ブラフマンの埋葬

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評判

ブラフマンの埋葬の評価:

3.96/5点 レビュー 75件。 D ランク

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平均点3.96pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全112件 41〜60 3/6ページ
No.72
(4pt)

心の隙間

読み終わった後、人としての切なさを感じた作品です。

飼い主が一番愛する『ブラフマン』とはいつも一緒にいるので、泉で1匹で遊んでいても大丈夫だろう。
飼い主の「僕」はそう思い、飼い主が少し気になっている他人の恋人(若い健康的な女性)との束の間を過ごすための時間を選んでしまった。

人間の生活の中ではよくあることで、誰しもが同じ行動を起こすと思う。

但し、この度は『ブラフマン』を泉で一人り遊びさせることの状況が、下に示す様にいつもと違っていた。
●台風の後で、枯葉が沢山浮いている。
●危険なので泉に網を掛けた。
●家の外では、一人遊びをさせたことがない。
●「ブラフマン」は家の外では、いつも飼い主の居場所を確認しながら行動する。

人はいやしいモノで、自分のものにならないとわかっていても、欲望を満たすための行動を起こしてしまう危険性がある動物です。
その点、『ブラフマン』や飼われる側の動物は純粋に飼い主のことを思っています。
そんな身勝手な、人間の心の隙間をさらけ出した作品だと思います。

ペットの飼い方においてモラルなき飼い主が沢山いる日本人に向けたメッセージと受け取りました。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.71
(4pt)

心の隙間

読み終わった後、人としての切なさを感じた作品です。

飼い主が一番愛する『ブラフマン』とはいつも一緒にいるので、泉で1匹で遊んでいても大丈夫だろう。
飼い主の「僕」はそう思い、飼い主が少し気になっている他人の恋人(若い健康的な女性)との束の間を過ごすための時間を選んでしまった。

人間の生活の中ではよくあることで、誰しもが同じ行動を起こすと思う。

但し、この度は『ブラフマン』を泉で一人り遊びさせることの状況が、下に示す様にいつもと違っていた。
●台風の後で、枯葉が沢山浮いている。
●危険なので泉に網を掛けた。
●家の外では、一人遊びをさせたことがない。
●「ブラフマン」は家の外では、いつも飼い主の居場所を確認しながら行動する。

人はいやしいモノで、自分のものにならないとわかっていても、欲望を満たすための行動を起こしてしまう危険性がある動物です。
その点、『ブラフマン』や飼われる側の動物は純粋に飼い主のことを思っています。
そんな身勝手な、人間の心の隙間をさらけ出した作品だと思います。

ペットの飼い方においてモラルなき飼い主が沢山いる日本人に向けたメッセージと受け取りました。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.70
(5pt)

喪失による無常観

さまざまな創作の世界に携わる人々の為の保養所。
そこで住み込みの管理人として働く主人公の青年は、恐らく天涯孤独である。
天災か事故で大切な人・モノのいっさいを喪ったのか、家族のいない環境で最初から育ったのか、深い喪失感を抱えているだろう青年は、もしかしたら喪失の対象を具体的には記憶していないのかもしれない。
青年は骨董屋で見知らぬ家族の古い家族写真を買い求める。その写真に写る人々は、ひとりひとりこの世を去り、今はもういない。そんな無常観は、この青年には生きていく心の安らぎになっている。
 主人公は、ある日傷を負った森の生き物(まだ子供)を偶然救い、ブラフマンと名づけ飼い始める。
(フェレット+プレーリードッグ+かわうそ)÷3×0.35 のようなこの動物に対する描写、主人公がこまめに世話をする様子、ふたり(ひとりと一匹)の日常の交流は、犬猫等を飼って家族同然に愛し育てた経験のある人なら、心を暖かくして読み進むことだろう。小さな動物の愛らしさを描いて余すところが無い。
 小説のタイトルから想像がつくとおり、ブラフマンはひと夏を青年と過ごした後、事故であっけなく死んでしまう。
(美容院で読み終えて、パーマのカラーを髪に巻いたまま泣きました)
描写されていはいないが、青年は恐らく、死の直後はともかくとして激しく慟哭はしない。
家族同然、いや、それ以上だった小さな生き物を、心穏やかに見送るのだ。
喪の仕事(モーニングワーク)は、青年がもともと抱える無常観・喪失感に支えられ、しめやかに執り行われる。
 小説の中で唯一、生な色彩を帯びているのは、青年の、恋人のいる雑貨屋の娘に対する横恋慕(欲望)である。その欲望が、小さな生き物を間接的に殺すことにもなるのだが。

 小説に出てくるおびただしい石棺。主である死者は跡形もなく、みな小さな水溜りをのこすのみである。ブラフマンも最後は、小さな石棺に収められる。いつかその蓋はあき、中には小さな水溜りが残るのだろう。そのときはもう、青年もこの世にはいない。

本作はもしかしたら、傑作といっていいのではないか。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.69
(5pt)

喪失による無常観

さまざまな創作の世界に携わる人々の為の保養所。
そこで住み込みの管理人として働く主人公の青年は、恐らく天涯孤独である。
天災か事故で大切な人・モノのいっさいを喪ったのか、家族のいない環境で最初から育ったのか、深い喪失感を抱えているだろう青年は、もしかしたら喪失の対象を具体的には記憶していないのかもしれない。
青年は骨董屋で見知らぬ家族の古い家族写真を買い求める。その写真に写る人々は、ひとりひとりこの世を去り、今はもういない。そんな無常観は、この青年には生きていく心の安らぎになっている。
 主人公は、ある日傷を負った森の生き物(まだ子供)を偶然救い、ブラフマンと名づけ飼い始める。
(フェレット+プレーリードッグ+かわうそ)÷3×0.35 のようなこの動物に対する描写、主人公がこまめに世話をする様子、ふたり(ひとりと一匹)の日常の交流は、犬猫等を飼って家族同然に愛し育てた経験のある人なら、心を暖かくして読み進むことだろう。小さな動物の愛らしさを描いて余すところが無い。
 小説のタイトルから想像がつくとおり、ブラフマンはひと夏を青年と過ごした後、事故であっけなく死んでしまう。
(美容院で読み終えて、パーマのカラーを髪に巻いたまま泣きました)
描写されていはいないが、青年は恐らく、死の直後はともかくとして激しく慟哭はしない。
家族同然、いや、それ以上だった小さな生き物を、心穏やかに見送るのだ。
喪の仕事(モーニングワーク)は、青年がもともと抱える無常観・喪失感に支えられ、しめやかに執り行われる。
 小説の中で唯一、生な色彩を帯びているのは、青年の、恋人のいる雑貨屋の娘に対する横恋慕(欲望)である。その欲望が、小さな生き物を間接的に殺すことにもなるのだが。

 小説に出てくるおびただしい石棺。主である死者は跡形もなく、みな小さな水溜りをのこすのみである。ブラフマンも最後は、小さな石棺に収められる。いつかその蓋はあき、中には小さな水溜りが残るのだろう。そのときはもう、青年もこの世にはいない。

本作はもしかしたら、傑作といっていいのではないか。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.68
(4pt)

たんたん

坦々とした物語。

タイトルにもなっているブラフマンは生物なのですが、具体的になんの生物かは書かれていない。謎の生物。
そしてこの人の特徴なのかもしれないが、名前が出てこない。
主人公の目線で話は進むが、主人公は『僕』。『僕』は創作者の家という芸術家が滞在する施設の管理人。そしてそこに滞在する人々も『碑文彫刻師』や『レース編み作家』など名前がない。
そして、舞台が日本なのか、海外なのかもわからない。
登場人物達の人物背景もわからない。
謎の多い話。
顔が無いからこそ坦々さが際立つのかも。
埋葬ってタイトルがついてるのでブラフマンは最後死んでしまうが、生命の生と死って静かで坦々としてるものなのかなって思う。

最後に奥泉光さんていう方が解説書いてて凄くわかり易いです。
あと静かにエロティックですこの話。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.67
(5pt)

謎の生き物、ブラフマン

ブラフマンは、ある日怪我を負って主人公のところにやってきた。
多分、助けを求めて。
長い尻尾を持って、4本足の肉球の間に水かきをもち、水が大好き。
おそらく、哺乳類。小さなブラフマンと、主人公の
暖かい暮らしが始まる。
どこまでも続くといいなと思う、二人(?)の暮らしが描かれるが、
儚い幸せがいつ壊れるのだろうと考えずにはいられない、
なぜなら「ブラフマンの埋葬」というタイトルだから。

期待を裏切らない、静かな、愛情のこもった、
美しい小川洋子の日本語の文章と、
いつまでも心にしまっておきたくなるような
暖かい小説。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.66
(4pt)

たんたん

坦々とした物語。

タイトルにもなっているブラフマンは生物なのですが、具体的になんの生物かは書かれていない。謎の生物。
そしてこの人の特徴なのかもしれないが、名前が出てこない。
主人公の目線で話は進むが、主人公は『僕』。『僕』は創作者の家という芸術家が滞在する施設の管理人。そしてそこに滞在する人々も『碑文彫刻師』や『レース編み作家』など名前がない。
そして、舞台が日本なのか、海外なのかもわからない。
登場人物達の人物背景もわからない。
謎の多い話。
顔が無いからこそ坦々さが際立つのかも。
埋葬ってタイトルがついてるのでブラフマンは最後死んでしまうが、生命の生と死って静かで坦々としてるものなのかなって思う。

最後に奥泉光さんていう方が解説書いてて凄くわかり易いです。
あと静かにエロティックですこの話。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.65
(5pt)

謎の生き物、ブラフマン

ブラフマンは、ある日怪我を負って主人公のところにやってきた。
多分、助けを求めて。
長い尻尾を持って、4本足の肉球の間に水かきをもち、水が大好き。
おそらく、哺乳類。小さなブラフマンと、主人公の
暖かい暮らしが始まる。
どこまでも続くといいなと思う、二人(?)の暮らしが描かれるが、
儚い幸せがいつ壊れるのだろうと考えずにはいられない、
なぜなら「ブラフマンの埋葬」というタイトルだから。

期待を裏切らない、静かな、愛情のこもった、
美しい小川洋子の日本語の文章と、
いつまでも心にしまっておきたくなるような
暖かい小説。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.64
(5pt)

泣きました

小川さんの作品は大好きでたくさん読んでいますが、なぜかこれが一番泣けました。

ブラフマンが「僕」を無心に慕う描写の秀逸な美しさに感嘆しながらも、同時に彼がどのようにして、又誰によって命を落とすのかという複線も早くからしかれていて、ブラフマンへの愛情が増していくのと平行して、すぐに来る別れへの哀しみが抑えようもなく胸に迫りました。

「僕」が哀しいとかショックだとかいう言葉をまったく使わないことが、よけいににブラフマンの喪失を深く感じさせます。「僕」の部屋のあちこちに残ったブラフマンの歯や爪の後、毎晩一緒に眠った記憶などとともに、これから僕」がどうやって暮らしていくのかと思うと、涙が止まりませんでした。周囲の人物の余計な感情も省かれていて、彼らの行動から、その想いがときに残酷なまでに露呈しているだけ、そしてそれでちょうどいい分量なのです。

すぐに読み返す勇気はないですが、大事にしたい本です。ちなみに、ブラフマンがなんであるかは、私はまったく気になりませんでした。描写が増えるたび、水かきやひげをしぐさを勝手に想像して、きっと読者の数だけある、いとしい想像の産物になるのではないでしょうか?
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.63
(5pt)

泣きました

小川さんの作品は大好きでたくさん読んでいますが、なぜかこれが一番泣けました。

ブラフマンが「僕」を無心に慕う描写の秀逸な美しさに感嘆しながらも、同時に彼がどのようにして、又誰によって命を落とすのかという複線も早くからしかれていて、ブラフマンへの愛情が増していくのと平行して、すぐに来る別れへの哀しみが抑えようもなく胸に迫りました。

「僕」が哀しいとかショックだとかいう言葉をまったく使わないことが、よけいににブラフマンの喪失を深く感じさせます。「僕」の部屋のあちこちに残ったブラフマンの歯や爪の後、毎晩一緒に眠った記憶などとともに、これから僕」がどうやって暮らしていくのかと思うと、涙が止まりませんでした。周囲の人物の余計な感情も省かれていて、彼らの行動から、その想いがときに残酷なまでに露呈しているだけ、そしてそれでちょうどいい分量なのです。

すぐに読み返す勇気はないですが、大事にしたい本です。ちなみに、ブラフマンがなんであるかは、私はまったく気になりませんでした。描写が増えるたび、水かきやひげをしぐさを勝手に想像して、きっと読者の数だけある、いとしい想像の産物になるのではないでしょうか?
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.62
(5pt)

かみしめる衝撃

「みなまでいわない」
そんなタッチが想像力を書き立てる。

この後味の悪さはいったいなんなのか

読後すぐというよりも
読後数年たっても強く印象に残っている作品です。

極めて長く、味わえる究極の作品かもしれません。
読み終わった直後は★3つとしていましたが
2年半が経過した今、5つへと変更します。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.61
(5pt)

かみしめる衝撃

「みなまでいわない」
そんなタッチが想像力を書き立てる。

この後味の悪さはいったいなんなのか

読後すぐというよりも
読後数年たっても強く印象に残っている作品です。

極めて長く、味わえる究極の作品かもしれません。
読み終わった直後は★3つとしていましたが
2年半が経過した今、5つへと変更します。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.60
(5pt)

読後、心の中を風が吹き抜け、世界は静けさに包まれる。

本作で唯一の固有名詞「ブラフマン」を付された動物(犬とリスの中間のような動物だが、その種名は最後まで明らかにされず、その特徴が詳細に記述されるだけ)と「僕」との交流を縦糸に、「創作者の家」の管理人である「僕」と「創作者の家」滞在者や雑貨屋の「娘」等との一時的または長期的なつながりを横糸にして編み上げたタペストリーのような小説。

小川洋子の作品に頻出する死のイメージ、死者を記憶すること、そしてやがてその記憶もこの世からなくなるというテーマが背後に控えており、それは作品の途中でも、古代墓地、石棺、そして誰からもかえりみられなくなったある一家の古い家族写真に象徴される。

とはいえ、決して重い作品ではなく、「僕」とブラフマンを中心に、多少の秘め事を交えつつ、日常の淡々とした生活が描かれる。どこの国の話か、「僕」の来歴といったことは一切省かれており、作品の抽象性は極めて高い。

心の中を風が吹き抜け、自分の周りの世界が静けさに包まれる読後感は著者の小説ならではのもの。1日で読める本なので、読書の秋に小川ワールドを探訪してみてはいかがでしょうか。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.59
(5pt)

読後、心の中を風が吹き抜け、世界は静けさに包まれる。

本作で唯一の固有名詞「ブラフマン」を付された動物(犬とリスの中間のような動物だが、その種名は最後まで明らかにされず、その特徴が詳細に記述されるだけ)と「僕」との交流を縦糸に、「創作者の家」の管理人である「僕」と「創作者の家」滞在者や雑貨屋の「娘」等との一時的または長期的なつながりを横糸にして編み上げたタペストリーのような小説。

小川洋子の作品に頻出する死のイメージ、死者を記憶すること、そしてやがてその記憶もこの世からなくなるというテーマが背後に控えており、それは作品の途中でも、古代墓地、石棺、そして誰からもかえりみられなくなったある一家の古い家族写真に象徴される。

とはいえ、決して重い作品ではなく、「僕」とブラフマンを中心に、多少の秘め事を交えつつ、日常の淡々とした生活が描かれる。どこの国の話か、「僕」の来歴といったことは一切省かれており、作品の抽象性は極めて高い。

心の中を風が吹き抜け、自分の周りの世界が静けさに包まれる読後感は著者の小説ならではのもの。1日で読める本なので、読書の秋に小川ワールドを探訪してみてはいかがでしょうか。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.58
(4pt)

静かな挑戦。

プロの作家がこういう挑戦をしてくれる、ってのは素晴らしいことだな。

ものすごく特徴的な作品。
これはまさしく、「小説だけのもの」。
いくらなんでもこれを漫画化しようとか映画化しようとかいう人は居ないだろう。(おそらく)
もしかすると、何でもかんでも映像化され、あらすじ化されてしまう今の風潮への、著者なりの抵抗なのかもしれない、などど感じてしまう。

僕が書きたいものにすごく近い作品。
もともと小川洋子さんは、あらすじよりも文章の美しさ、描写の繊細さを大切にする人だから、すごく僕の趣味に合うんだけど、この作品は大胆にもあらすじをばっさりと切り落としている。
ある日突然、僕のもとにブラフマンが現れ、日常をともに過ごし、ある日死んでしまう。
ただそれだけの物語。うっすらと起承転結のようなものはあるけれど、決して波乱に富んだものじゃない。
タイトルからして、「ブラフマンの埋葬」とあるとおり、はじめから最後まで、かすかな死を予感させる。
劇的な死ではなくて、穏やかな、緩やかな死の匂い。
幕切れは突然訪れるけれど、それでさえ予定調和。
号泣も狂乱もない、純粋なかなしみ。

ケータイ小説で号泣しました!という人にはおすすめできないかもしれない。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.57
(4pt)

静かな挑戦。

プロの作家がこういう挑戦をしてくれる、ってのは素晴らしいことだな。

ものすごく特徴的な作品。
これはまさしく、「小説だけのもの」。
いくらなんでもこれを漫画化しようとか映画化しようとかいう人は居ないだろう。(おそらく)
もしかすると、何でもかんでも映像化され、あらすじ化されてしまう今の風潮への、著者なりの抵抗なのかもしれない、などど感じてしまう。

僕が書きたいものにすごく近い作品。
もともと小川洋子さんは、あらすじよりも文章の美しさ、描写の繊細さを大切にする人だから、すごく僕の趣味に合うんだけど、この作品は大胆にもあらすじをばっさりと切り落としている。
ある日突然、僕のもとにブラフマンが現れ、日常をともに過ごし、ある日死んでしまう。
ただそれだけの物語。うっすらと起承転結のようなものはあるけれど、決して波乱に富んだものじゃない。
タイトルからして、「ブラフマンの埋葬」とあるとおり、はじめから最後まで、かすかな死を予感させる。
劇的な死ではなくて、穏やかな、緩やかな死の匂い。
幕切れは突然訪れるけれど、それでさえ予定調和。
号泣も狂乱もない、純粋なかなしみ。

ケータイ小説で号泣しました!という人にはおすすめできないかもしれない。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.56
(5pt)

冷ややかな肌触りこそが、この作品の魅力

『博士の愛した数式』で、妙にメジャになった感のある著者だが、そもそもこのひとはもっとマイナな、冷ややかな語り口が特徴の書き手だったはず。そしてこの作品は、そんな私の期待を裏切らない。ブラフマンは確かに愛らしい動物かも知れない。ブラフマンに対する描写にしても、愛情に溢れているようにも思う。だけどやっぱり、このひとの語り口はどこまでも淡々としている。これを凡百の作家の手で描かせたらどうか? 意図的にせよ、意図せずにせよ、まず間違いなく甘さに流されるだろう。それを考えると、この作家の凄さが判るはずだ。自然体で冷淡になる事の出来る書き手だ。私にとって、この作品が著者のベストである。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.55
(5pt)

冷ややかな肌触りこそが、この作品の魅力

『博士の愛した数式』で、妙にメジャになった感のある著者だが、そもそもこのひとはもっとマイナな、冷ややかな語り口が特徴の書き手だったはず。そしてこの作品は、そんな私の期待を裏切らない。ブラフマンは確かに愛らしい動物かも知れない。ブラフマンに対する描写にしても、愛情に溢れているようにも思う。だけどやっぱり、このひとの語り口はどこまでも淡々としている。これを凡百の作家の手で描かせたらどうか? 意図的にせよ、意図せずにせよ、まず間違いなく甘さに流されるだろう。それを考えると、この作家の凄さが判るはずだ。自然体で冷淡になる事の出来る書き手だ。私にとって、この作品が著者のベストである。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.54
(4pt)

結晶

なんて圧倒的な孤独なのだろう。

作品の随所から感じる切なさ、哀しさ。頁を進めると共に深まっていく「僕」のブラフマンへの依存。そしてタイトル。

ブラフマンは木の虚が好きだった。覗きこんだその中で何を見たのだろう。

ラストシーンで、「僕」の中には小さな孤独の決勝の様な物ができたように思います。秋の乾いた空気に濃密な悲哀が包み込まれているのに、それでも穏やかさが存在しているのは人間が思い出に縋る生き物だから?

なんて、自分勝手に感傷に浸りすぎでしょうか。でも小説を読む者はそれを勝手に解釈することが許されていますよね。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.53
(4pt)

結晶

なんて圧倒的な孤独なのだろう。

作品の随所から感じる切なさ、哀しさ。頁を進めると共に深まっていく「僕」のブラフマンへの依存。そしてタイトル。

ブラフマンは木の虚が好きだった。覗きこんだその中で何を見たのだろう。

ラストシーンで、「僕」の中には小さな孤独の決勝の様な物ができたように思います。秋の乾いた空気に濃密な悲哀が包み込まれているのに、それでも穏やかさが存在しているのは人間が思い出に縋る生き物だから?

なんて、自分勝手に感傷に浸りすぎでしょうか。でも小説を読む者はそれを勝手に解釈することが許されていますよね。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428