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弥勒世
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弥勒世の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全33件 1~20 1/2ページ
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舞台は日本復帰前の混沌とした沖縄。当時の状況が容赦なく描写され、登場人物の強烈な個性と諸々の事件が複雑に絡み合い、一気に読み切ってしまう。 CIAの手先になった主人公伊波尚友が反戦、反米、反基地の活動家たちの詳細を米軍に報告する一方で、米軍の情報を活動家たちに流して信頼を得、更に、琉球の警察官との情報を交換するという三重スパイのような行動を続ける。その根底にはやまとや日米政府による歴史的にも現在も沖縄が虐げられてきた理不尽な環境とそれに対する沖縄の煮え切らない対応への絶望と憎悪が渦巻き、相互を激突させて破壊させたい衝動に駆られている。そこに同じ施設で過ごした友人、一見酒と女と音楽にうつつを抜かしている天才肌の比嘉正信から米軍基地襲撃という恐るべきテロル計画を打ち明けられ、決行に協力する。ヤクザも一枚かんでいるところが沖縄的か。当時の基地の街コザではヴェトナム帰りの米兵が荒れ狂い、白と黒の兵隊のむき出しの対立、女や麻薬、暴力がはびこり、騒然としていた。一方、日米政府の合意により沖縄返還が決まり、日本復帰、反基地運動が盛り上がる中でB52の墜落事故、毒ガス漏れ事件が発生、べ平連などの左翼活動家も侵入して沖縄全体が激しく揺れ動いていた。主人公の尚友と正信は奄美と宮古島出身という沖縄社会ではアウトサイダーでこれらの騒動を冷ややかに眺め、武器集めのため吐き気をもようすようなあくどい手段も実行する。尚友には同じ施設出の献身的に一途に思いを寄せる魅力的な黒人系ハーフ照屋仁美が寄り添うが、己の所作に嫌悪し、出口のない葛藤を抱えながら物語は進展していく。 | ||||
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沖縄、独特の雰囲気と、作者の独特の雰囲気が最高に融合されている。 | ||||
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沖縄のこと知らなすぎた。 差別・貧困 考えさせられた。 無知だったことに恥をしる。 長編だったが時間を忘れて読んでしまった。 | ||||
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馳星周さんの本です。 アメリカ軍の占領から、そろそろ脱けだそうとしている時期の沖縄が舞台です。 英字新聞でアメリカの提灯記事を書いていた伊波尚友は、アメリカ軍関係のホワイトとスミスと名乗る人物から、アメリカのグリーンカード交付を条件に、反米活動の内情をさぐるスパイ活動をするように要請をうける。 アメリカの太鼓持ちをしていた尚友が、いきなり反米活動を始めるわけです。 英字新聞の会社を喧嘩でクビになり、その怨恨から今度は反米活動をする、というストーリーにより、 まんまと反米活動の仲間を得ることに成功。 沖縄の反戦活動や、ベトナム戦争での厭戦ムードを煽るため、尚友は照屋仁美とともに、アメリカ軍の黒人たちの出没する飲み屋街に行くことに…。 高まる沖縄の反米活動。また、沖縄の米軍基地問題。 そういうなか、尚友は仁美にどうしようもなく惹かれていく…。 馳さん、かなり綿密に取材したのかな、と思わせるリアルさで、しかも、アメリカに対する沖縄の感情を見事に描いています。 また、ドラマも次から次へと展開していくのがいい。飽きない。 かなり厚い本ですが、読み応えがある本です。 | ||||
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尚友は政信とともに、武器を備蓄していく。 そして、沖縄ヤクザのマルコウとともに、共和国軍として決起する日をめざす。 といいつつ、尚友はアメリカに反米活動の情報を流しつつ、一方ではアメリカの情報も引き出している。いわゆる二重スパイになりますな。 共和国軍は不良米兵を狙い暗殺行為をおこない、犯行声明を出す。 それが、アメリカ側を刺激することになり、尚友に情報を集めるように指示がでる。 しかし、尚友は共和国軍なので、のらりくらりとかわしている。 そうして、尚友や政信は、核や毒ガスを備蓄している倉庫を襲う計画をたてていくが…。 なんか、政信に対する尚友の葛藤とか、上巻では丹念に書かれていたのですが、下巻になると、そういう葛藤が薄まっているように感じます。政信の存在意義が薄まってくるんですよね。 物語が走り始めて、だんだんと、馳さんもコントロールきかなくなっていたのかな、なんて感じてしまいました。 確かに、この物語の登場人物たちが、勝手に物語を動かしはじめているような気がしましたね。 それだけ、魅力的な人物が多いわけですが。 仁美の退場が唐突感があるのですが、物語の展開上、ここで退場すべきだったのかもしれません。 とりあえず、おもしろく読んだ本でした。 | ||||
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呪詛が足りない憎悪が足りない絶望が足りない詰まり狂気が足りない。 作家が歴史に組み敷かれてどうする。 | ||||
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取材が甘い。設定が甘い。 例えば「本土」のいわゆる「過激派」についても現地の「琉球独立派」についても公安についても。 例えば眼を背けたくなるような米兵の取り込み方についても筆に抑制が掛かってる。 馳星周はもっと「剛」の人間だと思ったのだが。 下巻の展開に期待。 | ||||
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緊張感が無いのに無理矢理上げていく描写に疲れました | ||||
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こんな本、読まなきゃよかった。読後感も、後味が悪いだけ。 現実の人殺しでも、こんなに破壊願望だけの人間などいないよ。 | ||||
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久しぶりに馳星周の作品を読んだけど、読み応えがあって良かった。 デビュー作の「不夜城」があまりに衝撃的で素晴らしい出来栄えだったので、その後の作品が「不夜城を超えられない」「ワンパターン」といった評価をされがちで気の毒だった。 正直、僕もそう感じる事があったが、この「弥勒世」は「不夜城」に勝るとも劣らない作品だと思う。 それにしても、こういう重く暗いテーマの作品を書く作家も馳星周くらいしかいなくなった。 世間で売れる本っていうのは、主人公は真っ直ぐな性格、それで悪者が卑怯な手段で主人公を陥れようとするが、色々知恵を振り絞って困難な状況を乗り切り、最後は悪者をやっつけてスカッとするっていう勧善懲悪の内容のものが多い。 ストーリーがわかりやすく、受け入れやすいのだろう。 そういう小説が売れてるって事は、馳氏の小説はなかなか幅広く受け入れられるのは難しいだろうなと思う。 「弥勒世」も、人間の暗く醜い闇の部分を描き出し、憎しみ、怒り、諦念、呪詛であふれている。 登場人物の誰一人幸せになれない。 世間一般で売れている小説とは真逆の内容である。 安易な勧善懲悪の希望の物語に走らず、たとえ受け入れられにくくとも、こうした人間の闇を描きつづける馳氏を僕は評価したい。 「弥勒世」の舞台は施政権返還前で、ベトナム戦争真っ只中の米軍統治下の沖縄。 あらゆるイデオロギーが島全体を包み、米兵の沖縄人に対する日常的な暴力、差別。 アメリカにもなれず、日本にもなれない沖縄の特殊な状況。 そんな中で孤児院出身の伊波尚友、比嘉政信、照屋仁美の三人を中心に物語は進んで行く。 上巻では、小さい事件はあるものの、わりと淡々と話が進む。 当時の沖縄の状況説明のような内容が多い。 しかし、これは嵐の前の静けさで、下巻では怒涛の如く急展開していく。 個人的には、ヒロインの照屋仁美が非常に魅力的に書かれてると感じた。 馳氏の作品の登場人物は性格の歪んだぶっ飛んだ人物が多いのだが、照屋仁美は馳作品には珍しく純粋で真っ直ぐな女性なのだ。 主人公の伊波との恋の行方がどうなるかも下巻の楽しみ。 沖縄史の勉強にもなるし、とても読み応えがあった。 勧善懲悪の物語に飽きて、たまには重い小説を読んでみたいと思ってる人にオススメ。 | ||||
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沖縄の近代史を背景にするには、史実に対する相当の裏付けが必要だったことは、巻末の参考文献一覧を見てもわかります。その説明に神経を使いすぎた感は否めません。主人公の人物描写は明らかにお粗末です。健一が歌舞伎町から沖縄へ移ってきただけです。尚且つ、警官を短時間で四人も殺せるだけの狂気を持ち合わせているとは、到底思えません。ぞろぞろこのパターンにも食傷気味です。沖縄の歴史が舞台の意味は何なのか最後まで分かりませんでした。 | ||||
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沖縄の近代史を背景にするには、史実に対する相当の裏付けが必要だったことは、巻末の参考文献一覧を見てもわかります。その説明に神経を使いすぎた感は否めません。主人公の人物描写は明らかにお粗末です。健一が歌舞伎町から沖縄へ移ってきただけで、尚且つ、警官を短時間で四人も殺せるだけの狂気を抱かせる理由はなんなんだ?簡単に殺人を犯すパターンにはぞろぞろ食傷気味です。著者が沖縄を舞台にした意味は何なのか最後まで分かりません。 | ||||
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【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する | ||||
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落とし前となる作品。時代故の携帯封印が図らずもエルロイ的世界に道を穿つ。従来にないヒロインが出色。 | ||||
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【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する | ||||
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今まで読んできた馳氏の小説はほぼ全作品、内容が濃い・薄いに関わらず、中毒的に読み進めずにはいられないという感覚に陥りました。 3日以内に一冊読み終える感じでした。 しかしながら、 本作(上巻)は感覚がかなり異なりました。 他の作家の方々と同じというか、読みたいときに少しずつ進めれば良い、と。 馳氏の作品の多くは裏社会・闇社会が背景となっており、チンピラやらデバガメやらが主人公である、もしくは彼らが主人公を取り囲んでいます。 ある意味“軽い”。 本作の場合、舞台は<返還前の 米軍占領下の沖縄>。 とてつもなく重く、密度の濃い世界です。 このあたりのことが、作風を違ったものにしているのでしょう。 また、上巻まででは暴力的な性描写はほぼなく、SEXに<愛>が感じられる点も異質でした。P.585から主人公は急に鬼畜な道へと突き進みそうになります。 過去を明かさずに来ていたので、どうしても唐突な感は否めない。 鬼畜な物語を描きたい、またしても鬼畜先にありきなのか? その予測も今回は外れました。 下巻の鍵は案外<濱野>かな? 如何でしょう・・・ *** (以下の文章、CUBAに想いを馳せ、なんだかどきっとさせられる言葉でした。) P.110 「祭が始まるのだ。 理性などうっちゃって本能に全てを委ねればいい。 体力が尽きるまで三線を弾き、歌をうたい、カチャーシーを踊る。 うちなーんちゅはそうやって生きてきた。 そうやって 現実をなおざりにし、夢の中に生きてきた。 その結果がこれだ。 薩摩とやまとに翻弄され、戦争で生き地獄を味わわされ(原文ママ)、アメリカーに尻尾を振る生活を余儀なくされる。」 P.127 「アメリカーからもやまとからも独立し行けるほどうちなーは豊かじゃない。 薩摩に蹂躙される前から、中国とやまとの顔色をうかがってきたんだ。 その間にうちなーんちゅはとことんまで骨抜きに された。 独立したって、あっという間に滅びるだけだ」 P.177 「離島の人間はさらなる離島の人間を差別してきた。 途切れることのない連鎖。 生きとし生けるすべての人間は、他者を差別するという一点で共犯者だ。」 P.472 「愛国心がなければ戦争もおこならないだろうとは思っているがね。」 *** 1969年の沖縄の米軍基地におけるVXガス保管倉庫での事故、そしてその隠蔽は史実のようです。 *** 【2013年12月9日記】 下巻の方がずっと内容が濃く、読み物としても面白いので、とにかく上巻を(我慢して)読破することをお薦め致します。 | ||||
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読み始めテンポ良く良かったのですが、沖縄の事全く知らずで最初はちょっと付いていくのにしんどかった。 途中で地図を見て沖縄の位置をしっかり確認したり、コザ暴動を調べてみたり・・・ でも本当に読んで良かった。 | ||||
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沖縄の見方が変わった気がします。まだ行ったことがないのですがこの本を読み沖縄の観光目的が変わりました。海よりも基地に行って見たい気がした。 読んでいてだんだん辛く哀しい思いがしてきて最後に来て読み終えるのに時間がかかってしまった。死に向かっているというのがきつかったなー仁美が可哀想でならなかった。 沖縄返還の事や沖縄の真実を教えてもらった、本当にこの本に出会えてよかった | ||||
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沖縄の見方が変わったように思います。上下巻と長編でしたが、だんだんと面白くなっていき本当に良かったです。 読み終え少し哀しい気がしました。 沖縄の哀しい歴史を知りました。 | ||||
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ウチナーンチュの混馳氏が沖縄返還を舞台にした作品を描き 高評価だという情報をみて早速読んでみました。 氏の作品は「不夜城」「鎮魂歌」しか読んでいないのですが どちらも大変読み応えがあったこと、 そして私自身沖縄に生まれ育ったことから興味深く さっそく読んでみたのですが これが、もう、予想以上に、ものすごく面白い。 誰かの評にもあったのですが、 かなり取材しできごとを深く掘り下げて表現されているのでは ないでしょうか。 物語では沖縄が日本へ返還されるまでの ウチナーンチュの戦いの様子が描かれているのですが それは私が生まれる数年前の話。 この本のように 憎しみや不満、悲しさが渦巻いている沖縄を ウチナーンチュである私はほとんど知らない、想像できないでいました。 しかし。 氏の描く物語は 当時の沖縄の感じが、匂いや湿度、灼熱の光や 人々の目の暗さまで その場でその体験をしているかのような感覚になってしまいます。 まさに現実以上にリアル。 日本は沖縄を、沖縄はやんばるを、やんばるは離島を差別する。 という一文にハッとしたりヘンに納得したり 小さい島が昔も今も抱える矛盾を、鮮やかにえぐりだしていて もう、いっそ潔い。 出てくるキャラも一人ひとり、味わい深く、無駄がありません。 ところで主人公の抱える闇、裏切り、狡猾さ、哀しみ は 「不夜城」シリーズにも共通しています。 どこにも受け入れられず、馴染めず、ただ一人 生きる為にもがき続ける。 このキャラ、この視点は、馳星周独特ですね。 上巻は走り抜けるように読みました。 下巻も楽しみです。 | ||||
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