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ただ、それだけでよかったんです
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ただ、それだけでよかったんですの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.69pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全68件 61~68 4/4ページ
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舞台は性格の他者評価が数値化される中学校。それ以外は、リアルと何も変わらない。そんな舞台で私が知らないだけで世の中にはいっぱいあるであろういじめをテーマにした作品。普通の世界でありふれた出来事を話の主軸にして作品を書いた著者の力量と発想に素直に驚いた。文章も読みやすく、すらすらと頭に入ってくる。 特殊能力等は一切出てこないので、そういうのが読みたい人には向かないと思うが、時間とお財布に余裕がある方は読んで後悔しないと思う。 | ||||
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あらすじから文章の導入まで一気に引きこまれてしましました。 序盤までは自分の「知りたい」という欲求のもとガンガン読み進めていきすが、 読んでる途中でだんだんと「キケン」を感じるのです。「このまま最後まで知れば自分はどうなってしまうのか」と。 そして、読了後の私は表題の通りのありさまですが、これは私の元来の胃腸の弱さからくるもの ですからあまり深刻に捉えないで頂きたい(笑)。 でも、それほどの衝撃を伴うものであり、読中に「キケン」を感じた読書体験は久々のものでした。 皆さんが言われている通り、これを「電撃文庫」「ラノベ」という括りにおくかは難しいところであります。 しかし、最近の「売れる諸要素のツギハギ」と化している作品群に飽々して、何か新しい刺激を望んでいるそこのあなた。 そんなあなたにこそ、この本を手にとって読んでそして私と同じ衝撃を味わって欲しい、そんな作品です。 その衝撃が、快楽か苦痛になるか、どちらになるとも、保証できませんが。 | ||||
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最近は昔から買ってる作者のラノベしか買わなくなっていたので、最近の電撃がどんな作品を送り出しているのか殆ど把握してなかった。 ふと、何かの拍子で2015年の電撃小説大賞を見ると、SFでもファンタジーでも無い、「いじめ」を題材にしている小説が大賞を受賞していた。 選考委員のミステリ小説のような煽り文句が気になり、発売日に購入。一気に読破した。そして、この作品が電撃文庫として出版された事実に改めて驚いた。 この作品は、現代の平成日本をかなり如実に表現している。私がこの作品で気に入ったのは、主人公と周辺人物だけの閉じた物語にしなかったことだ。所謂、「キミとボク」のセカイ系ではなく、マスコミによる報道、twitter、2ちゃんねる、Youtube LINEグループ……。 私が高校を卒業する頃にはまだ導入されていなかった技術を通し、主人公と日本社会を直結させる構造は見事だった。そして、現代の社会が抱える、病のようなモノの一端を垣間見ることが出来た。電撃文庫で出されたのは、おそらく今を生きる中高生に読んで欲しかったからだろう。この本が社会に一石を投じる「革命」の一冊となることを祈る。 | ||||
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驚異的なデジタル音痴という事もあって今をときめくSNSにはおよそ縁遠い小生であるけれど、SNSを嗜まれる方々がこのAmazonレビューも含めて 見知らぬ他人からの肯定、即ち「参考になった」や「いいね」、「ふぁぼ」、「RT」、「友達申請」といった諸々の承認によって己を満たす風潮に 「奇妙な時代であるなあ」と思う事が多くなった。同じ様な違和感をふとした瞬間に持たれる方も少なくないかと思われる 第22回電撃小説大賞の「大賞」受賞作はそんな時代の病とでもいうべき他者からの承認を評価システムとした「人間力テスト」なる奇妙な制度を 導入した学校とその中で生じた息のつまる様な学生生活に革命を起こそうとした一人の少年の物語。物語の冒頭で語られる状況は スポーツ万能・学業優秀の完璧超人とでもいうべき中学生・岸谷昌也の自殺とその遺書に残された「菅原拓は悪魔です。誰も彼の言葉を信じてはならない」 という謎めいた言葉。弟を含めて四人の生徒、それも人間力テスト上位の優秀な生徒が菅原拓という一人の生徒に虐めを受けていた挙句、 その中でも最も優秀だった筈の弟が菅原に暴行を受け菅原と他生徒との直接的な接触が禁じられていたにも関わらず、暴行事件の一ヶ月後に 自殺に追い込まれたという状況に納得がいかない昌也の姉、香苗が調査に乗り出したところから物語は本格的に動き始める 「教師時代に懐いていた生徒が有名大学を出たにも拘らず、就職活動での面接が不得意だった事で精神を病み自殺した」との理由で昌也や拓の通う 中学校の校長・藤本が導入したガリ勉だけで得た高学歴だけでは通用しない時代に合わせた新評価法「人間力テスト」。生徒に第一問で社会で 役立つ能力を挙げさせ、第二問でその能力を持つ生徒を実名で挙げさせる相互評価システム。一見すると非常に奇妙なシステムではあるけれど、 個人的には見事に現代社会を反映している制度だと感じられた。この評価システムはマズローの言う所の「所属と愛の欲求」に基づく高学歴・有名企業への 「所属」が万能では無くなり、ステータスや肩書が以前ほどの重みを持たなくなった代わりにSNSなどを通じて個人の「生き方」「考え方」で 「承認・尊敬」される事をより多くの人が求める様になった現代社会の縮図と見ても良いのではないだろうか? ストーリーの方は藤本校長への聞き取りから始まった香苗の調査と事件の中核に位置する少年・菅原拓の語りが入れ替わり続ける様な形で進む 特に菅原拓の語りは時系列を作者が意図的にシャッフルしている事もあり、初読では若干の取っつきづらさも感じられるかもしれない 暴行事件を起こし昌也の遺書で「悪魔」と呼ばれた事や、虐めに対する糾弾に対し「革命は止められないよ」と放言するなど不敵な態度を取り続け PTAも含めた学校関係者だけでなく、マスコミも世間も敵に回した事で全教室で土下座をして回るという菅原拓が置かれた現在進行形の異常な状況と、 それとは対照的な意図的に空気を読まない拓が自身の態度をクラスメイトの少女、人間力テストで上位の石川琴美から「菅原君はすごいね」と 誉められた事に始まり、人間力テストの産み出す「友達は重くて潰れそうになる」という閉鎖的な空気に疲弊し切った琴美の追い詰められた事情を 知った事から人間力テストに支配された状況を変えようと立ち上がった過去の回想が入り混じりながら進行する事で虐めの裏に重層的に 覆い隠されていた「真相」が明らかにされていく独特の構成はなかなか楽しませてくれた 香苗が調べを進めれば進める程、菅原拓という少年の無力さ・存在感の薄さが明らかになり、そんな少年がクラスの中心に居た同級生四人を どうやって虐めたのか、という疑問が香苗と読者の胸中には渦巻き始まるのだが、明かされていく事実は琴美を助けようとしたものの 「愚図は何をやっても無駄」「昌也との間には超えられない壁がある」という冷たい現実に打ちのめされた拓の経験や有能過ぎる息子に狂った愛情を 注ぎ続けた香苗と昌也の母親にしてPTA副会長の明音の暴走する真の姿であったりと、どうにも胃が重くなってくるものばかりである 空気を読む事に何の価値も見出せず、無力で誰からも認められない身でありながら「人間力テスト(=他者評価)がビリでも幸せになれるのだ、と。 他人にいくら蔑まれようとも、自分が信じた物を守れるような、空気の読めない様なクズになる事を決意した」と決意し、人間力テストをぶっ壊す革命を 成功させようと、あらゆる憎悪を耐え、革命を成功に導こうとする拓の姿はかなり悲惨。「本物のクズはこんな事で傷付いてはならない」 「人間力テストに縛られて、そのストレスのはけ口を虐めにむけるお前らはカスだ」と信念を抱えボロボロになりながら突き進み続ける拓を ヒーローとして描く事が可能なのは、やはり現実の日本社会に異常なレベルで見知らぬ他者からの評価を得たいという承認欲求を拗らせている方が 多い現状が反映されているのではないだろうか? 最終的に事件は拓と昌也、二人の少年の生い立ちにまで根源を遡る事になるのだが、考えてみれば「親からの愛情」というのは承認欲求の根源として 不動のものであり、その部分が歪んでしまっていた二人の少年が人間力テストのカギを握り、生徒を疲弊させ続ける「どうでも良い相手からの承認の数」 ではなく「自分は誰に承認して欲しいのか?」という問題に行き着くのは当然の流れかと。本作はどこまで行っても承認欲求がベースにある物語 なのである。このクラスの対極的な位置にある二人の奇妙な関係はこじれ切ったまま終わり、その点においては何とも救いが無いが、拓自身が 「誰に認めて欲しかったのか」が明らかにされる事でこの重苦しい物語に付き合って来た読者に僅かながらの「救い」が齎されるのである 最終的にカタルシスが得られるわけでもないので万人向けとは言い難いし、伏線の張り方や時系列の置き方などで多少引っ掛かる部分があり、 スムーズに読めない部分もあるので満点とまではいかないが、誰とも知れぬ相手からの承認を掻き集める事ばかりに振り回され、他者の承認を 得る為に自分を見失い、自分が本当は誰に承認されたいのかを省みる余裕を失っている現代日本のSNSに見られる病理の一つを見事にテーマ化した 作品という意味で非常に興味深く読めた。作風的に量産は効かないタイプの作家さんである事は分かるし、作家性を強く出すタイプと言う事もあって コアな読者向けではあるのだろうけど、半年、それが無理なら一年に一作でもこのレベルの尖ったテーマを追究する作品を発表し続ける事が出来れば、 ラノベ界に何がしかの地位を築けるのではないだろうか? 本来は幅広い層の支持を得るタイプの作品が多い大賞受賞作品から「なかなかの曲者が出てきたな」と期待させてくれた本年度の大賞であった | ||||
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一気に引きこまれ、ページをめくる手が止まらない。 この感覚は本当に久々。十年前、自分にとってライトノベルが全盛期であった時期の感覚だ。 大賞を取るのも納得という他ない、とてつもない名作。 この本を「ライトノベルらしくない」、「ライトノベルでは評価されない」という人もいるだろう。 確かに、十年前ならいざ知らず、萌えに強く偏った今のライトノベルでは、なかなか評価されないのかもしれない。 しかし、自分はこう思う。 この本こそ「ライトノベルらしい」になるべきだ。 それだけの力が、この物語にはあるのだと。 | ||||
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少しこの作品のことを調べればなんとなく察することはできるでしょうが、全編ダークな雰囲気を漂わせている。 にも拘わらず次々と読者にページをめくらせる文章力に加え、何がどうなっているのかを読み手に想像させ、最後にくる衝撃的事実。 自分は読むだけ読んであまり語れない性分なのでたいしたことは言えませんが、 小説発表の場として文句なしの大賞作。一般文芸入門作といってもいいと自分は感じました。 入門といっても決して劣っているわけではなく、ものすごく読みやすいということを比喩しての表現ですのであしからず。 | ||||
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あえて「面白かった」とは言いません。けど、とても良かったです。 読む前は「悪魔ってことはDクラッカーズみたいにファンタジー要素を含むんだろうな」と勝手に思っていましたが、違いました。 しかし、だからこそ、そういうファンタジー的な要素に頼ることなく「こいつ悪魔だろ・・・」と思わせてくる筆力には感銘を受けます。 菅原拓の数ページの供述?みたいな部分など、読んでいて背中にくるものがありました。 伏線やどんでん返しの連続という構成力、思春期の心情描写や、社会問題を取り扱ったテーマ性など、 一冊の小説としてはとても素晴らしい完成度だと思いました。 とはいえ少しここ数年の大賞に比べて、電撃っぽくはない気はします。 メディアワークス文庫で出ておかしくない作風だったかなと。(昔の電撃っぽくはありますが) 作者の次回作はメディアワークス文庫で出そうだなぁ・・ともあれ期待しています。 | ||||
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読み終わった余韻が覚めないうちに感想を書く。 近年、ライトノベルの新人賞でも『いじめ』がテーマの小説が出てくるようになった。 この作品のテーマもまた『いじめ』がテーマである。 私の中で『いじめ』がテーマとして取り上げられた小説は湊かなえの『告白』という絶対的な指標があったので、正直あまり期待していなかった。 しかし、期待はいい意味で裏切られた。 この小説は面白かった。 物語はバッドエンドになるのだろうか、読み手によっては意見が別れるだろう。とにかく構成が素晴らしい。誰かの幸せを願うことは同時に誰かを呪う、それはひょっとすると自分かもしれないし、幸せを願った先の誰かかもしれない、そんな残酷な世界を見せてもらった。 特にこの小説のマクガフィンにあたる『人間力テスト』この仕掛けが非常に巧妙であった。実社会だとしたら本当にくだらないものなのだが物語では生きる。被害者と加害者、復讐の暴走、個人の力ではどうすることもできない強大な悪、友情と裏切り、そして救いと報い。そこまでやるのか、と唸らされた。 語り口も軽く読みやすい、だがやはりライトノベルとしてはどうなのかと思う。主観の問題だがライトノベルではこの小説が正しく評価されないのでは、と思うのだ。あと、誰か解説書いてやれよとも思う。 この小説が電撃文庫のライトノベルではなく、有川浩、桜庭一樹の時と同様に一般小説のレーベルでの再出版がされることをいちファンとして強く望む。次回作も楽しみに待ってます。 | ||||
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