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出身成分
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出身成分の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.05pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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出身成分のことがよくわかる。それに尽きる。この中佐がやってることがなかなか無理筋ではないか?こんなに大がかりに保安員をだますだろうか。そして捜査の結果は本当に正しい? | ||||
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[公立図書館より借用] 北朝鮮の身分制度「成分」が、核心階層・動揺階層・敵対階層の3つに大別されていることは知っていたが、著者の名を知らなかったので、書名から脱北官憲の手記をベースにしたノンフィクションと勘違いして読み始めた。 ほどなく、特に朝鮮事情に詳しいとも思われない日本の流行小説家が書いたサスペンス小説とわかったが、私には本書に描かれている北朝鮮農村部の庶民や下級官吏の日常がどこまで正しいのか、見当がつかない。 とはいえ、これまで読んだ何人かの脱北者手記の内容に照らして、そう懸け離れていることもなさそうに思える。 おそらく、脱北者または北朝鮮事情に詳しい韓国人にでも原稿を下読してもらったのだろう。 未だに北朝鮮が国民相互監視社会の「収容所半島」であることは、嘗ての東独、スターリン時代のソ連、文革時代の中共から容易に想像がつく。文明人には1日とて暮らせない社会だろう。 帰国事業時代に喧伝されていた「地上の楽園」が嘘八百であったことは最早常識だが、それでも下には下があるもので、三つ巴・四つ巴の内戦が続いて事実上、無政府状態になり、大量の流民を発生させている中東や中南米からみれば、幾らかマシと言えるかもしれない。 話を戻せば、一種の刑事ものサスペンスとしては最後の大逆転の少し前までは興味深く読ませて貰えたが、エンディングはかなり不自然でしらけてしまった。 特に朝鮮情勢に詳しいわけでもない著者が、北朝鮮を題材にする必然性があったとは思えなかった。 本書が読み捨てレベルのB級小説に過ぎなかったか、それとも案外、実際にあった(あるいはあり得た)話を下敷きにしていて社会小説としても価値があったのかは、数年後あるいは十数年後に北朝鮮政府が崩壊し、「成分」という共産党(朝鮮労働党)独裁を前提とする身分制度がなくなり、収容所が解放され、ソ連崩壊後のように国家機密が暴露されたときに明らかになるだろう。 | ||||
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作品のタイトルにもなっている「出身成分」とは、住民登録上人民を区別する「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」の3つの階層のこと。「親の不始末子の始末」という言葉が幾度となく語られるように、父親が不始末をしでかすと、その子、孫にまでも階層の不利益が及ぶという。 平壌に住めるのは「核心階層」のみだから、この事件が起こった場所はそれ以外の階層の者たちが住む下層の村。同じ集落の隣人による密告、相互監視、村八分、父親からの性虐待・・・重苦しい雰囲気のまま話が進む。 自国への疑問を訴える主人公と、日本も南朝鮮も同じようなものだと言い切る人民保安局の幹部とのやり取りは息がつけない。 普通のミステリーのように、事件の真相を知ることがこの作品の肝ではない。 二転三転する事件の様相のなかで、主人公はこの希望なき国で生きることの意味、人権、人としての尊厳について悩み、考え続ける。この国に、たまたま生まれついたがために自由を奪われ、尊厳さえ失い生きることを強いられる人々の姿。 「貴方が北朝鮮に生まれていたら、この物語は貴方の人生である」という帯の言葉が重く響く。 これまで、国家という枠組みとしてしか思いを及ぼせなかったこの国の一人一人の国民の姿が思い描けるようになるいいきっかけとなる作品でした。 | ||||
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