拾った女

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拾った女の評価:

3.82/5点 レビュー 17件。 D ランク

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平均点3.82pt

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全24件 21〜24 2/2ページ
No.4
(4pt)

誠に不幸な巡り会わせだったが、そこには確かに男と女の真実の愛があったと信じたい。

知る人ぞ知るアメリカのクライム・ノヴェル界の大家ウィルフォードが今から60年以上前に著し後年多くの賛辞を得た秀作ノワール小説の逸品です。本書カバーの赤と黄色がケバケバしく使われた派手さとタイトルの「拾った(拾われた方の)女」という表現の2つが著者の仕掛けた肝心要の罠を上手に覆い隠す事に大いに貢献していたのだなと読後にしっかりと気づきましたね。
サンフランシスコのカフェにブロンドの美女ヘレンが入って来たのが店で働く画家崩れの酔いどれ男ハリーの不幸の始まりだったのかも知れない。やがて二人は意気投合し翌日に再会した後に彼の下宿での同棲生活が始まるのだが、その先には何とも不吉な運命が待ち構えていたのだった。
まず、改めて「ノワール小説」を検索してみると「犯罪の暗部や心理を描く、犯罪小説の一ジャンル。暗黒小説。」と出ていました。本書は読まれた誰もが純愛・悲恋小説と呼ぶのが相応しいと感じられるだろうと思うのですが、隠し味として犯罪とまでは言えないまでも人間が本来持つ嫌らしさを漂わせているのも事実ですね。本書のトリックは相当に古風な趣の内容で、今ではありふれていてもはや誰も書かないだろうなとは思いますが、でも人間が抱える解決が容易に見えて実際は困難で永遠になくならない問題だと言えるでしょうね。ヘレンがハリーと交わした不器用な言葉や医者のハリーへの回りくどい質問にヒントが隠されていますが、一方では乱闘シーンで当然の如く発せられるだろう下卑た言葉がおそらくは省略されているのはややアンフェアでしょうね。ああ!でも私はヘレンの母が獄中のハリーに取った態度に別の意味を見出したくはありませんし、下宿のおばさんやバー店主は実に気の良い人達で、要は人間性が肝心なのだと信じたいです。さて、主人公のハリーは画家を目指した物の夢破れて時々深酒に逃避するだけの善良な男で、窃盗や殺人に走るなどとは全く考えられない本当に良い奴なのですね。きっと重度のアル中女ヘレンとの出会いが誠に不幸な巡り会わせだったとしか言い様がないですが、でも私は正直もう少し我慢してがんばって欲しかったなと思うのですね。この本で遣り切れない気分になるのはその点が全てで、その二人の性格の弱さと悲劇性の故に本書を手放しで気に入るというのは私にはどうしても無理ですね。唯、せめてそこには確かに男と女の真実の愛があったと信じたいですし、きっと彼女は彼を心から信じて決して怨んではいないのだと思いますし、ハリーの命はまさにヘレンから与えられたのではないかという気がして、そんなに落ち込まずにこの物語の終わった後にもう一度気を取り直して違う土地でまた一花咲かして欲しいなと思うのですね。
拾った女 Amazon書評・レビュー: 拾った女より
4594728383
No.3
(5pt)

多面的な読み方を許容する傑作ノワール

多面的な読み方を許容する小説だ。
絶望的な男女の道行を描いた小説としてホレス・マッコイの『彼らは廃馬を撃つ』やケインの『郵便配達は二度ベルを鳴らす』といった名作に匹敵する悲痛さをたたえ、才能の枯渇した芸術家の焦がれるような苦悶を描いても秀逸であり、読者を襲う最後の一項の驚きは(類例があるにせよ)優れたミステリの快感そのものだ。細部に貼られた伏線の周到さは再読に値する。
男女の心の闇を、そして1950年代アメリカ社会の暗部を描いたノワール文学の傑作。
拾った女 Amazon書評・レビュー: 拾った女より
4594728383
No.2
(4pt)

誠に不幸な巡り会わせだったが、そこには確かに男と女の真実の愛があったと信じたい。

知る人ぞ知るアメリカのクライム・ノヴェル界の大家ウィルフォードが今から60年以上前に著し後年多くの賛辞を得た秀作ノワール小説の逸品です。本書カバーの赤と黄色がケバケバしく使われた派手さとタイトルの「拾った(拾われた方の)女」という表現の2つが著者の仕掛けた肝心要の罠を上手に覆い隠す事に大いに貢献していたのだなと読後にしっかりと気づきましたね。
サンフランシスコのカフェにブロンドの美女ヘレンが入って来たのが店で働く画家崩れの酔いどれ男ハリーの不幸の始まりだったのかも知れない。やがて二人は意気投合し翌日に再会した後に彼の下宿での同棲生活が始まるのだが、その先には何とも不吉な運命が待ち構えていたのだった。
まず、改めて「ノワール小説」を検索してみると「犯罪の暗部や心理を描く、犯罪小説の一ジャンル。暗黒小説。」と出ていました。本書は読まれた誰もが純愛・悲恋小説と呼ぶのが相応しいと感じられるだろうと思うのですが、隠し味として犯罪とまでは言えないまでも人間が本来持つ嫌らしさを漂わせているのも事実ですね。本書のトリックは相当に古風な趣の内容で、今ではありふれていてもはや誰も書かないだろうなとは思いますが、でも人間が抱える解決が容易に見えて実際は困難で永遠になくならない問題だと言えるでしょうね。ヘレンがハリーと交わした不器用な言葉や医者のハリーへの回りくどい質問にヒントが隠されていますが、一方では乱闘シーンで当然の如く発せられるだろう下卑た言葉がおそらくは省略されているのはややアンフェアでしょうね。ああ!でも私はヘレンの母が獄中のハリーに取った態度に別の意味を見出したくはありませんし、下宿のおばさんやバー店主は実に気の良い人達で、要は人間性が肝心なのだと信じたいです。さて、主人公のハリーは画家を目指した物の夢破れて時々深酒に逃避するだけの善良な男で、窃盗や殺人に走るなどとは全く考えられない本当に良い奴なのですね。きっと重度のアル中女ヘレンとの出会いが誠に不幸な巡り会わせだったとしか言い様がないですが、でも私は正直もう少し我慢してがんばって欲しかったなと思うのですね。この本で遣り切れない気分になるのはその点が全てで、その二人の性格の弱さと悲劇性の故に本書を手放しで気に入るというのは私にはどうしても無理ですね。唯、せめてそこには確かに男と女の真実の愛があったと信じたいですし、きっと彼女は彼を心から信じて決して怨んではいないのだと思いますし、ハリーの命はまさにヘレンから与えられたのではないかという気がして、そんなに落ち込まずにこの物語の終わった後にもう一度気を取り直して違う土地でまた一花咲かして欲しいなと思うのですね。
拾った女 (扶桑社文庫) Amazon書評・レビュー: 拾った女 (扶桑社文庫)より
459407507X
No.1
(5pt)

多面的な読み方を許容する傑作ノワール

多面的な読み方を許容する小説だ。
絶望的な男女の道行を描いた小説としてホレス・マッコイの『彼らは廃馬を撃つ』やケインの『郵便配達は二度ベルを鳴らす』といった名作に匹敵する悲痛さをたたえ、才能の枯渇した芸術家の焦がれるような苦悶を描いても秀逸であり、読者を襲う最後の一項の驚きは(類例があるにせよ)優れたミステリの快感そのものだ。細部に貼られた伏線の周到さは再読に値する。
男女の心の闇を、そして1950年代アメリカ社会の暗部を描いたノワール文学の傑作。
拾った女 (扶桑社文庫) Amazon書評・レビュー: 拾った女 (扶桑社文庫)より
459407507X