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ハリケーン
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ハリケーンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.68pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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この著者の地震・噴火などの自然災害ものは、ほんとに見てきたような、というか予言者かと思うほどの知識や情報、迫力で、すっかりファンになりました。 これも「ハリケーン」というタイトルなのでそういう意味で期待したのですが、違いました。最後まで読み終えたとき、「そっか、これは自然災害のハリケーンじゃないんだ」とある意味納得しましたよ。「ガッカリ」ではなかったです。 登場人物は主人公っぽい人も含めことごとく「なんなのこいつ」「何考えてんのこの人」とイラつくような連中。けど、極悪人とかじゃない。どこにでもいそうな、自意識過剰や自己中や優柔不断や小悪党、あげく認知症の老人。結局私たちによく似たそこらの人たちです。イラつくのはそれだけ描写が巧みだからともいえますね。 『Tsunami』『富士山噴火』などの「自然災害大パニックもの」に出てくるありえないほど優秀で有能で誠実な人々とは大違いですが、その分、現実味は大きい。 著者には、「タナボタ」なんていう作品もあります。むしろそっちの流れ(いわば「人災もの」?)なんでしょうかね。タイトルが紛らわしかったかな。 | ||||
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安くて綺麗で問題なし | ||||
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ゲリラ豪雨などの異常気象が続く中、気象庁予報官の男、認知症の母を介護する女、受験に失敗した息子という家族を中心とした群像劇。それぞれが逃げられない大きな力に巻き込まれていく様は、まさに人間の心の中にもハリケーンが吹き荒れているのだなと感じさせられた。現実にヒーローはおらず、人それぞれに異なる苦悩と決断がある。読後はほんわかと心にしみる物語でした。 | ||||
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高嶋哲夫『ハリケーン』(幻冬舎)は巨大台風が日本を襲う災害サスペンス小説である。災害は人災の側面がある。以下の台詞は不動産トラブルの被害者として大いに共感する。「宅地開発して、後で危険だと分かった場合、売った側にも非を認めて是正していくだけの良心はほしい」(70頁)。この程度の当たり前の良心も開発業者には欠けているという現実がある。他にも本書には分譲住宅地の売れ行きが芳しくないのに売れ行き好調と虚偽勧誘するシーンが描かれる。 本書は、いきなり巨大台風が襲う話ではない。序盤は群像劇である。公立中学のヤンキーやリストラ、認知症など現代日本の生活の問題が描かれる。中でも公立中学の不良問題は深刻である。私は公立中学出身であるが、中学受験が一般化した現代で居住地の学区の公立中学に通うことは大変と感じる。本書では別の文脈で「友達が悪かった」との台詞がある(114頁)。これは公立中学の不良問題にも当てはまる。 災害パニックを読みたいという向きには前半は冗長に感じるかもしれない。本書を放り出してしまうかもしれない。しかし、現代日本は様々な悩みのある生き辛い社会である。映画『シン・ゴジラ』のように皆が一丸となって対策に邁進する姿しか描かれない方が不自然である。 また、前半では宅地造成など日常に災害被害が甚大かする原因があることを説明している。目の前の大災害にどう対処するかよりも、日頃からどうしているかの方が重要である。日本人には兎角、目の前の火を消すことばかり気をとられ、根本的な原因追及を疎かにする悪癖がある。喉元過ぎれば熱さを忘れ、過去を水に流し、責任追及を有耶無耶にする。 無能公務員などは自分が行うべきことをしなかったことを棚に上げ、目の前の問題をどう解決するれば良いかを相手に押しつける無反省な態度をとることもある。その点では日常の中に大災害の兆候が存在したことを長々と語る本書は優れて教育的である。 主人公は気象庁に勤める気象予報官である。彼は消極的な人物であったが、土砂災害被災者の会の集会に参加して意識が変わり、住民の命を救うことは考えるようになる(217頁)。公務員の世界だけで生きていると、市民感覚とのギャップが生じる。市民生活の大変さが理解できなくなる。公務員は業界団体と会合するばかりではなく、住民運動の集会などに参加すべきである。 集中豪雨で土砂災害などが起こる可能性がある場合に避難勧告や避難指示を出す。避難勧告や避難指示を出さずに災害が起きると大変である。一方で避難指示を出しながら、避難する状況にならなかった場合も大変である。避難中に高齢者が転んで骨折するなど避難することも大変である。避難を指示するか否かは大変な重たい判断である。 命を救うことを最優先にし、空振りになっても良いから、危険があれば避難を指示するという方針は良い。しかし、それは予報精度を上げ、最善を尽くした上での判断になる。どのような根拠から判断したのか説明責任は常に問われる。この意味では主人公が過去の降雨を加味して土壌の保水力が限界に来ていると説明した点は良かった。説明責任が問われることは予報が当たった場合も同じである。結果オーライは問題である。 実は私は大ヒット映画『君の名は』に対し、糸守町長がどの様な経緯で避難訓練を決断したかが描かれない点に不満を抱いていた。これはサイドストーリーの小説で説明されているが、映画では映像美を描くことが主目的かと思ってしまう。これに比べると本書は日常の中で起こる災害で避難を指示するか否かという現実の葛藤が描かれる。本書では大災害は終盤になってようやく登場するが、非日常の大災害パニック物よりも勉強になる。 | ||||
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親の介護や学校でのイジメなど圧倒的な力で自分を巻き込んでいく緊張。ヒーローは登場しませんが、一人ひとりの苦悩と決断に共感しながら読ませていただきました。 | ||||
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異常気象が続き、ゲリラ豪雨が頻発する中、静かに進行するバラバラになった(なっていく)家族の話。 もう壊れてしまっている家族であっても、それがとっくに失われていて、さらに傷つけられるだけの関係であったとしても、 すぐそばに家族でない他人であっても手をさしのべてくれる人はいるし、 過去の傷を癒してくれるのもまた人なんだよなとジーンとさせられた。 | ||||
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実は家族小説だ。 仕事に奔走し、家族を顧みることができなくなった気象予報官。 バリバリと働くも上司と不倫関係に陥ってしまう広告代理店の女性。 夫を亡くして自身も認知症を患いながらも、子どもの家族との同居を拒むお年寄り。 幼少期に両親を亡くして、自衛隊という職場に自身の居場所を見い出す青年。 ギャンブルにはまって借金漬けになり、妻にも子にも逃げられ、甥を頼るしかない初老の男性。 だけども、自然の猛威――〝ハリケーン〟は、そういった事情をすべて跳ね飛ばしてしまうほど威力を持つ。 誰も一人じゃ乗り越えられない。だからこそ、今こそ大切にすべきことが見えてくる。 | ||||
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