怪談徒然草
評判
怪談徒然草の評価:
4.02/5点 レビュー 53件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全79件 41〜60 3/4ページ
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怪談徒然草の評価:
4.02/5点 レビュー 53件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
「あの橋を渡って」では旅先での月の夜、著者にしか見えない幻想的な美しい山に死出の誘いをうける体験。幻惑から逃れようとすると、怪しい霧が湧き出て、跡を追ってくるのが恐ろしい…現実にその山は沢山の行方不明者を出していた…。
「震災記念堂」は、著者が忌避するのにも拘わらず、どうしても其処に縁を持たされてしまう場所であり…。執念深く絡み付いて来るものは、果たして個なのか集団なのか。奇縁というには気味の悪い話。
「古墳の霊」は、念に於いて古墳の中に侵入した著者に対して、陵墓を守護する朱面の防人が登場して攻撃を仕掛けて来るが、力が薄れてしまっていて無力になってしまっている事に、「あぁ、私を防ぐ力も無いのか」と慨嘆するのが面白い。古墳時代からの歳月か、徐々に崩壊していく陵墓の結界の効力が薄れたのが理由なのかはわからないが、なかなか霊相手には抱かない感想ではないだろうか。
「絶世の美女の正体」は、女性ですら見惚れる程の美女は、交際相手が全て死亡する因縁を背負っており、祈?師が見るところ、お稲荷さんの嫁になる運命であるという。翌日著者がそのお稲荷さんを訪れ、不思議な猫に導かれて御神体の磐座に行き着くのであるが、著者が何の因果か、夫婦になる両者に旅先で偶然引き合わされるのが不思議である。
とまあ、此処迄は著者の体験したり、見聞きした怪異である。他にも沢山の、充分に特異な経験で埋め尽くされてるが(水脈を変えたが為に3ヶ月で氏子と神主が全滅し、神社が荒廃していく話なども、描写と解説が秀逸)、掉尾を飾る「三角屋敷を巡る話 完全封印版」は、生命に関わる非常に危険な、そして異常な体験である。
都内に確かに存在する、明確な呪術的意志と目的を以て建設された三角形の建物。其処に著者の友人が住んでいた事から因縁をもってしまうのだが、段々と調べるにつれ、其処は邪悪な結界を形成し、何かを実験する施設である事が解って来る。その実験対象はその中に住む住人だった…。余りにも不吉な符号を繋ぎあわせていくと、それは伝説的な道教系の呪詛蠱毒『金蚕蠱』ではないかと著者は推測するが…相手も相当な術者で、此方に執拗な警告を仕掛けて来る。結局は何とか魔手を逃れる事は出来たが、今に到るまで危険な追跡を受けているという。
全編流石、と思わせる優れた文章表現である。各話、各場面に於いて様々に見舞われる怪異や、夢の中の光景、顕在化した霊体や見えざる物の怪の感覚的表現など、圧倒的大多数の、世の中の「見えざる」側にいる読者にさえも十分に怪異のヴィジョンを体感させてくれる。更に圧巻なのは、著者の風水や呪術や上古の神々への造詣の深さである。この知識こそが、著者を怪異に誘い、怪異の深淵に引き摺りこまれない様に身を守ってきた力なのではないだろうか。
昨今、実話怪談ブームと呼ばれている中で圧倒的に多いのは、素人による体験談の体裁を取る物であるが、「語り」の妙味を味わえるものは極く僅かである様に思う。本書の「三角屋敷」の様に、著者が生命の危険ぎりぎりの体験でありながら、我々読者に筋道立って明瞭に経緯を再構築させる辺りは、賞賛すべき筆致(この場合は覚悟や胆力か?)である。それに生な臨場感を添えるのが、いつも相手の言いなりで収まらない、著者の鼻っ柱の強さで、本人はお行儀が悪いと反省している様だが、不条理な霊体には断固とした対決姿勢を毅然としてとる、小気味の良い江戸っ子ぶりには好感を覚える。 著者には気楽に言うんじゃないよ、と嫌がられるだろうが、是非とも生命に関わらない時期に到ったら、三角屋敷について、語られなかった詳細、そしてその結末を上梓して頂きたいと思うものである。
追記:上記の文章は三度編集している。最初は『レビュー内容をプレビューする』をクリックした途端文字化けし、その上、元の決定稿を消去されてしまった。幸い推敲段階のバックアップがあったので大きなダメージには至らなかったが、二度目もやはり文字化けした。そこで三度目はクリックする前に周囲を除霊してから行ったら、どうやらうまくいったようである。長くAmazonに実話怪談の書評を投稿してきたが、こんなことは初めてである…やはり不吉な内容を含んでいるのか…。