カフーを待ちわびて
評判
カフーを待ちわびての評価:
4.19/5点 レビュー 120件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全242件 141〜160 8/13ページ
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カフーを待ちわびての評価:
4.19/5点 レビュー 120件。 A ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
だから一緒に住むようになったりしたら恋愛ではないのだそうだ。
最近たまたま、ある作家の言葉として紹介されているのを何かで読んだ。
定義として考えると反対する声もありそうだが、自分の中ではなるほどと納得。
結ばれる以前、あるいはついに結ばれない関係の、不安、苛立ち、夢想、ときめき、切なさ。
そういうものが恋愛なのだろう。
第1回「日本ラブストーリー大賞」受賞作というこの小説は、沖縄の離島を舞台に、
まさにそうした「恋愛」を見事に感動的に描いた作品である。
実はこの作家、最新作らしい『楽園のカンヴァス』の書評を何かで読むまで、名前も知らずにいた。
一度意識すれば忘れにくい名前だろう。
興味を惹かれて調べてみると、もうずっと活躍している人だとわかる。
ほかの作品も面白そうで、
となるとむしろ先に書かれた本から読んでみたい気になって手に取ったのが本書である。
たまたまわりに最近、南の島に行く機会があったので、そういう気分だったのかもしれない。
沖縄、あるいは他であっても、南の島には癒しを感じる。
現地の人の感覚はまた違うのかもしれないが、外から行く人間にとっては少なからずそうだろう。
だからそういう舞台の物語には、癒しや和みをもたらしてくれるものが少なくない。
池澤夏樹の短編集『南の島のティオ』や、映画の『めがね』が思い浮かぶ。
恋愛が結ばれない状態を意味するとすれば、それは不確かなものとしてあるから、
サスペンス性も強くて物語にはなりやすい。
実際この物語も、謎やトリックもあって、ほとんどミステリーのようにも読めるのがすごい。
だが、そこで沖縄の島が舞台というのがとても大きな要素になる。
最後は広く深く海のように、何か無限に大きな優しさに包まれる感覚があって、それが心地よいのだ。
そのことはおそらく、とことん優しい主人公の人間性
(焦れったいまでの人の良さとも言えるが)とも無関係ではない。
冗談のように旅行先の神社の絵馬に「嫁に来ないか」と書き込んだ主人公のもとに、
「お嫁さんにしてください」という便りが届く。
ありえないような、あるいはバカバカしいとすら感じられる発端だが
(しかしそのわけはちゃんとあとでわかる)、
こうして夢見るような設定もまた沖縄という舞台によく合うのだ。
これは恋愛を描いただけでなく、傷を抱えた者たちが、
絆によってそれを乗り超え、癒されてゆく話である。
そこには単なるラブストーリーを超えた感動がある。
一方で作品のマイナス面を挙げることはそう難しいことではない。
人物設定に疑問を感じたり(腹を立てている自分に苦笑いしたりする)、
ファンタジックな設定とリゾート開発をめぐるリアルさのギャップに釈然としないものを感じたりもする。
そもそもが作り物っぽい、わざとらしい話だし、展開もご都合主義的といえなくもない。
しかしそれらが欠点だとしても、物語に一度浸ってしまえば、
最後は圧倒的な筆力がもたらす海のうねりのような感動に呑み込まれてしまう。
結末に至る部分を読んで泣く読者は少なくないかもしれない。
作者のストーリーテリングの能力は高い。
切ないが優しい。
そして題が暗示するように、待つことには希望が託されているだろう。
南の島の光と風の中で遠くを見つめるような読書体験だった。