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地下の鳩
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地下の鳩の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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これまで西さんの作品というと、関西弁コテコテ+純文学、という印象でした。今回も舞台は大阪ですが、より純文学へシフトした印象を強く感じました。 ・・・ 本作は中編ともいえる「地下の鳩」「タイムカプセル」の二編からなります。 表題作「地下の鳩」は、昔はそこそこイケてた40男の吉田が、スナックでチーママを勤めるみさをと出逢い、破滅的に共依存していく話。 続く「タイムカプセル」は、奄美大島出身のオカマのミミィ(おかまバーのオーナー)が、彼(女)の半生を振り返りつつ、自己のジェンダーについて自身は正直であったかを振り返るような作品。 ・・・ で、先にも書いたのですが、実に「文学だなあ」と感じたのです。ま、何を文学であるかと定義もしないでお話するのも申し訳ないのですが。 勝手な感覚でいうと、「読者に判断が任される」ような作品については、私はより一層「芸術」性、芸も術も感じます。換言すると、解釈の余地が適切に確保された作品。 、んなことを言うと、エンタメ的作品をバカにしとるんか、と怒られそうなのですが、飽くまで私の個人的な好み、であります。 ・・・ 「地下の鳩」は40にもなって未だに女性に対してはイキがった態度をとる吉田、彼を恋人未満なヒモとして住まわせるみさを。この二人が出会い、もつれてゆく情景が淡々と描かれます。今回は珍しく、オチもユーモアも殆ど見かけませんでした。 「タイムカプセル」も、オカマのリリィの回顧を経て、最後は小学卒業時のタイムカプセルを掘り起こし、自分が偽って書いた文章を確認してゆく話が淡々と描かれます。 どちらも結末・オチが用意されず、本当に、ふと、終わります。 とすると、読者はやはり「何なんだこれ?」って思うんじゃないでしょうかね。でも、こうやってオチの部分だけさっぱり切り落とし、そこまで上手にしっとり読ませるということでは秀逸であったと思います。 ・・・ ちなみに、これまで西さんの作品は関西弁の多用の他、擬態語や擬音語の使い方に可憐さを感じていましたが、本作ではそうした擬態語・擬音語も見られませんでした。何かありました?西さん? ・・・ ということで久しぶりに西さんの作品でした(数えてみたら五カ月ぶり!)。 関西弁のアクの強さやユーモラスさが影を潜めているのですが、文学作品としては私がこれまで読んだ作品のなかでは一番完成度が高く感じました。 ストーリーの展開ではなく、文章の美しさを鑑賞することが好きな方にはお勧めできる作品です。 はたして皆さんは本作品、どのように読みましたでしょうか? 他人の感想・評論が気になる読後でありました。 | ||||
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大阪はミナミの繁華街で、夜の仕事を営む人々が主役の二作品。 タイトル作は四十過ぎの自称イケてる男の悲哀が描かれている。過去が輝かしかっただけに、色褪せていくことが耐えられない。夜の街にぴったりの、にっちもさっちもいかない閉塞感を感じてしまった。痛々しいね。 「タイムカプセル」はオカマの巨漢ママのこれまた物悲しい話。感情が沸騰するシーンは、ちょっと痛快だ。 二つの物語はうっすらと関連していて、交差するシーンでは、あぁ、そういう事と思ったりなどする。味はあるが、感動とまではいかない。 | ||||
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