半島を出よ
評判
半島を出よの評価:
4.00/5点 レビュー 320件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全383件 121〜140 7/20ページ
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半島を出よの評価:
4.00/5点 レビュー 320件。 A ランク
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経済が没落し、失業率が10%を越え、アメリカからは見放され、国内には閉塞感が漂い、
その出口を核武装も辞さない軍拡主義に見出した日本に、
北朝鮮の「反乱軍」を名乗る精鋭部隊が侵入し、福岡を「占領」、
その独立と、12日後、12万人の「反乱軍」が日本に入国することを日本国政府に要望する。
一方、イシハラというカリスマ的人物の周りに集まった少年たちが、
その「反乱軍」に対して、ある計画を実行する、というストーリーである。
荒唐無稽なようで、上巻は、圧倒的な情報量で、非常に緻密に描かれている。
日本の政治家が「最優先事項を決められない」ということ、
北朝鮮の内情、兵士の訓練の様子、人間性の記述、冷徹さ、脆さ、
イシハラグループの少年たちの生い立ち、心の傷、心理描写、
あまりにもリアルであり、巨大な作戦が少しずつ動いていく様子に、まったく無理がない。
下巻の計画実行のくだりは、さすがにリアリティーに欠けるように思えたものの、
構築されている世界はすさまじい。
北朝鮮兵士の日本人からは想像しがたい精神構造、退廃を発見する瞬間、
北朝鮮兵士とアナウンサーとの恋、それを打ち消す職務への邁進、
西日本新聞記者の北朝鮮兵士への問いかけ、
「国家というものは必ず少数派を犠牲にして多数派を守るものだ」という問題意識、
処刑式を阻止しようと走る老医、
少年たちの、それぞれの物事への狂気的なこだわり、愛情の欠落、何かの欠落、
自分を刺した母親を許した少年など、
映画のシーンが思い浮かぶような印象的な場面、
強烈なイメージを残す思考の跡が随所にある。
著者は、
「コインロッカーベイビーズ」で、人間と人間のつながりは何か、本性は何か、ということを問いかけた。
また、「五分後の世界」、「希望の国のエクソダス」は、
「日本は有史以来、日本固有の領土を侵略された経験を持っていない」という問題意識が貫かれ、
日本の現状を根底から問うていた。
本作は、その両方の問いが、さらに激烈な形で、現れているように思う。
グロテスクな描写もあり、非常に好き嫌いが分かれる作品だとは思うが、
現在の日本へのアンチテーゼ、心の傷とその快復を、圧倒的な情報量と迫力で描ききった、傑作だと思う。