天地明察
評判
天地明察の評価:
4.20/5点 レビュー 418件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全340件 301〜320 16/17ページ
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天地明察の評価:
4.20/5点 レビュー 418件。 A ランク
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時代小説はあまり読みませんが、テンポのよい文章にぐいぐい引っ張られるように読み通しました。
「行こう。己は試されねばならない。試されてこその研鑽だった。」(232頁)
一筋縄ではいかない暦編纂事業、妻こととの出会いと別れ、そして再び出会った女性えんとのほほえましい関係など、あの時代の青年・春海の健闘の日々を描くエンターテインメント小説として大いに楽みました。
しかし、一つだけ拭えない疑問が残りました。
中国伝来の暦が決して正確無比なものではなく、さらに精度の高い暦を必要とした事情についてこの物語は、飢饉の回避を一番に挙げています。その中国の暦は800年でわずか2日のずれというものであるにも関わらず、
「かくては農耕や収穫の開始の時節が失われ農事に不都合が生じて凶作となるばかりか、月の大小という万民の生活の尺度、日の吉凶というあらゆる宗教的根源が、全て無に帰してしまう」(350頁)というのです。
これはかなり大仰ではないでしょうか。
杓子定規に暦を守って、農耕収穫の日取りをピンポイントで細かく決めて農業が行なわれていたとも思いませんし、その2日のずれで「飢苦餓亡」が発生するというのであれば、長年の職業的勘を働かせて暦を無視して農耕日程を調整するだけの柔軟性くらい農民にもあったでしょう。
高島俊男著「お言葉ですが…〈別巻3〉」にもこんな風に書かれています。
「農作業も暦にあわせておくらせてよい、というわけにはいかない。農作業は、暦ではなくお天道さまのごきげんにあわせてやるしかありません。」(85頁)
であれば、暦を変更するのは飢饉の回避ではなく、もっと別の深い政治的理由が働いたのではないでしょうか。
そんな風に思えてなりませんでした。