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犬の張り子をもつ怪物



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【この小説が収録されている参考書籍】
犬の張り子をもつ怪物 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

犬の張り子をもつ怪物の評価: 2.67/5点 レビュー 6件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点2.67pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)
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奇想天外な設定を用意した上で社会正義を追求するという作者の意匠は分かるものの、途中から映画「キャリー」を想わせ、いっそホラー風味に徹した方が良かったのでは

突拍子もない設定の法廷サスペンス。まず、小学校で惨殺事件が起きる。犯人の少女アリアは直ぐに捕まるのだが、問題は凶器である。(夏木という刑事を除いては)眼には見えない"思念物体の犬の張り子"という破天荒なモノ。果たしてこの奇想天外な凶器を使ったアリアを有罪に出来るのか、アリアの正体は何かを問うた作品である。

まず、アリアが20歳の大学生である事と、アリアと同行する少女は襲われた小学校の6年2組の結依だと判明するが、アリアは結依を「昔の私」と呼ぶ。更に、アリアは犯行を復讐と言う。小学校時代の"いじめ"等に対する復讐劇という事だろうか ? その通り、アリアは復讐は自身の死刑によって完遂すると弁護士に伝える。警察の調べで、アリアの父親(を割り出すのも至難だった)が殺人犯として死刑となったが、それもアリアの仕業だった事が分かる。即ち、父親は冤罪で、アリアの復讐対象は"いじめ"相手だけではなく、警察・検察・司法・("いじめ"を放置した)学校を含む社会全体だという事が浮かび上がる。"思念物体の犬の張り子"を認める事になるので全くの異例(非現実的)だが、検事はアリアを起訴して、死刑求刑する事に決める。これこそアリアが望んだ事だが。続いての法定シーンは"見えない"モノの証拠能力を争う不毛なものに決まっている。更に、"犬の張り子"が犬神神社で伝承される怨霊とあっては、一転、ホラー風味が強くて意匠が揺らぐ。その犬神神社の"狼の張り子"のオミヤゲを持っている者だけ見えるという設定にも落胆する。

結局、アリアの復讐計画は成功し、望み通り"死刑"となるが今一つの感が否めない。奇想天外な設定を用意した上で社会正義を追求するという作者の意匠は分かるものの、読み進むに連れ詰まらなくなる竜頭蛇尾の展開は如何なものか。途中から映画「キャリー」を想わせ、これならいっそ、ホラー風味に徹した方が良かったのではないか。
犬の張り子をもつ怪物 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)Amazon書評・レビュー:犬の張り子をもつ怪物 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)より
4299007182

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