半島を出よ

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評判

半島を出よの評価:

4.00/5点 レビュー 320件。 A ランク

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平均点4.00pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全383件 61〜80 4/20ページ
No.323
(5pt)

現実になるかも知れない

面白い。久しぶりに小説を読んだが、これを選んで良かった。
もう出版されてしばらく経っており、小説の世界の年度を過ぎてしまっているが、地道に現実化の可能性の高まりを現在の社会背景から感じてしまう。

現在はアベノミクスによる短期的な好景気を中小企業は例年よりも倒産している一方で日本経済は得られている。しかしもう少しで消費税がアップしてしまうためこの先の不景気の未来は目に見えている。買物を消費税のかからない経費で落とすような一部の金持ちなどを除いてますます税を搾取され、多くの国民は外国人にじわじわと仕事を奪われ、結果として格差は拡大する。なんとかオリンピックで良い経済効果を得られるかもしれない。だが、それに甘えてだらだらと現状維持を決められたらそれこそ祭のあとに一気に経済地獄がスタートしそうであり、実際に私的にはそっちへ転がる可能性の方が高いだろうなという感触である。

極めつけは昨年の冬前くらいにあった特定機密保護法の実施。これで国のお偉いさんは都合の悪い政治家を排除できる。こうされることで日本のナショナリズムが強まることもまた目に見えてしまう。だから今後も政治は変わる気配はなくむしろ泥沼にはまる気配をより一層高めている印象である。つまり、徐々に半島を出よの社会背景がリアルになっているんじゃないかなと。福岡に住んでるけど怖いなー。

何もかもがどうしようもなくなってからでしか手を打てないようにしか思えない日本。この小説を読みながらますます国は個人を助けてくれないなという気持ちが強まった。もう村上龍のいうようにこの国でサバイバルするという言葉はまったく
大袈裟な響きには感じられない。だから私は特別に能力は高くないが、これからどこに行っても生き残ることができるスキルを身につけようとしている。私はまだ若者世代の人間でチャンスがあるからだ。

これからの世の中は気づいたもん勝ちだと思う。でもその前に戦闘員に殺されたらどうしようもない笑
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.322
(5pt)

現実になるかも知れない

面白い。久しぶりに小説を読んだが、これを選んで良かった。
もう出版されてしばらく経っており、小説の世界の年度を過ぎてしまっているが、地道に現実化の可能性の高まりを現在の社会背景から感じてしまう。

現在はアベノミクスによる短期的な好景気を中小企業は例年よりも倒産している一方で日本経済は得られている。しかしもう少しで消費税がアップしてしまうためこの先の不景気の未来は目に見えている。買物を消費税のかからない経費で落とすような一部の金持ちなどを除いてますます税を搾取され、多くの国民は外国人にじわじわと仕事を奪われ、結果として格差は拡大する。なんとかオリンピックで良い経済効果を得られるかもしれない。だが、それに甘えてだらだらと現状維持を決められたらそれこそ祭のあとに一気に経済地獄がスタートしそうであり、実際に私的にはそっちへ転がる可能性の方が高いだろうなという感触である。

極めつけは昨年の冬前くらいにあった特定機密保護法の実施。これで国のお偉いさんは都合の悪い政治家を排除できる。こうされることで日本のナショナリズムが強まることもまた目に見えてしまう。だから今後も政治は変わる気配はなくむしろ泥沼にはまる気配をより一層高めている印象である。つまり、徐々に半島を出よの社会背景がリアルになっているんじゃないかなと。福岡に住んでるけど怖いなー。

何もかもがどうしようもなくなってからでしか手を打てないようにしか思えない日本。この小説を読みながらますます国は個人を助けてくれないなという気持ちが強まった。もう村上龍のいうようにこの国でサバイバルするという言葉はまったく
大袈裟な響きには感じられない。だから私は特別に能力は高くないが、これからどこに行っても生き残ることができるスキルを身につけようとしている。私はまだ若者世代の人間でチャンスがあるからだ。

これからの世の中は気づいたもん勝ちだと思う。でもその前に戦闘員に殺されたらどうしようもない笑
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.321
(5pt)

面白い!

面白い!とにかくどんどん読み進んで行ってしまうので、もっともっと厚くて冊数があって欲しいと思うぐらい。こんなに読み終えるのが惜しく感じる本は初めてでした。

村上龍は昔から大好きで、学生の頃は図書館で読みふけっていました。
おっさんになった分緻密になってるけど、空気感は昔と変わらない。

ホームレス
公官庁の役人
政府
高麗遠征軍
新聞帰社
など様々な視点で書かれるので、飽きません。

登場人物も多いけど、全員を覚える必要も無いみたい。

読んでいて一番楽しいのは、高麗遠征軍の視点かもしれません。

下巻も楽しみ!
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.320
(5pt)

面白い!

面白い!とにかくどんどん読み進んで行ってしまうので、もっともっと厚くて冊数があって欲しいと思うぐらい。こんなに読み終えるのが惜しく感じる本は初めてでした。

村上龍は昔から大好きで、学生の頃は図書館で読みふけっていました。
おっさんになった分緻密になってるけど、空気感は昔と変わらない。

ホームレス
公官庁の役人
政府
高麗遠征軍
新聞帰社
など様々な視点で書かれるので、飽きません。

登場人物も多いけど、全員を覚える必要も無いみたい。

読んでいて一番楽しいのは、高麗遠征軍の視点かもしれません。

下巻も楽しみ!
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.319
(5pt)

単なるスレッジハンマーではない、ジワジワ滲む恐ろしさ

北朝が「反乱軍」に偽装した精鋭部隊を九州最大都市へ送り込み、
九州を日本政府から分断し(自ら分断させ)、
大日本帝国にとっての満州国のような、傀儡(かいらい)国家設立を目論む。

突飛なようだがコロンブスの卵的で、「あり得る」と思わせられるストーリーだ。
それを受け入れて身をゆだねれば、
そこからは
例えば、『天空の城ラピュタ』のような(良い意味での)ステレオタイプでもあり、
活劇の王道とも言えるストーリーが展開される。
先が読めないこともないが、それでも、読後のカタルシスは、半端なものではない。
超弩級のエンターテインメント小説である、と、僕は断言しちゃう(笑)。

そして、皆さんご指摘のように、
日本社会の常識に振り下ろされる、強烈なスレッジハンマーでもある。

だが、それだけでは語れない、何かがあるように感じた。
読んだ後で、あるいは2度3度読み返せばきっと、
その思惑の深さに、ひれ伏すことになるのではないか?

小説の技法として、
例えば「コリョ」のスーパーエリートと、
   普通であればまとまって生活することなど出来ないであろう「はみ出しもの」達が
同列で描かれる。
実は後者も、イノセントにではあるが何らかの(問題)行動を実行した者であり、
「決断できない・実行できない者」
と強烈な対比をなしていたり、
事後に、どちらも漢字の名前を得ていたりと、
非常に同等のもん、として描かれていく様は、技巧としても凄いし、思惑としても凄い。
考えてみれば、前者も自国では反乱軍として扱われており、その家族は既に粛正されているかも知れない。
視点が移り変わる独特な書き方は、こうした効果を狙ってのことなのか?

ヤドクガエルも、構築的な2元的相対の崩壊を暗示しているようで、面白いと思う。

さらに、物語の本筋としては、もっと裏があって、
近視眼的には
「日本はイノセントなはみ出し者の活躍で救われた、めでたしめでたし」
で終わったように見えるが、
本当の勝者は全く別で、
政治家・支配者の器として、
この国は北の将軍様の思慮には全く及ばない、
と読めなくもない。
彼は、どちらに転んでも良いように作戦を立案させ、命令を下し、
結果的に軍資金も得ている。
自軍の精鋭部隊を犠牲にして、体制の維持を計る。
その冷徹さ、力学的な論理性。
それを考えると、ゾクゾクした。
もしかしたら、彼の国は思った以上に長く続くかもしれない。
思っているよりも穏やかに、南北統一を果たすかもしれない。
その時、求心力を得るための仮想敵として利用されるのは、間違いなく我が国だ。
そう考えると、ぞっとする。

多くの人に、ぞっとして欲しい。
しっかりと国家間の力学、パワーバランスを考えながら、生き残りの術を考えよう。
なんて大層なことを、考える機会を与えてくれた小説。

読んで欲しい。
半島を出よ (下) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (下)より
4344007603
No.318
(5pt)

面白すぎる!

素晴らしいの一言。村上龍の最高傑作です。他のどうでもいいエッセイや駄文はやめて、このレベルの作品をもう一度書いてほしいと思います。60歳を過ぎて、エネルギーも時間もそう残されてはいないのですから。
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.317
(5pt)

面白すぎる!!

下巻の半分くらい読んだところで、ああ、あとこれだけで終わってしまうのかと残念なほどの吸引力。「五分後の世界」も面白かったけど、さらにその上を行く村上龍の最高傑作。
半島を出よ (下) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (下)より
4344007603
No.316
(5pt)

面白すぎる!

素晴らしいの一言。村上龍の最高傑作です。他のどうでもいいエッセイや駄文はやめて、このレベルの作品をもう一度書いてほしいと思います。60歳を過ぎて、エネルギーも時間もそう残されてはいないのですから。
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.315
(5pt)

北朝鮮がミサイルを射撃している昨今、いつこの作品のような出来事が
起こってもおかしくないだろう。平和ボケしていた私にガツンとハンマー
で目覚ませてくれた。
ただ、北朝鮮軍人も非人道的なタイプばかりではなく、話せば解る人もいて
平和的解決策も無きにしも非ずといったところか。
しかし、拷問や食糧危機はなんとしても避けたいので、日本に侵略して欲
しくない。政府には期待できないので、神頼みするしかない。
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.314
(5pt)

北朝鮮がミサイルを射撃している昨今、いつこの作品のような出来事が
起こってもおかしくないだろう。平和ボケしていた私にガツンとハンマー
で目覚ませてくれた。
ただ、北朝鮮軍人も非人道的なタイプばかりではなく、話せば解る人もいて
平和的解決策も無きにしも非ずといったところか。
しかし、拷問や食糧危機はなんとしても避けたいので、日本に侵略して欲
しくない。政府には期待できないので、神頼みするしかない。
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.313
(4pt)

半島を出よ下

1円で購入しましたので、覚悟していたのですが…、少し汚れが気になる程度で状態もよくいい読書ができました!!
半島を出よ (下) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (下)より
4344007603
No.312
(5pt)

村上龍を見直した

私はこれまで村上龍の作品をあまり読んでこなかった。
何冊かは読んだと思うが、タイトルも思い出せない。
つまり、それほど印象に残らなかったということだ。

彼は経済番組などにも出演しているため、彼の書く作品もちょっと硬いものなのかな、というイメージを持っていた。

だが、この「半島を出よ」は違う。
読みだしたら止まらない、完全なエンタメ系の小説だ。

いや、けっして内容が軽薄だというわけではない。
全編にわたって、圧倒的な量の専門知識がちりばめられている。

まるで歴史小説のように、細部の描写までが緻密に描かれている。

それなのに、スラスラと読めるから不思議だ。
登場人物の量はけっして少なくはないが、それぞれが個性的なので混乱することはない。

あろうことか、私は高麗遠征軍の面々にシンパシーを感じてしまった。
冷酷無比で感情のかけらもない集団のはずなのに、なぜだろう。彼らは妙に人間臭いのだ。

イシハラのもとに集まる社会不適格者たちも、なんだか憎めない。
もちろん、現実世界では絶対に彼らと関わり合いたくはないが。

北朝鮮情勢は良くなるどころか、日に日に悪化しつつあるように見える。
この小説と同じシチュエーションが再現されることはないだろうが、
できることなら、彼らと戦火を交えることは避けたいものだ。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.311
(5pt)

ok

ok no problem fine. good enough nice
半島を出よ (下) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (下)より
4344007603
No.310
(5pt)

ok

ok no problem fine. good enough nice
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.309
(5pt)

ok

ok no problem fine. good enough nice
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.308
(5pt)

怖くて、おもしろい

これはもはや小説ではない。
この本に書かれていることが明日現実のものとなったとしても、私は驚かない。
圧倒的なリアリティ。
それでいてエンターテイメント的要素も十分にある。
下巻が気になる。
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.307
(5pt)

怖くて、おもしろい

これはもはや小説ではない。
この本に書かれていることが明日現実のものとなったとしても、私は驚かない。
圧倒的なリアリティ。
それでいてエンターテイメント的要素も十分にある。
下巻が気になる。
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.306
(5pt)

優れたエンターテインメント作品、読み終わって痛快の一言に尽きる

誰からも相手にされない、はみだした世界に生きる人々が、我々に成り代わって、北朝鮮の侵略部隊を殲滅する。

 読み終わって痛快の一言に尽きる。

 譲歩と妥協、屈服と敗北を重ねていた日本側が、はみだした人間たちによる、自発的な反撃によって、相手の根拠地にもぐりこみ、やつらに対する、反撃と殲滅を行った場面では、喝采したくなった。

 またこの作品が出現した当時、我々はある意味、「こんなブザマな日本国政府であるはずがない」という幻想を抱いていたので、ここに書かれているような最悪の事態は、創作上の空想だ、と思っていたかもしれない。

 だが、我々は、この間に3・11の大震災と福島原発事故を体験している。
 危機に対して決断できない政府を実際に目撃し、解決に向けた具体的な判断さえ放棄し続け、放射能災害の危険に対して事実の隠ぺいで通し、揚句に、失敗の責任を誰一人取らないという現実を目の当たりに体験している。

 そうした現実を知った今では、この小説で描き出された、ありえない政府の無能ぶり、信じられない責任回避、想像を超えた馬鹿げた行動ぶりは、心底、現実感を伴って読むことができる。

 我が国が、戦争に準じる事態に巻き込まれた場合、おそらくは、ここで描かれたかなりの部分は現実になるだろう。民主党政権が自民党政権に戻ったからといって、何も変わらない。この小説で描かれた空想の世界は、現実の我が国の政府の行動を予測したものだと、今では現実感をもって考えることができる。

 我々に成り代わって、対決してくれた、はみだした人々の勇気と行動によって国が救われる。なんだか、大東亜戦争の末期に、体当たり攻撃でもって、国を救おうとしてくれた人々を想起するような、結末でもある。

 エンターテインメントとして、とてもよくできている。また、流行作家とも思えない膨大な基礎資料の読み解きと、取材を行っている点でも評価に値する。

 また、手にした基礎資料と取材に溺れることなく、これらを自分のものとしたうえで、想像力を発揮した作者の力にも敬服できる。
半島を出よ (下) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (下)より
4344007603
No.305
(5pt)

この作品が、どうして映画化されないのか。不思議でならない

半世紀以上も戦争とは無縁で、徴兵義務もなく、切迫した危機感も体験してこなかった我々。国家の防衛さえ「同盟国が代行してくれるのではないか」。そう、我々は信じているふしがある。
 我々は、日々の生活的な飢餓や、騒乱や死が強制的に日常に介在している、そういう悲惨からは無縁の場所で生きているので、それは仕方がないことかもしれない。

 暴力や暴言は悪とされ、騒がずあわてず、抵抗せず、秩序正しく。子供の時代から、そのように育てられて、そのわりには、陰惨ないじめや未成年の自殺者が絶えることもない。

 そのような、あたたかくも曖昧な世界に、攻撃的な目的をもった武装集団が、制圧したらどうなるのか。われわれは、その時、どう対処するのか、できないのか。

 小説の形で、ここまで現実感をもって突き付けられるとは思わなかった。
 ここに書かれているように、我々は、東日本大震災やそれに伴う原発事故災害など、巨大な事象についての対応力が、ほとんとなかった、ということも実感している。

 決断できない政府、決断を回避しようとする政府、責任の所在さえ明確でない。大東亜戦争の作戦の起案と、その悲惨な結末について、ろくに責任追及さえされなかった過去と同様に、我々は一歩も進歩していなかった。
 政府の原発事故対応などを知る我々には、実感として記憶されている。準備もなかったし、これからも期待できないだろう。まして、他国の侵略に直面した際に、自衛力は機能できるのか。戦力があっても行使できるのか。

 6年前に書かれたこの作品は、そういうことも見通していたかのようだ。

 ネタばれするので詳述は避けるが、あまりのリアルさに、息が詰まった。
 進攻する側の北韓の兵士の心情。被制圧側の市民の行動と反応。戦争や武力闘争が日常化している地域では、いまも、ここに描かれた世界が現実に広がっているはずだ。

 この作品が、どうして映画化されないのか。不思議でならない。
 エンターテイメント性も高い。登場人物のすべてが、個性が発揮されている。それぞれの立場で、おのれを貫こうとする人々の究極的な対決=殺し合い。とてもよく描かれている。
 映画化の話が持ち上がらないこと自体が、この本で描かれた、我々が置かれた立場なのかもしれない。

 また銃器による殺傷や、暴力による制圧の場面は、とても現実感をもって描いてある点でも素晴らしい。

 一般的な映画や小説では、「金属が高速で人体にぶつかり貫くとどうなるのか」。あまりにも抽象的にしか描かれていない。この作品は違う。
 きちんと描いてある。

 生きている俳優が演技としての死を表現している。一般的な映画やそのほかの作品のほうこそ、罪が重い。死を美化する危険さえある。この小説のように、死を描くのであれば、現実を直視するべきだと思う。
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.304
(5pt)

この作品が、どうして映画化されないのか。不思議でならない

半世紀以上も戦争とは無縁で、徴兵義務もなく、切迫した危機感も体験してこなかった我々。国家の防衛さえ「同盟国が代行してくれるのではないか」。そう、我々は信じているふしがある。
 我々は、日々の生活的な飢餓や、騒乱や死が強制的に日常に介在している、そういう悲惨からは無縁の場所で生きているので、それは仕方がないことかもしれない。

 暴力や暴言は悪とされ、騒がずあわてず、抵抗せず、秩序正しく。子供の時代から、そのように育てられて、そのわりには、陰惨ないじめや未成年の自殺者が絶えることもない。

 そのような、あたたかくも曖昧な世界に、攻撃的な目的をもった武装集団が、制圧したらどうなるのか。われわれは、その時、どう対処するのか、できないのか。

 小説の形で、ここまで現実感をもって突き付けられるとは思わなかった。
 ここに書かれているように、我々は、東日本大震災やそれに伴う原発事故災害など、巨大な事象についての対応力が、ほとんとなかった、ということも実感している。

 決断できない政府、決断を回避しようとする政府、責任の所在さえ明確でない。大東亜戦争の作戦の起案と、その悲惨な結末について、ろくに責任追及さえされなかった過去と同様に、我々は一歩も進歩していなかった。
 政府の原発事故対応などを知る我々には、実感として記憶されている。準備もなかったし、これからも期待できないだろう。まして、他国の侵略に直面した際に、自衛力は機能できるのか。戦力があっても行使できるのか。

 6年前に書かれたこの作品は、そういうことも見通していたかのようだ。

 ネタばれするので詳述は避けるが、あまりのリアルさに、息が詰まった。
 進攻する側の北韓の兵士の心情。被制圧側の市民の行動と反応。戦争や武力闘争が日常化している地域では、いまも、ここに描かれた世界が現実に広がっているはずだ。

 この作品が、どうして映画化されないのか。不思議でならない。
 エンターテイメント性も高い。登場人物のすべてが、個性が発揮されている。それぞれの立場で、おのれを貫こうとする人々の究極的な対決=殺し合い。とてもよく描かれている。
 映画化の話が持ち上がらないこと自体が、この本で描かれた、我々が置かれた立場なのかもしれない。

 また銃器による殺傷や、暴力による制圧の場面は、とても現実感をもって描いてある点でも素晴らしい。

 一般的な映画や小説では、「金属が高速で人体にぶつかり貫くとどうなるのか」。あまりにも抽象的にしか描かれていない。この作品は違う。
 きちんと描いてある。

 生きている俳優が演技としての死を表現している。一般的な映画やそのほかの作品のほうこそ、罪が重い。死を美化する危険さえある。この小説のように、死を描くのであれば、現実を直視するべきだと思う。
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X