生けるパスカル
評判
生けるパスカルの評価:
4.75/5点 レビュー 4件。 - ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1〜11 1/1ページ
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生けるパスカルの評価:
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
まず、「生けるパスカル」。主人公である画家の矢沢は、異常なほど嫉妬深い奥さんを持って、一見、気の毒そうなのだが、
元々は、矢沢本人の浮気に原因があるのだから仕方がない。もし、夫の矢沢が浮気をまったくしなければ、妻の鈴恵は、あんな
ヒステリーには陥らなかっただろう。矢沢に弁解の余地はないのである。
異常なくらい嫉妬深い鈴恵・・・逆に言えば、矢沢は妻の鈴恵から熱烈に愛されているのであり、それこそ男冥利に尽きるというもの。
矢沢は画才があるうえに、艶福家でもある。それは若い頃に鈴恵と恋愛結婚する前に、彼の友人の妹、道子と激しい恋愛をしていたこと
でも分かる。道子は、矢沢と鈴恵が結婚する三日前に、道子の強い求めで、矢沢と最後の愛 (激しい性愛) を営み、矢沢が結婚して
一週間目に自殺した!! 道子も命がけで矢沢を愛していたのである。
だが、そんなことをしてまで結婚した鈴恵の異常すぎる嫉妬と暴力 (逆DV?) にほとほと疲れた矢沢は、たまたま自分自身と同じような
境遇の男を描いた小説に共感し、妻から解放されるべく、完全犯罪を画策する。
いゃー、読後は、何かやり切れませんね。女性にモテすぎるのも良くないかも・・・などと、人生の真理(?)を感得できた秀作でした。
つぎに、「六畳の生涯」これは、谷崎潤一郎の「瘋癲老人日記」を思い出させる作品。
この作品では、79歳の老人、志井田博作が、若い家政婦の吉倉トミに寄せる一途な恋心が読んでいて、とても面白かった。
この志井田という老人は、中々の好々爺です。可愛いお爺ちゃんです。
いっぽう、30半ばのトミは、決して美人ではないのだが、ポッチャリ型のコケットである。しかも、働き者で性格は
おっとりとしていて庶民的で好感が持てる。女性のわりには口がかたく、亭主持ちで身持ちも堅いのも、すごく好印象。
松本清張って、人物造形うまいなあ。
こんな気のいい働き者のポッチャリ・コケットが、最終的には、思いがけない (と読者には思える) 人物から、
夫もろとも殺されてしまう結末が、余りにも可哀そうで、ちょっと目がウルウルしました。彼女もその夫も
いったいどんな悪いことをしたんだよ?! って。
もっと希望のある結末が書けなかったのかな。
と言うか、読者を涙目にさせるのが、作者の狙いなのかも・・・。
あの裏表のない、お人よしでよく気のつく働き者のコケット(なまめかしい女性) の吉倉トミが、
あんなやつ (→ ネタバレしないようにあえてボカします) なんかに殺されてたまるかよー。
浮かばれないよー。 本当に悔しいし、目には涙がたまるしで、一種の「悲劇」といえばいいのか。
そうそう、吉倉トミには、ささやかな盗癖があるのだけど、それすら、彼女を雇っている医院の奥様の
許容範囲なんです。よほど、その人柄を愛されている証拠です。
以上、2作とも、松本清張ファンなら一読の価値大ありです。「六畳の生涯」の方はマジ泣けます。