COVERED M博士の島
評判
COVERED M博士の島の評価:
3.50/5点 レビュー 2件。 - ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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報酬1千万円の全身整形手術を希望し当選した主人公が、天才美容外科医のM博士の持つ私有地「O島」で滞在する生活と事件、その顛末を描く推理小説、といった概要になります。
ここで披露されるトリックは死体を活かしたもの。死体を「死体」とは思わず「物理的な物体」として活かしたトリックでいえば初期の西尾維新の作品を連想しますが、この作品においては死体をある種の「人間」であるかのように扱う(=振る舞わせる)という技を披露します。生理学的な知識などから物理的に可能か不可能かでいえば間違いなくありえませんが、あくまでラノベ風のトリックとしてであれば中々意表を突いてくるなと感じました。また表紙の美しさ――というか妖しさを、是非ともカバーをはずして楽しんでほしいところです。
そして作中を満たしている登場人物の持つ美への意識――もはや哲学を越えて妄想と言ってもよいその執念が、作中においてすさまじいことになっています。人を人と思わず、また「自分の顔」をさえ「自分」と思わない――。読み手によってはその倫理観の欠如に嫌悪を持つかもしれませんが、過剰なまでの美へのアプローチ、それを手法として福笑いのパーツのように実行してしまうところに登場人物の邪悪さがありますし、また目的への非情なまでの行動力を感じさせるところです。もちろん「誰」とは言いませんが。
今昔物語の一説「人の形をした鬼の話」をイメージの原型とし、美を求める「鬼達の孤島」に迷い込める一冊です。