鳥辺野にて
評判
鳥辺野にての評価:
3.67/5点 レビュー 3件。 - ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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鳥辺野にての評価:
3.67/5点 レビュー 3件。 - ランク
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で、二冊読んでみて、収録短篇で気に入った作品が多かったのは、こちら『鳥辺野(とりべの)にて』のほう。『美しい家』では「金ラベルにて」という最上級の名品を除いて、これといった短篇がなかった。それに比べて本書には、妖しの屏風を描いた奇譚「墨円」(おそらく、“すみえん”と読みます)を筆頭に、「菊屋橋」「赤い木馬」の三つの印象的な短篇が収められていた。なので、「『美しい家』と『鳥辺野にて』、どっちが面白かった?」と問われれば、私はさっとこちらに手を伸ばすでしょう。
語り手の“僕”の手を引き、大正時代の浅草の遊園地へといざなう“おテル”と名乗る少女。幻想と怪奇の雰囲気を帯びた舞台の中、月の光に照らされたひとりの少女の姿が瞼に残る「赤い木馬」。
時は江戸の世、橋占(はしうら)という占いをめぐって、三人、いや四人かな?の小町娘たちの運命の変転を描いた「菊屋橋」。
幕府が瓦解した明治維新後の怪奇譚。屏風に描かれた“迦陵頻伽(かりょうびんが)”という不思議の鳥、その鳥の顔を覆い隠す墨の円。なぜ、屏風の迦陵頻伽の顔は、黒々とした墨で塗りつぶされているのか? その謎が明かされていくに連れて、怖さがじわじわと広がっていく「墨円」。
以上三つの短篇が面白く、著者の語りの上手さを堪能させられました。とりわけ、『妖女 (光文社文庫)』が初出の短篇「墨円」は、岡本綺堂の連作怪談の傑作“青蛙堂鬼談(せいあどうきだん)”(『影を踏まれた女 新装版 怪談コレクション (光文社文庫)』所収)中の諸作品に比肩し得る出来映え。ぞくりと肌が泡立つ怖さは出色で、深く魅了されました。