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銃・病原菌・鉄



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銃・病原菌・鉄の評価: 4.05/5点 レビュー 465件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.05pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全347件 281~300 15/18ページ
No.67:
(4pt)

壮大な仮説の展開の上に構築された、ものの見方

既に沢山の方々がレビューをお書きになっているので、くどくは書きません。
あるニューギニア人の「なぜ白人はたくさんのものを発達させたのに、ニューギニアには自分たちのものといえるものがなにもない。それはなぜか。」という疑問を出発点としてこの本ははじまります。ユーラシア、南北アメリカ、アフリカ、オーストラリアで文明の発達度が異なるのはなぜか。
この疑問に対して、食糧事情をはじめとする環境の影響が大きいと著者は言っています。そして、なぜ食糧事情が地域ごとに異なっていたのか、植物の栽培ではどうか、動物の家畜化ではどうかと、著者はさまざまな疑問を次から次へと提供しながら、彼自身の推論で回答していきます。
その意味では、さながら論理学の勉強をしているような感じさえ受けます。なぜ、オークが栽培されるようにならなかったのか、なぜシマウマは家畜化されなかったのか。本書は人類の歴史を説いているはずなのに、まるで植物考古学(そんな言葉があるかどうか知りませんが)、動物考古学を学んでいるような錯覚を覚えます。
「人類13000年の歴史」を読んでいるはずが、彼の論理的帰結を導入するために、動物学、植物学、気象学、地質学などありとあらゆる可能性を引っ張り出して、推論を組み立てています。
私には、この本が本当に「人類史に関する良書」なのかどうか分かりません。
ただ、ものの考え方、論理の組み立て方の勉強のためには最適の本と思えます。
歴史の本にしては、馬鹿に自然科学っぽい本だなと思っていたら、最期にでてくる「訳者あとがき」で、著者が「生理学科に所属する医学部の教授であると同時に、著名な進化生物学者でもある」と説明されている。納得。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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No.66:
(5pt)

人類13000年の潮流を解き明かす!

「現在の世界情勢は、人種の優劣ではなく、環境によって左右されている」 上記要点を、計600ページもの内容に、言語学・生物学・歴史学等さまざまな分野からのアプローチで、著者は裏づけを試みています。 ・栽培穀物・飼育家畜の大半はユーラシア大陸が起源である ・南北より、東西に長い地域の方が文明の発展が早い ・旧世界(ユーラシア大陸)に住む人々のほうが新世界(南北アメリカ)より、疫病に強い など、私自身本著を呼んで初めて知る事柄も多く、非常にためになりました。 読む人の知的好奇心を満足させる、納得の一冊です。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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No.65:
(5pt)

壮大な人類史の考察

300ページを超える厚さで上・下巻です。しかも非常に
アカデミックで集中力を要求する内容なので、読むのに
2ヶ月以上かかりましたw。まったく新しい考え方と
いうか視点で書かれた、壮大な歴史研究と考察なので
とても興味深い内容ですが、やはり小説と違って、スラスラ
と読める内容では無いです。夜読むと、あっというまに睡魔に
襲われます(笑)。しかしけっして難しい文章ではありません。
とても読みやすい文章になっています。説明用のイラストや
地図が豊富なので、文章の説明を視覚的にも理解しやすくなっ
ています
副題に「1万3000年にわたる人類史の謎」とあるように
最終氷河期の終わりから近代までの超長期な人類の歴史を非常
に深く丁寧に考察した内容です。人類はどうやって人類となっ
たのか?この素朴な疑問に感動的ともいえる答えを提示してく
れます
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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No.64:
(5pt)

すごい本だ!

有識者が選ぶ「00年代(2000〜2009年)の最も優れた本」の中で、第1位に選ばれたのがこの「銃・病原菌・鉄」。

この本は、確かに凄い本で、知的好奇心を非常にかきたててくれます。
テーマは、「なぜ、地域によって、貧富や科学技術の差がこんなに大きくなってしまったのか?」ということです。

上記問いかけを受けると、「南方の人は、天然の果物や食べ物に困らないし、暑いから頭がぼーっとしている。一方、寒い地域の人は、頭使わないと生きていけないから。」と真顔で答える人がいますが、全く間違っています。じゃあ、なんで極地に住むエスキモーの人たちが世界の覇権を握らなかったの? 人類史での最初の文明、4大河文明は寒い地域で起こったっけ? というのがその間違っている理由です。

作者は、現代史にまで及ぶ決定的な地域差を生んだ原因を、表題の「銃と病原菌と鉄」に求めています。ちょうどスペインが新大陸を発見し、征服したことによります。では、なぜ、インカ帝国がヨーロッパ大陸を発見して、銃と病原菌を以て、スペインを征服することにならなかったのか? 元々は4大河文明として、人類の進歩の先陣を切って走っていたのは別の地域であり、欧州は遅れた地域でした。それがなぜ?
ここに至る因果関係の糸を解きほぐしていくのが、この本です。

決して欧米人礼賛の書物ではなく、環境的な因子がどんな経路を辿って、その地域地域に住む人類の文化に影響を及ぼしていくか、極めて科学的に客観的な観点から書かれています。
それは、社会学という枠を超えて、生物学や医学など幅広い学問の範囲にまたがる総合的な考察が必要とされるもので、この本が凄いのは、それをやってのけているからです。

人類史を辿っていく過程で、人はどうやって狩猟生活から農耕生活に移行していったのか、あるいは移行しなかった地域があったのはなぜか?が明らかにされていきます。教科書に書いてあるような「発達、発展」で片付くような単純な話ではなかったことがわかります。
狩猟民族と農耕民族が戦っていったのが、人類史の側面ですが、どちらが「征服」していったか? そりゃ、槍を持った狩猟民族の方が戦士みたいなものだから強いでしょう?と考えた方は、単純すぎます。農耕民族が食料をたくさん得ることができるようになり、結果多くの人を養えるようになり、しかも職業軍人も養えるようになった点で、征服者は農耕民族です。

冒頭で、ポリネシア諸島における「農耕民族」による「狩猟民族」の虐殺と征服の話が出てきます。
元々同じ祖先を持つものが、船を作って海洋に出た結果、“気候の寒い”島々に住み着いた人たちは、環境に適応して、農耕から狩猟に戻ってしまいました。食料となりうる作物が育たなかったのです。その狩猟民族は、厳しい自然環境の中で生き延びていくために、部族間の抗争を武力で解決することをやめ、平和的に解決することで、部族間が長年共存共栄を図っていました。
ところが時代を3世紀ほど下って18世紀頃、元々祖先であった「農耕民族」たちに発見され、「武力を持たない弱い部族がいる、近くにはいい漁場がある。」と農耕民族たちが攻めて来たのでした。狩猟民族は、漁場を共有する前提の平和的な解決を提案するのですが、農耕民族達は提案を一蹴。武器を持って狩猟民族を全員虐殺、島ごと奪ってしまったのでした。しかも、農耕民族の伝統に基づき、虐殺された住民達は、女も子供も全員「食べられて」しまったのでした。
なお、ショッキングな食人については、タンパク質が極めて少ない地域に特徴的な風習だということが述べられています。

これを読んだ時、正義という思想だけで人が幸福になれるのか?という点で、深く考えさせられました。そして、いわゆる「平和ボケ」ほど危険なものはないことを再認識しました。平和を目指すのは当然としても、それを達成するためには、相当な知力が必要だということです。パワーオブバランスのための策謀、いざという時の脅しに使わざる得ない軍事力も、やはり必要だという事実です。人間の本質は、生活がある程度満ち足りた上で、少しずつでないと変わっていかない。

人間とは何かということに関して、考えさせられる本だと思います。イデオロギーの本でない点が、特にいいです。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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No.63:
(5pt)

「なぜ中国は、ヨーロッパを支配できなかったのか」が面白い

本書は、鳥類の進化を研究をしていた著者が、研究先のニューギニアで

「あなた方白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか」

と、「えっと」としばらく立ち尽くてしまいそうな質問をされたことから始まる。そしてそこから、大陸ごとの文明の発展の差異は何によってもたらされたのかという壮大な謎を解き明かしていく。地理的差異、食糧生産開始の要因と伝播、家畜はどのように選ばれたか、病原菌はどのように広まるのか、文字のはじまり、発明品の受容のされ方、部族社会から国家の成立までなどと各章は分類され、内容的にほぼ独立して無関連のように見える。しかし、そのひとつひとつが謎解きの過程に実は不可欠であり、何度読み返しても勉強になり飽きることは無い。

「なぜアメリカ先住民のほうが逆に旧大陸を征服できなかったのか」というのが本書のメインテーマではあるが、それだけの結論の提示で終われば、壮大な展開の割りに、どちらかと言えば欧米人読者向けを対象としただけの著作で少し残念、と思う。しかし本書は、食糧生産性が高く技術的にヨーロッパをリードしていた中国が、なぜヨーロッパを支配できなかったのかという、東アジアからヨーロッパに向けた視点までカバーしている。せっかくの日本語版であり、中国と歴史的文化的な結びつきのつよい日本としては、そこにもっと注目していいし、実際一つの結論として提示されたものは、とても論理的で納得させられるものである。

そして本書により、もっと詳細に文明や文化の衰亡について知りたくなった読者は、次の渾身作である文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)が最適と言える。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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No.62:
(5pt)

長年の謎がとけた

高校の地理の授業で先生が言った、「地域による文化の違いは地理的な理由によるものではない」。    日本好きのアメリカ人の友人が言った、「南米人と日本人が人種的に同じなんて信じられない。 文化の程度が違いすぎて」。    文化の違いは人種なの?とずっとずっと疑問だった、その疑問を解き明かしてくれた本です。  大陸の形や、その場所に人間が住みついた時代の違いが、大きな意味を持っていたなんて!    オーストラリアにもニューギニアにも、いつかは鉄器が生まれていたはずだったとは!    歴史の知識はあまりないのですが面白く読めました。 下巻も楽しみです。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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No.61:
(4pt)

人類の発展と今なお続く民族問題を解きほぐす1冊

下巻最初の第3部までは、人類史においていかに「社会」が構築されてきたのか、
食料、文字、技術などの発明を経て、最終的には国家につながる社会の形成について語られる。
ここまでが一番大きなテーマである、世界の地域格差を作ったものは何だったのかを理解するための基礎である。
下巻第4部からは実際に各大陸の分析が行われる。
筆者の圧倒的な調査量・知識量を踏まえた緻密な論証の積み上げは、読むものを圧倒する。
(個人的には、ちょっと緻密に積み上げすぎて、いささか間延びする感もなくはなかったが。。。)

人類そして世界がいかに進化を遂げてきたのか。
今なお続く民族紛争についても、そもそもなぜ各民族に違い・格差が生まれたのか?
人類が発展する過程で内在してきた問題を理解する上でも、非常に有効な一冊である。
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No.60:
(5pt)

痛快な知的冒険

600ページ強ありますが,面白くてあっという間に読み終えてしまいました。

この本で扱っているテーマは,”歴史上,旧大陸(ヨーロッパ)の人間が,新大陸(アメリカ・オーストラリア)を支配するに至ったのはなぜなのか”という問いです。
その答えは,タイトルの通り,「銃・病原菌・鉄」であることが冒頭で考察されています。
しかし,本書の考察はそこにとどまりません。
銃・病原菌・鉄が鍵であったとしても,
新大陸も資源が豊富なのに,なぜ銃のような発明品が生まれなかったのか,
なぜヨーロッパ人たちは新大陸の病原菌の犠牲にならなかったのか,など,
と次々と新しい謎が生まれてきます。
本書はそれらの謎についても,科学的に裏付けのある証拠と共に,明快な答えを提供してくれます。
そして,本書の特徴は,その答えを,新大陸・旧大陸の人種の違いではなく,大陸の地理的特徴に求めるところにあります。
各々の大陸データを比較した客観的証拠と共に提供される考察には,本当に納得させられます。

謎の答えが気になり,気づけばどんどん読み進めてしまいました。読み終わったあとは,人に薦めたくなります。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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No.59:
(5pt)

歴史についてのイメージがまるっきり変わる

「朝日新聞のゼロ年代の50冊」でNo.1となった本です。
かなり読み応えがある本です。上下巻あわせて650ページもあります。
しかし、この本を読んで、人類史感・歴史観が大きく変わりました。

それにしてもこの本、歴史学者どころか医学部教授が書いているんですね。
どおりで理系的な文章だと思いました。文章構成も、どこか論文チックな感じがありますね。

■現在の人種間の境遇の差は、遺伝子的な優劣によるものではなく、与えられた環境条件に大きく依存する

人種、民族により現在の境遇はかなり異なっています。かたや先進国であったり、かたや飢餓や政治不安に苦しむ未開国であったり・・・。
「これらの違いはもしかしたら、遺伝子的に決定的に優劣が定まっているのでは?」と多かれ少なかれ思っている人は多いと思います。
しかし、それは環境要件によるものだと著者は説明しています。

■シンプルで説得力のある説明
征服する側・征服される側を分けたのは、以下の非常にシンプルな原則であるとしています。
'@東西に長い大陸(ユーラシア)の方が南北に長い大陸(アメリカ・アフリカ)より優位
'A栽培化しやすい作物、家畜化しやすい動物が近くにいた方が優位
非常にシンプルで、かつ具体的な説明による裏付けもあり、説得力のある説明となっています。このシンプルな原則は、環境要件のみであり、特定の人種・民族の繁栄と遺伝子的な優位性という図式は全く登場しません。

まるでライフゲームが進行するかのように、人類史が進行してきた、そんな風に思えてきます。今までいだいてきた歴史についてのイメージがまるっきり変わる感じがありました。

確かに、一読すべき良著です。
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No.58:
(4pt)

充実した時間であった

新聞により、この10年間で最も良書評価により購入。
一気に読めた充実した時間であった。
生物学的、歴史的、気候的な要素による記述は非常に興味深かった。
人類生育地域の拡散、病原菌による減少結果等、非常に面白かった。

読後はうなったが、10年間では良書でも、やや深みに欠けるように感じる。
アメリカ的世界制覇の現状の限界を見ているような、
生物学的(遺伝子的?)世界制覇気性についての疑問については答えを与えてくれなかった。
アメリカ中心の世界観の原因は、DNAか何かにあるように思える。
私にとっては、まだ疑問が残っている。
次のまた疑問が、読書をやめさせてくれない。
今後もアマゾンにお世話になる。
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No.57:
(5pt)

新しい歴史観に胸が躍りました

朝日新聞社の「0年代の50冊」という、識者が選ぶブックリストで堂々一位であったことを知り、再び読んでみました。

なぜ同じ人間という種族に生まれながら、各地域で文明の形成過程に現在のような格差が存在するのか。この疑問に対し著者は明快に解答を示してくれます。その合理性にいちいちうなずいてしまい、あっという間に読み終えてしまいました。

ここまで納得させてくれる本も珍しいのではないでしょうか。

なぜ、アパワルタ王が南米からヨーロッパに攻め入り、白人たちを奴隷としたのではなく、白人たちが先住民族をほぼ全滅に近いほど搾取し尽くすことになったのか?この疑問への答えは深いです。あわせて「文明崩壊」も読みたくなりました。
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No.56:
(4pt)

なぜ火縄銃は日本では量産化され、アフリカでは量産化されなかったのか

中学校の歴史で
「戦国時代に種子島に火縄銃が伝来して、瞬く間に量産化され合戦の常識を一変した。」
という事を学び、
「なんでアフリカやアステカの人々はあれを自分達の技術に取り込めなかったのだろう」
と素朴な疑問を持ち続けて10年以上経っていました。

また一方で、テレビでのアマゾンで暮らす人々の特集番組などを見て、
「こういう方たちも、人類史としてその地にたどり着いたのが西洋などよりもちょっと遅かっただけで、
あと数百年もしていれば独自にテクノロジーを進化させていたのかな(でも何故かそういう気がしないような、、、)」

とも思ったりしていました。

本書をたまたま手に取って読み「あぁ何となくそういう事なのかな」と、いくぶん腑に落ちた次第です。

同じような疑問をお持ちの方にお勧めの一冊です。
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No.55:
(5pt)

抜群の面白さをもつ一冊。知的興奮に心震える。

日本で2000年からの10年間に出版された書籍の中から朝日新聞がベスト1に選んだ(2010年4月発表)というだけあり、本書は抜群の面白さを持つ一冊でした。

 ユーラシア大陸の住民たちが南北アメリカ大陸やオーストラリア大陸を征服することができたのはなぜなのか。そしてその逆にアメリカ先住民がヨーロッパを植民地化することがなかったのはなぜなのか。人類数万年に渡る歴史のこの謎を、単なる民族や人種といった生物学的優劣論で片づけるのではなく、それぞれの地域の環境の差異によるものだということを、ひとつひとつ丁寧に解き明かしていきます。

 農耕と畜産に適したユーラシア大陸の環境と生物種の多様性。
 ユーラシアが同緯度に東西に広がる大陸であったための農業と技術の伝播の容易性。
 余剰農産物が支えた食糧生産に携わらない特殊層の誕生。
 集権的な政治体制の確立。
 文字の発達が進めた情報伝達性。
 人口増加による技術発明の可能性の増大。
 畜産が生んだ伝染病にさらされながらも抵抗力をもつ人々の増加。
 学際的な研究成果をもとに著者が描きだす謎解きはいちいち納得できるものばかり。壮大なミステリーを読むかのような知的興奮に心が幾度も震えました。

 訳者の紡ぐ日本語も大変分かりやすく、翻訳臭さを感じさせないものです。数理言語学博士でもあるという訳者だけに、言語学に触れた箇所は驚くほど精緻です。

 読了後に振り返って思ったのは、日本に生まれ落ちたわが身のこと。
 極東に暮らす自分が、本書の描きだすユーラシア大陸の環境的優位性の数万年の積み重ねの上にいるということの気の遠くなるような事実。そこに不思議なロマンを感じる一冊でもありました。

*「それらの細菌にまったくさらされたことのない人々の命を奪ってくれる」(上巻235頁)という訳文がありますが、前後関係から推すに、「奪って」ではなく「守って」くれるの誤りではないでしょうか。
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No.54:
(4pt)

上下巻600ページは長すぎる。上巻が面白い

要点
優位に立って支配した文化・部族(民族)と支配された文化・部族がある。
住んでいた場所の地理気候条件、利用できる生物資源の多寡、文化の伝播の難易等の環境要因によって、農耕、定住社会にいち早く移行できた部族は、食糧の豊富さにより、武人、官僚、文字を使える書記、技術専門家を養うことができた。このことがその部族を有利にし勢力を得た。
ある部族が新たな文化との遭遇した時、進取か保守かという違いはあっても、部族の知能の高さなどによって征服・被征服が生じた訳ではなく、環境要因が最大の要素であるというのが著者の分析結論。

興味の持てた点
○南北アメリカやアフリカは大陸が南北に延びていて緯度に沿って気温や気象が変わり同じ農作物が育たない上に、山、地峡、砂漠があって行き来もしづらい。さらにこれらの大陸には大型家畜になるような動物種もたんぱく質に富んだ植物種もユーラシアに比べれば少なかった。ユーラシアは東西に延びている。
○南北アメリカにも洪積世後期まで象、ライオン、チータ、ラクダ、馬、オオナマケモノ、高山ヤギがいたが11000年前に絶滅した。インディアンの馬もヨーロッパ人がユーラシアから持ち込んだもので原産種ではない。アメリカ大陸原産の大型化家畜はラマ・アルパカだけで使役に使えない。
○北米の先住民はヨーロッパからの入植により、殺戮、病原菌などにより5%までに減少した。
○南米の文化では金、銀、青銅を製造する技術はあったが、鉄、車輪はなかった。
○中国は文化は進んでいたが、国家の統一度が高く、15世紀ころの国の意向で文化技術の発展にブレーキをかけ、これに人民が従ったためそれ以降ヨーロッパに後れをとった。
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No.53:
(5pt)

知的興奮という言葉はこの本のためにある

朝日新聞が選ぶ、「ゼロ年代(2000〜2009年)の50冊」で第一位をとった本。私も、この記事を読んで、購入してみた。
 なぜヨーロッパ人がアメリカ大陸を植民地化でき、その逆のこと(インカ帝国がヨーロッパを植民地化)が起こらなかったのか、なぜ、オーストラリアのアボリジニが、ヨーロッパを支配できなかったのか、といったことを明らかにしてくれる本。
 栽培に向く植物や、家畜に向く野生動物の種類についてなど、広範囲かつ圧倒的な例証を用いて、著者の結論に導かれていく。
 著者はカリフォルニア大学ロサンゼルス校の地理学教授とのことだが、日本を含む全世界の考古学・地理学・歴史学・言語学・文化人類学等に非常に詳しく、挙げられる例がどれもおもしろい。インカ帝国から、ニューギニア、中国、肥沃な三日月地帯、アフリカ大陸にいたるまで、初めて知るような知識の数々が披露される。そして、どの事実にも、知的好奇心が刺激される。
 これから読む人がいるので、結論は記さないが、世界の地域ごとの発展の差は、どういう理由で起こったのか、ということについての著者の結論はシンプルであり、説得力がある。
 世界史を高校で選択した人や、社会科学系のノンフィクションが好きな人などに広く進めたい、良書である。
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No.52:
(5pt)

歴史ってこんなにも面白いのか。

自分は根っからの理系人間で、歴史と言うものが苦手でした。 結果だけを羅列し、覚えていくという作業が苦痛でした。 ただ、この本は違います。 現在における国家間、大陸間の格差の原因を言語学、生物学などの知見と事実を用いて明かしていきます。 複雑な相互関係を一つ一つ整理し、論理的に解き明かすその様は正に圧巻で非常に壮観でした。
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No.51:
(5pt)

分野をまたいで発揮される知

こういう著者を頭がいいと言うのだろう。 知識が特定の分野に偏っていないので, その知識を縦横に駆使して考えることができる。 その結果人類の歴史は何によって動かされてきた、と、 結論づけたのか。 もちろん「人」というのも正解だが、 その「人」がコントロールするることで 歴史を形作ってきたもの。 それが「銃・病原菌・鉄」だというのだ。 その論証が,わかり易い文章でなされている。 感嘆。
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No.50:
(4pt)

アジア人の持つ疑問には答えてはいないが

本書は、ニューギニア人の友人からの問いかけを受けて、「地域による人類の発展の格差がなぜ起きたのか」という根本的な疑問に答えることがテーマとなっている。1万3千年前からたどって、人間の環境適合の進化過程にその理由があることを膨大な情報を下に解き明かしていく。
 最も根本的な発展の格差もたらした大きなパラダイム・シフトを農耕の始まりにおいている。ユーラシア大陸におけるその開始の早さがヨーロッパ人に「銃、病原菌、鉄」という世界征服の手段をもたらした。なぜ、ユーラシア大陸では農耕の開始やその後の伝播が早かったのか、それは気候、地勢や東西方向の大陸の広がりが起因しているといった論旨が展開されていく。
 その視点は面白く、ある種ミステリー小説を読んでいるかのように読み進めていくことができるが、下巻は上巻の論点を繰り返す内容になっており、少々退屈する。
 あくまで、著者はアメリカの学者であり、取り上げている素材が欧米の視点に偏っているいることを我々日本人含めアジアの方は感じるだろう。また、少々うがった見方をすれば、欧米人の残虐な世界侵略を、「進化論」を用いて無意識のうちに正当化しているようにも読み取れる。
 この著作のエピローグの一節のタイトルにもなっている「なぜ中国ではなく、ヨーロッパが主導権を握ったのか」という、おそらく多くのアジア人が持つ疑問にはこの書は十分に答えてはいない。「儒教哲学が浸透している中国・アジアと改宗を強制する宗教を推進力とするヨーロッパ」という対比にそのヒントはありそうだが、なぜ、そのような文化や社会価値観の違いが発生したのか、欧米人の他者に対する差別意識の強さや残虐さがどこから根本的にきているのかはこの書のテーマからははずれる。

とはいえ、新聞のゼロ年代の50冊のTOPに選ばれただけの事はあり、新しい人類史の見方を教えてくれる良書。
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No.49:
(5pt)

歴史は英雄が作るのではない

歴史書というと、カエサルやチンギス・ハーンなど現在にまで名を残す
英雄を中心に語られがちで、人類の歴史はこうした少数の英雄達によって
作られたように感じていました。

しかし、欧米諸国はこうした英雄がいたから現在の繁栄があるのでしょうか? 
アフリカなど貧しい国々は英雄がいなかったから発展しなかったのでしょうか?

この本はそうした人間中心の歴史観をくつがえし、動植物の生息分布や伝染病と
いった環境要因が人類の発展に大きな差をもたらしたことを科学的根拠に基づき
説明しています。

学者が自分の狭い専門分野にとじこもりがちな中、こうした学際的で、
一般読者の知的好奇心を刺激する本は非常に貴重だと思います。
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No.48:
(5pt)

なんでだろう?

15〜16世紀の大航海時代幕開けと共にヨーロッパ人は世界中に出かけていくようになりました。
ある国が大航海とそれに伴う植民地獲得により莫大な富を得られるのを目の当りにすると、
我も我もとヨーロッパの多くの国が世界中に植民地を作っていきました。
そして数百年の間に世界はがらっと様子を変えていました。

ヨーロッパ人→征服→北米の原住民
ヨーロッパ人→征服→南米帝国
ヨーロッパ人→征服→アフリカ大陸
ヨーロッパ人→征服→オーストラリア大陸

そして、15〜16世紀に塗り替えられた世界の様子は21世紀の今も概ねそのままです。
富・権力・力といったものは世界中の約200カ国、あるいは数百の民族の間で随分と偏って分配されています。

どうしてこうも世の中は偏っているのだろう?
と、多くの方は疑問に感じた事があると思います。
そこからもう一歩踏み込んで、
どうして矢印の向きは←にならなかったのだろう?
と、疑問に感じた事がある方はいらっしゃいますか?

私は、著者が上巻の冒頭に投げかけたこの質問、
どうして←にならなかったのか?
を読んだ時目から鱗がポロッと転がり落ちた様でした。
そこからはぐいぐい引き込まれてあっという間に上巻を読了し、下巻は少しペースを落としながらも読了しました。

矢印が→向きとなった究極の要因を著者は4つ挙げています。
「え?なになに?」
と、気になるような好奇心を持ち合わせてらっしゃる方は読んでみる事をお勧めします!

この本が提供してくれる知的冒険は、多くの方にとって最高にエキサイティングなものになると思います。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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