ブラフマンの埋葬

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評判

ブラフマンの埋葬の評価:

3.96/5点 レビュー 75件。 D ランク

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平均点3.96pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全112件 21〜40 2/6ページ
No.92
(5pt)

ブラフマン

ブラフマンをひとりにしてまで娘の頼みに応える必要があったのか。ブラフマン、それでもブラフマンは赦すのだろうか。気持ちが通じ合える中で暮らした日々こそ、ブラフマンにとって生きるということだったのか。ブラフマンの存在を知る者たちが、ブラフマンの生を享受するのであろうか。。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.91
(5pt)

ブラフマン

ブラフマンをひとりにしてまで娘の頼みに応える必要があったのか。ブラフマン、それでもブラフマンは赦すのだろうか。気持ちが通じ合える中で暮らした日々こそ、ブラフマンにとって生きるということだったのか。ブラフマンの存在を知る者たちが、ブラフマンの生を享受するのであろうか。。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.90
(4pt)

静謐な文体に心を打たれる

引き込まれるように読んでしまった。ページを手繰ること数時間、日をまたぐことなく読み終えました。その誘いは至って優雅であり、決して推理小説のように貪るように本へ向かわせるのではなく、寧ろ私をそそのかすかのように優しく誘うようでありました。

 としゃれ込んだ書き出しをしたくなるほど、本作の文章は美しく、帯に書いてある通り、静謐という形容が一番しっくりくる書きぶりでした。

 文体が綺麗といっても、感覚とは相対的であり、人によって当然違います。異性の好みで例えると(ごめんなさい)、ちゃきちゃきした子がかわいいと思う人や、お嬢様系の人をかわいいと思う人、所謂グラマラスな方がいいとか、それはもう好みの問題とおんなじで千差万別です。
 私が文章が綺麗と言うとき、真っ先に思い立つの西加奈子さんです。なんというか、個性的な美しさ、あるいは横溢する生命力のような力強さに惹かれます。一方小川洋子さんの作品もこれはもう美しいという以外の形容ができない文章でして、非常になめらかでおしとやかと言うのでしょうか。深窓の令嬢というか正統派美人というかのごとく、生まれや育ちが雰囲気から違うのを感じてしまうかのごとき美しさ。でもその雰囲気は、自然でいてかつ押しつけがましくない、寧ろ控えめといった体です。
 と、書いた後で本作の文体の美しさが伝わったかやや不安になりましたが。。。

 さて、本作の内容ですが、先ずタイトルからして予想がつきませんでした。冒頭で主人公の住処の窓を叩き、助けを求める存在。それが何らかの小動物だとわかりますが、ん?タイトル何だっけと肩に目をやりますと、ブラフマンの埋葬、とあります。ああ、何かしらの動物がブラフマンという名前で、これとの絆が構築され、そしてそれが途切れる、系の哀しい話なのかな、と当初は想定しました。
 ところが実際には手に汗を握るような展開などなく、展開はいたって淡々と進みます。そしてあっけないばかりの突然の終了。

 また、主人公以外にも数人の登場人物が出てくるものの、それらの背景や主人公との関係が騒がしく語られることもなく、その意味でも「静謐」。文脈や行間を想像しながら味わう作品であると思いました。

・・・
 実は小川氏の作品は遅ればせながら、私にとっては今回が初めてでありました。いくつかのブログで書評を拝見しておりとても気になっており購入に至ったものです。

 ドラマチックな展開や大胆な構成が取られているわけではありません。ドラマ好きやアッと驚く系が好きな人にはお勧めできかねます。文章そのものの書きぶりを味わえる方にはおすすめできます。その点ではちょっと難易度高めだと思います。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.89
(4pt)

静謐な文体に心を打たれる

引き込まれるように読んでしまった。ページを手繰ること数時間、日をまたぐことなく読み終えました。その誘いは至って優雅であり、決して推理小説のように貪るように本へ向かわせるのではなく、寧ろ私をそそのかすかのように優しく誘うようでありました。

 としゃれ込んだ書き出しをしたくなるほど、本作の文章は美しく、帯に書いてある通り、静謐という形容が一番しっくりくる書きぶりでした。

 文体が綺麗といっても、感覚とは相対的であり、人によって当然違います。異性の好みで例えると(ごめんなさい)、ちゃきちゃきした子がかわいいと思う人や、お嬢様系の人をかわいいと思う人、所謂グラマラスな方がいいとか、それはもう好みの問題とおんなじで千差万別です。
 私が文章が綺麗と言うとき、真っ先に思い立つの西加奈子さんです。なんというか、個性的な美しさ、あるいは横溢する生命力のような力強さに惹かれます。一方小川洋子さんの作品もこれはもう美しいという以外の形容ができない文章でして、非常になめらかでおしとやかと言うのでしょうか。深窓の令嬢というか正統派美人というかのごとく、生まれや育ちが雰囲気から違うのを感じてしまうかのごとき美しさ。でもその雰囲気は、自然でいてかつ押しつけがましくない、寧ろ控えめといった体です。
 と、書いた後で本作の文体の美しさが伝わったかやや不安になりましたが。。。

 さて、本作の内容ですが、先ずタイトルからして予想がつきませんでした。冒頭で主人公の住処の窓を叩き、助けを求める存在。それが何らかの小動物だとわかりますが、ん?タイトル何だっけと肩に目をやりますと、ブラフマンの埋葬、とあります。ああ、何かしらの動物がブラフマンという名前で、これとの絆が構築され、そしてそれが途切れる、系の哀しい話なのかな、と当初は想定しました。
 ところが実際には手に汗を握るような展開などなく、展開はいたって淡々と進みます。そしてあっけないばかりの突然の終了。

 また、主人公以外にも数人の登場人物が出てくるものの、それらの背景や主人公との関係が騒がしく語られることもなく、その意味でも「静謐」。文脈や行間を想像しながら味わう作品であると思いました。

・・・
 実は小川氏の作品は遅ればせながら、私にとっては今回が初めてでありました。いくつかのブログで書評を拝見しておりとても気になっており購入に至ったものです。

 ドラマチックな展開や大胆な構成が取られているわけではありません。ドラマ好きやアッと驚く系が好きな人にはお勧めできかねます。文章そのものの書きぶりを味わえる方にはおすすめできます。その点ではちょっと難易度高めだと思います。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.88
(5pt)

あなたと出会えて幸せでした

ブラフマンは犬でもないカワウソでもない、架空の動物。サザエさんのタラちゃんのような喋り方で「僕」に思いを伝えます。
淡々とした話の中に残酷な重い内容を敷いて、その暗さを越えたところに光が見えて来る、小川ワールド全開の本です。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.87
(5pt)

あなたと出会えて幸せでした

ブラフマンは犬でもないカワウソでもない、架空の動物。サザエさんのタラちゃんのような喋り方で「僕」に思いを伝えます。
淡々とした話の中に残酷な重い内容を敷いて、その暗さを越えたところに光が見えて来る、小川ワールド全開の本です。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.86
(4pt)

さすがの小川洋子さん。

多くの作品がそうであるように、静かで、優しく、残酷なお話でした。物語をより魅力的にしているのは、「ブラフマン=謎」が何の動物なのかが明かされていないところ。勝手に想像するしかないのですが、私はイタチのようなものを頭に描いて読みました。ブラフマンの表情が、本当に可愛い。大人向けファンタジーといった感じの一冊。いつかまた、読み直そうと思います。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.85
(4pt)

さすがの小川洋子さん。

多くの作品がそうであるように、静かで、優しく、残酷なお話でした。物語をより魅力的にしているのは、「ブラフマン=謎」が何の動物なのかが明かされていないところ。勝手に想像するしかないのですが、私はイタチのようなものを頭に描いて読みました。ブラフマンの表情が、本当に可愛い。大人向けファンタジーといった感じの一冊。いつかまた、読み直そうと思います。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.84
(4pt)

やはり面白かった

小川洋子の世界なんですね。堪能できました。読んでいるうちに村上春樹の語り口と錯覚しましたが、同時並行で彼の作品を読んでいたから? いずれにしてもまた他の作品を読んでみたいと思います。巨匠には違いない。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.83
(4pt)

やはり面白かった

小川洋子の世界なんですね。堪能できました。読んでいるうちに村上春樹の語り口と錯覚しましたが、同時並行で彼の作品を読んでいたから? いずれにしてもまた他の作品を読んでみたいと思います。巨匠には違いない。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.82
(4pt)

小川洋子ファンタジーが心暖まる

小川洋子さんの小説は情景描写がとても丁寧で的確です。文章にムダがなくピーンとした空気を感じます。本書は小川ファンタジーの一つです。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.81
(4pt)

小川洋子ファンタジーが心暖まる

小川洋子さんの小説は情景描写がとても丁寧で的確です。文章にムダがなくピーンとした空気を感じます。本書は小川ファンタジーの一つです。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.80
(5pt)

愛らしい小川ワールド

童話みたいで、カフカみたいで、暖かく、そして知的で隅々まで作者の気配りが届いているしっかりした文章のすばらしさ。本を読み楽しさを教えてくれる優しさに包まれた一冊です。チェコとか、中央ヨーロッパかな、と思わせる田園地帯の小さな街。太古に亡くなった人達が墓地に住んでいる雰囲気。でも、日本と違って湿気がないから、周りの死者たち(本には直接出てきませんが)の雰囲気も明るいですね。
ブラフマンって誰でしょう。私は、ハイドパークやセントラルパークにいる大きなリスたちと、カナダや北欧のビーバーを思い浮かべました。可愛いよね。ブラフマンの最後で示されるように、生と死って本当に隣り合わせ。何だか、絶対的な障壁があるのではなくて、ごく自然に行き来しているような。「僕」を見つめる写真の家族も、そんな感じですよね。8.の最初、「秋を運ぶ最初の季節風が吹いた。」からの季節の変化の描写は好きでした。「季節風が止んだあとに、素晴らしい朝が訪れるのもまた、毎年のことだった。」の後の季節描写も素晴らしいですね。この本を読む機会を得ることができて、とても幸せです。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.79
(5pt)

愛らしい小川ワールド

童話みたいで、カフカみたいで、暖かく、そして知的で隅々まで作者の気配りが届いているしっかりした文章のすばらしさ。本を読み楽しさを教えてくれる優しさに包まれた一冊です。チェコとか、中央ヨーロッパかな、と思わせる田園地帯の小さな街。太古に亡くなった人達が墓地に住んでいる雰囲気。でも、日本と違って湿気がないから、周りの死者たち(本には直接出てきませんが)の雰囲気も明るいですね。
ブラフマンって誰でしょう。私は、ハイドパークやセントラルパークにいる大きなリスたちと、カナダや北欧のビーバーを思い浮かべました。可愛いよね。ブラフマンの最後で示されるように、生と死って本当に隣り合わせ。何だか、絶対的な障壁があるのではなくて、ごく自然に行き来しているような。「僕」を見つめる写真の家族も、そんな感じですよね。8.の最初、「秋を運ぶ最初の季節風が吹いた。」からの季節の変化の描写は好きでした。「季節風が止んだあとに、素晴らしい朝が訪れるのもまた、毎年のことだった。」の後の季節描写も素晴らしいですね。この本を読む機会を得ることができて、とても幸せです。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.78
(4pt)

創造され、去って行った者は記憶に残る。

この著者の作品は好きで、何作か読んでいる。
いつものことだが、タイトルに魅了される。「ブラフマン」という、なんとも壮大な名前と、「埋葬」という印象的な言葉。
小川洋子作品には、非常に綿密に人物や生物を創造され、感情移入したそのものと別れるという事が多く見られる。
この後に著作された「猫を抱いて~」も、同様、実際に生きているかの様に存在を確定されたものが、「死」を持って別れ、形の見えない心の象形として昇華し、記憶に刻みつけられる。
この「埋葬」をタイトルにあえて入れたのは、そういう事なのだろう。
物語的には、奇抜なものは一かけも存在しない。抽象的で分かりにい部分があるが、意味を持っている。その物語を、優しい、選び抜かれた言葉によって綴られている。
しかし、最後まで読んで、強烈に訴えてくる物がある。静かな激動がある。
非常に読みやすく、短い話なので気構えせずに読んで見てもどうだろう、著者の独特な世界観に少し触れられる。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.77
(4pt)

創造され、去って行った者は記憶に残る。

この著者の作品は好きで、何作か読んでいる。
いつものことだが、タイトルに魅了される。「ブラフマン」という、なんとも壮大な名前と、「埋葬」という印象的な言葉。
小川洋子作品には、非常に綿密に人物や生物を創造され、感情移入したそのものと別れるという事が多く見られる。
この後に著作された「猫を抱いて~」も、同様、実際に生きているかの様に存在を確定されたものが、「死」を持って別れ、形の見えない心の象形として昇華し、記憶に刻みつけられる。
この「埋葬」をタイトルにあえて入れたのは、そういう事なのだろう。
物語的には、奇抜なものは一かけも存在しない。抽象的で分かりにい部分があるが、意味を持っている。その物語を、優しい、選び抜かれた言葉によって綴られている。
しかし、最後まで読んで、強烈に訴えてくる物がある。静かな激動がある。
非常に読みやすく、短い話なので気構えせずに読んで見てもどうだろう、著者の独特な世界観に少し触れられる。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.76
(4pt)

不条理小説と静謐で美しい物語を組み合わせた作者の本領発揮の秀作

カフカ「カフカ寓話集」中には"奇妙な動物"を扱った掌編が数多く収録されているが、本作はブラフマン(普通はインド密教における宇宙の根本原理の意だが、本作では単に"謎"の意)という名前の"奇妙な動物"をモチーフにして、<創作の自由>、はかなく残酷な恋物語と絡めて"生と死"の問題を追及した秀作。想像だが、上述した「カフカ寓話集」中の"奇妙な動物"を、正体不明のまま、より深く描画する事に主眼を置いているのではないか。不条理小説と静謐で美しい物語を組み合わせる作者の本領発揮の作品である。

物語の舞台の村には、古代墓地があり、その中の石棺で、ブラフマンを飼う主人公が恋する少女とその愛人が逢瀬を重ねている。この通り、実は生々しい"性"の物語でもあるのだが、読者は作者が描く泉や森林(ブラフマンがこよなく愛する対象)を初めとする村の長閑で美しい描写、石碑を彫る寡黙な彫刻師、レース編みの作家、ホルン奏者といった表象的事柄によって、"死"と密着した非常に静謐な物語を読んでいる印象を抱く事になる。作者の力量の証左であろう。

それでいて、作品全体のテーマはやはり良く分からないのである。私は作者の短編「巨人の接待」を読んで、その不条理性に瞠目したものだが、上述した通り、本作はその本領を十二分に発揮した秀作だと思う。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.75
(4pt)

不条理小説と静謐で美しい物語を組み合わせた作者の本領発揮の秀作

カフカ「カフカ寓話集」中には"奇妙な動物"を扱った掌編が数多く収録されているが、本作はブラフマン(普通はインド密教における宇宙の根本原理の意だが、本作では単に"謎"の意)という名前の"奇妙な動物"をモチーフにして、<創作の自由>、はかなく残酷な恋物語と絡めて"生と死"の問題を追及した秀作。想像だが、上述した「カフカ寓話集」中の"奇妙な動物"を、正体不明のまま、より深く描画する事に主眼を置いているのではないか。不条理小説と静謐で美しい物語を組み合わせる作者の本領発揮の作品である。

物語の舞台の村には、古代墓地があり、その中の石棺で、ブラフマンを飼う主人公が恋する少女とその愛人が逢瀬を重ねている。この通り、実は生々しい"性"の物語でもあるのだが、読者は作者が描く泉や森林(ブラフマンがこよなく愛する対象)を初めとする村の長閑で美しい描写、石碑を彫る寡黙な彫刻師、レース編みの作家、ホルン奏者といった表象的事柄によって、"死"と密着した非常に静謐な物語を読んでいる印象を抱く事になる。作者の力量の証左であろう。

それでいて、作品全体のテーマはやはり良く分からないのである。私は作者の短編「巨人の接待」を読んで、その不条理性に瞠目したものだが、上述した通り、本作はその本領を十二分に発揮した秀作だと思う。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.74
(5pt)

愛おしく愛くるしい不思議な生き物との、一夏の物語。

作家/小川 洋子 :: ネタバレ注意 :: 舞台は、つい五十年ほど前までは船で川を下ってくる以外に交通手段がなかったような、辺鄙な村。そこにひっそりと佇む施設〈創作者の家〉の管理人の「僕」と、「ブラフマン」という名前をつけられた不思議な生き物との一夏の物語。 この作品で登場する人物はみな固有名詞を持たない。「ブラフマン」に至っては姿形こそ作中で明かされるが、それが何の生き物かは謎である。 緑色の泉、オリーブ畑、スズカケの並木、季節風… 誰が何を言わなくても、淡く美しい情景を思い浮かべられる。 タイトルに「埋葬」とあるように、ブラフマンがそうなることは初めから予知出来る。そしてその時が来た時「僕」は悲しいという表現や涙を流す描写などないが、様々な場面でブラフマンへの愛情を確かめることが出来る。誰も悲しいとは言っていないのに、どうしてこんなに涙が流れ悲しく切ない気持ちにはるのだろう。それは「僕」が「ブラフマン」のことを本当に愛してることをはっきりと認識出来るからだと思う。「ブラフマン」がいたずらしても「僕」は一度も怒らない懐の大きな男。「ブラフマン」もきっと彼を愛していただろう。 ブラフマンはサンスクリット語で謎という意味。〈創作者の家〉は南仏のFuveauという小さな町がモデルになっている。小川洋子さんが旅行に訪れインスピレーションを受けたという。私もそこに訪れ美しい風景に囲まれながら「ブラフマンの埋葬」を読むのが夢だ。この本に出会えて本当に良かった。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.73
(5pt)

愛おしく愛くるしい不思議な生き物との、一夏の物語。

作家/小川 洋子 :: ネタバレ注意 :: 舞台は、つい五十年ほど前までは船で川を下ってくる以外に交通手段がなかったような、辺鄙な村。そこにひっそりと佇む施設〈創作者の家〉の管理人の「僕」と、「ブラフマン」という名前をつけられた不思議な生き物との一夏の物語。 この作品で登場する人物はみな固有名詞を持たない。「ブラフマン」に至っては姿形こそ作中で明かされるが、それが何の生き物かは謎である。 緑色の泉、オリーブ畑、スズカケの並木、季節風… 誰が何を言わなくても、淡く美しい情景を思い浮かべられる。 タイトルに「埋葬」とあるように、ブラフマンがそうなることは初めから予知出来る。そしてその時が来た時「僕」は悲しいという表現や涙を流す描写などないが、様々な場面でブラフマンへの愛情を確かめることが出来る。誰も悲しいとは言っていないのに、どうしてこんなに涙が流れ悲しく切ない気持ちにはるのだろう。それは「僕」が「ブラフマン」のことを本当に愛してることをはっきりと認識出来るからだと思う。「ブラフマン」がいたずらしても「僕」は一度も怒らない懐の大きな男。「ブラフマン」もきっと彼を愛していただろう。 ブラフマンはサンスクリット語で謎という意味。〈創作者の家〉は南仏のFuveauという小さな町がモデルになっている。小川洋子さんが旅行に訪れインスピレーションを受けたという。私もそこに訪れ美しい風景に囲まれながら「ブラフマンの埋葬」を読むのが夢だ。この本に出会えて本当に良かった。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428