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ロスジェネの逆襲
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ロスジェネの逆襲の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.61pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全689件 661~680 34/35ページ
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前作のエンディングで、証券子会社への異動を命令された半沢。 ここではロスジェネ世代の燻り、出向職員とプロパーとの軋轢。 そんな中、IT企業の「電脳雑技集団」が「東京スパイラル」を買収しようと 半沢の居る証券会社へ持ち込まれるのだが、それを親会社である銀行が横取りする。 銀行の動きに疑問を感じた半沢が背景を探るうちにある闇に気が付き・・。 親会社が「電脳雑技集団」の、子会社が「東京スパイラル」の相談役として就任する事態に! まさに親に噛み付く子の構図です。 まぁ、後は本を読んでからのお楽しみ・・ですが、何処に行っても半沢の精神は変わらず 読んでいて痛快。こんな上司が居たら大変だけど、付いて行っちゃうなと思わせる人間 としての半沢がより濃くでた作品ではないでしょうか。 次回は恐らくまた銀行内部で暴れてくれることでしょう。期待しています。 | ||||
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半沢直樹の三作目。子会社の証券会社次長である半沢とその部下森山(ロスジェネ世代)が、IT企業の買収劇で親会社の東京中央銀行と真っ向勝負。 今回も敵に不足無し!相変わらず半沢が敵を追い込む手腕とディベートに胸がスカッとした。そして、ラスト近くの中野渡頭取のセリフには前二作を読んだ方ならなおのこと溜飲が下がったはず^ ^ 余談だけど、僕も子会社プロパーの経験者なので、プロパーの在籍出向者に対する感情が至極リアルなことに感心。飲み屋での愚痴交じりの会話とか本当にリアル^_^; 池井戸さん絶対綿密に取材してるわ。 | ||||
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320ページ 6行目 「ゼナラル産業」→ 「ゼネラル産業」 380ページ 10行目 「頭取自らのが」→ 「頭取自らが」 | ||||
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子会社が親会社の理不尽さに抵抗し最後に見返す。 日本人にはたまらない設定じゃないでしょうか。 終始テンポよく話が展開し、気づけば寝る時間を削って読んでいました。 単純に読んでいて楽しい本でした。 前作までの話を知らなくても、まったく問題ない印象です。 | ||||
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東京中央銀行の子会社である東京セントラル証券は、大きな仕事を手にする。IT企業の 電脳雑伎集団の社長から、東京スパイラル買収の相談を受けたのだ。だが、東京中央銀行が その仕事を強引に横取りした。窮地に陥った半沢は、起死回生の策に出る。 理不尽なことや間違ったことに正々堂々と「ノー!」と言う。「やられたらやり返せ!」「やられたら 倍返し!」半沢のその信念は、いくつになろうとどこにいようとまったく変わらない。 今回の戦いの相手は、親会社である東京中央銀行だ。だが、半沢はひるまない。自分の立場が どうなろうとも、卑劣な相手には真っ向から勝負を挑む。その生き方は痛快だ。形勢は不利で、 追い詰められもう打つ手がない土壇場にきても、半沢は決してあきらめなかった。状況を冷静に 分析し最善の手を模索する。それにしても、なんと私利私欲に満ちている人間が多いことか! 相手を追い落とすこと、自分の保身、それ以外に考えることはないのか?読んでいて憤りを感じた。 「半沢!やれーー!」読みながら、何度も半沢にエールを送った。現実にはこういう状況はあり得 ないかもしれない。けれど、この作品は読む者に希望を与えてくれる。最後に正義は勝つのだ。 起伏に富んだ内容で、読み手の心をつかんだら最後まで絶対に離さない。読後も爽快さを味わう ことができた。とても面白い作品だと思う。満足満足♪オススメです! | ||||
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池井戸潤氏の銀行シリーズ、言わずと知れた信頼感抜群の半沢直樹がまた登場してくれたことが嬉しい。東京第一銀行と産業中央銀行が合併した東京中央銀行、その営業第二部次長であった産業中央出身の半沢直樹は、銀行グループの東京セントラル証券に営業企画部長で出向となった。これまで銀行の営業部店での活躍から、証券、M&Aという半沢にとって目新しい活躍場所に驚いたが、銀行と子会社の力関係、バブル入行組とロストジェネレーションの協働、子会社における銀行出身者とプロパー社員の関係というような設定も面白く読めた。 東京中央銀行、東京セントラル証券、電脳雑伎集団、東京スパイラル、フォックス、そして各々の役職員と、登場人物は非常に多い。人物相関図が巻頭にあるが主要人物だけなので、実際には読みながら自分で関係図をメモしつつ確認して読むことをお勧めしたい。 池井戸氏の作品の特徴は、勧善懲悪の展開と爽やかな若手主役達の活躍だ。爽快であり、感激し、読後感は最高だ。 しかし今回の作品はこれまでの銀行シリーズに比べるとやや感触は違う。実際の銀行の内部と比較するとやはり小説であり、あり得ない情景が少なくない。快刀乱麻の爽快感ドラマと、現実面からはやや疑問の内容に戸惑うが、私はこの不自然さには敢えて目をつぶり、素直に小説として楽しんで読むことにしている。 例えば証券子会社に部長職で出向した半沢だが、証券畑に素人では務まらない。また大きなM&Aディールでありながら、東京セントラル証券の人材は酷すぎる。半沢の1年上でまだ調査役の三木が、電脳雑伎のアドバイザー業務のリーダーとはあり得ない。証券子会社は証券営業部や関連事業部的な部署が監督しているから、通常は利益相反的な反乱は出来ない。銀行と証券子会社は当然にファイアーウォールがあるが、証券の半沢と、銀行の主要な同期入行者と情報がツーカーというのも困る。買収スキーム、市場外取引、公開買い付け、white knight、poison pill色々出て来るが、描き方はどうも今一つだ。やはり半沢直樹、塾の同窓同期、部下の若手の活躍を楽しむ娯楽小説だ。非常に面白いし、まだまだ半沢直樹を本シリーズに登場させて欲しい。 | ||||
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久々にすっきりした小説に出会えた。続編を期待してます。ビジネスマンとしてうなづける事多し | ||||
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この小説、私はライブドアや楽天あたりのIT企業の 買収劇をイメージしながら読んでいました。 バブル世代の主人公、半沢直樹とそれを助ける同期の 仲間が慶應卒というエリート臭さが、いささか嫌味で したが、ストーリー自体は起伏があって面白く一気に 読めました。もう一人の主人公、ロスジェネ世代の証 券会社プロパー社員森山はこの仕事で「働く意味」を 学び、成長していきます。 物語は最後はハッピーエンドで、半沢は銀行に戻り、 悪い奴等は頭取から電脳行きを言い渡されるという ありがちな結末で、まるで水戸黄門を見ているような ストーリーでした。 また、読者層はエグゼクティブな中間管理職層を意識 して書いているのでしょうが、経営陣の話は若い人に は馴染みにくいのでやや目線が高すぎる印象がしました。 企業小説は近い将来この人が中心の時代になるでしょう。 ポスト高杉良はこの人という感じでした。 | ||||
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それに頭使った!登場人物が多くて、何回も人物相関図をめくりました。 でもでも面白かったです。ハラハラドキドキ。 これは一気に読むと面白さが増すと思います。 | ||||
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「週刊ダイヤモンド」の史上初の巻頭小説であり、 「オレたちバブル入行組」、「オレたち花のバブル組」に続く3部作目のフィクション企業小説である。 全てに共通するのは、主人公 半沢というバブル世代の銀行員が、 銀行という実力無視の理不尽な組織に対して、高い志のもと、その組織と戦う様である。 それは、実力主義が声高く叫ばれ始めたロスジェネ世代にあって、 未だに実力主義が浸透しない、実力とは無縁な、理不尽な人事評価が通用する、 現派閥組織を含む大手上場企業への警鐘といえる。 それでも、この小説の中では、批判といった口先だけでなく、自ら実践する半沢を正当に評価する上司の存在があり、 読後は気持ちよく、読者を勇気づけるのが救いである。 この3部作目では、 「おい、そこの日本の大手管理職さんよ!、仕事をみずに、人(事)をみてねえか?、 仕事ありきのはずが、人ありきになってねえか?、目的と手段を取り違えてねえか?、 今、まさにお前が部下の成長を阻んでいないか?」、 また一方で、 「おい、そこの新人さんよ!、仕事を見ずに(消費者や顧客をみずに)、上司の背中をみてねえか?」、 といった「仕事の本質」を気付かせてくれるでしょう。 半沢のような高い志を持つ者が評価される時代でないのも、日本の企業や政治を堕落させている原因、 更には日本の悪い風習とさえ感じさせます。 ぜひ組織に属する方、本書を手に取って、半沢の志に触れて、今一度考えてみて下さい。遅くはないはずです。 | ||||
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物語は証券会社がIT企業と企業買収に関する アドバイザリー契約をむすぶことから始まります。 社歴が若く、実績もない証券会社にとっては 有名企業の買収案件を成功させることができれば 企業買収に強い証券会社として良い宣伝にもなります。 ところが、買収の契約を親会社の銀行に横取りされてしまいます。 親会社の意図やIT企業の思惑、そして証券会社の逆襲など 読みどころ満載です。 ただ私としては端役の登場人物のシーンを削って、 その分、買収の真の理由の説明をもっと読みたかったです。 | ||||
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著者得意の銀行内部のダークな部分を、企業買収というテーマに絡めて描いた作品。 また、親会社の銀行「東京中央銀行」と子会社の証券会社「東京セントラル証券」との買収アドバイザーをめぐる対決も見物。 主人公の半沢は、銀行から出向という形で子会社に勤めている。 その「東京セントラル証券」に、「電脳雑技集団」というIT会社より、「東京スパイラル」の企業買収の話が持ち込まれる。 しかし、その後、親会社である銀行に仕事を横取りされる。 その横取りは、親会社が「電脳雑技集団」の、子会社が「東京スパイラル」のアドバイザーに就くという、利益相反とも見える対決へと進んでいく。 後半の行き詰まるような買収合戦は、読み応えがあった。 もう一つの本書の魅力として、男の仕事にかける矜持のようなものが挙げられる。 半沢は、いわゆるバブル時代に就職した。 その部下の森山は、就職難時代となってから就職した。 なので、森山は、半沢を含めたバブル時代の人間が羨ましくて妬ましい。 二言目には、恨みがましい発言が出てくる。 しかし、半沢は、自分の人事も顧みず目の前の仕事に打ち込んでいく。 その姿に、徐々に森山の考えも変化していくこととなる。 仕事をしている方には、共感できる部分が多いと思う。 | ||||
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前作「おれたち花のバブル組」で、銀行内の暗闘を制したにもかかわらす、やりすぎだということで子会社へ出向させられた半沢。 本社の横やりで「倍返し」魂に火がついた。 サラリーマン小説だが、構造はテレビ時代劇そのものだ。 悪代官がいて、腹黒い越後屋がいて、汚いわなを仕掛けてくる。それを度胸とチームワークでこらしめる。 読んでてスカッとするわけだ。特に後半はまさに寝るのを忘れる面白さ。 その時の部下や顧客に誠実であるところが、筋が通っている。 同期の渡真利は、運命の絆で結ばれた盟友だね。 | ||||
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通勤の往復で、時を忘れて夢中で読みました。 とにかく、思いがけない仕掛けが次々あらわれ、伏線が ぴたりとはまっていく心地よさ。 そして、主人公の半沢のぶれない姿が非常に魅力的です。 最後は、アメリカ映画のようなハッピーエンドに、 思わずガッツポーズ。 元気がでます。 | ||||
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会社員時代、出向とかありました。 本社の意向とか無視できない立場。そして子会社の人々の対応 そういうのが前半で描かれているので、中盤から後半の流れが より楽しくリアルに感じられました。 入社試験を受けるにあたり 時代の変化で 楽→難とか 学生などでは どうしようもないときがあります。 勉強は 努力が結果につながるのに 会社員になると 努力しても結果が得られない。また評価が絶対ではないなど そういうのを実感していると より楽しく読めるのと思います。 ただ、銀行というところが あーいう逆転になるポイントを 見逃すのかな?とも思い少しそこが残念でした。 とはいえ、後半を もっと引き延ばして読みたいなーって 思うぐらいに 一気に読めてしまう作品です。 また、銀行の相手として出てくる企業。 新興企業ならではの 当初の倍々ゲームのような成長。 成長すればするほど、その速度を維持するのは難しいのに 過剰な期待。そして夢をみる経営者 そんな人達への警鐘もかねていたのでしょうかね。 | ||||
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銀行から子会社の証券会社部長に出向させられた半沢。 ちょっと言いたいことを言い過ぎて、嫌われたようだ。 出向先でも、若い頃の半沢に似たような男・森山がいた。 IT 企業を担当する森山は、クライアントから持ち込まれた M&Aの大案件に、担当者でありながらチームから外され、不満を 抱えていた。 しかも、M&A案件は親会社である銀行から横槍が入り、取り扱い 自体を取られてしまう。 部長として責任を問われた半沢は、森山とともにトンでもないワザを 繰り出し、逆襲に乗り出す…。 サラリーマンは昔は「気楽な稼業」だったハズだが、今はなかなか 厳しい。 プロパーの社員と出向組とは扱いが違う。 出世は社内力学で決まることが多い。 そもそも就職自体が厳しいバブル以後の世代は「ロストジェネレーション」 とまで、呼ばれている。 しかし、半沢は言う。 「サラリーマンだけでなく、全ての働く人は、自分を必要とされる場所に いて、そこで活躍するのが一番幸せなんだ。」 こうも言う。 「人事が怖くてサラリーマンが勤まるか。」 そして、結論は、 「仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。 その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。 身勝手な都合で醜く歪み、そういう人間が増えれば組織が腐り、世の中が 腐ってゆく。」 ぶつぶつ不満ばかり言わず、信念を持って生きてゆく人間がカッコ良く 思える一冊だ。 それを痛快に思えるうちは、まだこの社会は本当に腐ってはいないのかも 知れない。 | ||||
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ロスジェネの必然性はないと思いますよ。おもしろいのだから。 銀行・証券が舞台になっていますが、知識は不要です。また、主人公の登場する前作品を読んでおく必要もありません。この作品だけで楽しめます。 窮地に立たされた人たちの意地の逆転劇。疲れたときに、難しいことは何も考えずに読むと、スカッとすること保証します。 半沢・森山たちの今後もいつか描かれるのだろうなぁ。 | ||||
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バブル入行組シリーズは『空飛ぶタイヤ』の次に好きなんですが、 そしてやっぱりメチャメチャ面白くはあったんですが…。 池井戸さんの本って ・大企業や権力者による「強者の論理」に これでもか!ってくらい打ちのめされて。。。 ・しかし、最後にはスカッと爽快! 勧善懲悪ファンタジー! この両者のバランスが絶妙なところが、最大の魅力だと思うんですよ。 主人公とともに泣き、怒り、そして最後には喜ぶ!という感情移入度が半端ない と言いますか。「こんな都合の良い展開、ありえね〜」と思いつつも、最高に気分が 良くなると言いますか。 でも、『ロスジェネ』はあまりにも後者寄りというか、後者だけというか。 もの凄くあっさりとトントン拍子に勧善懲悪しちゃうんで、あまり感情移入 できませんでした。 もうちょっと前者で引っ張って「こいつら許せね〜〜〜〜〜〜〜〜」と思わせて くれないと、後者の爽快感が薄れちゃうんですよね。(『下町ロケット』の訴訟の シーンでも、同じ事を思いました) あと、ロスジェネ世代が最初から、半沢に対してあまり悪感情を抱いてなかった ところも少し肩すかしだったかな。反目!反目!→お互いに認めて共闘!という 展開を期待してたもんで。 でもまあ、間違いなく面白かったですよ。 星4つです。 | ||||
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「オレバブ」シリーズは大好きなシリーズ。銀行を舞台にこんなにもエンタテイメント性の高い作品を書ける池井戸潤は凄い作家だなと思う。 シリーズ第3弾となる今作を心待ちにしていたが、期待通りの面白さで一気読みした。 全体の雰囲気としては前2作と比べてお笑い系の雰囲気は後退し、硬派な雰囲気が強まった感じがする。「オレバブ」シリーズの雰囲気と、著者の2大代表作である「空飛ぶタイヤ」「下町ロケット」の雰囲気が融合したような作品で、これぞ池井戸作品の王道ともいえる仕上がりだ。 読後の爽快感は言わずもがな、さらに仕事とは何かとあらためて考えさせられる重厚さも兼ね備えている。シリーズを通して成長を続ける半沢のこの先をもっともっと読み続けたいという欲求がさらに高まった。 金融エンタテイメントの傑作中の傑作! | ||||
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著者は、かねて「リアルな銀行や企業を描いて、わざわざお金払って読んでくれてる働く読者に、何を与えられるのか?だから、私は、敢えて、こういう元気の出るエンタメを書いている」といった趣旨のことを、直木受賞前後に言っていた。 著者の思うところの是非は、さておき、その思うとおりのモノを十二分に描いているという点で、著者は優れたエンタメ作家の一人といえる。 とはいえ、本作にしてもシリーズ第3作ということで、ヤクザとか探偵とかファンタジーなんて「何でもありな」ジャンルのシリーズ物の方と違い、ムチャクチャや同工異曲には限界がある。 そこで、今回持ち出されたのが、ロスジェネである。 ロスジェネという存在に興味や認識を持つのは、著者や本シリーズの読者層からすると、当事者達と、彼ら彼女らを部下に抱える中間管理職ということになる。その読者がリアリティを持ちつつも嫌悪感を抱かない。うまい扱いで描かれている。本来のロスジェネは、就職氷河期以降の厳しい競争社会で勝ちを得られず、その後も再挑戦の機会を奪われたまま、いつしか、敗者・無能の烙印を押され、社会的・経済的に下位に滞留する者である。厳しくみれば、ロスジェネの全てが有能でも高い志ある者でもない、必然の敗者・天性の無能も、いわゆる勝ち組に比して多いだろうことも察せられる。 しかし、著者は、このロスジェネに「高き志・能力・やる気がありながら、不当なレッテルや偏見により抑圧された者」という新たなキャラを授けた。これにより、ロスジェネでない多くの読者からの親近感「頑張っているのに報われないのは、自分と一緒」を醸成させる。そして、本来の競争故の劣後を、不当な者への勧善懲悪の形で跳ね除けさせ、読者に実生活では得られぬカタルシスを与えている。この展開は、エンタメとしての巧拙を抜きにすれば、水戸黄門とそれを愛した視聴者との関係に近いものと思える。 ロスジェネどころかロスジャパ(ロストジャパン)な時代において実によく出来た商品コンセプトだと感心させられる。著者より前の世代の企業小説作家が、どうしても下克上・天下国家的なエリート同士の社内抗争に傾きがちであるところを、比較的等身大の、しかし、志高く勤勉な者にキャラを移したところが、著者の巧みなエンタメ術であろう。 | ||||
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