色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
評判
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価:
3.41/5点 レビュー 1,022件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1,024件 581〜600 30/52ページ
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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価:
3.41/5点 レビュー 1,022件。 B ランク
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だから、多くの低評価のレビューを読んでいて、そこまで失望するほど酷くはないのでは…という気持ちになってしまいました。小説は出逢うタイミングによって感じ方が違ってくるものだし、勿論、人それぞれ好みの問題もあるし…。今作も、何年も経ったら、評価も変わってくるのかもなーと感じています。
そもそも、「絶対に村上春樹を読むべきではない人種」は、世の中にかなりたくさんいると思うし、本来、この小説は、大げさにベストセラーなんかになってしまうこと自体がおかしいのだから、この世間の騒ぎっぷりは、本当に異常で馬鹿馬鹿しいこと限りないです。村上春樹のただの一小説に過ぎないのに。「合わないものは、合わない」、当然です。
とは言え、大した戦略なんてしなくても、本人が目立たない努力をしたとしても、もはや絶対に騒がれることからは逃れられないだろうし、ある意味、本を出すたびボコボコに叩かれることは間違いないので、春樹さんも気の毒です。ご本人は、殆ど言いがかりに近いような、見当違いの非難でも、もう慣れっ子だろうし、悪評すら肥やしにしてしまいそうなタフな方なんでしょうけど、きっとそれなりに疲れるだろうな、と心配になります。
でも確かに、アンチ春樹の人が、どういうところに嫌悪感を抱くのかは、レビューを読んでいて、なるほどねぇ、と納得はしました。
正直、私も、今回は、主人公には多少イラッとはしました。こんなことは初めてですが。沙羅も嫌いなタイプで、もう少しマシな女性の設定にはできなかったのか?少しも魅力がわからなかったし。それに、現在の日本社会との微妙なズレの感覚も確かに否めないし、現代のこの世代の描き方にもやや無理がある様で、違和感は感じてしまいました。 それと、瑣末なことですが、私も愛知で生まれ育ってきた者ですが、うーん…何だかニセ愛知っぽい、と引っかかりました。ついでに、名古屋の若い女性の生き方(仕事、結婚、その後…)のくだりは、変なイメージを勝手に植えつけられては迷惑だと感じたし、何となく実は女性一般を一段下に見ているのでは、と感じてしまい、少し不愉快でした。
でもやはり、そのような幾つかの引っかかりは、このお話の中では大きな問題ではないので取っ払うことにして、主人公の深刻な苦しみはわかる気がするし、どんな人でも、生きるということは生半可なことではないと思うので、何を苦しいと思うかというより、どれだけ苦しんだか、ということを受け止めると、「甘ったれてる」とか、「取るに足らない話」とか、軽々しく扱う気にはなれませんでした。きっと個々の人生、苦しみは、比較できるものではないし。この物語を通して、心が癒されたと感じる人もいると思います。(素直に読めば、心に響くものが感じられると思うんだけど…今までとは違う特別な何かを求めてしまうため、純粋に読めなくなっている読者も多いのかも?)
それに、今作も、作家として真摯な姿勢で臨んだのだと思うし、やはり敬意は示したいです。
これからも過剰な期待はしないし、目新しい奇抜な変化は求めないし、荘厳で長大な集大成的な作品を無理に書いて欲しいとも望んでいません。変に偉そうに悟りを開いたように語る老人になってしまったら何だか嫌だし、ガツガツした露骨な野心も見たくないです。
作品が長くて物語のスケールが大きければ優れているというわけではないし、石頭のカタブツ作家にはなってほしくないので、ある程度の、「軽さ」みたいなものも、失わないでいてほしい気がします。今作は、今の感じでちょうど良かったと思うし、あくまでも個人的な物語で、安心しました。 「この時期だから!」と、世界のムラカミを主張したようなギラギラの作品じゃなくて良かったです。
個人的意見ですが…『ねじまき鳥』が、テーマとしても普遍的で、一番、春樹さんの個性にもしっくり調和していて、深く掘り下げることに成功していたように感じています。あの辺りが大きな成長期であり、作家として脂の乗っりきった時期だったのではないかと。
嫌いとか受け付けないとか言っている人も、何だかんだ言って、わざわざ読んで、いちいち文句を言わずにはいられないほど、「無視できない存在」なわけだから、やはり村上春樹は「興味深い」と思います。私も、生涯、読み続けてしまうことは間違いないです。
ただ、現役の日本人作家の中ではダントツに興味深い作家だと思っていますが、ノーベル文学賞に関しては「取らなくて良い」と思ってます。正直、春樹さんの良さ、面白さは、そういうところとは離れたところにあると感じてきたので。もし結果的に受賞したら、「よかったね!すごいね!」と嬉しくは思うかも、というのが本音です。
今後、彼がどこに向かっていくにしても、のんびり見守っていきたいです。
好き嫌いというより、一作家人生に興味を持ってしまった以上、「ふーん、そうかそうか」と、何が来ても、どうなっても、丸ごとありのままを一応、受け取るつもりです。そんな風に思える作家は、そんなに多くはいません。
私みたいな読み手は少数派かもしれませんが、色んな批評があって、オーバーに持ち上げられたり、極端にけなされたり憎まれたり、それがあまりにも激しくて、そういう点も含めて、面白いよなー…と思ってます。ここまで有名になると、誰にも理解できないような孤独もあって大変だとは思いますが、しぶとい春樹さんなら大丈夫だと思うので、今後の動向が楽しみです。