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秘密
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秘密の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全480件 221~240 12/24ページ
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300を超えるレビューがあるとおり、傑作です。ただし、この物語はミステリー・SFの分野のものであり、純文学ではありません。夫婦(家族)の関係という舞台設定において、主人公であるまじめな夫が、極限の状態から解放される直前に、またしても悪夢の世界に突き落とされて終わる物語です。今、ドラマ化されていますが、TV「世にも奇妙な物語」で映像化されるような作品とも言えるのでは。「秘密」というすばらしいタイトルといい、超一流のミステリー・SF作品です。よって、家族愛・夫婦愛を描いた作品と勘違いをしてしまうと、色々な方が書いているような死んだ娘への親の感情が書き足りない等々意見が出てしまうのでょう。言い換えれば、勘違いさせるだけの作者の筆力がある作品ともいえるのではないでしょうか。ここで、あえて多くの方の議論に対して私見を、不幸にして娘と妻の魂が入れ替わってしまったこの物語において、娘の魂が入った妻の体が荼毘にふされると同時に、娘の魂はこの世に存在できなくなったはず。当然作者も、娘の魂が戻ってくることなどと当初から想定しておらず、もし戻すならば、お約束として妻を植物人間として生かせておいたのではないか。よって物語の中でも、娘の体で生きていいる妻は、ある時点で、二度と娘の魂が戻ってこないことを悟ったと考えるべきで、その時から妻であることと新しい人生への誘惑の葛藤が妻の中であったのでは、それは意図的なのか無意識なのかは作者のみ知るところか。仮に妻の言うとおり、娘のために人生を用意したなら、結婚は出来ないとは思いませんか。下品な表現ですが、夫婦の行為の時に11歳の娘の魂が戻ったらと考えれば、母としては恐ろしくて結婚できないのでは。みなさんどう思いますか。 | ||||
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数年前に読みましたがドラマ化に際し、もう一度読んでみました。展開や結論が分かっているのにも関わらず、心が震えるような感動があるのは、描かれているのが普遍的な愛だからでしょうか。東野圭吾作品には、当たり外れがありますが、本作は間違いなく代表作と呼べるものでしょう。 | ||||
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読み始めは、なんだか軽いストーリーなのかぁ、と思いましたが、読み進んでいくうちにどんどん引き込まれていきました。設定は現実的ではないのですが、その状況下におかれた主人公たちの心情や苦悩の表現は現実にありそうと思えるほどです。読後感ですが、タイトルが持つ意味が深いと感じました。カバーのイラストも読後に見ると、なるほど、と思いました。私にとっては、この「秘密」と「さまよう刃」「容疑者xの献身」が、東野圭吾作品のベスト3です。 | ||||
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傑作でしょう、間違いなく。 なんで、傑作だと思うんだろう。 泣けて泣けて仕方ない、ということはない。 でも、読んでいる途中も、読んだ後も、「心」がむなしくて 仕方ない。永遠に生きていきていきたい。 いや、この物語が、どうか終わらないで欲しい。 そんな感覚、感動がいつまでも、残る。 なぜなんだろうか。 夫婦って何だろう。 肉体と心って何だろう。家族ってなんだろう。親娘って何? 人間が生きるって何?年齢を重ねるって何? 結局、この世に生まれて、結婚して、子供を育てて、 この世代の継承と、自分には何の意味があるのか? このファンタジーにはさまざまな気付きを読者に与える インパクト、パンドラの箱が入っていました。 東野圭吾は、傑作を書きました。 それは間違いがありません。 | ||||
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私は、この物語は人間の誰の中にもある現実を、見事に表していると思います。本当に愛し合う夫婦の間にも、ギクシャクとした空気が流れる・・・ 私も、映画・ドラマ・原作本のどれにも接しましたが、やはり原作の設定が一番だと思います。ドラマや映画では時間を省略するためか、事故にあうのは年頃の「藻奈美」ですが、やはりこの話は「小学生の藻奈美」が主役であるほうが作者の意図が明確になるような気がします。 この物語には「事故後自分の子供となった直子を守ろうとする平介の愛」。「思春期になった藻奈美(直子)が平介に嫉妬させないように気遣う愛(これが逆に嫉妬を煽ってしまいますが)」、「通常の親子に戻り直子を悩みから解放させようとする平介の愛」、「とは言っても自分が直子のままでは平介が平常心ではいられないことを理解し、藻奈美になりきろうと決めた直子の愛」。それ以外意にも「昔別れた文也を本当の子として助けようとする梶川の愛」など多くの愛がちりばめられています。 しかし、すべての愛の裏にはその犠牲になっている人もおり、それが納得できない読者の方を生んでいる理由だろうと思います。特に、高校生になった直子が平介を裏切ったようにも取れる行動をしますが、私はそうは思いません。私たちだって、家族がいても病院の看護婦さんに心ときめいたり、ママさんバレーのコーチに淡い恋心を抱いたりしますよね。直子も自分の立場は理解しつつも、この程度の心の動きだったのではないでしょうか。でも、心配させまいとして語らなくなった直子と、それによって疑いを募らせた平介。二人のすれ違いは極限に達したのではないかと思います。 いずれにしても、私はこの本を読み終わり、私は他の方々がどのような感想を持たれたのかに興味を持ち、インターネットで多くのレビューを読みました。そして、「あの時、直子はあんな態度しか取れなかったのだろうか?」、「平介が素直に自分を晒していたら・・・」、「直子は本当に藻奈美になりきるしかなかったのか?」、「結婚式の後、二人はどうなったのか?」等々、この小説の続きを書いてみたくなるほどいろいろ考えました。他の多くの方もおっしゃっているように、読んでいる時間以上に、尾を引き余韻の残る素晴らしい一冊です。 | ||||
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娘の体に精神を宿した直子。「娘に最高の器を残す」という使命の中、前半はコミカルに話が進む。 しかし、高校を迎えたときには、娘のための努力が愛する夫を傷つけてしまうものでしかなくなってしまう。 直子は悩みに悩み抜いた上で、一つの提案を平助にする。 セックスをして、夫婦としてのつながりを戻そうということだ。 もちろんそれがうまく行くか分からないが、それに賭けてみないかという提案だ。 平助がそれを受け入れ、体は父娘のままセックスをし、精神上夫婦としてつながり合いながら生きていくという選択肢もあっただろう。 もちろん、世間には言えるはずがない、秘密な生活として・・・ しかし平助は理性でこれを拒否した。拒否せざるを得なかった。 いつか娘の精神が戻ったときに、最高の器を残したい、それは直子だけの願いではないのは言うまでもない。 直子はまたしても悩むことになる。自分の存在のせいで愛する夫を傷つけ、何も解決策がないまま過ごすだけしかできないのだろうか。 そんな中、平助から重大な決断が下されたことを聞く。今後は直子を娘として扱うと。直子を苦しみから救うのはこの方法しかないと。 夫の自分に対する深い愛情を聞いた直子も、悩んだ末に一つの決断をする。ならば、夫が一番傷つかない形で、その愛に応えよう。 それを永遠に自分の秘密にしよう。 ・・・直子の心情は意図的に書かれておらず、人によっては自分勝手な女と映るだろう。 自分には、直子も、その心を大きく揺らし悩みながらそれを一人で抱えていた、可哀想な女に映る。 | ||||
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私は映画版を見て「秘密」形を変えた夫婦の生き方について衝撃受けた記憶は今でも鮮明に覚えてます。交通事故をきっかけに亡くなった母は娘の体に宿り生きていく葛藤、夫婦としての葛藤など多くの難関が二人に降りかかる物語に感動しました。映画版と設定違いますが伝えたい想いは同じです。ラストに向けての付箋は小説版が詳しいです。2010年TVドラマとして放送開始で視聴して満足しました。あのラストへ向かってのドキドキ感は切なくも儚なくもなります。これからの展開見守ります。作者さんへ再販希望です素晴らしい作品ありがとうございます。 | ||||
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読み終えて2日目になりましたが、今だに立ち直れません。(笑) あと一週間くらいかかるかも。 映画になり、ドラマにもなった。 それだけのことはある。 命。親子の愛情。夫婦の絆。 すれ違いとギャップ。 そして、運命。 事故の被害にあった家族達。 事故を起こして逝ってしまったバス運転手にも、家族にかかわる複雑な背景がある。 直子と藻奈美、そして主役の平助。 巧みでよく錬られたストーリ。 微妙な人間心理と意表を突く展開が重なり合う。 読み手の心を揺さぶり続けながら、最後までぐいぐい引き込む。 そして、このまま感涙路線で終わりかと思ったら。。。。 なんともいえないエンディング。 見事な傑作小説だということは認める。 しかし、この最後の部分は、 ミステリー作家としては当然このように持ってゆくべきオチなのかもしれないが、 一気に打ちのめされてしまった。 | ||||
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ほとんど本を読まなかった私が 最近時間ができて読書をはじめました。 ただ、ここ数冊は読んだあとに時間の無駄だったかな、はぁ。 とため息が続いており、 虚無感というのか寂しさというのか、私事もあいまってか、悲しいような気分でした。 そんな中、面白い本に出会いたくてさまよっていた所、 なにげもなく手に取ってこの本に出会いました。 難しい事は語れないのですが、 とてもおもしろかったです。 著者の巧みさに驚きました。 本の感想を書くのも 始めてなので(学生時代の読書感想文をのぞく)うまく表現できませんでしたが、 一気に読み進み、読んで良かったと思える本でした。 現在平成22年10月。 平成10年9月に単行本が刊行されていたとあとで知りました。 少しも古さというか、違和感がありません。 むしろなにか新鮮ささえも感じました。 この本に出会えて良かったです。 | ||||
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【ネタバレ】 先ほど読み終わりました。いやー、すごく後を引く小説ですね。感動作、なんて一言で片付けることが到底できない。 他の方のレビューを見ていると、衝撃のラストに賛否両論、といった感じですが、最後のシーンは決してひとつの事実を示しているのではなく、解釈は読み手に任されています。直子のままで藻奈美は最後まで出てこなかったのかどうかは、明示されていません。もしかしたら、直子が藻奈美に手紙を書いて、テディベアの中に指輪があること、それを自分の指輪に作り変えてほしいこと、そうすれば直子がずっと藻奈美のそばにいれるから、と、直子が消える間際に伝えてたのかもしれません。 平介が2回殴ったのは、最後の6年間は間違いなく平介にとって藻奈美=直子、だったわけで、そういう意味で殴ったのかも・・・。 と解釈すれば、「直子が藻奈美と直子の2つの人格を、平介の前で演じきれるわけがない」というツッコミも意味を成さなくなります。だって、藻奈美は実際に蘇ったんですから・・・。 ・・・なんて、話は尽きないですね。 解釈はいくつもあれど、現実に妻と幼い娘がいる私としては、読後、「妻と娘の存在の大切さ」を改めて実感させてくれた小説でした。帰ったら妻と娘を無言で強く抱きしめてしまいそうです。 | ||||
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「直子の気持ちがわからない」という感想が多いですが、 私はとても共感出来ました。 もし、自分が娘の身体に入ってしまったら・・・ しっかりと娘の一生を引き継いであげたいと思います。 これからもずっと続くはずだった娘の人生を、終わらせるなんて考えられません。 娘の代わりに生きてあげたい!と思いますね。 若い身体になって人生をやり直しているわけではないんです。 自分の人生を終わらせて、娘のために生きていくのです。 平介に対しては、娘として親孝行してあげればいいと思うのです。 平介にとって「娘の姿をした妻」と暮らすよりも、 「普通の娘」と過ごす方が幸せだと思います。 ただ、私が直子なら結婚せずに独身のまま平介のそばに いてあげるという選択もあったかな〜と。 でも、正直、「夫」よりも「娘」が大切なので、 娘にとって一番幸せであろう道を選ぶでしょう。 「あなた、ごめんなさい・・・」 | ||||
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直子の選択を批判している人はちゃんと読んでいるのだろうか?その選択には過程がある。すごく感情移入しました。クリスマスのぐたりから平介が父として生きる決心をした時の2人の心情が伝わり、やるせなかった。時間をかけて読んで欲しい作品 | ||||
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切ないです。 途中涙で文字が歪んで見えてしまい読むのが大変でした。 山下公園ですっかりハッピーエンドで終わるものかと思ってたので…。 平介が25歳の藻奈美のウェディングドレス姿を褒める文也に対し「三十年も前からわかってる」と言ったことにぐっときました。 一気に読んでしまいましたが、何度も読み返しては奥が深いなと感じています。 | ||||
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今ある現実をどう受け止めていくのか。 前向きに転換していくのか、いけるのか。 仮想の物語だからこそ、非常に深い内容を提示している。 物語終盤、事故を起こしたバス運転手・梶川の残した言葉が、主人公・平介を打つ。 「昔、自分と文也との間に血の繋がりがないと聞かされた時、 父親の気持ちになれるかどうかということばかり考えた。 自分が愛する者にとって幸せな道を選ぶという発想がなかった。 あんなに文也のことが好きだったのに、俺は何という馬鹿だったのか」 梶川の心を知った平介は、自分を省みる。そして決意する。 そして、平介の心を理解した妻・直子が苦悩する。 そして娘・藻奈美があらわれてくる。 しかしそれは単に妻が消えて、娘が戻ってくるというストーリーではなかった。 最後の最後、”秘密”というタイトルが指すものがわかるにつれ、 直子が何を考え、決断したのか、衝撃と共に読み手は思いをはせる。 これは、妻があり、子がある父が、読むべき本と感じる。 私自身がそうだから。 ”自分が愛する者にとって幸せな道を選ぶ”ことが、 男が父親へとなる大事な転換点であり、覚悟だと知った。 それを思えばこそ、直子の夫への深い愛が胸に迫る。 言葉がなくとも痛く刺さる。 夫婦、家族を考える上で、非常に大事な何かを考えさせてくれる名作。 そして、最後、この物語の将来を想像するとつらすぎる。。。 極限のなかだからこそ、つきつけられるもの、わかるものがあるのか。 あくまで小説でよかった。 | ||||
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その「秘密」とは、 妻の思いやり。そして、夫の優しさだと思います。 胸が苦しくなりました。 | ||||
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この作品でのテーマは夫婦の愛だと感じた。途中までの両者の葛藤、そして平介の嫉妬を交えた心理の描写はさすがだと言える。そして平介視点で物語が進むため、直子の本当の心理が語られない故の賛否両論のラスト。読み終わった後に深く考える事ができ、小説としてはかなりの名作だと自分では感じた。しかし何故最高の評価を付けなかったかと言うと、『夫婦』に視点を向け過ぎ、『家族』を無視したからだろう。あの終わり方だと娘があまりに可哀相ではないだろうか。平介と直子以外は娘がいなくなった事も知らず、思われる事も無い、直子の決断は娘を完全に消す決断だったとも言える。もう少し『家族』への愛があれば完璧な作品になったと感じた。 | ||||
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読書が好きでたくさんの小説を読んできましたが、 その中でもダントツで一番に感動し面白かった小説です。 交通事故で娘の体に意識が宿ってしまった母親:直子。 妻と知りながらも直子を娘:もなみとして接することになる夫:平介。 夫婦であろうとしながらもだんだんとすれ違っていく二人。。 娘として父親を嫌悪する気持ちがでてきたことに戸惑う直子や 若い男に嫉妬してしまう平介、きれいごとだけでは解決できない性の問題。 二人の心理描写が実に巧みで、、どちらの気持ちも痛いほどわかり、切なくてたまりません。 そして夫婦が壊れかけたとき、もなみの意識がよみがえり直子の意識は消えていく。。 ここまでならまだ想像どおりの泣ける話なのですが、 この本がすごいのはラストの数ページです。 ラスト数ページで見事に予想をひっくりかえされ、さらに切なく泣けてしまいます。 読後にいつまでも余韻ののこる本です。 あまりに大好きで自分用と人に貸す用の2冊もっており ことあるごとに人に勧めています。 また今まで勧めた人全てに読んでよかった!と言われています。 ぜひ一人でも多くの人に読んで欲しい一冊です。 | ||||
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まずこの本は凄い。絶賛の理由はとにかく読後に残ること。 一般に良い小説には2通りあり、1つめはぐいぐい引き込まれること、つまり読んでいる最中に楽しむ本。2つめは読み終わった後に強烈に後を引くこと。つまり読み終わった後に楽しむ本。 東野圭吾の『秘密』は完全な後者であり、その残り度は小説の中で群を抜いている。匹敵できるのは、同じ東野氏の『容疑者Xの献身』くらいだろう。 その上で1点のみ、本作に不満を感じた。ラストのひとひねりは無い方がよかったのでは? つまり藻奈美の意識が甦ったので直子が姿を消す、で終えれば完璧だったと思う。これなら直子の選択に読者は納得できる。なぜならその場合、直子には、平介以上に藻奈美に対する責任があるからだ。 藻奈美が眠れば自動的に直子が現れるのでは、新婚生活が崩壊する。よって娘の人生のためには、直子は消えざるを得ず、そこに一切のモヤモヤは発生せず、読者はすっきりと号泣できる。 ところが最後のひとひねりを加えると、つまり娘は戻ってきておらず直子の自作自演だったとすると、直子は消える必要がない。 新婚家庭では藻奈美を演じ、平介の前ではこれまで通り直子に戻ればよい。従来と同じのやり方で、娘の体を預かっている責任と、平介への愛の両方を問題なくこなせることになる。よって本書のラストを採用するなら、直子はなぜ消えたの? というモヤモヤが残る。 意地悪な見方をすると、直子はこの場合、自分自身のために消えたように見える。二重生活を続けることが面倒になった、あるいは娘になりきって第二の人生を歩みたくなった。いずれにせよ自分(と娘)を優先して平介を見捨てたように見える。最後の指輪のくだりは、そのためのエクスキューズに見える。 最後の恋愛発生の件でも、藻奈美だから若い男に惚れるのが自然なのであって、その正体が実は直子だったら、「げっ」 となる。 平介という旦那がおりながら、なぜ若い男との再婚に踏み出すのか? 若い体を手に入れた女房に捨てられたように見えるとすれば、既にいくつかのレビューにあるように、「平介がかわいそうすぎる」。それが一部の読者に後味悪く感じさせ、賛否両論の源になったかもしれない。 とはいえ、それ以外の部分が素晴らしいので、星5つの評価は変わらない。他の人にも勧めたい。 | ||||
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「殴らせてくれ」 妻と一人娘を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀のあと、意識取り戻した娘に宿っていたのは妻の人格だった。 夫として、父として。そして、男として生きる葛藤を学んだ。 | ||||
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間違いなく傑作。前半は明るい雰囲気があるが、その中でも忍び寄らざるを得ない将来の不幸が見え隠れしている。 後半は涙が止まらない。 陳腐な言い方になるけど、だんなへの、妻への無私の愛。でもそれを遂げると、愛する人が他人の元に行ってしまう。 これは愛なのか?これでも夫婦なのか?だからこそ夫婦なのか? 夫婦だからこそセックスに対して冷静になれ、そして相手に対する残酷さに気付いてしまうんだろう。 これが恋人同士だったら、こんなにも悲しい話ではないのに。 娘の体を幸せにすることが娘への愛なのか? 考えさせられると共に、妻を、家族を愛することで幸せになれるという自分の立場が、こんなにも有り難いことなのかと、思った。 | ||||
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