怪奇探偵小説集1
評判
怪奇探偵小説集1の評価:
4.50/5点 レビュー 2件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1〜2 1/1ページ
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怪奇探偵小説集1の評価:
4.50/5点 レビュー 2件。 C ランク
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18篇収められている作品のうち、印象に残ったものについて箇条書きで記しておく。
<村山槐多「悪魔の舌」>
なかなかグロテスクな作品だが、その完成度はけっこう高い。絶版中の『村山槐多 耽美怪奇全集―伝奇ノ匣〈4〉』(学研M文庫)も手に入れたいところだ。
<倉田啓明「死刑執行人の死」>
倉田啓明は謎の作家とされており、この作家を文庫で読めるというのは相当に貴重である。たぶん、そのことだけでも本書の存在価値は倍増するのだろうと思われる。実は、そもそも本書を読もうと思ったのは、この倉田啓明の名があり、ただならぬ雰囲気を感じたからにほかならない。
<「謎の女」&「謎の女(続)」>
タイトルを見ればわかるとおり連作だが、実は作者が異なる。前者は、平林初之輔の作で、作者の死により未完である。後者は、冬木荒之介という新人作家による続編である。この続編が誕生した経緯が興味深い。昭和7年、探偵雑誌『新青年』で平林の「謎の女」が掲載された後、雑誌編集部が同時に読者に対して続編の投稿を募集した。つまり、「謎の女(続)」は、その応募の中から選ばれた作品なのである。そして、この冬木荒之介という新人こそは、若き日の某有名作家だった。
<大下宇陀児「恐ろしき臨終」>
本書の中で一番長い作品(約40頁)。劇中劇のような「富本達人並びに菅沼時子殺害事件」における川釣りの場面は非常に臨場感があり、作品全体を重厚にしている。なかなかの力作である。
<西尾正「骸骨」>
西尾正も、大下宇陀児同様になかなかの筆達者である。外国語の表現をそのまま使ったり、ルビが多用されていたりと、久生十蘭を思い出したりもした。また、独特のユーモアがあり、実に楽しかった。この諧謔精神は個人的にはツボであり、本書中で一番好きな作品となった。論創社からはこの作家の2巻本の作品集も出ているようなので、いずれ読んでみたい。
本書は一冊のアンソロジーにすぎないが、この一冊から広がる世界は深淵である。