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(短編集)

たそがれ清兵衛



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【この小説が収録されている参考書籍】
たそがれ清兵衛 (新潮文庫)

たそがれ清兵衛の評価: 4.42/5点 レビュー 62件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.42pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全52件 41~52 3/3ページ
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No.12:
(5pt)

若い人でも読んで楽しめる

時代小説にまつわるイメージによって
この種の小説をなんとなく遠ざけていたのですが…。

素直に面白かったです。

若い人が読んでも、楽しめる。
エンターテイメント小説だと思います。
(そんな風に言ったら、失礼かもしれませんが)

内容については、私は、この小説をヒーローものとして捉えました。

冴えない主人公が、実は抜群の能力を持ち
多くはないが誰かのヒーローとなる。

そのカタルシスがたまらないです。

今まで時代小説として敬遠してしまっていたことが、
もったいなかったと思わせる小説でした。
たそがれ清兵衛 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:たそがれ清兵衛 (新潮文庫)より
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No.11:
(5pt)

変わり者の男達の活躍と男女の機微を描いた傑作短編集

普段見栄えがしない人物がイザと言う時スーパー・ヒーローに変身し、颯爽とした活躍を見せる...。現代にも通じるこの御伽噺的願望を時代小説の中で飄々とかなえてくれる連作短編集。弱者への温かい眼差しと権力への反骨心が滲み出た秀作。

タイトル作「たそがれ清兵衛」のテーマは夫婦愛。病妻の看病のため毎日定時で下城し、"たそがれ清兵衛"と陰口を叩かても主人公は厭わない。そして藩の大事にはさり気なく活躍する。更に活躍後も褒賞より愛妻を大切にするのだ。「うらなり与右衛門」は"うらなり"顔の主人公の浮気疑惑と義憤とを巧みに織り交ぜて描いた秀作。主人公の艶聞を藩の権力争いに繋げる展開が巧み。更に自身の指示の結果、若い藩士を死なせてしまうと言う設定が物語の深みを増す。主人公の仇討ちは知恵を使った冷静なもので風雅の味がある。主人公の勝気な妻の言動も面白い。「ごますり甚内」は義父の代に減石された主人公が復石のため必死に"へつらう"様子と獅子奮迅の働きを対比して描いた作品。オチも笑える。「ど忘れ万六」は物忘れの激しくなった隠居老人が嫁のために"昔取った杵柄"を披露する痛快談。「だんまり弥助」は過去の事件の自責の念から無口になった主人公が、藩主の前で仇敵一派に堂々たる弁論を披瀝して一掃する骨太の作品。仇敵を討ち果たした時、無口の呪縛が解き放たれるラストが清々しい。「かが泣き半平」の"かが泣き"は"苦痛などを大ゲサに言う事"の由。命懸けの暗殺がタダ働きに終って、主人公の"かが泣き"は...。「日和見与次郎」は普通の時代小説に近いが、従姉への思慕と若さへの決別を告げるラストの暗殺シーンが印象的。「祝い人助八」の"祝い人"は"乞食のように汚くて臭い様子"。男やもめの主人公の剣技と共に友人の妹との交情が美しく描かれる。特にラストは感動的。

変わり者視される男達の縦横無尽の活躍を描きつつ、男女の機微をも映した傑作短編集。
たそがれ清兵衛 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:たそがれ清兵衛 (新潮文庫)より
4101247218
No.10:
(5pt)

映画とはまったく別物の藤沢ワールド

初出は昭和63年9月新潮社よりリリース。今となっては山田洋次監督の映画で余りに有名になってしまった表題作だが、原作はまったく別物。映画は原作を元に山田監督が見事に再構築したオリジナルと言うべきだろう。

本作は『たそがれ・・』他7作の短編集である。共通点は主人公が『たそがれ』・『うらなり』・『ごますり』・『ど忘れ』・・・だが剣はめっぽう強いということだ。この点で同じ作者の『隠し剣』シリーズと共通の部分が感じられて興味深い。こちらの方が平常の姿を一変する変身願望みたいなものを感じる。

どれも面白い。ドンドン読める。どれも派閥の権力闘争に派閥に属さない剣士を利用して相手の派閥の核になる人物を抹殺させようという派閥理論が出てきて苦笑してしまう。今も昔も同じだ。日本という国の本質を見る気がする。問題なのは企業体自体・あるいは国自体がどんどん弱体化して世界中の真面目な国々に負けつつある現実を意識せずに未だ派閥抗争を展開し続ける国民性だ。たまには自社の株価でも意識すべきなのではなかろうか、派閥銘柄諸君。
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4101247218
No.9:
(5pt)

侍としての矜持

藤沢周平の短編集「たそがれ清兵衛」(新潮文庫)を読了。2年ほど前、先に山田洋次監督、真田広之主演の映画をDVDで見ていたので、文庫本を持ってはいたがそのうち読もうと1年以上放っていたものだ。読んでみてわかったのだが、映画と原作では話のすじが相当ちがっている。しかし、下級武士であるがゆえに、世の中の動きや藩の重役による政争の波に翻弄される運命のなか、静かに波を見つめ、侍として信念を凛として貫く姿を描いている点で、山田洋二監督は映画で藤沢の世界を忠実に描いているといえる。
 大衆小説、時代小説はともすれば軽く扱われがちだ。しかし私は藤沢氏の描く主人公が持つ「侍としての矜持」に感銘せずにはいられない。登場人物が示す弱いものへの細やかな愛情に、人の世も捨てたものではないと心が温まる思いである。
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No.8:
(4pt)

登場人物が魅力的!

全8篇の短篇集。
そこには、その性格や容姿のために、まわりから有り難くない渾名をつけられ、侮られている侍が登場します。
しかし、日頃見せる姿とは異なり、実は剣の達人であり、情に厚く魅力的な人物であることが、読み手を惹きつけます。
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No.7:
(4pt)

名もない名剣士たちの八つの物語

江戸時代の名もない剣士の物語が集められた短編集です。

 しかも、8人の剣士とも華々しい生活というよりも、ちょっと日陰な境遇の人達。ひっそりと生きる男たち。

 自分の力を誇ることなく、ひけらかすことなく、おごることなく生きるその姿こそ、まさに「卑怯」という言葉を一番に嫌う「武士道」そのもののように見えました。

 華美でなく、誇張しない文章からも、淡々とひたむきに生きた男たちの背中が見えてくるような気がしました。
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No.6:
(5pt)

藤沢ワールドを堪能

淡々とした、でも、温かい筆致で描かれる下級武士の生活や心情。武士として、と言うよりも、人間味溢れる其々の主人公に、所謂カッコいいヒーローと言う魅力はない筈なのに、惹き込まれる。

どの話も、結末が悲しくないことも、読後感を爽やかなものにしてくれて嬉しい。
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No.5:
(5pt)

おもしろいです!

江戸時代の下級武士の城勤めの様子や、街、集落やその雑踏まで

がまるでタイムマシンで見てきたのかと思うくらい

生々しく描かれており、「あぁ、昔の世も今とあまり変わらない

部分があったんやなぁ」と郷愁じみた思いで読み、まるで江戸時代

の日本にタイムスリップした感覚で読むことができました。

ちょっとしたテーマパークに紛れ込んだ気分です。
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No.4:
(5pt)

男の子である


たそがれても光る。
臭くても強い。
日和見でも切れる。 
 
ぼくは強いぞって走り回った子供時代を、
何故か彷彿とさせるのです。 
そして、もう紙よりも薄い、透けるような、
はかない女性が描かれます。
「男の子なんだから」ってすりこまれ、
そして傷つき続けた男の子の夢が、花開く。
もう許してね。
囚われているとは解っていても、
この夢からは逃れられない。
男の子の聖書ですねえ。
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No.3:
(5pt)

短編集

普段は冴えない
どこか変わり者の
でも、剣を持たすと凄い武士たちが
この物語の主人公です。
そんな彼らが、お上から上意打ちを命じられ
活躍するというストーリーです。
人によって、持っている流派なども違い
それも楽しめました。
次の主人公は、どんな変わったキャラの持ち主だろうと
楽しみに次々にページが進みました。
ただ、刃向かうものならば容赦なく
斬って殺してしまうという
昔の社会については
悲しく残念に思いました。
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No.2:
(5pt)

もう一つの「たそがれ清兵衛」論

藤沢周平『たそがれ清兵衛』は短編集で、表題作の「たそがれ清兵衛」は巻頭に入っ
ています。いま映画館でこの「たそがれ清兵衛」が上映されています。某 ワイドショ
ーによると、観客はこの映画に「サラリーマンの悲哀」を見出し、涙を流すとか。でも
映画と小説は全然違います。

 「たそがれ清兵衛」では、人間愛(夫婦愛)が描かれているんですが、それと完全並立
するかたちで、武士社会の論理も描かれています。

 病気の妻に優しい主人公。しかし「上意」(主君の命令)により何のためらいもなく、
人を殺す。
 いやためらいはある。けれども、それは殺害の日には帰りが遅くなるので、妻の介護
に差し支えはしないかという心配なんです。
 また、その後日、殺した相手の護衛が主人公を殺そうとするのですが、この時も、主
人公は実にあっさりとその人物を殺している。何のためらいも、葛藤もなく。そして平
然とその場を立ち去り、妻の元に急いで帰ってゆく。

 江戸時代の武士は主君に絶対服従なんですね。無条件の服従が要求される。このよう

なありかたは「封建制」とは違うという見解がある(石尾芳久、吉本隆明)。
 厳密な意味での「封建制」においては、主従の上下関係は絶対的なものではなくて、
give and take, 「ご恩」と「奉公」という相互性の関係がある、という。西欧と日本の
中世にはこの「封建制」があった。しかし、江戸時代の日本では「封建制」は崩れてお
り、それにかわって「アジア的専制」があったのだ……という見解がある。

 この見解に依拠して、やや「ゴーマンかまして」みますと、藤沢周平の小説「たそが
れ清兵衛」は、夫婦愛と「アジア的専制」とのコントラスト、それらのあっけらかんと
した両立可能性がテーマになった小説だということになる。映画と違って、サラーリマ
ンが自己投影でき、「団塊の世代」がむせび泣くような、やわな小説では毛頭ありませ
ん。
たそがれ清兵衛 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:たそがれ清兵衛 (新潮文庫)より
4101247218
No.1:
(5pt)

かくも素晴らしく、優しき剣豪たち

短編集です・・表題の「たそがれ清兵衛」城勤めの武士でありながら、妻が病床に付き下の世話まで彼が見なければならない。そのため夕方の退城の定刻になると逃げるように自宅へ戻る。そんな彼に皆があざけりをこめてつけたあだなが「たそがれ」。本人も特に気にすることなく妻の身だけを案じて暮らしている。
 そんな彼に上意討ちの討手の役がひそかに舞い込む。実は彼は若い頃は藩内でも一,二を争う剣の腕前。夕方の城中での上意討ちが刻々と迫る中、愛する女房の下がもれてないか気が気でたまらぬ。が、そこは主人公、相手を鮮やかな腕で始末した後、いそいで女房の下の世話へと急ぐのだった・・。
 表題作を始め、どの短編もいじらしく人間くさい主人公と、普段は見せぬがいざというときに出てくるあざやかな剣さばきの対比が素晴らしい。作者が晩年にその胸中に達したといわれるユーモアとペーソスをさわやかに織り成しながら、剣客小説としての凄絶さも失われない、まことにバランスのとれた稀有な傑作だと思う。あらゆる人に推薦。
たそがれ清兵衛 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:たそがれ清兵衛 (新潮文庫)より
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