ブラフマンの埋葬

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評判

ブラフマンの埋葬の評価:

3.96/5点 レビュー 75件。 D ランク

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平均点3.96pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全112件 61〜80 4/6ページ
No.52
(4pt)

ブラフマンとのやさしく、穏やかな、せつない日々。

別荘管理人の主人公が、ある日行き倒れの動物を拾って「ブラフマン」と名づけ一緒に暮らし始める。主人公とブラフマンのやさしく、穏やかな日々と悲しい別れが小川洋子の静かな文章で美しく描かれている。実は最後まで「ブラフマン」が何の動物なのかは明かされない。読者は文章から想像するだけなのだ。ラグビーボール大で茶色の毛が全身にはえている。肉球があって、水かきがある。犬か?と思ったけど「しっぽが胴の1.5倍」で違うなと思う。誰かが「かわうそ」と書いていたけど、ブラフマンは主人公の部屋で暮らのだ。かわうそって水の中にいなくていいんだっけ??でもブラフマンは泳ぐのが大好き。なんだか小さいアポロ(家のワンコです)みたいだ。イタチとかそういうものかも。まあ、いろいろ予想しながら読むのも楽しい。ブラフマンは本当にかわいくて読んでいるといとおしくなる。そして題名でわかってしまう別れに向かって物語りが進んでいくのが悲しい。いろんな人の感想を読むと何しろ小川洋子は「博士の愛した数式」が、評価が高く「ブラフマン」はイマイチらしい。「博士」を読んでいないのでなんともいえないが、犬好き猫好きの人は結構これもキュンとくる。前の「偶然の祝福」にも犬が出てきたが、彼女の動物の表現はとてもリアルだ。鳴き声や泳ぎ方、表情の描き方に愛を感じる。犬を飼っているのかもしれない。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.51
(4pt)

ブラフマンとのやさしく、穏やかな、せつない日々。

別荘管理人の主人公が、ある日行き倒れの動物を拾って「ブラフマン」と名づけ一緒に暮らし始める。主人公とブラフマンのやさしく、穏やかな日々と悲しい別れが小川洋子の静かな文章で美しく描かれている。実は最後まで「ブラフマン」が何の動物なのかは明かされない。読者は文章から想像するだけなのだ。ラグビーボール大で茶色の毛が全身にはえている。肉球があって、水かきがある。犬か?と思ったけど「しっぽが胴の1.5倍」で違うなと思う。誰かが「かわうそ」と書いていたけど、ブラフマンは主人公の部屋で暮らのだ。かわうそって水の中にいなくていいんだっけ??でもブラフマンは泳ぐのが大好き。なんだか小さいアポロ(家のワンコです)みたいだ。イタチとかそういうものかも。まあ、いろいろ予想しながら読むのも楽しい。ブラフマンは本当にかわいくて読んでいるといとおしくなる。そして題名でわかってしまう別れに向かって物語りが進んでいくのが悲しい。いろんな人の感想を読むと何しろ小川洋子は「博士の愛した数式」が、評価が高く「ブラフマン」はイマイチらしい。「博士」を読んでいないのでなんともいえないが、犬好き猫好きの人は結構これもキュンとくる。前の「偶然の祝福」にも犬が出てきたが、彼女の動物の表現はとてもリアルだ。鳴き声や泳ぎ方、表情の描き方に愛を感じる。犬を飼っているのかもしれない。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.50
(4pt)

愛と優しさの教科書

ブラフマンとは主人公の飼っている動物。その正体が最後まで不明。

それが犬なのかアザラシなのか、そのほかの爬虫類か何かなのかまったくわからないが、

それが問題にならないほどに、主題である『愛』がしっかり紡がれているとても暖かな本。

愛すること、愛されること、大事にすること、されること、守ることまもられる事。

そのシンプルな見本がブラフマンの生涯を通して書かれている。

難しいことでも面倒なことでもばかばかしいことでもない。

想い想われ、想い合う。

ただひたすらな当たり前の愛の偶像。

それこそがブラフマンという主人公なのだ。

読んでいるとささくれ立った気持ちがやんわりとほぐれはがれていく。

そんな棘のないそれでいてまっすぐなやさしさを存分に感じる一冊。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.49
(4pt)

愛と優しさの教科書

ブラフマンとは主人公の飼っている動物。その正体が最後まで不明。

それが犬なのかアザラシなのか、そのほかの爬虫類か何かなのかまったくわからないが、

それが問題にならないほどに、主題である『愛』がしっかり紡がれているとても暖かな本。

愛すること、愛されること、大事にすること、されること、守ることまもられる事。

そのシンプルな見本がブラフマンの生涯を通して書かれている。

難しいことでも面倒なことでもばかばかしいことでもない。

想い想われ、想い合う。

ただひたすらな当たり前の愛の偶像。

それこそがブラフマンという主人公なのだ。

読んでいるとささくれ立った気持ちがやんわりとほぐれはがれていく。

そんな棘のないそれでいてまっすぐなやさしさを存分に感じる一冊。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.48
(4pt)

ありふれた風景に、薫る物語

特別なイベントが起こるわけでもない。

それなのに面白い。

ありふれた日常生活の描写。

そこに描かれるありふれた物たちの息遣い。

世界をしっかりと描くように、アクセントを添えている。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.47
(4pt)

ありふれた風景に、薫る物語

特別なイベントが起こるわけでもない。

それなのに面白い。

ありふれた日常生活の描写。

そこに描かれるありふれた物たちの息遣い。

世界をしっかりと描くように、アクセントを添えている。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.46
(4pt)

言葉と死

著者の小説らしく、硬質な文章で安易な甘さに流されない。「解説」みたいに挿入されるブラフマンの特性の描写が、「僕」による一方的な感情移入に従って読むことを批評しているかのように。雑貨屋の娘やレース編み作家も、悪意を描くのではなく、物語が一方的になるのを防いでいる。それで読ませる力量がすばらしい。

特徴的なのは、言葉が伝わらないはずの生き物との会話を望む孤独な主人公の一途な思いが、ブラフマンの声を聞いてしまうほどであることと、いたるところに死があることでしょうか。墓地、幽霊、写真の家族、もちろんブラフマンも。死に囲まれて死までの時間をともに過ごすはずの友の死。静かな、しかし力強い印象の残るお話でした。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.45
(4pt)

言葉と死

著者の小説らしく、硬質な文章で安易な甘さに流されない。「解説」みたいに挿入されるブラフマンの特性の描写が、「僕」による一方的な感情移入に従って読むことを批評しているかのように。雑貨屋の娘やレース編み作家も、悪意を描くのではなく、物語が一方的になるのを防いでいる。それで読ませる力量がすばらしい。

特徴的なのは、言葉が伝わらないはずの生き物との会話を望む孤独な主人公の一途な思いが、ブラフマンの声を聞いてしまうほどであることと、いたるところに死があることでしょうか。墓地、幽霊、写真の家族、もちろんブラフマンも。死に囲まれて死までの時間をともに過ごすはずの友の死。静かな、しかし力強い印象の残るお話でした。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.44
(4pt)

ますます穏やかに、ますます残酷に

どこでもない場所の光景と、そこに生活する誰でもない人々のたたずまいを静かに確かに浮かび上がらせる小説。

「謎」を意味する名を授けられた生き物、「ブラフマン」。彼(オスである)と「僕」との短いけれどもいとおしい日々が綴られている。「ブラフマン」という響きそれ自体に求心力があり、彼の描写、「僕」との触れ合いの様子はなんとも言えないあたたかさに満ちている。思わず頭を垂れたくなるような気持ちにさせられる。「慈愛」という言葉が浮かんだ。

著者の小説は、ますます穏やかに、ますます残酷に、独自の世界を極めつつあると感じる。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.43
(4pt)

ますます穏やかに、ますます残酷に

どこでもない場所の光景と、そこに生活する誰でもない人々のたたずまいを静かに確かに浮かび上がらせる小説。

「謎」を意味する名を授けられた生き物、「ブラフマン」。彼(オスである)と「僕」との短いけれどもいとおしい日々が綴られている。「ブラフマン」という響きそれ自体に求心力があり、彼の描写、「僕」との触れ合いの様子はなんとも言えないあたたかさに満ちている。思わず頭を垂れたくなるような気持ちにさせられる。「慈愛」という言葉が浮かんだ。

著者の小説は、ますます穏やかに、ますます残酷に、独自の世界を極めつつあると感じる。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.42
(5pt)

宝石のような一冊

どのページを開いても、描写が素晴らしく美しい!
小川洋子独特の透明感があり、キラキラと光る郊外の風景が鮮やかに広がります。
謎の小動物ブラフマンのしぐさ、表情が細かくイキイキと描写されています。
主人公の純粋な愛おしい気持ちが感じられて、深く心に染みます。

同時に、そこかしこに死の香りが漂います。
しかしそれは忌み嫌うべき死ではなく、気が付けば隣にあるような、静かな死です。
そこが、ただのメルヘンでなく、この作品が文学作品に仕上がってる所以だと思います。
ブラフマンの死も、静かに淡々と描かれています。
(しかし、なぜこんなに悲しいのでしょうか。悲しいとは一言も書かれてないのに。)

ゆっくりと少しづつ味わって楽しむデザートのように、じっくりと読める作品です。
古本屋に売る事無くずっと手元に置いて何度も読み返したい一冊です。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.41
(5pt)

宝石のような一冊

どのページを開いても、描写が素晴らしく美しい!
小川洋子独特の透明感があり、キラキラと光る郊外の風景が鮮やかに広がります。
謎の小動物ブラフマンのしぐさ、表情が細かくイキイキと描写されています。
主人公の純粋な愛おしい気持ちが感じられて、深く心に染みます。

同時に、そこかしこに死の香りが漂います。
しかしそれは忌み嫌うべき死ではなく、気が付けば隣にあるような、静かな死です。
そこが、ただのメルヘンでなく、この作品が文学作品に仕上がってる所以だと思います。
ブラフマンの死も、静かに淡々と描かれています。
(しかし、なぜこんなに悲しいのでしょうか。悲しいとは一言も書かれてないのに。)

ゆっくりと少しづつ味わって楽しむデザートのように、じっくりと読める作品です。
古本屋に売る事無くずっと手元に置いて何度も読み返したい一冊です。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.40
(4pt)

さわやかな、そして苦い夏の思い出

ブラフマンとは最初犬だと思って読み進みました。すると水かきがついているという表現があり、「犬に水かきはあったけ?」と思います。さらにやたらと長い尻尾があることがわかります。この時点で私はもしかしてリスかもしれない、と思います。半ばまでくると、誰もこの動物の種類について言及しないことがわかり、「なんだ意図的に隠しているのか、最後には明かされるのだろうか」とそれが楽しみになりますが、結局は最後まで明かされずじまい。森の動物で人懐こく毛がふさふさしていて水泳が得意な動物、、うーむ、あまりいなさそうなので、架空の動物なのかもしれません。舞台もオリーブ畑がひろがっており、古代墓場が近くにあり、不思議な埋葬の習慣があり、これって日本じゃないなーとだんだん思うようになります。

主人公の青年は、雑貨屋の娘に恋心を抱いていますが、彼女はいまどきの割と自分勝手な娘として描かれてます。青年と彫刻家が自制心のある俗っぽくない人間であるのに対し、この彼女とレース編作家は「いる、いるこういう人」といったある意味人間らしい性格で主人公らと対照的です。結局彼女と一緒にいたいがために注意散漫になり、ブラフマンが死にいたってしまうのですが、(主人公にとって)かわいいブラフマンが自分をおいかけて足元にとびだしてきたというシーンは、私にもなついていた手乗りインコがそのようにして死んでしまった経験があるので、それを思い出して心が痛みました。

架空の場所の架空の動物、登場人物にも名前はないし、森・泉・草原が背景となった乾いた明るい情景の中、淡々と物語は進んでゆきます。夏の苦い思い出としてページをめくり終わる感じです。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.39
(4pt)

さわやかな、そして苦い夏の思い出

ブラフマンとは最初犬だと思って読み進みました。すると水かきがついているという表現があり、「犬に水かきはあったけ?」と思います。さらにやたらと長い尻尾があることがわかります。この時点で私はもしかしてリスかもしれない、と思います。半ばまでくると、誰もこの動物の種類について言及しないことがわかり、「なんだ意図的に隠しているのか、最後には明かされるのだろうか」とそれが楽しみになりますが、結局は最後まで明かされずじまい。森の動物で人懐こく毛がふさふさしていて水泳が得意な動物、、うーむ、あまりいなさそうなので、架空の動物なのかもしれません。舞台もオリーブ畑がひろがっており、古代墓場が近くにあり、不思議な埋葬の習慣があり、これって日本じゃないなーとだんだん思うようになります。

主人公の青年は、雑貨屋の娘に恋心を抱いていますが、彼女はいまどきの割と自分勝手な娘として描かれてます。青年と彫刻家が自制心のある俗っぽくない人間であるのに対し、この彼女とレース編作家は「いる、いるこういう人」といったある意味人間らしい性格で主人公らと対照的です。結局彼女と一緒にいたいがために注意散漫になり、ブラフマンが死にいたってしまうのですが、(主人公にとって)かわいいブラフマンが自分をおいかけて足元にとびだしてきたというシーンは、私にもなついていた手乗りインコがそのようにして死んでしまった経験があるので、それを思い出して心が痛みました。

架空の場所の架空の動物、登場人物にも名前はないし、森・泉・草原が背景となった乾いた明るい情景の中、淡々と物語は進んでゆきます。夏の苦い思い出としてページをめくり終わる感じです。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.38
(4pt)

unconditional friend

在米中、ある獣医が、ペットは“unconditional friend”と表現していた。無条件の、無制限の、無償の、絶対的な友達。人は人と関わって生きていくとき、常に見返りのようなものを期待していないか?駆け引きのようなものを無意識に行っていないか?親友との関係に無条件の友愛をどのようなときも実践できるか?母親の子供に対する愛は神の愛に匹敵するほどの“unconditional love”であるとは度々いわれるが、果たしてそうか?様々な義務、見栄、自己防衛本能などから本当に解放された関係とは“僕”とブラフマンのような関係ではないか。様々な人間関係の狭間でストレスを受け疲れ、孤独を感じたときに、本当に魂を救ってくれるのは、こういう柔らかな存在である。そばにいるだけの自分の存在を100%信じて必要としてくれている、柔らかな存在だけだ。この“僕”のやわらかい記憶はブラフマンを失っても色あせることは無い。“僕”の内側から永遠に“僕”を包み励ましてくれる。作品を読み終え、自分は誰か大切な人、大切にしていると思っている人に対して、“unconditional love”を与えているのか“unconditional friend”になりうるのかを考えさせられた。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.37
(4pt)

unconditional friend

在米中、ある獣医が、ペットは“unconditional friend”と表現していた。無条件の、無制限の、無償の、絶対的な友達。人は人と関わって生きていくとき、常に見返りのようなものを期待していないか?駆け引きのようなものを無意識に行っていないか?親友との関係に無条件の友愛をどのようなときも実践できるか?母親の子供に対する愛は神の愛に匹敵するほどの“unconditional love”であるとは度々いわれるが、果たしてそうか?様々な義務、見栄、自己防衛本能などから本当に解放された関係とは“僕”とブラフマンのような関係ではないか。様々な人間関係の狭間でストレスを受け疲れ、孤独を感じたときに、本当に魂を救ってくれるのは、こういう柔らかな存在である。そばにいるだけの自分の存在を100%信じて必要としてくれている、柔らかな存在だけだ。この“僕”のやわらかい記憶はブラフマンを失っても色あせることは無い。“僕”の内側から永遠に“僕”を包み励ましてくれる。作品を読み終え、自分は誰か大切な人、大切にしていると思っている人に対して、“unconditional love”を与えているのか“unconditional friend”になりうるのかを考えさせられた。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.36
(5pt)

一見地味ですが

~ こちら(俗世間)とあちら(人間の力の及ばない世界)の中間点に『創作者の家』があり、『僕』そして『碑文彫刻師』がいます。雑貨屋の『娘』は完全にこちら側の人間で、土曜日に恋人が街からやってくるのを心待ちにし、街へ繰り出すための車の免許取得に余念がありません。そんな場所へ、あちら側から『ブラフマン』が不意にやってきます。『僕』は『ブラ~~フマン』を可愛がりつつ、『娘』のことも気になったり。
 こちら=あちらの他に、深さ、というベクトルもあります。それは墓碑や石棺であったり、庭の泉であったりします。それらの描写には多くが費やされています。
 こちら側の人間があちら側の深みにはまっていく、という作品が小川洋子作品には多いのですが(『薬指の標本』など)、この『ブラフマン~~の埋葬』では趣向を変えて、あちら側を眺めつつもこちら側に踏みとどまり、深みを静かに想う、ということをしています。
 そういった微妙な位置取りを、あたかも自然に起きたかのように淡々と綴っていく本書は、一見地味ですが、実は非常によく計算された美しいフィクションだな、と感心しました。~
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.35
(5pt)

一見地味ですが

~ こちら(俗世間)とあちら(人間の力の及ばない世界)の中間点に『創作者の家』があり、『僕』そして『碑文彫刻師』がいます。雑貨屋の『娘』は完全にこちら側の人間で、土曜日に恋人が街からやってくるのを心待ちにし、街へ繰り出すための車の免許取得に余念がありません。そんな場所へ、あちら側から『ブラフマン』が不意にやってきます。『僕』は『ブラ~~フマン』を可愛がりつつ、『娘』のことも気になったり。
 こちら=あちらの他に、深さ、というベクトルもあります。それは墓碑や石棺であったり、庭の泉であったりします。それらの描写には多くが費やされています。
 こちら側の人間があちら側の深みにはまっていく、という作品が小川洋子作品には多いのですが(『薬指の標本』など)、この『ブラフマン~~の埋葬』では趣向を変えて、あちら側を眺めつつもこちら側に踏みとどまり、深みを静かに想う、ということをしています。
 そういった微妙な位置取りを、あたかも自然に起きたかのように淡々と綴っていく本書は、一見地味ですが、実は非常によく計算された美しいフィクションだな、と感心しました。~
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.34
(5pt)

二度と訪れない夏の日をみずみずしく、さわやかに、そして切なく描いたよい小説

「博士の愛した数式」以来の小川洋子さんの小説を読みました。
ブラフマンは、ブッダの物語の人物ではなく、「私」が森で助けた動物の名前。
「私」とそのブラフマンが過ごした短い夏の日を、さわやかなタッチで描いています。
ブラフマンは、猿なのか、犬なのか、猫なのか、アライグマなのか、それとも架空の動物なのか、結局でてこなかったのですが、ブラフマンはブラフマンという、なんというのか、それで納得して読んでいってしまうほど生き生きと描かれています。
タイトルの通り、最後、最愛のブラフマンは夏の終わりに死んでしまうのですが、淡々と描かれるその光景ゆえに、「私」の感じた想いが伝わってきました。
こういった感じでの切なさの表現ってあるんだなあって。
150ページ弱の短いお話ですが、二度と訪れない夏の日をみずみずしく、さわやかに、そして切なく描いたよい小説です。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.33
(5pt)

二度と訪れない夏の日をみずみずしく、さわやかに、そして切なく描いたよい小説

「博士の愛した数式」以来の小川洋子さんの小説を読みました。
ブラフマンは、ブッダの物語の人物ではなく、「私」が森で助けた動物の名前。
「私」とそのブラフマンが過ごした短い夏の日を、さわやかなタッチで描いています。
ブラフマンは、猿なのか、犬なのか、猫なのか、アライグマなのか、それとも架空の動物なのか、結局でてこなかったのですが、ブラフマンはブラフマンという、なんというのか、それで納得して読んでいってしまうほど生き生きと描かれています。
タイトルの通り、最後、最愛のブラフマンは夏の終わりに死んでしまうのですが、淡々と描かれるその光景ゆえに、「私」の感じた想いが伝わってきました。
こういった感じでの切なさの表現ってあるんだなあって。
150ページ弱の短いお話ですが、二度と訪れない夏の日をみずみずしく、さわやかに、そして切なく描いたよい小説です。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428