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サリエルの命題
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サリエルの命題の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.04pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全21件 1~20 1/2ページ
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笠井はウイルス研究者である。アメリカのCDCでインフルエンザウイルスの研究をしている。遺伝子操作による新型インフルエンザウイルスの予防研究である。しかし、日本の科学界の重鎮がその研究がテロに使われる危険があると言い、中止されることになった。その結果、笠井はCDCをクビになった。 そして、日本や中国の少子高齢化の問題が語られる。本当に深刻で、このままでは日本の社会保障制度は持続できず、日本の財政は崩壊してしまう。 話は笠井に戻る。彼がCDCを去る準備をしていると、サリエルの研究データが流出したという知らせがあった。サリエルとは、笠井が行っていた研究である。しかも、そのデータは世界中のウイルス研究者が情報交換をするサイトに公開されていたという。 その情報を手に入れたのが、野原という日本のウイルス学者である。東大理学部を卒業した優秀な人物だったが、運やコネに恵まれず、助教のままキャリアを終えた。 そして野原はアメリカのある人物にそのデータを送って実際に会いに行った。その人物は、前立腺がんを患っていた。その結果起きたのは……。 こうなれば、この後の展開はだいたい予想がつく。すごいと思うのは、この小説が発行されたのが2019年6月だということである。まさに、予言の書といえるだろう。 著者の問題意識は、人間が長生きしすぎるようになったというところにある。解決策としては、例えば日本なら、高齢者の年齢が上がるにつれて医療費の自己負担額を上げるという考えがあるようだ。長生きしたければカネを出せ、ということだ。こんな考えが実現するとは思えないが、現状を変えなければならないのは明らかだ。それも、抜本的な改革が必要だろう。いろいろ考えさせられた。 | ||||
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コロナ 流行の前に書かれた作品とは思えない発想 豊かな臨場感のある作品でした コロナの流行の前に 著作 されたとは思えない 臨場感あふれる想像力で著作されており楽しく読ませていただきました | ||||
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楡周平が、ウイルスとパンデミックについて、どんな洞察をするかと思って読んだ。いくつかの可能性を述べている。それにしても、2019年6月に出版されたというのが驚きである。コロナ禍に入る前に、ウイルスとパンデミックについての物語を生み出している。すごい才能だ。 ウイルスの変異はなぜ起こるのか?その研究の最中に、遺伝子組み換えで凶暴なウイルスを生み出した。生物兵器としても、ウイルス研究は繋がっていく。日本海に浮かぶ孤島でサリエルという名前がついたウイルスが発生し、瞬く間に島民全員が死亡した。島民は高齢者ばかりだった。最初に罹ったのは、ウイルス研究の日本の第一人者の八重樫だった。アメリカから送られてきた郵便物に、ウイルスが梱包されており、それを開けたことで発症する。そして、島民に急速に伝染する。台風が来ていたので、密閉状態だった。島民全員が死んだというのがニュースになる。このウイルスは、細胞を壊死させる破壊力も持っていた。鳥から人に伝染することも推定された。 サリエルに対応する治療薬とワクチンがわずかしかない。ここで問題となるのは、量が限られているので、治療する優先順位が、問題となる。沈没する船は、女、子供を優先的に救命ボートに乗せる。つまり、老人は後回しだ。日本の超高齢化を是正するには、コロナ感染が最適でもある。政府や与党の国会議員の中で、優先順位を検討するというと長老の国会議員のドンが反発する。年寄りに死ねというのかと怒る。若手議員たちが、積極的に動く。 日本の保険制度について、国の負担が多く、税金を投入しないと保険制度が維持できない。問題は少子化ではなくて、日本では医療や保険制度が発達して、長生きする人が増え、平均寿命も伸びているのだ。それが医療制度を破壊するという。アメリカでは、金のある人しか医療を受けられないので、格差が広がり、2021年で、76.1歳。平均寿命が2年ほど低下している。アメリカらしい。 まぁ。健康保険制度が平均寿命の短かったときに成立したので、長寿化することが想定されていなかった。その歪みをどうするか?楡周平は、『プラチナタウン』のように老人問題が一つのライフワークのようだ。孤島でのサリエルによる島民全滅に続いて、東北のリタイアーした夫婦が、サリエルにかかる。自給自足に近い生活をしていた。鶏も飼っていた。その鶏が、サリエルにかかり、夫婦もそれで死ぬ。政府は迅速にその村を封じ込め、サリエルに対抗する治療薬を飲ませることで、サリエルの感染を防ぐ。物語では、政府は手際よく対処する。 政府の首相たちは、治療薬を使用しないと明言していたのだが、ワクチンを接種して、副作用のギランバレー症候群に罹るのだった。ふーむ。政治家も自分のことしか考えていなかった。楡周平らしい締めくくり。確かに、コロナウイルスとの共存時代に入ったが、コロナウイルスは変異し続けて生き残り、いつ猛威をするかもしれない。インフルエンザで死ぬ人をいるから、ウイルスの死亡率という視点だけで論じられない。色々、考えさせられる本だった。やはり、平等ってあり得ないのだ。日本の保険制度がいいので、「日本に行こう」と保険制度の悪い国からやってくるという話は、実際聞いたことがある。格差社会はさまざまな面で矛盾を孕む。 | ||||
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正に今読むに相応しい作品だった。人工的に作り出した新型インフルエンザウイルス。元上司である医学学術会のトップに復讐するためにウイルスを郵送する。短期間に死亡すると同時に他の地域でも感染が発覚。賢明な隔離政策のおかげで被害を最小限に抑えることができた。問題はウイルスの治療薬が30万人分しかなく。ワクチンも1000万人しかない。誰を優先に治療を始めるか。政府、厚労省はじめ大論争となる。ウイルス名サリエルはこうした日本の医療制度、健康保険制度の矛盾を鋭く突き人命の優先順位とは何かを問う読み応えある作品だった。まさに今の新型コロナウイルスを廻る問題と一致する。幸いコロナワクチンは高齢者から優先接種でよかったのか。一般文学通算2670作品目の感想。2022/07/29 17:20 | ||||
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投稿者自身、後期高齢者ですが今回の新型コロナについては愚妻と冗談交じりに「このコロナは平成の姥捨て山考的視点でとらえないと医療も行き詰まるネ。」と常々話していました。この小説でも同じように政治家の本音が描かれていてフ、フ、フ、と思いました。この作者も多くの医療関係者からアドバイスを受けていたと思いますが、m-RNA医薬情報まではキャッチしていなかったのですね・・・。 先見的にm-RNA医薬を小説の一部にでも取り入れていた作品はあるのでしょうかネ? | ||||
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プラチナタウンを始め,楡周平さんの作品には社会問題を見通す広い視野を感じます。 | ||||
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著者は、もちろんこの作品を著作しているときは、コロナのことは予想だ西中つたと思うが、サリエルより恐怖のインフルエンザウイルスが世界中に広まるとは、大体現実と同じような政府の対応だが、コロナ菌のほうが恐ろしい。世の中は、今だ感染まっただ中。 | ||||
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現在のコロナの状況を鑑みるに非常に考えされられる❕ | ||||
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新型コロナウイルスでの米中の対立、東京五輪中止を懸念、なんかこの本を読むと・・・、是非今読んでください。 | ||||
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先月からずっと購入したかったのですが、Amazonでは不要不急の書籍の入荷の見込みがなかったため、仕方なく地場の本屋で購入。 他の方のレビューを読んだ時から期待していましたが、期待以上の作品でした。 今回のコロナパンデミックを予言した作品だというのが第一印象ですが、それだけにとどまるようなレベルではありません。 おそらく作者は、パンデミックという小説的題材を通して、いまの日本が抱えている問題を訴えたかったのだと思います。 まず、パンデミックについては、この数ヶ月私たちが直面したことを、見ていたかのように描写されています。 この作品が文芸誌で連載されていたのは単行本の出版よりさらに早い2017年だったことを考えると、作者の慧眼に脱帽するしかありません。 作品内でのパンデミックが2019年の暮れ近いことは偶然でしょうが、驚くほかありません。 作品での新型インフルエンザウイルス「サリエル」は、コロナなど比べるべくもない致死率の高いウイルスで、もし新型コロナの致死率がサリエル並みだったら、今こんなにのんきにしていられないと愕然とさせられます。 ただ、この作者の凄いところは、単なるパンデミックのパニック小説に終わるのではなく、それを契機に露になる日本の国民皆保険制度が内包する問題点、膨れ上がる一方の国民医療費(現在約42兆円)、そして高齢者の医療費がそのうちの6割を占めているという事実、つまり日本の長寿高齢化社会がこの先どのような展開になるのか等々、おそらく作者が今の日本に対して憂慮している大きな課題を、読者に突き付けているのです。 もう間もなく高齢者になっていかざるを得ない私にとっても、身につまされる作品でした。 その他、このような国難の際の政治、マスコミ、国民の身勝手な言動に対して警鐘を鳴らしつつ、最終的には避けることのできない国家的な課題に対する政治家、官僚、マスコミ、国民に向けてのメッセージの数々。 今、コロナで様々な大騒ぎが繰り広げられていますが、この作品には、そうした問題の本質を回答を導き出すヒントが満載されています。 一人でも多くの方に読んでほしい、今一番お勧めの一冊だと思います。 レビューが少なすぎると思うぐらいお勧めの作品です。 | ||||
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新型コロナ担当大臣を先頭に政府の関係者は早くこの本を読むべきでしたね。 東京都知事と大阪府知事は早くに読んだ気がします!総理は回りの薦めがあったのに読んでないでしよう。残念! | ||||
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楡周平さんの作品はどれも現代社会の抱える問題に切り込んでいて、しかもその内容はテレビでは問題にすることすらタブーになっているようなことが多いので大変読み応えがあります。 なかでも本作は、いま世界中で猛威を振るっている感染症と、その周辺の思惑や陰謀を扱っています。どの問題も、まさにいま、この瞬間の問題そのもの。予見されていたかのようです。 長い作品ですが、一気に読んでしまいました。 硬質でありながら読みやすい文体と、どんどんストーリーが進むテンポで、長さを感じません。 世界はとても複雑で、ウイルスの問題はウィルスだけに留まることはない。 作家というのは構造そのものを物語化して見えるようにする能力を持っているのだと思います。 自宅にいるこの時期、本作を読んでその先見性に震えてください。 | ||||
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2020年2月、新型肺炎で中国がパニックになり、日本も大変なことになりつつある、という状況で読みました。 現実の姿と、小説のなかの姿がダブって、切実でしたし、おもしろかったです。 ただし、本当におもしろいのは、出だしから8割くらいまででしょうか。 クライマックスからラストに至るまでの2割くらいは、これがハリウッド映画ならパニックが全面的に広がって阿鼻叫喚の地獄絵図になるところでしょうが、本書では、残念ながら日本の健康保険の抱える問題点をひたすら説明するのにページが費やされてしまいました。 それが著者の訴えたかったテーマではあるのでしょうが、物語としては失速した感じでした。 | ||||
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日本の課題をテーマに次々と小説というカタチで提言しているように感じる作家楡周平さんの新作を読了 | ||||
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長文を一気に読んでしまいそうになるほど、ひかれる内容でした。 | ||||
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楡周平先生は、今の時代の問題点をするどく小説にしています。 好きな作家のひとりです。 | ||||
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国民医療費の増大に関する将来の健康保険制度の破綻と、治療薬を投与する優先順位について、多くのことを考えさせられた。 長寿が必ずしも幸せとは限らず、生態系を考えると害悪となる。 健康保険制度というあまりにいも恵まれすぎたシステムを当然のように使ってきた結果、病を克服することとは裏腹に、様々な問題が出てくることはあまり考えていなかったので勉強になった。序盤に出てきた「そうだ、日本に行こう」の話は冗談では片付けられない内容だった。 最終的な治療薬とワクチンの落とし所は納得できるものだったし、主要閣僚の間に起こった事件もさもありなんと思った。 ただ、どうやってウイルス感染の拡大を阻止するのか、治療薬の備蓄量に限りがある中どう対象者を選ぶのか。中盤から終盤にかけては、繰り返しこの議論に終始していて、正直くどく感じられた。 また、世の中の不条理に嘆き、人間の本性を明らかにするために鉄槌を下した野原とレイノルズのその後がほとんど描かれずにやりっぱなしだったのが残念だった。ワクチンを作るのに貢献したり、日本とアメリカの政府に声明を出すといった展開もあればもっとおもしろいと思った。 | ||||
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超高齢化社会である世界に類を見ない日本の現状についての問題提起をされており、一考する内容。 医療制度、健康保険制度、社会保証制度などこれからの日本について真面目に議論すべきだと感じた。 | ||||
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病原微生物が好きなので説明書きに惹かれて読んでみると、登場人物の人間臭さと 今ある制度や政治の問題点などが巧妙に絡められて書かれている。 後期高齢者医療制度のせいで少ない年金生活なのに年間約10万円払えと言われた両親が 保険料払えないのでやめようかと悩んでいるが、「長生きせず早く死ね」と言わんばかり の制度でも、自分を含め現役世代の事を考えるとそれもやむなしに思える。 口に出すとありとあらゆる手で叩かれることをこの本はズバズバ切り込んでくれていて なかなか読みごたえがあると思った。 | ||||
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タイムリーな話題と、ある種のタブーに踏み込んだ作品。 身につまされた。 | ||||
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