高層の死角
評判
高層の死角の評価:
3.88/5点 レビュー 24件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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高層の死角の評価:
3.88/5点 レビュー 24件。 C ランク
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1967年に青樹社の那須英三編集長に認められ「大都会」を出版するものの、全く売れませんでした。那須編集長は、青樹社社長を「この人は、必ず売れるから」と口説き「幻の墓」「銀の虚城」「分水嶺」と出版しますがサッパリでした。
「銀の虚城」に至っては、那須編集長が「他の出版社からも出して、顔を広めた方が良い」と言われ、紹介された出版社へ持って行くと「全く小説になっていない」と酷評される始末でした。
そんな時、那須氏が「推理小説みたいなのを書いたらどうか」とアドバイスされて、書いたのが本作品です。それが見事に乱歩賞を受賞しました。那須編集長が森村氏の才能を発見した慧眼が認められたことになりました。勿論、那須編集長も大喜びしたことと思います。
惜しいのは、その記念すべき出版が青樹社からでは無かったことです。本作以前那須編集長と二人三脚で執筆に取り組んできただけに、青樹社からの出版で乱歩賞を受賞してもらいたかったと思うのは、私の様な凡人だけでしょうか。
本論は、高級ホテルで起きた密室殺人事件と、福岡博多で起きた若い女性の変死事件の二つを絡めています。最初の事件は、日本ホテル業界老舗のパレスサイドホテルの社長、久住正之助が自社のホテルの最上階のコネクティングルームで二重の密室という状況で死体となって発見されます。第二の事件は福岡博多のホテルで久住の美人秘書で参考人でもある有坂冬子が変死体となって発見されるのです。状況から毒殺と判断されますが何かを秘しての死だったのです。
この捜査に当たるのが捜査一課の平賀高明なのですが、事件発生以前に有坂冬子と関係があり、どういう関係かは控えますが、平賀はこの二つの事件解明に向けて、とりわけ執念を燃やします。
捜査は、専ら密室の謎と犯人のアリバイ崩しの展開になります。一遍の小説で密室破りとアリバイ崩しの二つをテーマにしています。密室トリックは意外に簡単に解明されます。あまりにも簡単なので現在では通用するものではありませんが、当時一般の人がこの様な高級ホテルに滞在する事が稀有の時代であって、多くの人が頷いてしまったのかもしれません。
変死事件の容疑者のアリバイ崩しは、実に念を入れています。変死した冬子の心情が無ければ、密室にならなかったであろう点は否めません。このアリバイ崩しは時刻表との戦いで、さながら「点と線」を彷彿とさせますが、更に輪をかけていて、いわゆる「線」の部分を長くしています。
1957年に松本清張氏が「点と線」で人気を博した推理小説ブームが去った後でしたが、この後は、森村誠一氏が新たなブームを築き上げることになりました。記念すべき森村氏の代表作です!