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十津川警部 わが愛する犬吠の海



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十津川警部 わが愛する犬吠の海の評価: 4.00/5点 レビュー 1件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(4pt)

かなり強引な展開で突っ込み所も多々ありますが、それでも私は著者を支持し続けます。

2016年9月に刊行された西村京太郎氏の578冊目の作品ですね。本書は前月まで雑誌連載されていたのがその翌月にはもうすぐに刊行されていますので最速の出版だなと感心しましたし、また日本の推理小説には珍しく登場人物の書かれた頁が冒頭にあったのが中々に新鮮でしたね。それから私が銚子鉄道を舞台にした西村作品を読むのは「十津川警部 銚子電鉄 六・四キロの追跡」以来の事でしてこれで二冊目となりますね。
東京のホテルで殺された男が血文字で残した言葉「こいけてつみち」は何と意外にも被害者本人の名前だった。どうして犯人ではなく自分の名前を書いたのか?という謎は中々解けなかったが、やがてどうやらそれは銚子電鉄が販売した駅名愛称命名権(ネーミングライツ)に関係するらしいと判明するのだった。
今回は十津川警部の相棒をチェンジしまして(毎回カメさんばかりだとマンネリなので気分転換を図られたのでしょうね)、後半から千葉県警の小野寺警部(四二歳)と二人で捜査に当たっていますね。本書のミステリーの趣向として「奇妙なダイイング・メッセージ」が一番の目玉ではありますが、これは早々と中盤までに明かされます。でも、大体がこれは著者の遊び心の一種で、要するに被害者が犯人の正体を示す意思があるのならストレートに名指しすればいいだけの話で何もこんなに回りくどくする必要はないのですが、でもそれだとミステリーの面白味がなくなりますからね。次にフーダニットの面では真犯人の意外性が殆どありません。その事からすると著者が本書に込めた最大の肝は帯に書かれた「哀切の真相」である所の第七章で語られる犯行動機と思われまして、これはそれ程の新味はありませんが中々に心を打たれるものがありました。それから次に本書で感じたかなり強引な展開と突っ込み所について書きますが、つくづく思いますのに要は本書にはフィクションの世界の警察官・刑事が描かれているのだと考えれば納得できるという事実ですね。まず他の作品でもよく見受けますが、銚子海洋研究所のイルカ&クジラ・ウォッチングの調査説明については多分に読者への観光宣伝サービスの意味がありそうですね。本書の話題の中では、駅名愛称命名権(ネーミングライツ)について知識が得られて勉強になりましたね。それから、十六年前の殺人事件が未だに解決せずに迷宮入りの恐れ有りという事実については、あまりにも生ぬるいのではないかと、歴然たる容疑者がいるのに何をためらうのかと思わざるを得ませんね。小野寺警部が慎重派だとしても組織としてこんなに長らく悠長でいられるだろうか?と疑問が湧きますね。そして十津川警部の最後の手段の奥の手は、まず現実の捜査ではあり得ないでしょうし、事件の関係者に被害者の遺産の贈与をあっさり約束する下りもちょっと信じられませんでしたね。他にも、犯人が落とした私物が写真に写る偶然の悪戯とそれが殺人にまで発展する殺生な惨さや、殺人行為の扱いの軽さ、犯人の態度の急変のギャップ等々、考えると多々ありましたね。確かにリアリティーに欠ける面もあり、それはもしかしたら著者の高齢化がもたらした衰えかも知れませんが、それでも私は著者を支持し続けようと思うのですね。やはりいろいろとあっても私としては全てが許容できますし、毎回読むと一定の満足感が得られる事も確かですし、まだまだ著者には大きな期待が持てると思っていますので、これからも全面的に信じて応援し変わらずに膨大な作品群を読み続けて行きたいと考えております。
十津川警部 わが愛する犬吠の海 (ノンノベル)Amazon書評・レビュー:十津川警部 わが愛する犬吠の海 (ノンノベル)より
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