悪いものが、来ませんように
評判
悪いものが、来ませんようにの評価:
3.50/5点 レビュー 112件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全53件 1〜20 1/3ページ
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悪いものが、来ませんようにの評価:
3.50/5点 レビュー 112件。 B ランク
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本作は奈津子と紗英のW主人公。二人の視点が交互に入れ替わり物語が進みます。働いた経験がない専業主婦の奈津子、不妊に悩みながら夫婦共働きで暮らしている紗英、生活模様から性格まで対照的な二人ですが唯一共通しているのは夫と不仲である点。しかし離婚に踏み切るほど夫に対しての愛情が冷めているわけではなく、互いにじゃれ合うことで日々のストレスをやり過ごしています。
夫婦の不和、毒親、不倫、不妊などなど、登場人物は色々な問題を抱えていますが、いずれもリアルでよくあるありふれたもの。母と娘の関係性がクローズアップされているのは一目瞭然だったのでヒューマンドラマ小説かな?と思いながら読み進めていましたが、本筋に挟まる証言の不穏さに読む手が止まりませんでした。そう、本作はミステリー小説でもあるのです。
とはいえ本筋は人間ドラマなので推理の難易度は低め。そのつもりで読むと一瞬で真相がわかります。殺人事件は起きますが犯人は隠してないしトリックも単純なので。
これミステリー小説なんだ!と私が気付いたのはラストもラスト。奈津子パートの一文に「ん?」と思い奈津子の母の証言で「あっ!?!??」と声を上げました。違和感は確かにあった。殺人事件を知らない犯人、無関係の人間が死体を隠そうとする不自然さ、百合なのかな?と思うくらい異様に仲の良い女友達。ネタが割れた瞬間にすべての違和感に説明がつき、その巧みさに唸りました。じゃあ毬絵や梨里って…なるほどなぁ…ミステリー小説として読んでなかったせいもあるけどこれは読めなかった。
ただ叙述トリックの要となる呼称の理由付けはいささか強引さを感じた。そこだけちょっと残念。
ここから少しネタバレの感想を言いますが、親元から離れていた毬絵のほうが母親の無実を必死に訴えていて、逆に母親にべったりだった紗英が「私は騙されていたんだ」と唾を吐きかけていたのが印象的でした。子供とは付かず離れずの距離感が一番ってことですかね…。
親の心子知らず、子の心親知らずということで幕を閉じるのかと思いきや、エピローグで一気に読後感が変わりました。「容疑者Xの献身」と似た後味と言えばわかる人はわかるかな。奈津子の望んだ展開ではなかったけれど紗英に母と呼ばれた瞬間確かに彼女は救済されたんじゃないかな。
それにしても本作に出てくる男はろくでもない奴ばかりだった。もっと妻を愛してしっかり支えろよ〜と思いつつ、奈津子と紗英の人物像が証言者によってコロコロ変わっていたように、本作に登場していたろくでなし男たちにも別の側面があったのかもしれない。色々考えさせられる作品でした。☆3.5。