ニサッタ、ニサッタ

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

ニサッタ、ニサッタの評価:

4.44/5点 レビュー 43件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.44pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全45件 41〜45 3/3ページ
No.5
(5pt)

失業・派遣・ネットカフェ難民、暗い世相での青年の再生物語

■片貝(かたがい)耕平は北海道出身。三流大学を出て、東京で社会人になって1年。最初の会社は上司が気に入らず退職した。次の会社は計画倒産で社長と経理部長が逃亡、社員全員が路頭に迷うはめに。
■派遣会社に登録して食いぶちを稼ぐ道を選んだ片貝だが、どうも社会認識が甘く不平ばかり並べて別の会社へ。そのうち、仕事が減り、家賃も払えずネット難民になってしまった。パチンコでたまたま大もうけした金も、サギ女に泥棒されるなど、油断が多い。遂に消費者金融に手を出して転落コースを歩む片貝……。実家も貧しく頼れないのだ。
■結局彼は、借金を肩代わりしてくれる奇特な新聞販売店に住み込み、新聞配達の仕事を始める。借金返済分は給料から差し引かれ、手取りはわずかだが、寝泊りできる部屋があり食事もできる。店に沖縄出身の竹田杏菜が新たにやってきた。小太りで野暮ったい彼女だが、皆にからかわれながら懸命に仕事をしていた。
■そして借金返済を達成した片貝は東京を去り、郷里に帰った。北海道でスーパーの仕事に従事してやっと安定しかけた頃、竹田杏菜が片貝を尋ねて突然北海道に現われた。彼女には暗く悲しい過去があった――。彼女の秘密とは? そして片貝を最後の試練が襲う――。
■「ニサッタ」とはアイヌ語で「明日」のこと。前半は主人公が未熟でもどかしかったが、後半はさすがに成長が見られ安心して読了出来た。
ニサッタ、ニサッタ Amazon書評・レビュー: ニサッタ、ニサッタより
4062157233
No.4
(4pt)

生きていくということ。

どこにでもいる若者・耕平が主人公の本作。
そこそこ真面目で、そこそこやる気はあるのに、
なんとなくうまくいかない。そんな様子をとても丁寧に描いています。
前半は丁寧すぎて、少し退屈してしまったのが本音ですが。

ただ、耕平がふるさとに帰り、
以前の同僚である杏奈までもがやってきたあたりから、
物語の回転が速くなった感じで、楽しく読めました。
最後は、キラキラと光った耕平の笑顔が浮かぶようで、
とても優しい気持ちになりました。

耕平という人物は、どん底を味わった割にはその苦労を糧にせず、
次々と失敗を繰り返して、読んでいる私はイライラしっぱなしでした。
なんでこう、生き方が下手くそなのかと思わずにはいられませんでした。
でもこれが、やり直しのきく”若さ”というものかもしれません。
同年代の方には、特に元気をもらえる一冊だと思います。
ニサッタ、ニサッタ Amazon書評・レビュー: ニサッタ、ニサッタより
4062157233
No.3
(5pt)

お薦めです!

欠かさず読んでいる乃南アサさんの新作です。
ページ数は500ページ以上ありますが文体と内容の読みやすさで一気に読めました。

簡単に言えば何をやっても裏目裏目に出る片貝耕平(かたがいこうへい)と言う男の物語です。
この主人公程ひどくはなくても人は誰でも「何をやっても上手くいかない時」が多かれ少なかれあると思います。
この主人公が最悪な心理状態に陥るまでの過程が手に取るように完璧な人物描写で描かれて行きます。

途中から登場する少し(かなり?)謎のある竹田杏菜(たけだあんな)の描写も脳内映像で勝手に動き出すくらいに
わかりやすく描かれていて先が気になってしょうがありませんでした。

そして主人公片貝耕平のお祖母ちゃんの言葉や動作には胸を打たれます。

5章まではこの先一体全体どうなる事かとハラハラでしたが6章では思わずホロっとさせられて
人間の弱さと共に暖かさを存分に感じる事が出来ました。

エピローグで思わず笑顔にさせられる様な、読後感も爽やかな作品に仕上がっています。

今、落ち込んで迷っている方に是非読んで欲しい1冊です。

タイトル、ニサッタ、ニサッタ(明日、明日)と思える様に!
ニサッタ、ニサッタ Amazon書評・レビュー: ニサッタ、ニサッタより
4062157233
No.2
(4pt)

共感出来ないけど、引き込まれる感じ

主人公はそばにいたら、正座させて説教したくなるタイプの若僧です。
田舎から出てきた平凡な少年が、「いつか何かが劇的に変わる、いまはツイていないんだ」という
何の根拠もない、甘えた考えで、どんどん坂道を転げる様がよく描かれています。
同じく、田舎から出てきてぱっとしなかった自分の大学生時代を思い出しました。
主人公も、主人公の周りの人物たちも、共感の出来ない人ばかり。
なのに引き込まれます。
それはきっと何かが少し違ったら、自分もこうだったかもという気分が影響しているかもしれません。
最後の最後まで、転げて、最後に少し救いがあり、ホッとしました。
若者向けなのかもしれませんね。
でも若者じゃ、「自分は違う」とか思ってしまうのかな。
私が若い頃読んだら、きっとそう思ってしまったでしょう(笑)。
ニサッタ、ニサッタ Amazon書評・レビュー: ニサッタ、ニサッタより
4062157233
No.1
(5pt)

消えてしまいたくても生きなければならない理由

乃南アサさんの最新作です。
勢いで会社を辞めたものの次に就職した会社は前触れもなくアッサリ倒産。
ようやく新聞配達の店に住み込みで働く事になった主人公。
この店で曰くだらけの人間に囲まれながら何とか新しい生活を始めたところに、色気も何もない一人の少女が同じように住み込みでやって来ます。
「なぜ彼女はこんな所に一人で住み込みしながらキツイ新聞配達を?」と疑問に思いながらも、忙しいだけの日常が彼らの横を通り過ぎて行きます。
この主人公、マジメに健気に生きているわけでは決してなく、典型的な甘チャン野郎。世間をナメ切ってテキトーを繰り返す。このワカゾーの描写がツボを押さえており見事です。
なぜか主人公に寄り添おうとする少女。このいたいけな少女が背負った陰の部分と甘チャン主人公の我儘で
傍若無人な言動を柱に、物語は展開して行きます。
そして遂に自分の愚かさを痛感する主人公。
あらゆる事がうまく行かず自暴自棄になって「もういいだろう。消えてしまいたい」などと思ったとしても、それでもなぜ人は生きて行かなければならないのか。自分は何によって“生かされている”のか…。
よくある小説のテーマですが、大上段に振りかざすような切り口ではなく、スムーズに流れるストーリーから湧き出るような自然な感じでこの普遍的なテーマを説く、とても良く出来た小説だと思いました。
途中で時々登場する、主人公の祖母の一言一言がとてもいい。
この祖母の存在がこの小説の陰のMVPでしょう。
ニサッタ、ニサッタ Amazon書評・レビュー: ニサッタ、ニサッタより
4062157233