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夏草の記憶



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【この小説が収録されている参考書籍】
夏草の記憶 (文春文庫)

夏草の記憶の評価: 4.22/5点 レビュー 18件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.22pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全18件 1~18 1/1ページ
No.18:
(3pt)

完全にネタパレ注意です

それにしたって、この親子を三十数年の間、誰もサポートしてこなかったの?
南部の小さな町ってそんな冷酷な地域なのかなあ?

と書いて終りにするつもりでしたが、書くとなれば、言いたいことが出てきます。
それで、以下の追加。

ついでに書いてしまうと、ハートブレイク・ヒルでいったい何があったのか、保安官がてんで分からないとのたまわっているけど、岩に血があって、頭部のキズの形状を鑑識すれば、事件の経緯はカンタンに分かるはず。そこで、重症を負ってから、被害者自身の力で這い上がったくらいのことも現場を検証すれば分かるでしょう。

タイヤ跡を調べて、ケリー周辺の人物の所有車と照合すればヒルの麓に自動車で乗り付けて、ケリーと会談したとおぼしきその人物が「犯人」だとすぐに割り出せるはず。それくらい出来なければ司法組織ではない。一般市民がまったく独力で事件に当たらなければならないならまた別だけどそういうストーリーではありませんね。

この小説は結局「叙述トリック」。
現在と過去を行ったり来たりして、読者を翻弄すること自体はもちろん大いに結構なのですが、叙述の向こう側にある現実に整合性がないとストーリーは破綻しますね。
ボワロー&ナルスジャックの推理小説論みたいに、小説全体が一つの悪夢であるならいいけど、保安官がまったくの間抜けでないと話が成立しないのでは困ります。

例によって、ぐいぐいと引き込まれてしまうストーリー・テリングは強力なのだけど、
真相を知らされてみると、基本のプロットに無理があるように思います。
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No.17:
(5pt)

静謐なのに止まらない

ジェフリー・ディーヴァーのようなジェットコースター・ミステリも大好きだけど、トマス・H・クックは、全く違う作風ながら、読むのが止められない。全く日常的な、静謐な展開なのに、この先どうなるのか気になり、読むのを止められない。こういう読書体験は記憶になく、作者の力量のすごさを感じる。地味で、すごい。
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No.16:
(5pt)

二度読むとさらに味わいが深まる心理サスペンスの傑作

30年の時間を行き来させながら周到に張り巡らせた人間模様の伏線を、ラストで一気に深い余韻へと回収する構成と文章力に感動しました。あえて遅々として前に進ませないで、徐々に細かな表情や仕草の中にサスペンスを積み上げていく展開は、終わってみれば、やられた感が半端ないです。時間がたってもう一度読んだら、そこここにちりばめられた含み針にニヤニヤワクワクして、1回目以上に楽しめそうです。
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No.15:
(4pt)

「愛と憎しみは紙一重」のお話

少年時代に嫉妬心から漏らした一言が、自分と初恋の相手だけでなく、たくさんの周囲の人々の運命をいかに変えたかというお話。

冒頭にあるように、確かに暗いお話で、最後まで救いはありません。心理描写に定評のある作家のようですが、主人公の独白がダラダラしていてイライラすることもしばしば。でも先が気になって最後まで割と一気に読んでしまいましたし、ラストに驚きの結末も用意されていたので星4つにしました。

このお話の根底にあるのは黒人への人種差別で、これがなければあんな悲劇は起きなかったはず。奴隷制が廃止された後、100年経っても酷い差別が残っていたんだなあと考えさせられました。
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No.14:
(5pt)

人間の心理の闇に焦点を当てた傑作

20年ほど前に、寝る時間も惜しんで読んだ本。当時は翻訳の方にぐいぐい引き込まれ先を知りたい思いで読み切り、原文も呼んだ。訳文のうまさを感じた。最近読み返してみて、当時とは違う思いがこみ上げた。以前はただ推理小説として結末の意外さに圧倒され面白かったという読後感を持ったが、今回は内容に惹かれた。人間は完璧でないのだから、誰でも色々な面を持っており、負の面が出て思いもしない方向にことが流れ、その人ならず色々な人の運命を変えてしまうことがある。ただ、それはそのとき運命を変えたように見えるだけで、結局は同じ結末にたどりつくのかもしれないのだ。ベンのしたことは褒められたことでは決してないが、彼の気持ちはよくわかる。誰でもベンになりえるのではないだろうか。たとえベンがケリーの幸せだけを願って身を引いても結果は同じだったかもしれない。暴力夫に暴力を振るわれて死んだかもしれない。先のことは誰にも分らないし、結婚してみなければ相手のことは分からない。人間の心理の闇は深い。
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No.13:
(5pt)

哀愁に満ちたすばらしい青春小説

「アメリカ南部アラバマ州の小さな田舎町。献身的な町の名医として尊敬を集めるベンは、高校時代の親友ルークと今もよく会っている。ベンの妻はやはり同級生だったノーリーン。高校当時、全校女子生徒憧れの的だったモデルのようにハンサムなトッドは、やはり当時のガールフレンドで美貌で有名だったメアリーと結婚しているが、今は酒におぼれて見る影もない。二人共すっかり老け込んでしまいあまり幸せそうではない。
ベンは当時、転校生としてやってきたケリーと共に学校新聞の編集に携わっていた。強い意志と鮮烈な個性を持っていた魅力的なケリー。彼は彼女に恋していたが、それは苦しい片思いだった。
ある日、通称ブレイクハート・ヒルというまだ黒人奴隷がいた時代にひどい差別が行われていた丘で、ケリーが何者かに襲われる。そしてその事件は終生、当時の関係者たちの人生に暗い影を落としたままだ。実際に起きたのはいったいどういうことだったのか?誰が、誰に、何をしたのか?
ベンをはじめとして関係者たちには、みんな口をつぐんで隠していることがあった・・・それは・・・。」

他の少女にはない鮮烈な魅力を持つヒロイン。苦しいくらいの思い、けれど怖くて伝えることができない、主人公は、あくまでも親友のポジションでいようとして、ふられる恐怖から逃げています。その情けなさ。思い切って告白しようとしたまさにその時、彼女の心は他の男にあるとわかってしまいます。2人の両思いによって、彼らを愛していたまわりの人たちも苦しみます。どこかよそへ行けば忘れられるのかもしれない、けれど田舎の小さな町で、同じ人たちが同じように年を取りながら、顔をあわせて暮らしていくような場所だから、苦しみが終わることがありません。

   ただただ名作だとしか言いようがないと思いました。有名なトマス・クックの名前はよく聞いていたけれど、読んだのは実は初めてでした。言っちゃなんですが、アメリカ人がこんな話を書けるとは思いませんでした(^^;。静謐で哀愁に満ちて、取り返しのつかない過去を慕い、ひしひしと胸に迫るような、そんな物語。しかも舞台が荒くれの印象があるアメリカ南部だというから、それもまた意外でした。ミステリのジャンルに分類されていますが、むしろ青春小説の要素が強いと思います。真相はすでにそこにあって、それにまつわる主人公の過去の回想を描いているだけで、今から過去の事件を解決するとかそういう話ではありません。謎解きにおもしろさを求める人にはイマイチかと思います。むしろ文学に近いのでは・・。けれど、強烈な印象でした。このような見事な小説を今まで知らずにいたなんて。クック氏の他の作品もぜひ読んでみたいと思いました。
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No.12:
(4pt)

少しアンフェア

確かにラストは驚いたのですが、1箇所だけ書き方がアンフェアだった所があります。
それさえなければ、見事に騙されたと素直に思えたと思います。

実は、このお話は1日しか経過していません。その中で、より遠くの過去と
近くの過去と現在が行ったり来たりします。お得意の心理描写はさすがクックで
最後まで読ませるのですが、空想シーン等で少しだらけるところもありました。
しかし、終わりが始まりとなるラストシーンはどこか切ないものがあって
余韻が残ります。

ミステリーともサスペンスとも言いがたい小説なのですが、青春時代の
苦い想い出話であるこの作品は、中々良い出来なのではないかと思います。
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No.11:
(5pt)

記憶

クックの作品はこの夏草の記憶がはじめてでした。中盤までは起伏もなだらかでたんたんと話が進みますが、驚くほどにそれが苦痛にならない。クックの一文一文があまりにも心地良い。時間さえあればいつまでも読んでいたくなるような切なくて心に響くすばらしい文体でした。ここまで心地良かったのは(私は基本的に一日一冊本を読むが)久々でした。また主人公に多くの読者が共感しただろうと推測できます。ラストも衝撃的でした。まさか……ね。心に深く残留する作品が私は好みなので、そういった意味ではこの著書はかなりの高得点でした。
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No.10:
(4pt)

それにしてもラストはびっくりした

ベンは町の名医として尊敬をあつめている。ただ、30年前に起こった痛ましい事件が彼の表情や内面に暗い翳を射している。

本書の表紙であるが、この少女が痛ましい犠牲になったモデルと思われる。それはまた、ベンの初恋の女性でもあった。

このような感情を秘めながら、事件を語っていくのだが、いつものように様々な事象が、静かな語り口の中で小出しされていく。

歳は取ったが、初恋の感情は自然に感情移入ができた。

本書は「記憶シリーズ」の3巻目(「緋色の記憶」「死の記憶」「夏色の記憶」)で、これが最終巻になる。それにしてもラストはびっくりした。
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No.9:
(5pt)

衝撃でした

書評というより感想ですが、衝撃でした。宮部みゆきのように「ぐいぐい」とひっぱるスピード感はないが、 淡々と語られる過去につながる事実と主人公の心象風景に自分の青年時代を重ねてしまいます。 そう、誰でもが通過する切ない、しかし真剣で思いつめた頃を自分に重ねて読み進んでしまいます。描写はミステリーという領域ではなく、文学と言って良いのではないないでしょうか。夏目漱石の「こころ」と比べても良いかと思います。そして、衝撃の結末です。久しぶりに感動、堪能しました。 
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No.8:
(3pt)

ミステリーというより文学作品に近い、『記憶』シリーズの傑作

『死の記憶』に次いで書かれた(日本では『緋色の記憶』、『死の記憶』に続いて3番目に邦訳された)トマス・H・クックの『記憶』シリーズ第2弾。
「このミステリーがすごい!」の’99年海外編で、第3位にランクインしている。(『死の記憶』が第7位と、ベストテンに史上唯一のダブルランクイン!)
舞台はアメリカ南部アラバマ州の小さな町、チョクトー。物語はここで医師として人々の尊敬を集める‘私’が、30年前のハイスクール時代に起きた悲惨な事件について
回想する形で進む。「これは、私の記憶にあるなかでもっとも暗い話である」という
書き出しで始まり、例によって、クック独特の小説作法で、いつの間にか<現在>から<過去>に‘私’の視点が移り、ひそかに想いを寄せる美しい転校生、ケリーをめぐるほろ苦い青春の日々が綴られるのである。
本書は事件の“謎”を縦軸にしながらも、実は16才の夏でしか感じることのできない、恋憧れる少女が持つまぶしいまでの輝きと、‘私’の彼女への屈折した想いを見事に描ききった、青春小説の傑作でもある。
学校新聞の編集、黒人公民権問題への関心、クリスマスのダンスパーティー、学年末の演劇、生徒同士の恋愛関係など、誰にでも覚えがあるであろうさまざまな青春期のエピソードが語られながら、ケリーを襲ったブレイクハート・ヒルの事件の“謎”のベールが一枚ずつ剥ぎ取られて、明かされてゆく。その真相は予想外であり、当時輝いていた生徒たちのうちの何人かの悲惨な<現在>とのつながりを思わせたり、その後の‘私’の生きかたを決定させたりするほどのものだった。
ともあれ、本書は前作『死の記憶』よりもブラッシュアップされ、情感に満ちた、密度の濃い作品である。
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No.7:
(4pt)

クックの自伝?

はっきり行って、クック定番のバイオレントな事件はどうでもいいです。
それよりも、主人公の高校生(内向的で秀才タイプ、自分は他の人たちとは違っていると意識し、性的に未成熟、女の子に対してはうだつがあがらない)はトマスHクック自身ではないだろうかと思う。
 外交的で社交に強い人たちとは違い、自分を内向的で物事をシリアスにとらえる神経質で傷つきやすい心の持ち主だということを的確に分析しているところに共感が持てました。
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No.6:
(3pt)

うひょー、そやったんかい!

つい昨日読み終わりました。最初の半分は前に進まず退屈で半分読むのに5日ほどかかりました(私は普通1冊を1日で読みます)が、そこまで我慢すれば後は一気に読めます。XXXがなぜ容疑者にあがらないのかとか納得できないところはありますが、ラストは思わず、「うひょー、そやったんかい!」と思いました。初めて読んだトマス・H・クックの本ですが、もう1冊読んで、この人の本を読み続けるか決めようと思います。
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No.5:
(4pt)

そうだったのか

ラストまで読み切って、「そうだったのか」と言わしめる作品は数あれど、クックのこの作品ほどの切なさを伴った小説も珍しいのではないか、と思った。しかしこの作品に限らず、クックの小説はラストに至るまでの過程が、結構かったるい。しかしその過程は物語に因果律を与えるためのものであり、また作品のテーマを語る上でも必須のもので、無駄な描写は一つも無いのだから仕方ないが、もうちょっと序盤と中盤を面白く出来ないだろうか。そんな訳で星は4つです。でも名作!
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No.4:
(5pt)

記憶シリーズの中では一番

過去と現在をカットバックで描く記憶シリーズのスタイルが、見事にストーリーと結びついた作品。結末は、意外で、そして、切なく、心にグサリときます。クックの作品の中では、「心の砕ける音」と並んで、私の、一番、好きな作品です。
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No.3:
(4pt)

過去と現在が絡み合う

Cook得意の現在と過去を絡み合わせての、ミステリー作品である。最後の10ページあたりまで読み進めるとさすがにどのミステリーもネタがばれているものだが、この作品にはそれがない。見事なプロットである。物語は主人公が高校生の時に起こった事件を中心に展開する。高校生の恋愛話に、黒人差別の話が混ざりながら広がっていく。主人公は中年になっている今でもその事件の影響を強く受けている。住まいも30年前と同じ町である。つまり場所も時間においても、現在と過去が分けることが出来ないぐらいにシンクロしているのだ。これをCookは、その文体でも見事に表現している。現在のことを書いているのか、過去のことを書いているのか、読んでいて分からなくなったことがしばしばあった。まさにこの過去と現在の「絡み合い」がこの作品の魅力である。(ただし英語で読むとこの絡み合いを「読みほどく」作業が難所だと言える。)結末を読み終わった後、静かな驚きを感じながら、良質のミステリーを読んだという感じが強烈に襲ってくる。「読みほどく」のに手間取ることがある点で一つ星を減らしたものの、Cookの才能には感心させられた。強くお勧めする一冊である。なお、英語は平易な方だが、Sheldonほどには簡単ではない。辞書を時々引きながら読むといった感じである。
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No.2:
(4pt)

青春の残酷・ラストの意外さに衝撃

クックの定番ともいえる過去の記憶をさかのぼる展開。結末を暗示させるような物語の展開が、実は最後に意外な結末で終わる。青春の多感な時期の自分に物語を重ねて、読み終わってあつい思いがこみあげてくるような気持ちになりました。今まで読んだクックの作品では一番おもしろいと思います。
夏草の記憶 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:夏草の記憶 (文春文庫)より
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No.1:
(4pt)

映画を見ているような・・・

最初から最後まで、一つ一つの情景が頭に浮かび、まるで映画を見ているような気分になりました。そしてあっと驚く結末・・・・・。こんなに楽しめた作品は久しぶりです。
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4167218585

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