アメリカン・デス・トリップ

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評判

アメリカン・デス・トリップの評価:

4.70/5点 レビュー 20件。 B ランク

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平均点4.70pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全29件 21〜29 2/2ページ
No.9
(5pt)

秋の夜長に…エルロイに取り憑かれて

LA四部作以来、アンダーワールド三部作にも登場する歴史上、創作上の人物たちが、そろって大河ドラマの終焉へと進んでいく感じがする。追い詰められた犬たちが、背徳の世界を突っ走る。決して実現することのない安息を求めて。古来悪人たちが破滅する物語は数多くあるが、エルロイの主人公たちも無名ながら神話かシェイクスピアのような格式と必然を感じる。それもそのはず本作の主要な三人は、これまでエルロイの作品を彩ってきたあまたの主人公たちの集大成であり、その人物造形は過去の作品を彷彿させるのである。
 「ブラック・ダリア」の熱情、「ビッグ・ノー・ウェア」の悲劇、「LAコンフィデンシャル」のエンターテイメント、「ホワイト・ジャズ」の狂気。そのどれもを感じさせてくれるだろう。
 
 
アメリカン・デス・トリップ 下 (文春文庫 エ 4-14) Amazon書評・レビュー: アメリカン・デス・トリップ 下 (文春文庫 エ 4-14)より
4167705532
No.8
(5pt)

圧倒的な筆力でとことん打ちのめされる!

エルロイ史上最長の本作は、アンダーワールド三部作の第2編である。まずその本の分厚さにも驚くが、登場人物の数もものすごい。前作から重要な役割を担っているウォード・リテルとピート・ボンデュラント、そして殺されたケンパー・ボイドをイメージさせるウェイン・テッドロー・Jrが交互に登場すパターンは踏襲され、やはり「善人」は一人も登場しない。エルロイの登場人睦たちの魅力は、何かに取り憑かれたような行動、狂気じみた熱情にあるが、破滅へと突き進む彼らから目を離せない。
 63年のケネディ暗殺後から、ボビーとMLKが暗殺される68年までが描かれているのだが、前作をしのぐスケール感と複雑さ緻密さを持って物語は進行する。最初、これは途中で読むのをあきらめてしまう読者もいるのではないかと危惧されるが、エルロイの圧倒的な筆力でクライマックスまでぐいぐいと引っ張られていく。本作は間違いなく、質・量ともにエルロイの最高傑作であろう。
アメリカン・デス・トリップ 上 (文春文庫 エ 4-13) Amazon書評・レビュー: アメリカン・デス・トリップ 上 (文春文庫 エ 4-13)より
4167705524
No.7
(5pt)

圧倒的な筆力でとことん打ちのめされる!

エルロイ史上最長の本作は、アンダーワールド三部作の第2編である。まずその本の分厚さにも驚くが、登場人物の数もものすごい。前作から重要な役割を担っているウォード・リテルとピート・ボンデュラント、そして殺されたケンパー・ボイドをイメージさせるウェイン・テッドロー・Jrが交互に登場すパターンは踏襲され、やはり「善人」は一人も登場しない。エルロイの登場人睦たちの魅力は、何かに取り憑かれたような行動、狂気じみた熱情にあるが、破滅へと突き進む彼らから目を離せない。
 63年のケネディ暗殺後から、ボビーとMLKが暗殺される68年までが描かれているのだが、前作をしのぐスケール感と複雑さ緻密さを持って物語は進行する。最初、これは途中で読むのをあきらめてしまう読者もいるのではないかと危惧されるが、エルロイの圧倒的な筆力でクライマックスまでぐいぐいと引っ張られていく。本作は間違いなく、質・量ともにエルロイの最高傑作であろう。
アメリカン・デス・トリップ(上) Amazon書評・レビュー: アメリカン・デス・トリップ(上)より
4163203001
No.6
(4pt)

作家が挑んだ物語り作法の“桎梏”

“ケネディー大統領暗殺”。このフレーズを提示されたら……ほとんどの方が、その事件の詳細を含めほぼ同様のフレームを持った物語を、想像するのではないでしょうか。じつは、作者・エルロイの提示するこの物語もそのフレームの近似をハズしてはいません。むしろ“あの事件”に対する新しい切り口さえわざと提示してないように思われるほどです。この点の目新しさをこの本に求めると肩透かしをくった感じだけが残ります。
 しかし、この“肩透かし”こそが狙いだったのでは? とも思われるのです。得体の知れない“力”が加わったであろうあの“事件”を読者に提示するために、語り部・エルロイが狙っていたものだったとしたら……と読了後、思わせるものがこの本にはあります。例えば、支点・力点・䡊作用点と重り、そして主体。“ある力”を具象しようとすると、まずはこの5つの要素があれば足ります。“ケネディー大統領暗殺”とそれにまつわる合衆国に存在したであろう“力”。この“力”を表現するために―――エルロイは、仰々しい“新事実”・大げさな“切り口”を廃して、5つの要素を仔細に見つめひとつひとつ描き込み、組み合わせて行った。そう考えて、つまみつまみ再読すると、紙数が進めば進むほどあの“力”が再構築されてゆくのがわかります(もしかしてただたんに私の理解が遅いだけかもしれませんが:苦笑……)。
 パーレン内の感想が最後になるのは本意ではないので(苦笑)レビューに戻って、この小説を「作家が挑んだ物語り作法の“桎梏”」と捉えて“読了”することをオススメいたします。独特の“ブツブツ”文体ゆえのリズム感が気にならなくなるかもしれません。
アメリカン・デス・トリップ 上 (文春文庫 エ 4-13) Amazon書評・レビュー: アメリカン・デス・トリップ 上 (文春文庫 エ 4-13)より
4167705524
No.5
(4pt)

作家が挑んだ物語り作法の“桎梏”

“ケネディー大統領暗殺”。このフレーズを提示されたら……ほとんどの方が、その事件の詳細を含めほぼ同様のフレームを持った物語を、想像するのではないでしょうか。じつは、作者・エルロイの提示するこの物語もそのフレームの近似をハズしてはいません。むしろ“あの事件”に対する新しい切り口さえわざと提示してないように思われるほどです。この点の目新しさをこの本に求めると肩透かしをくった感じだけが残ります。
 しかし、この“肩透かし”こそが狙いだったのでは? とも思われるのです。得体の知れない“力”が加わったであろうあの“事件”を読者に提示するために、語り部・エルロイが狙っていたものだったとしたら……と読了後、思わせるものがこの本にはあります。例えば、支点・力点・䡊作用点と重り、そして主体。“ある力”を具象しようとすると、まずはこの5つの要素があれば足ります。“ケネディー大統領暗殺”とそれにまつわる合衆国に存在したであろう“力”。この“力”を表現するために―――エルロイは、仰々しい“新事実”・大げさな“切り口”を廃して、5つの要素を仔細に見つめひとつひとつ描き込み、組み合わせて行った。そう考えて、つまみつまみ再読すると、紙数が進めば進むほどあの“力”が再構築されてゆくのがわかります(もしかしてただたんに私の理解が遅いだけかもしれませんが:苦笑……)。
 パーレン内の感想が最後になるのは本意ではないので(苦笑)レビューに戻って、この小説を「作家が挑んだ物語り作法の“桎梏”」と捉えて“読了”することをオススメいたします。独特の“ブツブツ”文体ゆえのリズム感が気にならなくなるかもしれません。
アメリカン・デス・トリップ(上) Amazon書評・レビュー: アメリカン・デス・トリップ(上)より
4163203001
No.4
(4pt)

作家が挑んだ物語り作法の“桎梏”

“ケネディー大統領暗殺”。このフレーズを提示されたら……ほとんどの方が、その事件の詳細を含めほぼ同様のフレームを持った物語を、想像するのではないでしょうか。じつは、作者・エルロイの提示するこの物語もそのフレームの近似をハズしてはいません。むしろ“あの事件”に対する新しい切り口さえわざと提示してないように思われるほどです。この点の目新しさをこの本に求めると肩透かしをくった感じだけが残ります。 しかし、この“肩透かし”こそが狙いだったのでは? とも思われるのです。得体の知れない“力”が加わったであろうあの“事件”を読者に提示するために、語り部・エルロイが狙っていたものだったとしたら……と読了後、思わせるものがこの本にはあります。例えば、支点・力点・作用点と重り、そして主体。“ある力”を具象しようとすると、まずはこの5つの要素があれば足ります。“ケネディー大統領暗殺”とそれにまつわる合衆国に存在したであろう“力”。この“力”を表現するために―――エルロイは、仰々しい“新事実”・大げさな“切り口”を廃して、5つの要素を仔細に見つめひとつひとつ描き込み、組み合わせて行った。そう考えて、つまみつまみ再読すると、紙数が進めば進むほどあの“力”が再構築されてゆくのがわかります(もしかしてただたんに私の理解が遅いだけかもしれませんが:苦笑……)。
 パーレン内の感想が最後になるのは本意ではないので(苦笑)レビューに戻って、この小説を「作家が挑んだ物語り作法の“桎梏”」と捉えて“読了”することをオススメいたします。独特の“ブツブツ”文体ゆえのリズム感が気にならなくなるかもしれません。
アメリカン・デス・トリップ(下) Amazon書評・レビュー: アメリカン・デス・トリップ(下)より
4163204407
No.3
(4pt)

堕ちていく疾走感

ジョン・F・ケネディとキング牧師とキューバ危機…僕達の中の知識では60年代のアメリカでおきた、ひとつひとつの出来事に過ぎない。もちろんそれらを関連付けられる人も事実もあるんだろうけれど。ふつうのアメリカ人も、きっと僕と同じくらいの認識しか持っていないんじゃないだろうか。
エルロイはこれを見事にくっつけた。それも強引に、かつ緻密に、そして悪辣に。いままでの彼の作品は、毒気が中和されていたようだ。ところが前作の「アメリカン・タブロイド」からは、そのフィルターが取り払われ、文体も研ぎ澄まされ、男と男、男と女、父と子、そしてアメリカと自分、という愛憎劇がストレートに伝わってくる。
あっさりケネディを暗殺してしまうところから始まるこの作品は、オズワルド、フーバー、R・ケネディなど時代の表面に現れ、僕達も垣間見た人物や事実をその陰で紡いでいく。その役割を引き受ける男たちのなんという疾走感。僕はとつぜん大藪春彦の作品を思い出していた。一時夢中で読んだ大藪作品も、ディティールはいいのだが、ラストは主人公が激しい銃撃戦に飛び込んでいくーというような終わり方ばかりで、拍子抜けしていたのだが、この作品も最後は目的や憎む相手もわからなくなっていく主人公達がダブって見えてしかたなかった。
僕としてはノスタルジックな以前の作品の与太話みたいな雰囲気が好きだったのだが、作者の持つブラック・ホールは本書くらいのプレイグラウンドがなければ、もはや収まりがつかないのだろう。
アメリカン・デス・トリップ 上 (文春文庫 エ 4-13) Amazon書評・レビュー: アメリカン・デス・トリップ 上 (文春文庫 エ 4-13)より
4167705524
No.2
(4pt)

堕ちていく疾走感

ジョン・F・ケネディとキング牧師とキューバ危機…僕達の中の知識では60年代のアメリカでおきた、ひとつひとつの出来事に過ぎない。もちろんそれらを関連付けられる人も事実もあるんだろうけれど。ふつうのアメリカ人も、きっと僕と同じくらいの認識しか持っていないんじゃないだろうか。
エルロイはこれを見事にくっつけた。それも強引に、かつ緻密に、そして悪辣に。いままでの彼の作品は、毒気が中和されていたようだ。ところが前作の「アメリカン・タブロイド」からは、そのフィルターが取り払われ、文体も研ぎ澄まされ、男と男、男と女、父と子、そしてアメリカと自分、という愛憎劇がストレートに伝わってくる。
あっさりケネディを暗殺してしまうところから始まるこの作品は、オズワルド、フーバー、R・ケネディなど時代の表面に現れ、僕達も垣間見た人物や事実をその陰で紡いでいく。その役割を引き受ける男たちのなんという疾走感。僕はとつぜん大藪春彦の作品を思い出していた。一時夢中で読んだ大藪作品も、ディティールはいいのだが、ラストは主人公が激しい銃撃戦に飛び込んでいくーというような終わり方ばかりで、拍子抜けしていたのだが、この作品も最後は目的や憎む相手もわからなくなっていく主人公達がダブって見えてしかたなかった。
僕としてはノスタルジックな以前の作品の与太話みたいな雰囲気が好きだったのだが、作者の持つブラック・ホールは本書くらいのプレイグラウンドがなければ、もはや収まりがつかないのだろう。
アメリカン・デス・トリップ(上) Amazon書評・レビュー: アメリカン・デス・トリップ(上)より
4163203001
No.1
(4pt)

堕ちていく疾走感

ジョン・F・ケネディとキング牧師とキューバ危機…僕達の中の知識では60年代のアメリカでおきた、ひとつひとつの出来事に過ぎない。もちろんそれらを関連付けられる人も事実もあるんだろうけれど。ふつうのアメリカ人も、きっと僕と同じくらいの認識しか持っていないんじゃないだろうか。エルロイはこれを見事にくっつけた。それも強引に、かつ緻密に、そして悪辣に。いままでの彼の作品は、毒気が中和されていたようだ。ところが前作の「アメリカン・タブロイド」からは、そのフィルターが取り払われ、文体も研ぎ澄まされ、男と男、男と女、父と子、そしてアメリカと自分、という愛憎劇がストレートに伝わってくる。あっさりケネディを暗殺してしまうところから始まるこの作品は、オズワルド、フーバー、R・ケネディなど時代の表面に現れ、僕達も垣間見た人物や事実をその陰で紡いでいく。その役割を引き受ける男たちのなんという疾走感。僕はとつぜん大藪春彦の作品を思い出していた。一時夢中で読んだ大藪作品も、ディティールはいいのだが、ラストは主人公が激しい銃撃戦に飛び込んでいくーというような終わり方ばかりで、拍子抜けしていたのだが、この作品も最後は目的や憎む相手もわからなくなっていく主人公達がダブって見えてしかたなかった。僕としてはノスタルジックな以前の作品の与太話みたいな雰囲気が好きだったのだが、作者の持つブラック・ホールは本書くらいのプレイグラウンドがなければ、もはや収まりがつかないのだろう。
アメリカン・デス・トリップ(下) Amazon書評・レビュー: アメリカン・デス・トリップ(下)より
4163204407