霧の旗

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評判

霧の旗の評価:

4.27/5点 レビュー 51件。 B ランク

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平均点4.27pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全117件 61〜80 4/6ページ
No.57
(4pt)

心も凍る異常な復讐

「霧の旗」とは何の謂か。清張は意味不分明なタイトルをつける悪い癖があるが、本作もそうですね。思わせぶりの良さもいつもいつもではねぇ。

脂の乗り切った時期の作品なので、筆致は読みやすく流麗。ただしテーマとなると?ヒロイン桐子の復讐は、要するに逆恨みに過ぎないし、大塚弁護士はその被害者と言えるのではないか。大塚の愛人の絡んだ事件を併置することで辛うじて因果物語としては成り立っているが。
「エリートはエリートというだけで庶民の憎悪の対象とすべき」とでも言いたげだが、これって浅ましくないのか?清張の人気を支えていたのが、庶民のある種の妬み、嫉みだったとは言え、こうまで理不尽でエキセントリックな復讐は「とてもついて行けんわ」と思う人(特に男)は多いと思う。

大塚に弁護を断られても他の弁護士は大勢いるのに、ただ一途に大塚を怨む。殺人現場で工作までする。偽証する。兄の冤罪などもうどうでもよいとまで絶叫する。女を武器に大塚を籠絡し罠にはめる。自分の処女まで投げ捨てて大塚の名誉を汚す。桐子はまさに異常者である。異常者に痛めつけられる大塚欽三が可哀想に思われてくる。清張さん、この物語、これでよかったんですか?いくら「婦人公論」連載小説でも、このヒロインは「自立する強い女性」ではなく、魔物。これでは女性蔑視ですよ。国家権力を支える法体系や裁判制度を批判するには、異常者の狂気によるしかない?私にはそうは思われませんが。
霧の旗 (中公文庫 A 9-12) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (中公文庫 A 9-12)より
412200201X
No.56
(4pt)

心も凍る異常な復讐

「霧の旗」とは何の謂か。清張は意味不分明なタイトルをつける悪い癖があるが、本作もそうですね。思わせぶりの良さもいつもいつもではねぇ。

脂の乗り切った時期の作品なので、筆致は読みやすく流麗。ただしテーマとなると?ヒロイン桐子の復讐は、要するに逆恨みに過ぎないし、大塚弁護士はその被害者と言えるのではないか。大塚の愛人の絡んだ事件を併置することで辛うじて因果物語としては成り立っているが。
「エリートはエリートというだけで庶民の憎悪の対象とすべき」とでも言いたげだが、これって浅ましくないのか?清張の人気を支えていたのが、庶民のある種の妬み、嫉みだったとは言え、こうまで理不尽でエキセントリックな復讐は「とてもついて行けんわ」と思う人(特に男)は多いと思う。

大塚に弁護を断られても他の弁護士は大勢いるのに、ただ一途に大塚を怨む。殺人現場で工作までする。偽証する。兄の冤罪などもうどうでもよいとまで絶叫する。女を武器に大塚を籠絡し罠にはめる。自分の処女まで投げ捨てて大塚の名誉を汚す。桐子はまさに異常者である。異常者に痛めつけられる大塚欽三が可哀想に思われてくる。清張さん、この物語、これでよかったんですか?いくら「婦人公論」連載小説でも、このヒロインは「自立する強い女性」ではなく、魔物。これでは女性蔑視ですよ。国家権力を支える法体系や裁判制度を批判するには、異常者の狂気によるしかない?私にはそうは思われませんが。
霧の旗 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (新潮文庫)より
4101109206
No.55
(4pt)

心も凍る異常な復讐

「霧の旗」とは何の謂か。清張は意味不分明なタイトルをつける悪い癖があるが、本作もそうですね。思わせぶりの良さもいつもいつもではねぇ。

脂の乗り切った時期の作品なので、筆致は読みやすく流麗。ただしテーマとなると?ヒロイン桐子の復讐は、要するに逆恨みに過ぎないし、大塚弁護士はその被害者と言えるのではないか。大塚の愛人の絡んだ事件を併置することで辛うじて因果物語としては成り立っているが。
「エリートはエリートというだけで庶民の憎悪の対象とすべき」とでも言いたげだが、これって浅ましくないのか?清張の人気を支えていたのが、庶民のある種の妬み、嫉みだったとは言え、こうまで理不尽でエキセントリックな復讐は「とてもついて行けんわ」と思う人(特に男)は多いと思う。

大塚に弁護を断られても他の弁護士は大勢いるのに、ただ一途に大塚を怨む。殺人現場で工作までする。偽証する。兄の冤罪などもうどうでもよいとまで絶叫する。女を武器に大塚を籠絡し罠にはめる。自分の処女まで投げ捨てて大塚の名誉を汚す。桐子はまさに異常者である。異常者に痛めつけられる大塚欽三が可哀想に思われてくる。清張さん、この物語、これでよかったんですか?いくら「婦人公論」連載小説でも、このヒロインは「自立する強い女性」ではなく、魔物。これでは女性蔑視ですよ。国家権力を支える法体系や裁判制度を批判するには、異常者の狂気によるしかない?私にはそうは思われませんが。
霧の旗 (中公文庫 A 9-12) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (中公文庫 A 9-12)より
412200201X
No.54
(4pt)

心も凍る異常な復讐

「霧の旗」とは何の謂か。清張は意味不分明なタイトルをつける悪い癖があるが、本作もそうですね。思わせぶりの良さもいつもいつもではねぇ。

脂の乗り切った時期の作品なので、筆致は読みやすく流麗。ただしテーマとなると?ヒロイン桐子の復讐は、要するに逆恨みに過ぎないし、大塚弁護士はその被害者と言えるのではないか。大塚の愛人の絡んだ事件を併置することで辛うじて因果物語としては成り立っているが。
「エリートはエリートというだけで庶民の憎悪の対象とすべき」とでも言いたげだが、これって浅ましくないのか?清張の人気を支えていたのが、庶民のある種の妬み、嫉みだったとは言え、こうまで理不尽でエキセントリックな復讐は「とてもついて行けんわ」と思う人(特に男)は多いと思う。

大塚に弁護を断られても他の弁護士は大勢いるのに、ただ一途に大塚を怨む。殺人現場で工作までする。偽証する。兄の冤罪などもうどうでもよいとまで絶叫する。女を武器に大塚を籠絡し罠にはめる。自分の処女まで投げ捨てて大塚の名誉を汚す。桐子はまさに異常者である。異常者に痛めつけられる大塚欽三が可哀想に思われてくる。清張さん、この物語、これでよかったんですか?いくら「婦人公論」連載小説でも、このヒロインは「自立する強い女性」ではなく、魔物。これでは女性蔑視ですよ。国家権力を支える法体系や裁判制度を批判するには、異常者の狂気によるしかない?私にはそうは思われませんが。
霧の旗 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (新潮文庫)より
4101109206
No.53
(5pt)

清張と共に過ぎ去った45年の年月

高校生だったある日新聞で所得番付けに目を通すと松本清張が首位に立っていた此奴は何者なのだ?
おとうに聞くと作家だと教わった。その後彼の作品を全て読破したつもりだった二か月前テレビで清張特集があった懐かしさのあまり思い出しながら視聴させて貰ったが何処か違うストーリーはほぼ同じなのに脚本が現代風に差し替えられていたのだ、その日は何も考えずに眠った
翌日眼を覚ますとネットでキンドルを取り寄せている己がいた。出会いから45年ぶりに再読すると全ての疑問に解決した自分がいた。
清張生誕105年で時代は大きく変わった半生の記を読み彼の生き様は貧困 差別 戦争の体験を味わった苦い思いをペンで発散した天才だつたのだ学歴なくとも努力さえすれば道は開かれるという事を不語実行した凡人には近寄りがたい類を見ない才人ではなかろうか
再度全作品を読まずに死ねるかという結論にいたった。
霧の旗 (1962年) (中央公論文庫) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (1962年) (中央公論文庫)より
B000JALABY
No.52
(5pt)

清張と共に過ぎ去った45年の年月

高校生だったある日新聞で所得番付けに目を通すと松本清張が首位に立っていた此奴は何者なのだ?
おとうに聞くと作家だと教わった。その後彼の作品を全て読破したつもりだった二か月前テレビで清張特集があった懐かしさのあまり思い出しながら視聴させて貰ったが何処か違うストーリーはほぼ同じなのに脚本が現代風に差し替えられていたのだ、その日は何も考えずに眠った
翌日眼を覚ますとネットでキンドルを取り寄せている己がいた。出会いから45年ぶりに再読すると全ての疑問に解決した自分がいた。
清張生誕105年で時代は大きく変わった半生の記を読み彼の生き様は貧困 差別 戦争の体験を味わった苦い思いをペンで発散した天才だつたのだ学歴なくとも努力さえすれば道は開かれるという事を不語実行した凡人には近寄りがたい類を見ない才人ではなかろうか
再度全作品を読まずに死ねるかという結論にいたった。
霧の旗 (中公文庫 A 9-12) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (中公文庫 A 9-12)より
412200201X
No.51
(5pt)

清張と共に過ぎ去った45年の年月

高校生だったある日新聞で所得番付けに目を通すと松本清張が首位に立っていた此奴は何者なのだ?
おとうに聞くと作家だと教わった。その後彼の作品を全て読破したつもりだった二か月前テレビで清張特集があった懐かしさのあまり思い出しながら視聴させて貰ったが何処か違うストーリーはほぼ同じなのに脚本が現代風に差し替えられていたのだ、その日は何も考えずに眠った
翌日眼を覚ますとネットでキンドルを取り寄せている己がいた。出会いから45年ぶりに再読すると全ての疑問に解決した自分がいた。
清張生誕105年で時代は大きく変わった半生の記を読み彼の生き様は貧困 差別 戦争の体験を味わった苦い思いをペンで発散した天才だつたのだ学歴なくとも努力さえすれば道は開かれるという事を不語実行した凡人には近寄りがたい類を見ない才人ではなかろうか
再度全作品を読まずに死ねるかという結論にいたった。
霧の旗 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (新潮文庫)より
4101109206
No.50
(5pt)

ある冤罪

もしも、身近な人が冤罪になり、
そのまま冤罪を晴らされず亡くなったら…?

それからはじまる怖い復讐の物語です。
純粋な心を持って有能な弁護士に頼んだ若い女性。
しかしながら、有名・有能ゆえのプライドゆえに
それを断られてしまいます。

その結果彼女の兄は汚名をそそぐことができずに
亡くなってしまいます。

本来ならば弁護士側には
多忙、金銭面の問題から
非はないはずですが、実はこの男は
決定的な弱みを持っています。
(グレーなことをやっているのと倫理的に…)

結局偶然によりその女性に
弱みを握られることとなります。
そして…

この作品ほど「もしも」があればと思いました。
ラストの究極のことは
虫唾が走るかと。
霧の旗 (1961年) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (1961年)より
B000JANIXC
No.49
(5pt)

ある冤罪

もしも、身近な人が冤罪になり、
そのまま冤罪を晴らされず亡くなったら…?

それからはじまる怖い復讐の物語です。
純粋な心を持って有能な弁護士に頼んだ若い女性。
しかしながら、有名・有能ゆえのプライドゆえに
それを断られてしまいます。

その結果彼女の兄は汚名をそそぐことができずに
亡くなってしまいます。

本来ならば弁護士側には
多忙、金銭面の問題から
非はないはずですが、実はこの男は
決定的な弱みを持っています。
(グレーなことをやっているのと倫理的に…)

結局偶然によりその女性に
弱みを握られることとなります。
そして…

この作品ほど「もしも」があればと思いました。
ラストの究極のことは
虫唾が走るかと。
霧の旗 (1964年) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (1964年) (角川文庫)より
B000JAG27Q
No.48
(5pt)

超 悪女!

これ以上の悪女がいるだろうか?
しかも、偶然の出来事を利用してとことんまで相手を追いつめる。

数多く映像化された作品だが、小説の中の桐子は、美しいが、心の内ががほとんど見えず、暗い熱情を奥底に秘めた、恐ろしく不気味な存在として描かれている。

清張の小説に出てくる悪女たちは、欲望や野望を持ち、そのために緻密な計算をして男たちを操り、更なる高みへと上り詰めていこうとする。
そんな女たちは怖いけれどもその心情は理解できる。
欲望は誰にもあるから。

だが、桐子は、何の利益も、見返りも求めない。
復讐のためにだけしか、行動しない。
しかもその復讐も、ほとんど、理不尽としか言いようのないものである。

お金のためとか、欲望のために人をだます人の方が、よっぽど人間的に思えてくる。

失うものを持たず、復讐を遂げようとする、桐子のような女が私は一番怖い。
霧の旗 (1962年) (中央公論文庫) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (1962年) (中央公論文庫)より
B000JALABY
No.47
(5pt)

超 悪女!

これ以上の悪女がいるだろうか?
しかも、偶然の出来事を利用してとことんまで相手を追いつめる。

数多く映像化された作品だが、小説の中の桐子は、美しいが、心の内ががほとんど見えず、暗い熱情を奥底に秘めた、恐ろしく不気味な存在として描かれている。

清張の小説に出てくる悪女たちは、欲望や野望を持ち、そのために緻密な計算をして男たちを操り、更なる高みへと上り詰めていこうとする。
そんな女たちは怖いけれどもその心情は理解できる。
欲望は誰にもあるから。

だが、桐子は、何の利益も、見返りも求めない。
復讐のためにだけしか、行動しない。
しかもその復讐も、ほとんど、理不尽としか言いようのないものである。

お金のためとか、欲望のために人をだます人の方が、よっぽど人間的に思えてくる。

失うものを持たず、復讐を遂げようとする、桐子のような女が私は一番怖い。
霧の旗 (中公文庫 A 9-12) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (中公文庫 A 9-12)より
412200201X
No.46
(5pt)

超 悪女!

これ以上の悪女がいるだろうか?
しかも、偶然の出来事を利用してとことんまで相手を追いつめる。

数多く映像化された作品だが、小説の中の桐子は、美しいが、心の内ががほとんど見えず、暗い熱情を奥底に秘めた、恐ろしく不気味な存在として描かれている。

清張の小説に出てくる悪女たちは、欲望や野望を持ち、そのために緻密な計算をして男たちを操り、更なる高みへと上り詰めていこうとする。
そんな女たちは怖いけれどもその心情は理解できる。
欲望は誰にもあるから。

だが、桐子は、何の利益も、見返りも求めない。
復讐のためにだけしか、行動しない。
しかもその復讐も、ほとんど、理不尽としか言いようのないものである。

お金のためとか、欲望のために人をだます人の方が、よっぽど人間的に思えてくる。

失うものを持たず、復讐を遂げようとする、桐子のような女が私は一番怖い。
霧の旗 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (新潮文庫)より
4101109206
No.45
(2pt)

弁護士が気の毒

数ある清張先生の作品群の中ではそれほど優れた小説とは思えない。
復讐される側にそれほどの非があるように感じられない上に、いくつかの偶然の設定に無理があり過ぎる事が重なり、今一つ乗り切れなかった。多作であるが故、たまにはこの様な作品もあるのだろうと考えた。
霧の旗 (1962年) (中央公論文庫) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (1962年) (中央公論文庫)より
B000JALABY
No.44
(2pt)

弁護士が気の毒

数ある清張先生の作品群の中ではそれほど優れた小説とは思えない。
復讐される側にそれほどの非があるように感じられない上に、いくつかの偶然の設定に無理があり過ぎる事が重なり、今一つ乗り切れなかった。多作であるが故、たまにはこの様な作品もあるのだろうと考えた。
霧の旗 (中公文庫 A 9-12) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (中公文庫 A 9-12)より
412200201X
No.43
(2pt)

弁護士が気の毒

数ある清張先生の作品群の中ではそれほど優れた小説とは思えない。
復讐される側にそれほどの非があるように感じられない上に、いくつかの偶然の設定に無理があり過ぎる事が重なり、今一つ乗り切れなかった。多作であるが故、たまにはこの様な作品もあるのだろうと考えた。
霧の旗 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (新潮文庫)より
4101109206
No.42
(5pt)

怖いです。

先に若い時の山田洋二監督による同作映画をビデオで見ました。原作をかなり忠実に映画化していたので、読みながら映画のシーンがよみがえってきました。
松本清張のミステリーの名作中の名作の一つですね。若い主人公の女性の執念が怖いです。読みながら背筋がぞっとしました。
霧の旗 (1962年) (中央公論文庫) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (1962年) (中央公論文庫)より
B000JALABY
No.41
(5pt)

怖いです。

先に若い時の山田洋二監督による同作映画をビデオで見ました。原作をかなり忠実に映画化していたので、読みながら映画のシーンがよみがえってきました。
松本清張のミステリーの名作中の名作の一つですね。若い主人公の女性の執念が怖いです。読みながら背筋がぞっとしました。
霧の旗 (中公文庫 A 9-12) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (中公文庫 A 9-12)より
412200201X
No.40
(5pt)

怖いです。

先に若い時の山田洋二監督による同作映画をビデオで見ました。原作をかなり忠実に映画化していたので、読みながら映画のシーンがよみがえってきました。
松本清張のミステリーの名作中の名作の一つですね。若い主人公の女性の執念が怖いです。読みながら背筋がぞっとしました。
霧の旗 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (新潮文庫)より
4101109206
No.39
(4pt)

余韻を残す古典的作品

山田洋次が監督を務めた松竹のモノクロ映画(1965年)の印象が強すぎて,原作の味わいはどうだろうかと思いましたが,松本清張の文章力に引っ張られて北陸に向かう列車の中で一気に味読できました.ミステリー作品のプロトタイプとなる原作です.ストーリーに多少の無理はあっても,裁判記録の詳細や司法解剖の記録を織り交ぜて臨場感たっぷりの仕上げです.読者の推理力や想像力を喚起し,読後に余韻を残す古典的作品だと思います.
 物語の舞台は昭和35年前後の銀座,丸の内,新宿であり,当時の雰囲気がよく反映されています.小倉での高利貸しの老女の殺害に関して無実の罪で起訴され,一審で死刑判決を受けたまま獄死した兄の無念を晴らすため,柳田桐子は兄の弁護を無碍に断った弁護士大塚欽三への復讐に執念を燃やします.柳田桐子の私怨に発して,大塚弁護士の愛人河野径子にかけられた殺人の嫌疑をネタに大塚を追い詰めて行きます.最後は桐子の私怨が偏執的愛憎に昇華してく過程が描かれ,その心理が巧みに描写されています.愛人河野径子に対する大塚弁護士の必死の献身に,桐子はある種の嫉妬を覚えたのかもしれません.

柳田桐子の顔が,最後まで映画の主役を演じていた倍賞千恵子の表情と重なってしまいました.
霧の旗 (1962年) (中央公論文庫) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (1962年) (中央公論文庫)より
B000JALABY
No.38
(4pt)

余韻を残す古典的作品

山田洋次が監督を務めた松竹のモノクロ映画(1965年)の印象が強すぎて,原作の味わいはどうだろうかと思いましたが,松本清張の文章力に引っ張られて北陸に向かう列車の中で一気に味読できました.ミステリー作品のプロトタイプとなる原作です.ストーリーに多少の無理はあっても,裁判記録の詳細や司法解剖の記録を織り交ぜて臨場感たっぷりの仕上げです.読者の推理力や想像力を喚起し,読後に余韻を残す古典的作品だと思います.
 物語の舞台は昭和35年前後の銀座,丸の内,新宿であり,当時の雰囲気がよく反映されています.小倉での高利貸しの老女の殺害に関して無実の罪で起訴され,一審で死刑判決を受けたまま獄死した兄の無念を晴らすため,柳田桐子は兄の弁護を無碍に断った弁護士大塚欽三への復讐に執念を燃やします.柳田桐子の私怨に発して,大塚弁護士の愛人河野径子にかけられた殺人の嫌疑をネタに大塚を追い詰めて行きます.最後は桐子の私怨が偏執的愛憎に昇華してく過程が描かれ,その心理が巧みに描写されています.愛人河野径子に対する大塚弁護士の必死の献身に,桐子はある種の嫉妬を覚えたのかもしれません.

柳田桐子の顔が,最後まで映画の主役を演じていた倍賞千恵子の表情と重なってしまいました.
霧の旗 (中公文庫 A 9-12) Amazon書評・レビュー: 霧の旗 (中公文庫 A 9-12)より
412200201X