとは、読者の思いが完結させるのである。物語が終わったあとに余韻が広がる作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
Kindleで購入した始めての小説でした そして、始めての藤沢周平でもありました。 いやぁ、どっぷり藤沢ワールドにはまらせていただきました。 最初の2〜3行を読んだだけで、江戸時代の雰囲気を十分に感じさせてくれる文体がステキです。 時代小説って使っている単語が古臭くて取っ付きにくいかな?と思っていたのですが全然そんなこと無いです。 江戸時代に使われていた単語や言い回しがすんなり入ってくるし、何よりその表現が小説全体のスパイスとして機能しています。 単純にいうと「盛り上げて」くれるんですよね。 こんなに文体に酔いしられる本は珍しいです。 読んでいて「気持ちがいい」 そしてそして、沢山の食事シーンが出てくるのですが、これがまたどれも美味しそう! これを読んだ後に日本食を食べたら「あぁ、日本人で良かったなぁ」と感謝したくなります。 小説自体も、連作短編形式になっていて、各章で物語が完結しているので読みやすいです。 TVでも放映されてたらしいですね。 ビデオが出てたら観てみたいと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
このような定年後を送れる人がどれだけいるだろう。これは憧れの余生ということだろう。そういう意味で楽しめる本だった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白かった キュンとした 筆者の心が心に深く伝わってきた。ありがとう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最近仕事から退き、手持ち無沙汰な日々。この本に出会い、侍もサラリーマンも隠居暮らしは同じだね、と。 しかし、この本ほど適時、やることがあると晩年も面白い、と羨みの気持も。 いろいろ共感するところも多いほんでした。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!