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(短編集)
江戸川乱歩傑作選 蟲
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江戸川乱歩傑作選 蟲の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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. 乱歩の傑作選のタイトルに、「蟲」を持ってくる辺りに、選者のセンスを感じます。 よくよく乱歩の隠微な世界を読み込んでいないと、まずこの「蟲」は選びません。 それも やはり、「虫」ではなく、「蟲」 の文字が重要なんですね。 この、「蟲」が、まあなんと、百個も続けられると、紙面はもう、視覚的に・・・。 乱歩フィクションの迫力が100%フルパワーで爆発しています。 おススメです! | ||||
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乱歩の短編を編者(本作では辻村深月氏)の好みによってアンソロジー化するという企画の一つ。本アンソロジーでは表題作の他、「白昼夢」、「鏡地獄」、「芋虫」、「人でなしの恋」、「押絵と旅する男」、「防空壕」、「目羅博士の不思議な犯罪」及び「盲獣」の全9つの短編を収録している(この他、<残虐が持つ美>、<レンズ>、<望遠鏡>、<幻灯機>、<万華鏡>、<花の妖美>等について書いた3つの随筆を収録しており、本アンソロジーを読む上でも興味深い)。 私は小学生の時に乱歩の「少年探偵団シリーズ」を耽読してミステリの世界に入ったのだが、そうしたミステリ・ファンは多いと思う。当然、そうしたミステリ・ファンにとっては乱歩の作品は殆ど既読と思われる(私は短編名を見ただけで懐かしかった)ので、本企画は編者のセンスを問うたものである(乱歩初心者にとっては別の意味があると思うが)。その意味において、本アンソロジーは編者のセンスが光っている。乱歩は、自身のペンネームの由来となったポーの"論理"小説を愛していた(デビュー作「二銭銅貨」を含む初期の短編群にそれが表れている)一方、同時に猟奇・怪奇趣味も持ち合わせていた。しかし、それらの中から短編を選ぶのでは曲がない。その点、本アンソロジーはイイ所を突いている。文字通り<perspective>という視座を基軸として、読者の想像力を掻き立てて恐怖感・陶酔感を与えるというファンタジー・幻想小説と猟奇・怪奇小説との間のギリギリの線上にある短編を選んでいる点に感心した(勿論、短編毎に両者のバランスは異なるが)。 <perspective>・幻想小説という視座では、何と言っても「押絵と旅する男」が最高傑作だと思うが、一見猟奇趣味に偏っていると思われている代表作「芋虫」(実は物哀しい)もジックリ読むと<perspective>も巧みに利用している事が分かる。<perspective>そのものの「鏡地獄」を筆頭に、「人でなしの恋」と良く似たモチーフ(作品構造は全く異なるが)の表題作も含め、全編、<perspective>趣味が横溢している。また、編者のセンスもさる事ながら、数十年の時を経ても再読に耐える乱歩の力量には改めて感心させられた。 | ||||
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