ペスト

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評判

ペストの評価:

4.00/5点 レビュー 410件。 C ランク

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平均点4.00pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全605件 521〜540 27/31ページ
No.85
(5pt)

ノーベル文学賞作家

頭がピーマンでして、ヨワイ50手前でようやく読了。文学的に難解というよりは、行政への馴染みや知識といった社会的な経験値が理解に必須でした。ナチスのユダヤ人迫害、虐殺の瞬間をこれでもかとばかりに追体験させられました。終始一貫の暗い人社会の「物語」の合間に、自然の明るさを差し込ませる静謐な筆致は、まさに芸術。言い尽くせませんが、これがノーベル賞作家なんだな、と。が、一般的に、宗教の深淵を前にした日本人なんて、理解のそこが浅い気がしてならないのです。しかも、個人的に、私ってば、地理や世界史といった知識ベースに乏しいですしね・・・個人個人の「永久の別れの宣告の瞬間」を心で想像できたとしても、社会的動物である人間を取り巻く枠組みや環境、歴史といったところへの認識が乏しいので、いま一歩どうしても、理解がホンモノになりません。自分の「理解力」の限界と原因を見て、個人的な感想ですが、とても苦いです。学校で勉強しとけばよかったな~と心底後悔です。学生の皆さん!後悔なきよう、勉強しましょう!
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.84
(4pt)

Camusの長編小説

ノーベル文学賞を受賞してわずか3年で、交通事故のために亡くなったCamusが残した長編小説である。

有名な冒頭部分の『……四月十六日の朝、医師ベルナール・リウーは、診療室から出かけようとして、階段口のまんなかで一匹の死んだ鼠につまずいた。……』から始まる夥しい数の鼠の死、そしてそれに続く人々の死が描かれている。

一方、主人公であり、この小説の書き手であると最後に紹介される医師リウーの妻は、転地療養が必要となっていた。やがて鼠と人々を襲った病気がペストであることが判明し、舞台であるオランは外界から閉鎖され、電報だけが外界との唯一の交信手段となる。現代だったら、やや滑稽かもしれないけれども、Camusはペストと違った異常な状況を考案するかもしれない。

さすが若い頃に舞台に熱中していたCamusだけに、最初の章は読ませるのだけれども、途中からやや冗長になってしまっている感がある。登場人物も、それぞれ立場が違って、よく考えられていて、構成もしっかりとしている。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.83
(4pt)

Camusの長編小説

ノーベル文学賞を受賞してわずか3年で、交通事故のために亡くなったCamusが残した長編小説である。

有名な冒頭部分の『……四月十六日の朝、医師ベルナール・リウーは、診療室から出かけようとして、階段口のまんなかで一匹の死んだ鼠につまずいた。……』から始まる夥しい数の鼠の死、そしてそれに続く人々の死が描かれている。

一方、主人公であり、この小説の書き手であると最後に紹介される医師リウーの妻は、転地療養が必要となっていた。やがて鼠と人々を襲った病気がペストであることが判明し、舞台であるオランは外界から閉鎖され、電報だけが外界との唯一の交信手段となる。現代だったら、やや滑稽かもしれないけれども、Camusはペストと違った異常な状況を考案するかもしれない。

さすが若い頃に舞台に熱中していたCamusだけに、最初の章は読ませるのだけれども、途中からやや冗長になってしまっている感がある。登場人物も、それぞれ立場が違って、よく考えられていて、構成もしっかりとしている。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.82
(5pt)

洗練された群像劇作品を探す誰かへ

"僕は、災害を限定するように、あらゆる場合に犠牲者の側に立つことにきめたのだ。彼らの中にいれば、僕はともかく探し求めることはできるわけだーどうすれば第三の範疇に、つまり心の平和に到達できるかということをね"1947年発刊の本書は、不条理に直面し蝕まれていく人間性を群像劇的に描き共感を呼ぶ。

個人的には著者の本はレジスタンス活動の際に書き上げたとされる『異邦人』しか読んでおらず、この著者の世界的名声を決定づけた、同じく代表作である本書は未読であった事から今回手にとりました。

さて、本書はメルヴィルの『白鯨』に感動した著者が【過ぎ去ったばかり】のナチス闘争の体験を架空の大都市におけるペスト【悪】の発生、それに抗う市民たちの記録として淡々と洗練した筆致で寓意的に描きこんでいるわけですが。

近年、東日本大震災他数々の災害に見舞われている島国に住み、また何度かの被災地でのボランティア経験を持つ自分と私的に重ね合わせては【行政の対応の遅さ、孤立状態での対応】に架空とは思えない迫真さ、リアリティを感じ、それぞれ神、社会、人間の【正義】を振りかざし、立場的に【合意は出来ずも理解し合おうとする】登場人物達に実際の身近な人物を当てはめてイメージしながら(漫画『進撃の巨人』でも良いかも)最後まで圧倒的に没入して読み終えました。

また。最後に明かされる物語の語り手が、不条理な脅威に圧倒的に敗北し続けて、数多くの犠牲者が出たにも関わらず【黙して語らず】ではなく、あえて人間の中には【軽蔑すべきことより賛美すべきものが多い】と希望を込めた記録として残したとする本書の幕引きも読後感として清々しくて素晴らしい。安っぽいセンセーショナルさ。華々しくヒーローが活躍するような描き方をしていない事で【読み手それぞれが共感を持てる】普遍性も含めて時代を超える名著だと実感しました。

様々な立場で防災や減災に取り組む、または関心のある誰かへ。また洗練された群像劇作品を探す誰かにもオススメ。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.81
(5pt)

洗練された群像劇作品を探す誰かへ

"僕は、災害を限定するように、あらゆる場合に犠牲者の側に立つことにきめたのだ。彼らの中にいれば、僕はともかく探し求めることはできるわけだーどうすれば第三の範疇に、つまり心の平和に到達できるかということをね"1947年発刊の本書は、不条理に直面し蝕まれていく人間性を群像劇的に描き共感を呼ぶ。

個人的には著者の本はレジスタンス活動の際に書き上げたとされる『異邦人』しか読んでおらず、この著者の世界的名声を決定づけた、同じく代表作である本書は未読であった事から今回手にとりました。

さて、本書はメルヴィルの『白鯨』に感動した著者が【過ぎ去ったばかり】のナチス闘争の体験を架空の大都市におけるペスト【悪】の発生、それに抗う市民たちの記録として淡々と洗練した筆致で寓意的に描きこんでいるわけですが。

近年、東日本大震災他数々の災害に見舞われている島国に住み、また何度かの被災地でのボランティア経験を持つ自分と私的に重ね合わせては【行政の対応の遅さ、孤立状態での対応】に架空とは思えない迫真さ、リアリティを感じ、それぞれ神、社会、人間の【正義】を振りかざし、立場的に【合意は出来ずも理解し合おうとする】登場人物達に実際の身近な人物を当てはめてイメージしながら(漫画『進撃の巨人』でも良いかも)最後まで圧倒的に没入して読み終えました。

また。最後に明かされる物語の語り手が、不条理な脅威に圧倒的に敗北し続けて、数多くの犠牲者が出たにも関わらず【黙して語らず】ではなく、あえて人間の中には【軽蔑すべきことより賛美すべきものが多い】と希望を込めた記録として残したとする本書の幕引きも読後感として清々しくて素晴らしい。安っぽいセンセーショナルさ。華々しくヒーローが活躍するような描き方をしていない事で【読み手それぞれが共感を持てる】普遍性も含めて時代を超える名著だと実感しました。

様々な立場で防災や減災に取り組む、または関心のある誰かへ。また洗練された群像劇作品を探す誰かにもオススメ。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.80
(5pt)

名作です。

不条理小説の傑作。葛藤しながらもペストと戦う男達。1度は読むべきだ。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.79
(5pt)

名作です。

不条理小説の傑作。葛藤しながらもペストと戦う男達。1度は読むべきだ。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.78
(5pt)

理不尽な困難に対していかに生きるか

突如として猛威を奮うペストに翻弄される人々を通して,
理不尽な困難に遭遇した人間の心理を描く。
神すらも見捨てたと思わざるを得ない過酷な状況下で,
それでもなお人はどう生きるのかを問われる。

1人の人間である以上,生と死は逃れようのない運命である。
死に直面したとき,あるいは身近に死が迫る時,
どのように行動するか,そうしたことを考えさせられた。

ボリュームはあるが,読了までに義務感は生じなかった。
散りばめられたエピソードの描写には静かなる迫力を感じた。
もし原文を読む能力があれば,よりこの本の深淵に触れることができるのであろう。
著者の代表作と言うのもうなずける。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.77
(5pt)

理不尽な困難に対していかに生きるか

突如として猛威を奮うペストに翻弄される人々を通して,
理不尽な困難に遭遇した人間の心理を描く。
神すらも見捨てたと思わざるを得ない過酷な状況下で,
それでもなお人はどう生きるのかを問われる。

1人の人間である以上,生と死は逃れようのない運命である。
死に直面したとき,あるいは身近に死が迫る時,
どのように行動するか,そうしたことを考えさせられた。

ボリュームはあるが,読了までに義務感は生じなかった。
散りばめられたエピソードの描写には静かなる迫力を感じた。
もし原文を読む能力があれば,よりこの本の深淵に触れることができるのであろう。
著者の代表作と言うのもうなずける。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.76
(5pt)

大人な内容

途中難しすぎて飽きて何日か放置してたけど、最後まで読み終えたらとても考えさせられるものがあった。
最後まで読み終えられる人にはオススメ
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.75
(4pt)

静的で独創的な疫病の物語

『ペスト』は、『異邦人』に続いて刊行されたカミュ第二の小説です。アルジェリアのオランの町にペストが流行し、閉鎖された町の中でもがく人々を描いた小説です。この小説は、異なる主義主張や性格を持った登場人物たちが織り成す群像劇だといってよいです。神に頼らず敗北者の側に立つリウー、理解するためにペストと戦うタルー、理念ではなく幸福を追求するランベール、ペストの渦中で上機嫌になっていくコタール…など、様々な登場人物の言行が静かに綴られています。
私は『ペスト』という題名を見て「町中がペストで大混乱になったり、人々がむごたらしく死んでいく様子を描いたパニック映画のようなお話なのかな?」と思って読み始めましたが、読んですぐにその予想は裏切られました。カミュはペストに襲われた町の様子を、驚くほど淡々とした文体で描いています。ペストという事象を用いてエンターテイメントではなくあくまでも純文学を書こうとするカミュの真面目さが感じられる小説でした。

この小説の途中では、
「まったく、ペストというやつは、抽象と同様、単調であった」(p.132)
「まったく、ペストは、病疫の初めに医師リウーの心を襲った、人を興奮させる壮大なイメージとは、同一視すべき何ものももっていなかった。それは何よりもまず、よどみなく活動する、用心深くかつ遺漏のない、一つの行政事務であった」(p.265)
という表現があります。ペストが非現実的で抽象的なもの、単調な事務のようなものとして表現されているのです。
また、この小説の終盤では、死刑や殺人がペストにたとえられています。死刑や殺人によって人の歴史が作られていることをタルーは嫌悪しており、「誰でもめいめい自分のうちにペストをもっているんだ」とタルーは言います(p.376)。人間の内部に巣くう根源的な悪が、ペストに象徴されています。

『異邦人』はムルソーの言動がとても個性的で度肝を抜かされる作品でしたが、『ペスト』はペストがとても独創的に表現されていて面白い作品だと思いました。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.74
(4pt)

静的で独創的な疫病の物語

『ペスト』は、『異邦人』に続いて刊行されたカミュ第二の小説です。アルジェリアのオランの町にペストが流行し、閉鎖された町の中でもがく人々を描いた小説です。この小説は、異なる主義主張や性格を持った登場人物たちが織り成す群像劇だといってよいです。神に頼らず敗北者の側に立つリウー、理解するためにペストと戦うタルー、理念ではなく幸福を追求するランベール、ペストの渦中で上機嫌になっていくコタール…など、様々な登場人物の言行が静かに綴られています。
私は『ペスト』という題名を見て「町中がペストで大混乱になったり、人々がむごたらしく死んでいく様子を描いたパニック映画のようなお話なのかな?」と思って読み始めましたが、読んですぐにその予想は裏切られました。カミュはペストに襲われた町の様子を、驚くほど淡々とした文体で描いています。ペストという事象を用いてエンターテイメントではなくあくまでも純文学を書こうとするカミュの真面目さが感じられる小説でした。

この小説の途中では、
「まったく、ペストというやつは、抽象と同様、単調であった」(p.132)
「まったく、ペストは、病疫の初めに医師リウーの心を襲った、人を興奮させる壮大なイメージとは、同一視すべき何ものももっていなかった。それは何よりもまず、よどみなく活動する、用心深くかつ遺漏のない、一つの行政事務であった」(p.265)
という表現があります。ペストが非現実的で抽象的なもの、単調な事務のようなものとして表現されているのです。
また、この小説の終盤では、死刑や殺人がペストにたとえられています。死刑や殺人によって人の歴史が作られていることをタルーは嫌悪しており、「誰でもめいめい自分のうちにペストをもっているんだ」とタルーは言います(p.376)。人間の内部に巣くう根源的な悪が、ペストに象徴されています。

『異邦人』はムルソーの言動がとても個性的で度肝を抜かされる作品でしたが、『ペスト』はペストがとてもユニークに表現されていて面白い作品だと思いました。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.73
(4pt)

面白かったですよ

面白かったです。
ただ微妙に文章がくどい感じです。
でも文学として素晴らしいと思います。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.72
(4pt)

面白かったですよ

面白かったです。
ただ微妙に文章がくどい感じです。
でも文学として素晴らしいと思います。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.71
(4pt)

不条理に対する個々人の姿勢の描き方が絶妙

ペストらしき疫病がもたらす不条理感に対する人々の姿勢を人の目線から描いた作品。
読み進めていく中で面白いと感じたのは、それが画一的でないという点です。
ペストに対して懸命に闘おうと試みる人、ペストを気にかけず振る舞おうと試みる人、
ペストが襲来したことによってむしろ晴れやかな気分になった者さえも描写されます。
このような姿勢が個々人のどのような境遇によって生じるのか、読み進むにつれて明らかになります。
月次な言葉を使えば多様性ということになりますが、この多様性を表現するにあたって、
多くの小説がとるような神の視点を用いることなく当事者一人の目線から惨状を描くことにより、
不条理が全くの他人事でないということを読者に知らしめてきます。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.70
(4pt)

不条理に対する個々人の姿勢の描き方が絶妙

ペストらしき疫病がもたらす不条理感に対する人々の姿勢を人の目線から描いた作品。
読み進めていく中で面白いと感じたのは、それが画一的でないという点です。
ペストに対して懸命に闘おうと試みる人、ペストを気にかけず振る舞おうと試みる人、
ペストが襲来したことによってむしろ晴れやかな気分になった者さえも描写されます。
このような姿勢が個々人のどのような境遇によって生じるのか、読み進むにつれて明らかになります。
月次な言葉を使えば多様性ということになりますが、この多様性を表現するにあたって、
多くの小説がとるような神の視点を用いることなく当事者一人の目線から惨状を描くことにより、
不条理が全くの他人事でないということを読者に知らしめてきます。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.69
(4pt)

ペスト(新潮文庫)

ペスト、神なき世界での人間の生き方を真摯に問い続けています。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.68
(4pt)

ペスト(新潮文庫)

ペスト、神なき世界での人間の生き方を真摯に問い続けています。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.67
(4pt)

次の一節は、この作品中もっとも美しい場面のひとつに違いない。

先月放送された、Eテレ100分de名著、カミュ「ペスト」をきっかけに、いつか読んでみたいと考えていたこの作品を読みはじめた。

次の一節は、この作品中もっとも美しい場面のひとつに違いない。
主要人物のふたり、医師リウーと謎の旅行者タルーが、「友」になる場面。

リウー宅で行われたこの会見について、タルーは短いメモを手帳に残した。
そこには、ふたりの間に長い会話があったこと、それが良い結果をもたらしたこと、そして、リウーの年老いた母親の明るい栗色の目を見て感じた、この婦人は「常にペストに打ち勝つであろう」というタルーの奇妙な断言がメモされている。(169頁)

この会見の様子が、177頁から189頁にかけて詳しく描かれる。
ペストと戦う志願の保健隊を組織しようと持ちかけるタルーに、対話の半ば、リウーはこんな感慨を抱く。
「この風変わりな、しかしまるで兄弟のような気のする人物に、もうちょっと心を打ち明けてみたいという、突然の、不条理な欲望と戦っていた。」(186頁)

対話を終えて、ともに家を出ようとする際、リウーはタルーを母親に紹介する。

「友達です」と、彼はいった。
「それはまあ、初めまして」と、リウー夫人はいった。「ほんとに、よくいらしてくださって」(189頁)

わたしたち読者は、ここで、リウーの年老いた母親の明るい栗色の目を見、この婦人は「常にペストに打ち勝つであろう」という、タルーが抱いた直感を共有する。
巧みな構成である。
こうした読書の悦びは、音楽や絵画など他の芸術では得がたい。

リウーとタルーの対話を読みながら、友達探しの物語でもある『星の王子さま』を想った。

・アルベール・カミュ(Albert Camus, 1913-60)
・アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ(Antoine de Saint-Exupéry, 1900-44)

ともに、第二次世界大戦という不条理を相手に、最後まで戦い続けた偉大な作家。

『異邦人』も『星の王子さま』もそうだが、『ペスト』にも読んでいて思わず笑ってしまうユーモアあふれるフレーズや場面がけっこうあって、楽しい。
今後の展開が楽しみである 。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.66
(4pt)

次の一節は、この作品中もっとも美しい場面のひとつに違いない。

先月放送された、Eテレ100分de名著、カミュ「ペスト」をきっかけに、いつか読んでみたいと考えていたこの作品を読みはじめた。

次の一節は、この作品中もっとも美しい場面のひとつに違いない。
主要人物のふたり、医師リウーと謎の旅行者タルーが、「友」になる場面。

リウー宅で行われたこの会見について、タルーは短いメモを手帳に残した。
そこには、ふたりの間に長い会話があったこと、それが良い結果をもたらしたこと、そして、リウーの年老いた母親の明るい栗色の目を見て感じた、この婦人は「常にペストに打ち勝つであろう」というタルーの奇妙な断言がメモされている。(169頁)

この会見の様子が、177頁から189頁にかけて詳しく描かれる。
ペストと戦う志願の保健隊を組織しようと持ちかけるタルーに、対話の半ば、リウーはこんな感慨を抱く。
「この風変わりな、しかしまるで兄弟のような気のする人物に、もうちょっと心を打ち明けてみたいという、突然の、不条理な欲望と戦っていた。」(186頁)

対話を終えて、ともに家を出ようとする際、リウーはタルーを母親に紹介する。

「友達です」と、彼はいった。
「それはまあ、初めまして」と、リウー夫人はいった。「ほんとに、よくいらしてくださって」(189頁)

わたしたち読者は、ここで、リウーの年老いた母親の明るい栗色の目を見、この婦人は「常にペストに打ち勝つであろう」という、タルーが抱いた直感を共有する。
巧みな構成である。
こうした読書の悦びは、音楽や絵画など他の芸術では得がたい。

リウーとタルーの対話を読みながら、友達探しの物語でもある『星の王子さま』を想った。

・アルベール・カミュ(Albert Camus, 1913-60)
・アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ(Antoine de Saint-Exupéry, 1900-44)

ともに、第二次世界大戦という不条理を相手に、最後まで戦い続けた偉大な作家。

『異邦人』も『星の王子さま』もそうだが、『ペスト』にも読んでいて思わず笑ってしまうユーモアあふれるフレーズや場面がけっこうあって、楽しい。
今後の展開が楽しみである 。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033