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奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い



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【この小説が収録されている参考書籍】
奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い (角川ホラー文庫)

奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖いの評価: 3.50/5点 レビュー 12件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(1pt)

ホラー小説に非ず

評者は本書の理想的読者ではないと思われるので、以下の評もあくまで一個人の意見でしかないことをご理解頂きたいと思う。

その上で申し上げると、本書はホラー小説として破綻している。
何をもってホラー小説、あるいはホラーというジャンルを定義付けするのか、それは十人十色であろうが、少なくとも本書はまったく怖くない。
これはホラー小説を名乗っている限り致命的な欠陥であると言わざるを得ないのではないか。

著者は新人賞である日本ホラー小説大賞優秀賞受賞者であるが、かつて別の筆名で作品を世に出しているので、新人扱いとはいえ素人ではない。
このあたりの経験が、恐らく作家熊野の人物像に一役買っているのではないかと思われるが、その割に物語全体にリアリティが著しく欠如している。
ホラー小説とはエンタメでもあるので、リアリティのバランス配分も難しいと思われるが、それにしても作家と編集者の関係性があまりに異様である(評者は作家でも編集者でもないのであくまで個人的な意見)。

評者の所感としては、本書はホラー小説ではなくミステリー小説である。
両ジャンルに親和性があるのは承知しているが、あまりにもホラー要素が薄弱かつ超常現象をコミカルに描写しているため、背筋が震えることはない。

また、編集者善知鳥の霊に対するほとんど無敵ともいえる対処能力が、緊迫感を皆無にしている。メアリー・スーの名を持ち出すまでもなく、こうした登場人物造形には辟易せざるを得ない。
さらに、作家熊野のキャラクターにしても、怖がりという設定が極めて曖昧である。霊的存在に対する怯えと興味のバランスが取れていないと感じるのは評者だけであろうか。
どうやら巷では主要登場人物2名の関係性(いわゆるバディものとしての)を高く評価する声があるらしいが、評者としては賛成できない。

作中もっとも首をかしげるのは、「究極のホラー小説」という言葉である。
果たして筆者は、この言葉に何らかの具体的なビジョンを抱いているのであろうか。
仮に本書がシリーズ化するとして、最終巻には「究極のホラー小説」が誕生するのであろうか。
たとえシリーズ化したとしても次巻以降を購買するつもりのまったくない評者には知り得ないのであるが、素朴な疑問として提示しておきたい。
奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い (角川ホラー文庫)より
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No.1:
(2pt)

「文字列の幽霊」改題

第24回日本ホラー小説大賞「優秀賞」受賞作品です。この「優秀賞」とは「大賞」の次点の作品に贈られる賞です。
今回は2本。
同じく優秀賞を受賞した『迷い家』は11月に刊行予定です。

ホラー小説大賞、優秀賞作品はたいてい「ソフトカバー以上の形態」で刊行となるのですが、今回は文庫からスタートということになります。
これは、短編(中編かな?)が2本収録されているからですね。
(注:『ぼっけえ、きょうてえ』『夜市』などは受賞作である「短編」と「書き下ろし」でハードカバー製本だったりするのですが、この場合は「大賞」受賞作だからです)

ホームページで受賞作品が一斉に発表されたとき、『文字列の幽霊』というタイトルだったのですが、改題されて『幽霊のコンテクスト』になっています。
『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』はシリーズタイトルのようなものです。
このタイトル、良くないです。
考えたのが編集者だとしたら、すごくチャラい。
個人的に以前の「文字列の幽霊」というタイトルが秀逸だと思っていたので、残念でした。しかし、本文は「文字列の幽霊じゃないじゃん!」みたいな内容なので、確かに「幽霊のコンテクスト」で正解なのです。
しかししかし、「文字列と幽霊」という・・・・・・なんか、こわーい小説を読んでいると行間にゴワゴワした異様な物体が詰まっているようなホラー・ストーリーを連想させるすばらしいタイトルが、なんか、受賞させる魂に一枚噛んでいたような気がして、そこらへんは厳しく減点したいと思います。
全然、怖くなかったので。

ホラー小説大賞のレビューには「怖くなかった!金返せ!!」みたいな感想がホント、多いのですが、大方のところ、その議論は無意味です。それは「(血しぶきが)ブシャァァ!」「(怪物が暗がりから)ワァァアア!」「(金槌とかノコギリとか拷問具で)ギャァァァアアア!!!!」みたいなシーンが大好きな人から見たら怖くないけど(ゴアくないけど)、充分だよ!怖いよ!という作品も多いのです。

しかし、本書は別。
本当に怖くないというか、そこがテーマとも重なっているので、逆に怖いとまずいわけですね。
ちょっと、意外な感じで期待を裏切られて残念でした。
「流行を追いすぎ」なんですよねぇ、これ。

ネタバレになるし、あんまり被ってるとかパクってるわけではないんですが、2017年4月からの某人気アニメのホラー版です早い話が。
時代を先取りしていたといえばそうなんですが。

内容について難点をいえば、少し「怪異の説明がよくわからない」部分をあげておきます。
霊に対してマウントを取れる体質のキャラクターが頑張って心霊現象を解説してくれるのですが、ちょっと意味不明でした。
特に以下「(前略)全部、主体が『文脈』を持って、もっと柔らかく言えば、これを伝えよう、形にしようと思って作り上げた結果であり、周りに働きかける意味だ(後略)」の部分。

にいさん、なにゆうてんの?とつぜんどしたの?みたいな感じです(またかっこいいキャラなので余計)

・・・・・・いやまあ、わかるんですけど「おまえが台無しにしとるがな!もっと勉強せえよ!」みたいな。

いろいろ、残念でしたね。
11月に刊行されるもう一つの受賞作と読み比べてみようと思います。
奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い (角川ホラー文庫)より
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