夜はおしまい
評判
夜はおしまいの評価:
2.67/5点 レビュー 9件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1〜5 1/1ページ
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夜はおしまいの評価:
2.67/5点 レビュー 9件。 D ランク
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しかもそのためか、つい最近に単行本が出るまで、5年間も本となることはなかった。
もっとも、『星のように離れて雨のように散った』のインタビューでも話していたように、ここ最近、島本理生はエンタメ誌に純文学時代の作品をアップデートしたような作品も書くようになってきている。この先はエンタメ・純文学というくくりを考えずに書くようになるのかもしれないし、だからこそ、『夜はおしまい』もようやく単行本化されたのかも…と思った。
本作は島本理生作品の中でもかなり賛否両論っぽいけれど、個人的にはたまらない一作でした。
かなりエグい内容を、島本理生のあのリリカルかつ鮮烈な文章で、表面から内面までじっくり描写してくるので、胸糞な気分になる人がいるのはわかる。しかし、純文学としてはたまらないと言わざるを得ない。あまりにもリアリティがありすぎるので、「体験談なのでは」と思ってしまうレベル。
ストーリーとしては、やはり気になるのはキリスト教についてだろう。
『アンダスタンド・メイビー』を書くためにキリスト教を学んだらしいが、響くものがあったのか、その後も島本理生作品には高い頻度でキリスト教の話が出てくる。
元々、島本理生作品は、損なわれた(傷を負った)女性の心の快復や、その救済を描いている印象があり、初期作では、その救済の過程に主に「男(恋愛)」を用いていた。しかし、その展開に限界を感じたのか、『ファーストラヴ』での「臨床心理学」や、本作その他の作品における「キリスト教」のように、男(恋愛)以外の存在を救済のきっかけに用いることが増えたように思う。
特に『イノセント』は、キリスト教による救済の物語と言ってもいい。しかし本作は、その裏版という印象を受けた。
つまり、本作でもキリスト教による救済が描かれるのだが、イノセントのように救済されきってはいない。彼女たちの「夜」はまだ明けておらず、朝は来ていないのだ。でも、やがて明けるはず。だからこそ、『夜 は お し ま い』というタイトルがつけられたのだろう。
それは、女性である作者が(ある種女性差別的な要素を含む)キリスト教を学んだことで、やはり一つの疑問を抱いてしまったからだと思う。
既に「罪」を負っている女性はどうすればいいのか?
彼女たちのように(周りからおかしい、救いようがないと言われるような)、苦しい・いけないとわかっていても、自ら自分の身体に「罰(=罪)」を負わせずにはいられないような人はどうすればいいのか?
つまり、はじめから「損なわれて」生まれてしまった人はどうすればいいのか、どうすれば救済され得るのか、という命題である。
「私たちはどんなに精神的に自立しても受動的な身体からは逃れられない。そしてそれはやっぱり時間を重ねて精神面にも影響するのだ」
「本当なら、ユダやペテロみたいな人間こそ救われないといけないんだと思う。だってあの二人は誰よりも人間っぽい」という2つの文章が、本作のテーマをもっとも直球に述べているのではないだろうか。