地上最後の刑事

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地上最後の刑事の評価:

4.00/5点 レビュー 17件。 E ランク

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平均点4.00pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全34件 1〜20 1/2ページ
No.34
(2pt)

テーマ、設定は魅力的、でも。。。

設定は大変魅力的ではあるけれど、終末の雰囲気の描写が薄く、人類おそらく全てに対して後ごくわずかで死が訪れると言う状況の切迫感などはほとんど描かれていない。
また言っちゃ悪いが翻訳が稚拙。直訳のように感じられる不自然な表現が多いのと、それに加えて(原文がそうなのだろうから仕方がないのかもしれないが)登場人物の主観が延々と連なる描写が多く、不自然な翻訳文章と相俟って正直読んでいて興醒めすることが多々あった。
3部作なのだそうだが、翻訳が同じ他の2冊はちょっと読む気にはなりません。読むことがあるとすれば本屋で原書にたまたま遭遇することがあったら、かな。
地上最後の刑事 Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事より
4151819517
No.33
(2pt)

テーマ、設定は魅力的、でも。。。

設定は大変魅力的ではあるけれど、終末の雰囲気の描写が薄く、人類おそらく全てに対して後ごくわずかで死が訪れると言う状況の切迫感などはほとんど描かれていない。
また言っちゃ悪いが翻訳が稚拙。直訳のように感じられる不自然な表現が多いのと、それに加えて(原文がそうなのだろうから仕方がないのかもしれないが)登場人物の主観が延々と連なる描写が多く、不自然な翻訳文章と相俟って正直読んでいて興醒めすることが多々あった。
3部作なのだそうだが、翻訳が同じ他の2冊はちょっと読む気にはなりません。読むことがあるとすれば本屋で原書にたまたま遭遇することがあったら、かな。
地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018782
No.32
(3pt)

惑星衝突直前の日常的な事件に臨む刑事

結構こうしたタッチの小説久々だったかな。半年後に小惑星が激突し地球が消滅するといわれている中で起きた殺人事件。周囲は半年の間のやりたいことリストに奔走したり、やる気をなくしたりという中で淡々と捜査を進める主人公。スタッカートのような小気味よい展開。主人公は比較的冷静沈着、頭脳明晰ではあるものの、ちょくちょく失敗をするという点がすごく気に入った。小説でないとあり得ない感じじゃないのが良かったです(※小惑星激突除く)。
地上最後の刑事 Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事より
4151819517
No.31
(3pt)

惑星衝突直前の日常的な事件に臨む刑事

結構こうしたタッチの小説久々だったかな。半年後に小惑星が激突し地球が消滅するといわれている中で起きた殺人事件。周囲は半年の間のやりたいことリストに奔走したり、やる気をなくしたりという中で淡々と捜査を進める主人公。スタッカートのような小気味よい展開。主人公は比較的冷静沈着、頭脳明晰ではあるものの、ちょくちょく失敗をするという点がすごく気に入った。小説でないとあり得ない感じじゃないのが良かったです(※小惑星激突除く)。
地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018782
No.30
(4pt)

終わりが見えた世界で捜査を続ける

ストーリーはバリバリの刑事もので、未来の科学や機械などが登場する訳ではありません。
隕石の落下が予測され秩序が崩壊し始めたところに起きた事件。真面目に取り組む刑事も減った中、主人公は懸命に犯人を追う。
動機やきっかけに設定が活きる。興味を惹かれる設定でキャラクターも特徴が出ており続きが気になります。文庫版で買ってしまったので続刊も文庫版が出てくれると嬉しいです。
地上最後の刑事 Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事より
4151819517
No.29
(4pt)

終わりが見えた世界で捜査を続ける

ストーリーはバリバリの刑事もので、未来の科学や機械などが登場する訳ではありません。
隕石の落下が予測され秩序が崩壊し始めたところに起きた事件。真面目に取り組む刑事も減った中、主人公は懸命に犯人を追う。
動機やきっかけに設定が活きる。興味を惹かれる設定でキャラクターも特徴が出ており続きが気になります。文庫版で買ってしまったので続刊も文庫版が出てくれると嬉しいです。
地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018782
No.28
(4pt)

設定への興味だけでなく、主人公を好きにならずにいられない

設定が興味を惹くものだったので、文庫になるのを待って購入。
小惑星が衝突するのを待つ地球の混乱状態を想像し、チャイナ・ミエヴィルをうんとミステリよりにした作品を予想していました。が、全くもって違う印象の話でした。

地方都市(田舎町)の様子はそこまで混乱状態ではないけれど、もはや日常が継続可能ではなくなったことに様々に対処する様子が、設定からすると控えめなくらいの描写で説明され、そこに一人称の主人公が際立ちます。
若くて真面目で,こんな状況のおかげで刑事になる夢がかなったばかりの新米が手探りで捜査を進めよう、刑事としての仕事をしようという様子--この真摯さがたちまち伝わり、この主人公に好感を抱かずにいられません。刑事としての仕事も、恋も、もう次は望めないのかもしれないけど、頑張れ〜と声をかけたくなるほどに。

ミステリとしてのストーリー立てにも設定がよく生かされています。謎解きとしては意外性がなく、むしろ予定調和に近いくらいの印象があるのですが、物語としての整合性・ストーリーバランスとしては非常にいいと思います。日常の継続性を失ったとき、人間がいつ、どう変わるのかの考察も無理がないし--もともと推理マニアでなく、ミステリであっても読み物としての楽しさのほうを期待する私には十分な読み応えがありました。

現時点で続刊の文庫化はまだのようですが、じらさないでほしいなあ...
地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018782
No.27
(4pt)

設定への興味だけでなく、主人公を好きにならずにいられない

設定が興味を惹くものだったので、文庫になるのを待って購入。
小惑星が衝突するのを待つ地球の混乱状態を想像し、チャイナ・ミエヴィルをうんとミステリよりにした作品を予想していました。が、全くもって違う印象の話でした。

地方都市(田舎町)の様子はそこまで混乱状態ではないけれど、もはや日常が継続可能ではなくなったことに様々に対処する様子が、設定からすると控えめなくらいの描写で説明され、そこに一人称の主人公が際立ちます。
若くて真面目で,こんな状況のおかげで刑事になる夢がかなったばかりの新米が手探りで捜査を進めよう、刑事としての仕事をしようという様子--この真摯さがたちまち伝わり、この主人公に好感を抱かずにいられません。刑事としての仕事も、恋も、もう次は望めないのかもしれないけど、頑張れ〜と声をかけたくなるほどに。

ミステリとしてのストーリー立てにも設定がよく生かされています。謎解きとしては意外性がなく、むしろ予定調和に近いくらいの印象があるのですが、物語としての整合性・ストーリーバランスとしては非常にいいと思います。日常の継続性を失ったとき、人間がいつ、どう変わるのかの考察も無理がないし--もともと推理マニアでなく、ミステリであっても読み物としての楽しさのほうを期待する私には十分な読み応えがありました。

現時点で続刊の文庫化はまだのようですが、じらさないでほしいなあ...
地上最後の刑事 Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事より
4151819517
No.26
(4pt)

人類滅亡の危機が迫る中、静かに職務をまっとうする刑事の物語

巨大隕石が地球に衝突する約半年前に発生した殺人事件を追う刑事ヘンリー・パレス。遺体の発見状況からみて自殺と判断されそうな事件であるが、パレス刑事は殺人事件として捜査する。あと半年で人類が滅亡するかもしれないときに、そんな面倒な仕事をしなくてもいいのではと思うが、きっちりとした性格の被害者に報いるようにパレスも粛々と捜査をする。そして真相にたどり着く。

本書の舞台のような極限状態で、人類がどのように振る舞えるかを問われた作品だ。このような状態では群衆が勝手し放題となり秩序なき世界に移りながら最後を迎えそうであるが、まだ落ち着いていららるくらいの聡明さは残っているようだ。きっと作者が人類はこうであってほしいとの願いもあるのかもしれない。殺人の動機も泣かせるものだ。人間の弱さと強さと優しさが出ている。自分だったらどう行動するだろうかと常に考えながら読み進めた。考えすぎると気が重くなるので注意。

本作品は三部作の最初の作品だ。次の作品「カウトダウン・シティ」や三作目の「世界の終わりの七日間」も読んでみたいと思う。人類がどんどん滅亡に向かって時が過ぎるなか、パレスがどのような行動をとるのか楽しみである。
地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018782
No.25
(4pt)

人類滅亡の危機が迫る中、静かに職務をまっとうする刑事の物語

巨大隕石が地球に衝突する約半年前に発生した殺人事件を追う刑事ヘンリー・パレス。遺体の発見状況からみて自殺と判断されそうな事件であるが、パレス刑事は殺人事件として捜査する。あと半年で人類が滅亡するかもしれないときに、そんな面倒な仕事をしなくてもいいのではと思うが、きっちりとした性格の被害者に報いるようにパレスも粛々と捜査をする。そして真相にたどり着く。

本書の舞台のような極限状態で、人類がどのように振る舞えるかを問われた作品だ。このような状態では群衆が勝手し放題となり秩序なき世界に移りながら最後を迎えそうであるが、まだ落ち着いていららるくらいの聡明さは残っているようだ。きっと作者が人類はこうであってほしいとの願いもあるのかもしれない。殺人の動機も泣かせるものだ。人間の弱さと強さと優しさが出ている。自分だったらどう行動するだろうかと常に考えながら読み進めた。考えすぎると気が重くなるので注意。

本作品は三部作の最初の作品だ。次の作品「カウトダウン・シティ」や三作目の「世界の終わりの七日間」も読んでみたいと思う。人類がどんどん滅亡に向かって時が過ぎるなか、パレスがどのような行動をとるのか楽しみである。
地上最後の刑事 Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事より
4151819517
No.24
(3pt)

今一つ

設定は良いが、わくわく感、ドキドキ感を感じられない。
主人公に共感することもなく、本を読む時間だけが過ぎた感じ。
翻訳も、もっと意訳をしてもよかったのでは。
地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018782
No.23
(3pt)

今一つ

設定は良いが、わくわく感、ドキドキ感を感じられない。
主人公に共感することもなく、本を読む時間だけが過ぎた感じ。
翻訳も、もっと意訳をしてもよかったのでは。
地上最後の刑事 Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事より
4151819517
No.22
(4pt)

設定はSF的だが、設定以外にSF的要素は一切なく、良質のミステリとして読める

半年後、小惑星が地球に衝突し、人類は滅びる。そんな背景の中、周囲が自殺だと思われた事件を、1人の刑事が他殺だと判断し、捜査を始める。
 この設定だけで、思わず読みたくなる。設定はSF的だが、設定以外にSF的要素は一切なく、良質のミステリとして読める。
地上最後の刑事 Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事より
4151819517
No.21
(4pt)

設定はSF的だが、設定以外にSF的要素は一切なく、良質のミステリとして読める

半年後、小惑星が地球に衝突し、人類は滅びる。 そんな背景の中、周囲が自殺だと思われた事件を、1人の刑事が他殺だと判断し、捜査を始める。  この設定だけで、思わず読みたくなる。 設定はSF的だが、設定以外にSF的要素は一切なく、良質のミステリとして読める。
地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018782
No.20
(5pt)

設定がいい。主人公もいい。

小惑星が半年後に衝突する、という地球の一都市。
人々は、あと半年以後の世界を想像できず、世界が終るのにという、厭世観に。
そんな中、刑事になりたてのヘンリー・パレスは自殺と思わしき死体に不自然な事態を発見し、殺人事件として捜査を始める。
アメリカの一地方都市コンコードのまさに一部分しか描かれないのだが、空気感は、世界中の行き詰まっている人々をどこかに感ずる。
設定がいい。
主人公の逡巡と純粋さが際立つ。
地上最後の刑事 Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事より
4151819517
No.19
(5pt)

設定がいい。主人公もいい。

小惑星が半年後に衝突する、という地球の一都市。
人々は、あと半年以後の世界を想像できず、世界が終るのにという、厭世観に。
そんな中、刑事になりたてのヘンリー・パレスは自殺と思わしき死体に不自然な事態を発見し、殺人事件として捜査を始める。
アメリカの一地方都市コンコードのまさに一部分しか描かれないのだが、空気感は、世界中の行き詰まっている人々をどこかに感ずる。
設定がいい。
主人公の逡巡と純粋さが際立つ。
地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018782
No.18
(4pt)

滅びゆく世界で光る “小市民的” 主人公の尊さ

惑星衝突を半年後にひかえ、恐慌状態に陥りつつある地球。そんな状況下、アメリカの小さな街のハンバーガーショップで首吊り死体が発見される。自殺が流行する街で、他殺を疑うさしたる証拠もない。誰もが自殺と断定するなか、一人の新人刑事が殺人事件ではないかと疑念を持つが…。

主人公刑事による一人称の語りと聞いて、ハードボイルド要素を期待すると少し肩透かしを食らうかもしれない。主人公は堅い信念を持ってはいるものの、きわめて “小市民的” な人物であり、ニヒルなタフガイという典型的なハードボイルドの主人公ではないからだ。ミステリとしても小粒感はいなめない。設定だけを聞くとSFを連想するけれど、SF的な設定はあくまで恐慌状態に置かれた人々をリアルに描写するための手段だろう。しかしながら、その設定を利用した心理描写がとにかく優れているのだ。

まず、冒頭の遺体発見現場に某大手ハンバーガーショップを選び、それを利用して作品の世界観を説明しているのだが、その説明の仕方がとても自然なことに作者の技量を感じた。
また、はじめのうちは、頭の回転が速いわけでもなく気弱な主人公に好感が持ちづらい。けれど物語が進むうち、多くの人が自暴自棄になっていくなか、自分に与えられた仕事をしっかりとまっとうしようとする主人公の姿に感銘を受けていく。

なによりも秀逸なのは、必ず起こる滅亡の日を目前にひかえ、それでも依然として完全な無法状態にはならない程度の余裕が残されている、という環境下の心理描写である。「まだ叱られていないけれど、いずれ叱られることがわかっていることがわかっている子ども」(作中からの引用)のような人々の心理が巧みに語られるのだ。
文明が崩壊し原始的暴力が跋扈する世界を描いたフィクションは数多くあるが、理性に対する信頼がゆっくりと失われていく世界を描いたものは少ないように思う。本書の世界は私たちの社会の延長線上にとらえることができるので、共感と悲哀を覚えることができる。それだけでなく、そのような世界観がきちんとホワイダニット(動機)に結びついている。その点にも作者の抜け目のなさがうかがえた。

訳文はとても読みやすい。ただ、原文未読なので偉そうなことは言えないのだけれど、「which(that)+文章」で修飾された名詞を訳すさい、律儀に「which(that)〜」を名詞の前に持ってきて訳しているように思える。日本語では名詞の前の修飾語が長いと文構造がわかりにくいので、そのあたりはけっこう読んでいてひっかかった。
地上最後の刑事 Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事より
4151819517
No.17
(5pt)

滅びゆく世界で光る「小市民的」主人公の尊さ

惑星衝突を半年後にひかえ、恐慌状態に陥りつつある地球。そんな状況下、アメリカの小さな街のハンバーガーショップで首吊り死体が発見される。自殺が流行する街で、他殺を疑うさしたる証拠もない。誰もが自殺と断定するなか、一人の新人刑事が殺人事件ではないかと疑念を持つが…。

 主人公刑事による一人称の語りと聞いて、ハードボイルド要素を期待すると少し肩透かしを食らうでしょう。主人公は堅い信念を持ちつつも「小市民的」人物で、ニヒルなタフガイという典型的ハードボイルドの主人公ではありません。また、ミステリとしても小粒感はいなめません。設定だけ聞くとSFを連想しますが、SF要素はほとんどないので注意が必要です。

 はじめのうちは、頭の回転が速いわけでもなく気弱な主人公に好感が持てないかもしれません。ですが物語が進むうち、多くの人が自暴自棄になっていくなか、自分に与えられた仕事をしっかりと全うする主人公の姿に感銘を受けます。
 冒頭の遺体発見現場に某大手ハンバーガーショップを選ぶことで作品の世界観を説明しているのですが、それがとても自然なことにも作者の技量を感じました。

 しかし何よりも秀逸なのは、絶対に起こる滅亡の日を目前にひかえ、なおかつ、依然として混沌とした無法状態にはならない程度の余裕が残されている、という環境下の心理描写です。「まだ叱られていないけれど、いずれ叱られることがわかっていることがわかっている子ども」(作中より)のような人々の心理が巧みに語られます。
 文明が崩壊し原始的暴力が跋扈する世界を描いたフィクションは数多くありますが、理性に対する信頼がゆっくりと失われていく世界を描いたものは少ないように思います。本書の世界は私たちの社会の延長線上にとらえることができるので、共感と悲哀を覚えることができます。
 また、そのような世界観がきちんとホワイダニット(動機)に結びついています。その点にも作者の抜け目のなさがうかがえます。

 訳文はとても読みやすいです。ただ原文未読なので偉そうなことは言えないのですが、「which(that)+文章」で修飾された名詞を訳すさい、律儀に「which(that)〜」を名詞の前に持ってきて訳しているように見えます。日本語では名詞の前の修飾語が長いと文構造がわかりにくいので、そのあたりはけっこう読んでいてひっかかりました。
地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018782
No.16
(5pt)

それでも林檎の樹を植えるのか。

あした、たとえ世界が滅びようとも、私は林檎の樹を植えるだろう――。
発語の主については諸説あるけれど、この言葉を胸の内でころがしながら作品を楽しんだ。
自分が林檎栽培農夫であったなら、そのような行動をすることができるだろうか。

マクドナルドの便所で保険会社の社員が死体で発見される。
大方の見立ては自殺だ。だが、たとえ、それが他殺だったからといって、どうだと云うのだ。
半年後には小惑星が地球に激突して全人類は絶滅するのだ。
例外なく。ひとり残らず。平等に。

このような状況下で、自殺説に疑問を抱いたひとりの新米刑事は殺人事件として捜査を開始する。
人々の日常生活のネジは緩み、タガは外れつつある状況だから
当然、捜査は難航する。だけでなく主人公の身にはさまざまな厄災が降りかかる。
満身創痍だ。
その顛末が、刑事による一人称現在完了形の文体で冷静に語られる。

地球滅亡と云う空想科学小説の世界観の枠内で物語は進むが、
これはSFではない。「いやSFだ」と云われれば別段の異議は唱えぬが、
やはりこれは本寸法のハードボイルドの本流に位置する作品だと
おれは小声でつぶやくばかりだ。
地上最後の刑事 Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事より
4151819517
No.15
(5pt)

それでも林檎の樹を植えるのか。

あした、たとえ世界が滅びようとも、私は林檎の樹を植えるだろう――。
発語の主については諸説あるけれど、この言葉を胸の内でころがしながら作品を楽しんだ。
自分が林檎栽培農夫であったなら、そのような行動をすることができるだろうか。

マクドナルドの便所で保険会社の社員が死体で発見される。
大方の見立ては自殺だ。だが、たとえ、それが他殺だったからといって、どうだと云うのだ。
半年後には小惑星が地球に激突して全人類は絶滅するのだ。
例外なく。ひとり残らず。平等に。

このような状況下で、自殺説に疑問を抱いたひとりの新米刑事は殺人事件として捜査を開始する。
人々の日常生活のネジは緩み、タガは外れつつある状況だから
当然、捜査は難航する。だけでなく主人公の身にはさまざまな厄災が降りかかる。
満身創痍だ。
その顛末が、刑事による一人称現在完了形の文体で冷静に語られる。

地球滅亡と云う空想科学小説の世界観の枠内で物語は進むが、
これはSFではない。「いやSFだ」と云われれば別段の異議は唱えぬが、
やはりこれは本寸法のハードボイルドの本流に位置する作品だと
おれは小声でつぶやくばかりだ。
地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018782