変身

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

変身の評価:

4.08/5点 レビュー 390件。 C ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.08pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全393件 261〜280 14/20ページ
No.133
(5pt)

身につまされる

子供の頃、僕は変身したかった。ウルトラマン、仮面ライダー、戦隊ものの赤、セーラームーン、ゼブラーマン…自分ではないちょっとヒーロー的(ヒロイン的)な何者かになりたいという憧れが強かった。変身してヤンキー(ごめんなさい)を懲らしめ注目を浴び、あわよくば意中のあの娘を…などと妄想すること毎晩だった。それが無理ならせめて親類縁者にいないものかと、友達に自慢できるのに…などと依頼心を募らせてもいた。

けれども成人すると、さすがに人は変身できないのだと知った。いや、整形だとか性転換手術を受ければ、それはそれで劇的な変身が可能だとは知ったのだが、自分の求めるヒーロー的な変身とはどうやら方向性を異にしていた。自然と僕の変身願望はセピア色の思い出に変わり、むしろ今では恥ずかしい過去として封印したい。親類縁者に…という件もそうだ。「おれのいとこオーレンジャーなんだぜ、すげえだろ?」などと吹聴してしまったことをとても恥ずかしくまた申し訳なく思う。これらの感慨は、朝井リョウ氏の「何者」を読んでからさらに深まった。みんな自分が何者にもなれないとわかっているから必死に就活するんだ。それなのに僕ときたら…

カフカの「変身」を読みながら、僕は身につまされる思いがした。朝起きて、たとえば自分が仮面ライダーに変身していたら、それはもうとても困る。家族はもっと困るだろう。「変身」というものは「出落ち」感が強いのだ。最初のインパクトこそ強烈だけれど、すぐに飽きられる。変身した人間と朝食を取る家族や、一緒に仕事をする同僚は、きっと気まずくて耐えられないだろう。ウルトラマンはそれをよくわかっていた。だから地球にいられる時間を3分に制限したのだろう。カップラーメンの標準的な待ち時間が3分に設定されているのも偶然ではなさそうだ。ましてや何もかもが高速化する現代では、出落ちの賞味期限はもっと短いだろう。

カフカはすべてをわかっていた。ウルトラマンや仮面ライダーが生まれるよりもずっと早く。そこが、スゴい。そして、僕は自分の馬鹿さ加減を思い知らされた。星5つ。
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.132
(4pt)

自問自答

訳によってかなり印象がことなる作品らしいのですが…

個人的には、最初から最後まで自問自答の連続の作品だと思います。

もしこうなったら自分は…
もしこうなったら家族は…

それをひたすらさらりと…息絶える時もさらりと…その後もさらりと…

感動、不条理、後味の悪さそんなのは一切、個人的には感じません。

ただ、ふわふわしたなんだろな〜っていう感じは残ります。

インパクトで☆4です。
変身 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (角川文庫)より
4042083064
No.131
(5pt)

人間存在の脆弱性

結末を含め、本当に重いです。
その意味では、精神的に安定したときに読むべき作品ですし、万人受けはしないと思います。

主人公が毒虫になるという異常な事件が、極めて冷静な報告調の文章で描かれます。
異常で不自然なことが、ごく自然な語り口で語られることで、異常な事柄がリアリティをもって読者に伝わってくるのは、カフカの類まれな才能によるものだと思います。

毒虫になってしまい、父の投げたリンゴのせいで最期をむかえる主人公を、「社会から疎外された存在」ととらえ、「私もいつそうなってもおかしくない」とか「今の自分がそうだ」と読むことが可能だと思います。
名作といわれる小説の特徴は、「まるで自分のことだ。自分にしかこの小説の真の意味は分からないはずだ」と読者に思わせるところにあるといいますが、まさにこの作品はその特徴を持っていると思います。

カフカのメッセージは、人間の存在は脆弱である、ということではないでしょうか。
人間の存在は脆弱である、ということはおそらく普遍的真理であると思います。
そうであるかぎり、この作品は古典として半永久的に読まれ続けるのだと思います。
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.130
(4pt)

よくはわからない。だけど、何か引っかかる

正直よくわからなかった。
しかし、家族というコミュニティの中で一番必要とされていた状況から、毒虫にかわったことで一番の邪魔者へと変わり、不必要な、疎い存在にかわる。
そこに何か、ヒトの存在性の希薄さというか、本来的にヒトが無であるというようなことが感じられる。
所詮、ヒトがいる意味、私がいる意味というものは大きな意味での社会の中で与えられる、絶対的なものではなく、相対的なものにすぎない陳腐なものなのかなと思わされた。
解説のところでもあるように実存主義的な部分がすごい感じられる。
また、そこにこの本の価値を感じた気がする。
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.129
(5pt)

答えがないだけに難しいが、読む価値はある。

さまざまな解釈があるが、僕はこの結末は或る意味グレーゴル本人が望んだことだと思います。
セールスマンとして働き家族を養うグレーゴルと、グレーゴルが稼いだお金で生活する両親と妹の中で今の生活を一番嫌っていたのはグレーゴル本人だったからです。
養っていくべき家族がいなければ、とっくのむかしに辞表を出しているところだとグレーゴルは言うが、実際は歳をとって働く自信を失った父と、
家事もろくにできない母と、まだ17歳の妹に家族を養っていくという責任をおしつけることはできません。
すべてを清算して自由になりたいという気持ち(人生を変えたいという気持ち)と、
家の者を見すてることのできないという気持ちのあいだで、苦悩するグレーゴルに特別な力を持ったものが与えた助け舟が毒虫になるということだったのだと思います。
虫になったグレーゴルの姿を見た家族と会社の上司の反応はグレーゴルが期待したものだったような気がします。
自分はもう働けない(働かない)という行為を正当化し、相手を納得させるものだったからです。
もうこれは起こったことなのだから、あなたたちも受け入れるしかないのだという自分勝手な行為にも見えました。
グレーゴルは毒虫になった生活を楽しんでいるし、幸福にも感じていた部分も見受けられます。
しかし、毒虫に変わってしまったグレーゴルを家族は受け入れてはくれませんでした。
なぜなら、家族も変わってしまったのだから。

グレーゴルが最後の瞬間に家の人たちを感動と愛情とをもって思いかえしたのが印象的で、
グレーゴルがいなくなった朝に残された家族三人の目の腫れた原因はグレーゴルへの愛情からくるものであってほしいと思いました。
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.128
(5pt)

カフカの代表作!!

【変身・あらすじ】

グレゴール・ザムザがある日ふと目覚めてみると、自分の姿が巨大な毒虫になって
いることに気がついた。

グレゴールの家族はと言えば、恐ろしい姿に変わってしまった彼を部屋に閉じ込め
ながらも、食事の世話をしたり部屋の掃除をしたり、何とか一緒に生活をしようと
する。しかし、そんな生活も長くは続かず、段々と異形の姿に変じたグレゴールを
疎むようになり――

【変身・感想】

家族の為に尽くしてきた男が、異形の姿に変じたことで居場所を失っていく様が
シュールに描かれています。グレゴールが良かれと思ってしたことが却って裏目に
出てしまっていたり、本当に何の理由もなく≪毒虫≫になってしまうなど、世の中
の不条理をそのまま切り取ったような作品です。

ただ残念なのは、個人的に訳が余り良くないと感じてしまう点です。原文をそのまま
日本語にしたような訳の為、一文がとても長く、また不自然で回りくどい表現が目に
つきました。

『ある戦いの描写』はこの本にしか入っていないようですので買って損はありません
が、『変身』は他の訳で読んだ方が良いかもしれません……。

【ある戦いの描写・あらすじ】

夜会でとある男と知り合った私は、共にラウレンチベルク山を目指すことになる。
そして道中繰り広げられる奇妙な会話の応酬……やがて物語は夢と現実の境界を
無くし、カフカの想像世界へと読み手を誘い、翻弄する――

【ある戦いの描写・感想】

とにかく難解です(笑)
夜会で出会った男『知人』と山へ向かう合間に繰り広げられる会話は本当に奇妙でした。
『私』は唐突に『知人』は『私』が背が高いことが気に食わないのだと思います。
何故そう思ったのかは分かりません。とにかくそう思ったから、『私』は急に体を前に
屈めて歩きます。

『あなたは何をやってるんですか』
『いやはや図星ですな』『――あなたはなかなか鋭い目をもっていらっしゃる!』(P.131)

このような奇妙なやりとりが幾度となく繰り返されます。そして章が変わると場面も急
に変わり、4人の裸体の男に神輿で担がれている≪肥大漢≫なる人物が登場します。

そしてその後の章では、肥大漢の友人なる祈祷者視点の語りへと移行します。

一体、『私』と『知人』の話は何処へ行ってしまったのでしょうか……?

カフカが21歳の時に書かれたものらしいですが、このような奇怪で難解な話をその年
で書くとは……やはり只者ではないですね!(笑) 

この話は解説でも解説放棄されているくらいなので、自分の目で確かめた方が早いです。
『私』の自問自答のようでもありますし、自分自身を他の視点で見つめて語っているの
でしょうか……? 本当に説明が出来ない作品です。

ただ、上でも記載しましたが、訳が余り良くないが為に、より理解が難しい……という面
もあるかと思います。本当に訳が残念でなりません。
変身 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (角川文庫)より
4042083064
No.127
(5pt)

カフカの感性、恐るべし

初めて読んだのは、転職して一年目だろうか。
読んでビックリ(οдО;)
こんな鋭い感性の持ち主がいたなんて…(T_T)
で、案の定夭折していた。
結核でしたかね?

変身、もまた、昔からヨーロッパでは頻繁に取り扱われているテーマだが、カフカのはちと違う。
で、一番これを理解したいなら、映画があるから見ると良い。
虫が上手に表現されていて、ようやく理解できた気がした。
また、映画の出来も素晴らしい。
確かロシア映画だ。

カフカって、カラスという意味らしいけど、本当?
だったら怖いわ(;^_^A

現代人の不安、そのものをカフカは表現したかったのかもしれない。
そして、それを親友や恋人、妹などのごく限られた人にしか見せない感性、だからこそ書けるわけだ。
こんなこと、本来なら恥ずかしくて見せられない。
でも書かないと死んじゃう。
でも書いてたら、命を削ってしまった。
カフカくん、切なすぎる(T_T)
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.126
(3pt)

不安に襲われる。

カフカは何を言いたかったのか?
「変身」についてカフカ本人は失敗作だと語ったそうです。

この主人公(虫になった男)は誰の事を指しているのか?
病人?障害者?それとも自分自身?今となっては確かめる術もないのですが。

主人公は家族の為に働き続けていた。両親の借金、妹の学費、家族の生活全てを支えてきた。

しかし、ある朝目が覚めると虫になっていた。
虫になってから徐々に家族の態度が変わっていく。
今迄家族の為に自己を犠牲にしていた主人公に対し、疎ましく思う様になる。
自分に置き換えて考えると、とてつもない不安に襲われる。
(主人公の側だけでなく、家族の視点で読んでも)

この本を読むと、現代社会の問題と言われている様な事でも昔から(外国でも)問題として存在していた事が読み取れると思います。人間の本質に触れている様で恐怖を感じる。
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.125
(5pt)

F.カフカ『変身』を再読して

四十数年前、友人(私が所属していた心理学研究会のMember)から「カフカの『変身』について、意見を聞かせて欲しい」と言われて、F.カフカの作品を読んだ。
カフカ作品は最初に『変身』を読み、『城』『審判』『アメリカ』等を読んだ。
『変身』は読書前の予想に反して、「明るく読み易い」作品であった。
『城』は、何度も読み直したが、何が書かれているのか全く理解出来なかった。
『審判』と『アメリカ』は、細部を記憶していない。
当時、カフカ作品を語ることはStatusの証明であったが、私は「カフカ作品は難解です」としか言えなかった。
「カフカ作品に於ける不条理」について意見を求められた際は、「カフカ作品を一様に不条理と云う語で語ることは不適当ではないか」と答えたように記憶している。
『変身』再読に於ける私の読書課題は次の通り。
1.『変身』の主人公グレーゴル・ザムザ(以下Gと略す)の変身が夢ではないことを、F.カフカが如何に語ったか(如何に表現したか)。
2.『変身』の記述についての私の記憶が、どの程度歪んでいるかを確かめること。
四十数年前、「虫に変身したGが壁を這い登り、天井から床に落ちるのを楽しんだ」と云う件(くだり)を読んで、私はF.カフカの記述に驚いた。
他の如何なる作家も「虫が壁を這い登り、天井から床に落ちるのを楽しんだ」等と書けないだろうと想った。
「虫に変身したGが壁を這い登り、天井から床に落ちるのを楽しんだ」と云う件が、実際には如何に書かれていたかが気懸りであった。
再読の結果は下記の通りで、私の記憶に大きな誤りが無かったので、安堵した。
角川文庫『変身』 中川正文 訳
「しかたなしの気晴らしに壁や天井をめくらめっぽうに這いまわる癖がついた。
天井へ這いあがって、宙にぶらさがるのがおもしろかった。
床の上に横たわっているのとは全然ちがった感じがする。呼吸まで楽にできた。からだじゅうを軽快な振動が走る。
上のほうでうっとりと愉しい放心状態に陥って、ついからだが離れて床へばったり落っこち、自分でびっくりぎょうてんすることもあった。」

『変身』再読後の疑問点は次の通り。
1.Gが変身を哀しんでいないこと。
2.Gが未来を恐れていないこと。 
文学作品には作家の世界観・人生観が色濃く反映する。
Gが作者の分身でないとしても、Gの行動と思考が作者の人生観を反映したものであることは明らかであるから、Gが変身を哀しんでいないこと、Gが未来を恐れていないことが示すものは、作者の人生に対する諦観である。
Gが未来を恐れていないこと、つまり、近い将来に於ける自らの消滅(死)を恐れていないことが示すものは、
作者の「近い将来に於ける死の予感」である。
カフカ作品の特質は、夢と現実の融合であり、作者が苦心したのは物語に於ける「夢と現実の兼ね合い」だったのだと考える。
1924年に41歳で亡くなったF.カフカの主要作品である、『変身』『アメリカ(失踪者)』『審判』『城』のうち、生前に出版されたのは『変身』のみで、他の全ては没後に友人のマックス・ブロートによる整理を経て、出版されたとのことである。
また、F.カフカはフェリーツェ・バウアーと二度婚約し、二度婚約を解消している。
F.カフカの主要作品の殆どが未完であったこと、フェリーツェ・バウアーと二度婚約し、二度婚約を解消したことから、短絡的に導き出した結論は次の通り。
カフカ作品の特質は、「夢と現実の融合」であり、「近い将来に於ける死の予感」と「満足出来る作品が完成しないことによる焦燥感」の中で、カフカ作品が生まれた。
勿論、以上の結論は、私の人生観を反映している。子供の頃からの私の変わらぬ口癖は「もう嫌だ」である。
正確に書くと、「もう嫌だ」は「もう何もかも嫌だ」であり、「もう生きているのは嫌だ」である。
満足出来る作品が完成しないことによる焦燥感の中で、F.カフカも「もう嫌だ」と想ったに違いない。 以 上
変身 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (角川文庫)より
4042083064
No.124
(5pt)

もっと,明るい変身の解釈も作りたくなった。

カフカの変身が,はじめて最期まで理解できたかもしれない。

なんとなく,暗い,鬱積した気持ちになる変身。
その謎が解けずに今日まできた。

こう解釈すればいいのだというのが絵本から伝わった。

もっと,明るい変身の解釈も作りたくなった。
変身 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (角川文庫)より
4042083064
No.123
(4pt)

看板に偽りあり!!

本書の売りは、最新のドイツ語カフカ全集である<史的批評版>を底本とした
「ピリオド奏法(オリジナルに忠実な訳)」ということですが、
この<史的批評版>の特徴は、
一方の頁にカフカのノートをそのまま写真による図版で示し
他方の頁にそれを、カフカが描き直した部分もそのまま
活字にして、掲載しているという点だそうです
(訳書p166-7に写真が掲載されています)。

したがって、カフカの創作過程を知ることができる
というところにその魅力があると思われますが
この訳書で、それを窺う術はありません。
それを示すためには、組版や註で示す必要がありますが
本書にそのようなものは一切ありません。

カフカの創作過程に踏み込んだ詳細な註をつけるには
カフカの専門家である必要がありますが
恐らくこの訳者にその力量はないのでしょう。

次に「ピリオド奏法(オリジナルに忠実な訳)」という点についてですが
訳者は、カフカが同じ単語を繰り返しているところは、
訳文でも厭わず繰り返すことで原作に、より忠実な訳文になっていること
を謳っていますが、そんなことは独文科の学生でもできることです。

解説で訳者は、カフカが『変身』を出版した際、
「版元は、虫になったグレーゴルの絵を表紙につけようとしたが
当然、カフカは拒否した」というエピソードを紹介しています(訳書p157)。

訳書p39で、虫になったザムザがベッドから出ようとするところで
「下半身」と訳されている部分は、原文では"der untere Teil seines Korpers"
となっています。直訳すれば「彼の身体の下の方の部分」ですが、
カフカは、ドイツ語で「下半身」を意味する"Unterkorper"ではなく
わざわざこのような書き方をしています。

ドイツ語の辞書で"Unterkorper"を引いてみると、
"der untere Teil des Korpers"「身体の下の方の部分」とあり
カフカが虫になったザムザの下半身を表現するのに
辞書的な定義を採用していることが分かります。
つまり、ここで虫になったザムザは、それが下半身かどうかは分からず
単にそれが自分の「身体の下の方の部分」としか言えない
ということを示していると思われます。

これは、あらかじめ変身した虫の姿のイメージを知ることなく
ある日突然訳の分からない虫に変身してしまった主人公の体験を
読者に共有して欲しいという、表紙に虫の絵を拒否したことと同じ
カフカの意図が働いていると思われます。
しかるに、それを単に「下半身」と訳してしまったのでは
訳者の頭の中にあらかじめある、変身した虫のイメージを読者に押しつけている
ことになってしまうのではないでしょうか。

p38の「お腹をふくらませ」て、毛布を落とすというところも
原文ではaufrichten「(空気で)ふくらませる」のは、sich「自分自身を」であって
とくにお腹と断っていません。
人間が寝るときは大抵毛布はお腹に掛けるものだというだけです。
第一、息を吸って膨らむのは(人の場合)胸であって、お腹ではありません。
もっとも昆虫は腹部にも気門があるので、膨らませるのかも知れませんが
朝、目が覚めたら突然虫になっていた元人間に
どうしてそんなことが分かるのでしょう。

以上、長々と述べましたが、
出版社の誇大広告と訳者の鼻息を除けば、
カフカの作品が楽しめる文庫になっていると思います。
代表作の『変身』だけでなく、『判決』や『掟の前で』のような
有名な作品も収録されており、白水Uブックスや新潮文庫の『変身』より
お得だと思います。
変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1) Amazon書評・レビュー: 変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1)より
4334751369
No.122
(5pt)

ある朝、巨大な虫に変身してしまった男の物語

『変身』(フランツ・カフカ著、高橋義孝訳、新潮文庫)は、「ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した」という書き出しで始まる、不可思議な変身物語である。

布地の若いセールスマン、グレーゴルの変身から死に至るまでの心理と、彼の変身によって経済的な支柱を失った家族――老いた両親と妹――の虫(グレーゴル)への対応が変化していく様が、乾いた文体で描写されている。この小説は、グレーゴルがなぜ変身したのかを語っていないため、読者や研究者を困惑させ、多種多様な解釈を生じさせてきたのである。
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.121
(5pt)

まず最初に読むカフカ

カフカの小説はまずこれから読むのがいいと思う。
翻訳は古いものだけど、やっぱりこれがベスト。
と感じるのは、これを最初に読んで感動したせいか。
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.120
(5pt)

まだまだきちんと評価されていない

多少の波はあったでしょうが、時代とともに評価されてきつつあると思います。不条理などといわれましたが、似たような形容で評された作品が落ちていく中、カフカの偉大さはそれらとは別次元であることを証明しつつあると思います。彼に影響を受けた作家は数多いと思いますが、表面的な模倣で終わっていると思います。高校生のころ初めて読んで以来数十回読んでいますが、しばらくするとまた手にとってしまいます。自分自身の内的な成長を確認させてくれる貴重な一冊です。
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.119
(4pt)

読後はもやもやする

主人公が報われない。
色んな解釈ができる作品。
自らの体験・周りの環境と照らして
読むと面白い(虫→ニート等)
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.118
(3pt)

ひどい悪夢を見た、寝る前にカフカを読んだからだと思っている。

初めてカフカを読んだ、わかりやすい言葉づかいであるが、いくつもの解釈を許し、その背景には普遍真理を垣間みせる。
現実と非現実を行き来することで、逆に現実を浮き彫りにさせる。
全体的に気味の悪さを感じる。
こんな小説様式もあるんだと、素直に驚いた。

旅先ではひどい悪夢を見た、寝る前にカフカを読んだからだと思っている。
変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1) Amazon書評・レビュー: 変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1)より
4334751369
No.117
(5pt)

究極のバッドエンド。

装飾や思わせぶりが全くない現実的な文章。虫になるというある種SFじみた設定が淡々とした文体で続くのに、そこにユーモアやナンセンス味、おかし味というものは感じられないし、ホラーじみた怖さすら感じない。寧ろ、在りえない状況に際したグレーゴルとその家族の反応や対応が余りに自然すぎて、切ないだの悲しいだのといった感覚が室内を一歩たりとも出ることのない閉塞感と相まって感じられる。
 今まで家族を養ってきたグレーゴルが虫になることで疎まれ、最後は彼の死が遺された家族の希望となってしまうというオチは究極のバッドエンド。切なさを残す後味の悪い終わり方。
 ふと、介護に疲れた介護者が被介護者を殺してしまう昨今の事件を彷彿とさせた。虫になったグレーゴルというあからさまな出来そこないのお荷物を、それでも捨てきれない家族の情はこの場合逆に無情であるのかもしれない。いっそ逃がしてしまえばグレーゴルにとっても家族にとってもいい結果になったかもしれないのに、結局家のなかで、しかも父の投げたリンゴが致命傷となって死んでしまうのは悲しい。しかもあれだけ熱心に世話してきた妹が最後、捨てようと家族に提案するところも救いようがない。
 何より、どんな扱いを受けても淡々としているグレーゴルの様子が無情を一段と強めている。憤りや不満などを一切嘆くことがないという部分がこの人物の特徴的な部分だと思う。
なすすべもなく死んでいったグレーゴル。死んでるか死んでないかもよくわからないような虫の、あのあっけないような死にざまにすべてが集約されている。
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.116
(3pt)

壁を這い回る

虫になった主人公が、自分の部屋の壁を這い回るシーンで
思わず笑ってしまいました。

その後、怪我して這い回ることができなくなったときには
ちょっと残念に思いました。

有名な作品なので、構えて読み始めたけど
楽しく読み終えました。
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.115
(5pt)

虫になったとき

以前はただ単に名作だからという理由で読んで
それなりに面白いとは思いながら、単に「奇妙な小説だな」ぐらいにしか感想は持っていませんでしたが
就活が上手くいかず、今まで自分が持っていた夢や、生きがい(と考えていたこと)が急にウソ臭く思えてきたとき
なんとなくこの小説を読み返してみました。
すると、毒虫になった主人公が人間であったときの過去を引きずりなら苦しむ姿を、淡々と描写するこの文章が
痛々しいほど、自分に響いてきました。
今まで生きる糧にしてきた夢を捨てるか捨てないかで悩んでいる自分が、主人公と重なる感じがして、変な気分になりました。

間違いなく、すごい小説です。
変身 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.114
(5pt)

20世紀最高の小説のひとつ

中学生のとき以来に読み返した作品。

ある朝、グレーゴル・サムザが不安な夢から目を覚ましたところ、ベッドの中で、自分が途方もない虫に変わっているのに気がついた…

あまりにも有名なフランツ・カフカ『変身』の冒頭である。

カフカは、この、突然に虫に変わってしまったグレーゴル・サムザの内面にコミットすることはない。いわば、デタッチメントと呼んでもいいような距離感を意図的に維持しているように感じられる。虫になってしまったグレーゴルは、そのこと自体を問うたり、ましてや苦悶することはない。彼の家族もまた、しかりだ。

家族を養うため、妹を音楽学校に行かせるために粉骨砕身、旅廻りの営業マンとして仕事をしてきたグレーゴル・サムザは、ある朝突然、巨大な虫に変身する。この物語が本当に異様であり圧倒される点は、「異様な」虫に変身したグレーゴルの存在が、むしろ「異様なもの」の対極にある「無」へと収斂していくところ、そして、「異様なもの」になってしまった彼を排除しようと努めていた彼の家族が、彼の「変身」を通して変容し、再生していくという展開だ。

作者であるカフカは、グレーゴルへのデタッチメントの姿勢を一貫して貫いている。とはいえ、虫になったグレーゴルは、彼を邪険に扱う家族を憎むどころか、家族を、とりわけ妹のことを想っていた。クライマックスで彼の妹がバイオリンを演奏するシーンを読んだときには、ちょうど、たまたまモーツァルトの『弦楽三重奏のためのディヴェルティメント』を聴いていたため、不思議な温かい気持ちに満たされた。グレーゴルは、バイオリンを演奏する妹に、「音楽学校に行かせてやろうと思っていたんだ」とクリスマスの日に告白することを空想する。この小説でもっとも美しいシーンだ。しかし、グレーゴルの夢想は、惨憺たる結果に終わることになる…。

家族は皆、虫になったグレーゴルを何ヶ月も見放し、その間に、それぞれが新しい仕事を始め、彼が死んだときには彼らはほんとうに安堵する。人間が虫に変身するという異様な設定が、家族のありかたを変え、排除すべき虫なるグレーゴルの死によって、家族は再生する。

この作品に描かれるのは、そういった皮肉だけにとどまらない。「異様なもの」なる存在物とそれに対峙する人間がどのように描かれるのか、ぜひ、一度は読んでほしい作品です。
変身―カフカ・コレクション (白水uブックス) Amazon書評・レビュー: 変身―カフカ・コレクション (白水uブックス)より
4560071527