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(短編集)

キミトピア



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【この小説が収録されている参考書籍】
キミトピア

キミトピアの評価: 3.80/5点 レビュー 10件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.80pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(5pt)

プレゼント用に購入

絶版しているらしく新品はプレミア(?)が付いて高すぎたので中古本を購入しましたが、特に気になるような汚れも無く、配送期間も早かったので満足です。
キミトピアAmazon書評・レビュー:キミトピアより
4104580066
No.9:
(5pt)

リアルな非現実感

舞城王太郎ファンです。
一番のお気に入りの短編は「やさしナリン」。
身近でもやさしさが暴走しがちな人がいるので、とてもリアルに感じました。
そして、小説ならではの吹っ飛んだ展開。
このふたつのバランス感覚が、とても絶妙です。
キミトピアAmazon書評・レビュー:キミトピアより
4104580066
No.8:
(3pt)

そりゃあ芥川賞は取れないよね

もとより作者本人も取る気なんてないんだろうけど。

「美味しいシャワーヘッド」の話だ。なぜ取れないか?単純な話だ。これは現代版・村上春樹に過ぎないのだから。それも非常によく出来た。とはいえ、村上春樹が取れていないものを、同じことを同じように書いた舞城王太郎が取れるはずがない。

判っているのに判らないということにしてしまう、そういう気持ちの仕組みを構造的に抱えている「優しい」「僕」、実生活上の処理能力はそれなりにあるし、努力しなくてもいつのまにか女の子には好かれる、けれど読者にははっきりとは示されないまま彼女たちとの関係は喪われていく。その合間合間に断片的に挿入されるちょっと不思議な日常生活のエピソード。そして最後、また女の子が現れて、彼女の手引きで"異界"へと導かれた「僕」は、そこで僅かばかりの救いを与えられる。

筋が一緒なら書かれていることも一緒だ。
例え舞台が現代の東京・調布に移り、小道具が現代風に刷新され(漫画、映画、ネット上の巨大匿名掲示板)、「僕」の仕事が農業用機械の営業社員になっていたとしても。

まあ、作者本人も自覚的に書いているのだろう。お遊びか、あるいはオマージュか。
いずれにせよ、内容的には40年前に書かれた小説から一歩も前進していない。そんな作品が賞を取れるはずがない。

とはいえ、作中の会話は軽妙で、エピソードもアイデアに富み、文章はテンポ良く、全体として面白いと感じさせる。
それは「美味しいシャワーヘッド」に限らず、本書収録の各篇を通じて感じることで、その点では作者の力量を十分に感じた。

まあ、時間潰しに選んでも損はないと思います。
キミトピアAmazon書評・レビュー:キミトピアより
4104580066
No.7:
(5pt)

山なしオチなし意味深長

全く意味わかんないし、意味ないような物語ばっかり書いてる舞城だけど、 毎回、根底には明確な一個のテーマがある。 そんなところがいい。 この短編もそんな感じ。 衝撃の展開とかどんでん返しとかすっきりした読後感とか、 そういうのがもてはやされがちだけど、 この小説にそんなものはない。 ってか舞城はそんなのばっかだ。 全部どこかもやっとしたまま、で、なんだったの?ってオチばっかだ。 でも、そんな作品を書ける作家がいてくれることが嬉しい。
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No.6:
(1pt)

表紙は文芸作品っぽいが、実際にはラノベ臭い

小説のつもりで読んだのだが、内容はラノベ。

フォントが大きくなったり、キャラの台詞も「~~的な」、という若者言葉?が乱発されたり。

添木添太郎のオチというか展開は意外かもしれない。

普通ヒロインの方とくっつくと思うよね。

でも最初に出てきた嫌な女とくっつくという。

いや正確にはくっ付いてないが。最後も、これで終わりかよ、って感じ。
キミトピアAmazon書評・レビュー:キミトピアより
4104580066
No.5:
(4pt)

新境地(?)の「美味しいシャワーヘッド」がオススメ

どの短編も舞城ワールド溢れる作品で、ファンとしての満足度は高かった。星を一つ削った理由は、過去の作品に似ているお話が一部あったのと、サイコな登場人物や人間心理深掘り会話の連打に、近頃体力減退気味の中年オサーンの私は少し疲れちゃったためである。

 そういう点では、得意のイってるキャラを登場させず、志賀直哉のように小さなエピソードを淡々と紡いだ芥川賞候補作「美味しいシャワーヘッド」は本書の収穫だった。(決して完璧な作品ではないんだが、更なる伸びシロを感じさせるというか。)主人公の母親とのエピソードのように消化が今ひとつできてない話さえも、リアルな空気感で読めてしまうのが流石である。だって、実際に僕らは毎日の生活の全てを言語化し、理屈に落としているわけではないからだ。そして、まさにその言語化作用について書かれたのが、まえがき的な1ページ目であり、最初に収められた短編「やさしナリン」だったりするという編集もお見事である。良い作家だなあ。
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No.4:
(3pt)

クセが強いので結構苦手。

第148回芥川賞候補作「美味しいシャワーヘッド」を収録した中短編集。
舞城王太郎さんの作品は初体験。かなりクセのある文体の作家さんだというのは聞いていて、初めてならこれがお薦めと何人から言われたので手に取りましたが……うーん、文体よりも物語にクセがあるなぁ。

7編の物語とも物語が向かう方向に意外性があって、言葉の選び方一つ一つが特徴的。現実の世界で、あまりウチの周りにいないタイプの登場人物でその違和感が時々、イラッとさせられます。

「やさしナリン」は夫婦の物語。人の可哀想に異常に反応してしまう夫とその妹に振り回されながら、関係を再構築していく過程が伺えます。
「やさしナリン」という言葉の選び方が単純に凄いなぁと思いつつ、突き放した見方に同調仕切れず消化不良。

「すっとこどっこいしょ。」「ンポ先輩」「真夜中のブラブラ蝶」は登場人物に受け入れづらい方が登場するので、読んでいると結構苦痛。

一番好きなのは「あまりぼっち」かなぁ。
ある日突然、自分の目の前に現れる"昨日の自分"。別居中の妻子の元に向かうも、その日の晩には"昨日の自分"は消えてしまう。
SFな設定ですが、他人に興味のない今の自分と、消えてしまう不安を抱えた昨日の自分との対比が面白いですね。
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No.3:
(5pt)

2000年代以降の感性を捉えさせたら超一流

文学作品を評価する観点には様々なものがあると思いますが、私が舞城王太郎の作品を好きな理由は、そこに2000年代の現代的な感性が描かれているように感じられるためです(ちなみに、70〜80年代なら村上春樹や村上龍の捉え方が、80〜90年代の感性なら阿部和重の捉え方がいいと思っています)。

本作は「やさしナリン」、「添木添太郎」、「すっとこどっこいしょ」などの短編からなっています。それぞれ短編だけに、ネタバレにならずにその感性の魅力を伝えるのはとても難しいのですが、例えば冒頭におかれた「やさしナリン」の描いているのは、「優しさ」に含まれる「善意」の問題。「善意」が持つ容易にあらがいがたい力が、いかに人を疲弊させ、ときに傷つけるかを実に上手く描いていると思います。今を生きる私たちの心の中を、薬の成分みたいに区分していったら、そこには何が残るんでしょうか。色々考えさせられる作品です。

そして、その事態を「やさしナリン」と名指す感性に痺れます。ある種の概念への命名は、問題を〈〉でくくって棚上げせずに、正面から取りくむときにどうしても必要なものだと思います。その点、舞城王太郎は名前を付けることから逃げないところも良いと思います。

私が読んだ短編集としては今年(8月時点で)一番の出来! 初期の作品に比して文体的な癖も減ってきましたし、好みの分かれる世界観までをも疑うミステリー(といっていいのかどうか? 私は好きですが)のような癖もほとんどありません。舞城王太郎食わず嫌いの方に是非読んでいただきたいです。そしてここからはまって、『煙か土か食い物』などの優れた長編にもトライしてみてほしいです。
キミトピアAmazon書評・レビュー:キミトピアより
4104580066
No.2:
(4pt)

日常の羽目板が外れて底なしのホラーの穴へ?

舞城王太郎、初めて読みました。
とても文章が巧い。
7篇すべて一人称の語りですが、男性4人、女性3人の語り手いずれも、キャラクターが活き活きと眼前に浮かびます。現代口語調がまことに自然でリズムがよくて、読むのが気持ちいい。
中身も面白い。
日常がわずかに崩れ、その崩れ方がだんだんと大きくなり、最初は軽い寒気だけだったのが、次のページをめくるのが怖くなってくる。
たとえば、単なる青春小説みたいだった『すっとこどっこいしょ』で、枡琉(ますうる)という変な名前の女の子が、屋根裏部屋に潜んでいた「俺」を「手製の薙刀」で下から突き刺すという予想外の展開に、うわっ、こりゃあナンだ!と仰天(これ「掛詞」になっています、説明は本書122ページにあり)。突然、どうして忍者映画になるんだよ。ますう、怖すぎ。
しかし、どの小説も、途中はいろいろ怖いのに、最後は何か拍子抜けで終わっている感じがします。そのため、結局印象が薄まり、怖さがなくなってしまう。たとえば、薙刀(いや、これは槍でしょう)で串刺しにされた「俺」は人工透析しなければならない身体になるのだが、あたかも他人事みたいにしか語っていない。人生の選択肢は「まったく減っていない」とうそぶくのだ。そんなはずなかろうに。
どの小説もどこかで読んだ気がします。こういうのって、1960年代、70年代のアメリカのSFによくありました。SFといってもサイエンス系ではなく粋なセンスを売りものにするファンタジー系。昨日の自分と「僕」が出会うという『あまりぼっち』の趣向など、いくらでも例があります。記憶がはっきりしませんが、日本では星新一のショートショートに類似のものがありませんでしたか。
でも、いちばん似ているのは1970年代、80年代の筒井康隆。若いときの筒井の作品と比べてみると、『キミトピア』で感じられる拍子抜け感がなぜなのかが分かります。ナンセンス・ホラーとして突き抜けていない、はじけそこねているんですね。
普通の主婦がだんだんと日常から外れていく『真夜中のブラブラ蜂』はとても面白くて、きわめてリアルかつすばらしく異常な展開なんだけど、最後のエピソードがリアリティーに欠けていて、盛り下がっちゃう。筒井康隆だったら、ここぞとばかり徹底的にリアルにグロく、もうやめてと言いたいくらい詳細に書き込むだろうに。舞城王太郎はあっさりしすぎ。
面白くて、かつ感動したのは『添木添太郎』。子供の世界が実によく描かれている。大人になることの悲しみがにじみ出ているのです。
いちばん怖かったのは『ンポ先輩』。「心の穴」が実体化していくというのは、思い出すだけでもゾクゾクと寒気がしてくる。
ごちゃまぜ小説『美味しいシャワーヘッド』のエピソードの一つに出てくるキチガイ女(とその「つれ子」の「チイちゃん」)も怖い。
冒頭の『やさしナリン』はアイデアだけという感じで怖さが足りない。最初にこれを読んで、残りの6篇も全部こんな調子だったら400ページ超を読み通すのは辛いなあ、と心配したら、後はなかなか上出来の作品ばかりでよかった。筒井康隆のような天才と比べたのはちょっと酷だったかな。
でも、舞城さん、もっと徹底してはじけてくださいよ、そしたら筒井を超えられそうな才能をあなたは持っている。
キミトピアAmazon書評・レビュー:キミトピアより
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No.1:
(3pt)

舞城ワールド

なかなか楽しい7つの短編集。

それぞれに変な味があって、すっと落ちないところが面白い。クセになる。

最初に1ページのカップルのじゃれあいのような短編で、タイトルの説明があって、
それを読んで読者がなる「置いてきぼり感」が、この本全体や、舞城王太郎をあわらしていると私は思った。

言っていることにとても同調できて、共感を持つのだけれど、
結局それの納得のし所がない感じ。はっぴーえんどで「ちゃんちゃん♪」ではなく、
「で?」「なんだったんだろうな?」って感じ。

・やさしナリン
「すっごい同情心のあるお人好し」の話?
こういう人いるよなーって思うところの掘り下げでストーリーが進んでいくんだけど、
もっともっといろんな展開があって、主人公と一緒に読者もイライラしながら、複層していくのかと思ったら、
突如終わった。しかも、過剰なお人好しによって話がややこしくなるのとは、別の軸でまとめ上げた。(名は体を表す的な)

・添木添太郎
子供の純なストーリー(怪奇含め)のような感じで読んでいたけれど、
結局これも落ちどころがわからない。
怪奇なことがあっても、そういうこととして話が進むから、物理的な不都合感とかは拭って読んだものの、
でっかい山が出現する。
どういうところがダメだったのか、わかんないまま。救われない。

・すっとこどっこいしょ
ドタバタコメディーで、青春感溢れていてヨシ。テンポも良い。

一部だけ、
「巫子さん」はわかるけど、
「タキシード仮面」「お相撲さん」「エロゲ主人公風の男」に言い換えている繋がりがわからなかった。
あと、Raccoonという名前には、モチーフあるのだろうか?

・ンポ先輩
きっと、最後の一文を思いついてからストーリーが構築されたんだろうと思う。
それが言いたいだけの、おかしな話。
そう思うとオチがつくから、まだ納得感がある。

・あまりぼっち
一番ありえないけど、物語として一番しっかりしてる。
「恋はデジャブ」を思い出したけど、そう言うタイムトラベルものとも違って、
変化が起こった自分と、変化が起きていない自分二人の気持ちを想像する事になって不思議な感覚を貰えた。

・真夜中のブラブラ蜂
これも、どうやって落ちていくのか期待していたら、とても意外なところに行くパターン。
ご都合主義なのか、収拾つかなくなっちゃったのか。「なんて言えば良い!」

・美味しいシャワーヘッド
一度目は、「新潮」で読んで、
二度目は、この短編集の最終話で読みました。
主人公のいろんなストーリーが脈絡もなくぐちゃぐちゃと飛び飛びに出てくるのだけれど、
最終的に、なんとなくその理由がわかります。
なんとなくだけど。

だから、芥川賞の選考委員のレビューで、わけがわからないと言われているような
支離滅裂さだけで終わってしまっうワケでもなく、
ちゃんとしてると思えました。
2度目でしたが、面白いです。その、飛び飛びに出てくる話もちゃんと波があって楽しめるし。
この中では、一番好きです。
キミトピアAmazon書評・レビュー:キミトピアより
4104580066

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