沈黙博物館

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沈黙博物館の評価:

4.13/5点 レビュー 23件。 B ランク

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平均点4.13pt

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全48件 41〜48 3/3ページ
No.8
(4pt)

不思議に静かな話です

彼女の作品には「物」とその断片がよく出てくる。作品の中の物やその断片は、それが眺めて来た歴史に浸っているように見える。彼女の書く「物」たちからは、過去の風景や思いが少しずつ滲み出て、暖かく発熱しているみたいだ。美醜に関係なく、ただあるがままに受け入れているような物たち。そして、作品に登場する人々は、その滲み出る記憶を耳と肌で沈黙の中に感じ取ろうとしているようだ。そこには無生物を介した人間に対する愛情を感じる。 『沈黙博物館』は主人公がある村にやってくるところから始まる。博物館を建てるために技師としてやってくるのだ(まだ採用は決まってないが)。その村は、どこにでもありそうな特徴の無い村だった。依頼者は老婆。描写から「ヘンゼルとグレーテル」の魔女を思い浮かべてしまうような老婆だ。言葉も辛辣。彼は、面食らうばかり。なんだか分からないうちに、(無理だと思っていたのに)採用が確定し、どんな博物館かわからないままに、屋敷の離れで暮らすことになった。 問題の博物館は、老婆の言葉通り、世界に一つだけの、増殖し続ける運命にある博物館だった。そしてそれは「物」と「物」が内包する過去とに最大の敬意を表した博物館であった。 舞台となる村は、日本の何処にでもありそうな町のように見えたのに、読み進むうちにいったいどこのことなのか分からなくなっていった(もっとも、『寡黙な死骸 みだらな弔い』の舞台の町とこの村は同じ場所ではないかという気がしたが)。情景はありふれているのに、だんだん、非現実味を帯びてくるのだ。しかもするりと非現実的なことが起こるので、こちらもするりと受け入れていて、気がつくとよくわからないところに放り込まれてしまっている。ひきこまれている。話は淡々と進むのに、次の展開にハラハラする。いつ誰が消えてしまっても不思議じゃない危うさがある。どちらが現実なのかさえわからなくなる。ゆっくりと読みたかったのに、一息に読んでしまった。
沈黙博物館 Amazon書評・レビュー: 沈黙博物館より
4480803556
No.7
(4pt)

不思議に静かな話です

彼女の作品には「物」とその断片がよく出てくる。作品の中の物やその断片は、それが眺めて来た歴史に浸っているように見える。彼女の書く「物」たちからは、過去の風景や思いが少しずつ滲み出て、暖かく発熱しているみたいだ。美醜に関係なく、ただあるがままに受け入れているような物たち。そして、作品に登場する人々は、その滲み出る記憶を耳と肌で沈黙の中に感じ取ろうとしているようだ。そこには無生物を介した人間に対する愛情を感じる。 『沈黙博物館』は主人公がある村にやってくるところから始まる。博物館を建てるために技師としてやってくるのだ(まだ採用は決まってないが)。その村は、どこにでもありそうな特徴の無い村だった。依頼者は老婆。描写から「ヘンゼルとグレーテル」の魔女を思い浮かべてしまうような老婆だ。言葉も辛辣。彼は、面食らうばかり。なんだか分からないうちに、(無理だと思っていたのに)採用が確定し、どんな博物館かわからないままに、屋敷の離れで暮らすことになった。 問題の博物館は、老婆の言葉通り、世界に一つだけの、増殖し続ける運命にある博物館だった。そしてそれは「物」と「物」が内包する過去とに最大の敬意を表した博物館であった。 舞台となる村は、日本の何処にでもありそうな町のように見えたのに、読み進むうちにいったいどこのことなのか分からなくなっていった(もっとも、『寡黙な死骸 みだらな弔い』の舞台の町とこの村は同じ場所ではないかという気がしたが)。情景はありふれているのに、だんだん、非現実味を帯びてくるのだ。しかもするりと非現実的なことが起こるので、こちらもするりと受け入れていて、気がつくとよくわからないところに放り込まれてしまっている。ひきこまれている。話は淡々と進むのに、次の展開にハラハラする。いつ誰が消えてしまっても不思議じゃない危うさがある。どちらが現実なのかさえわからなくなる。ゆっくりと読みたかったのに、一息に読んでしまった。
沈黙博物館 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 沈黙博物館 (ちくま文庫)より
4480039635
No.6
(4pt)

小気味よい小川ワールド

博物館を作りたいという老婆を主人公の青年がサポートしていく物語です。何を陳列するか・・そこがこの物語のポイントになります。それは、タイトルから判るように沈黙しているものになります。それを収集するために少しの苦労と少しの冒険?が展開していきます。収集したものには、さまざまな意味があり、思い入れがあります。小川洋子さんの作品は、8割方読んでおりますが、この本はとても小気味よい小川ワールドが繰り拡げられれた素敵な作品だと思います。読み進めていくうちに世界に引き込まれ、自分も何かを収集したくなるかもしれません(笑)実際に私は、図書館で”博物館”に関する資料を閲覧してしまいました。”物”に対する考え方が少し変わる本かもしれません。
沈黙博物館 Amazon書評・レビュー: 沈黙博物館より
4480803556
No.5
(4pt)

小気味よい小川ワールド

博物館を作りたいという老婆を主人公の青年がサポートしていく物語です。何を陳列するか・・そこがこの物語のポイントになります。それは、タイトルから判るように沈黙しているものになります。それを収集するために少しの苦労と少しの冒険?が展開していきます。収集したものには、さまざまな意味があり、思い入れがあります。小川洋子さんの作品は、8割方読んでおりますが、この本はとても小気味よい小川ワールドが繰り拡げられれた素敵な作品だと思います。読み進めていくうちに世界に引き込まれ、自分も何かを収集したくなるかもしれません(笑)実際に私は、図書館で”博物館”に関する資料を閲覧してしまいました。”物”に対する考え方が少し変わる本かもしれません。
沈黙博物館 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 沈黙博物館 (ちくま文庫)より
4480039635
No.4
(4pt)

やや夾雑物が

あるルールに従い多種多様な品々を集めた、不思議な博物館を舞台にしたお話。村上春樹さんや川上広美さんにも通じる、不思議な物語で、ああいう雰囲気の好きな方には、オススメなのですが。。。ミステリーではよくある類の事件が、時々、混ざってくるため、何となく日常臭さを感じてしまい、やや興ざめさせられるのが、残念な印象です。「密やかな結晶」には一歩譲る、というのが、率直な感想でしょうか。
沈黙博物館 Amazon書評・レビュー: 沈黙博物館より
4480803556
No.3
(4pt)

やや夾雑物が

あるルールに従い多種多様な品々を集めた、不思議な博物館を舞台にしたお話。村上春樹さんや川上広美さんにも通じる、不思議な物語で、ああいう雰囲気の好きな方には、オススメなのですが。。。ミステリーではよくある類の事件が、時々、混ざってくるため、何となく日常臭さを感じてしまい、やや興ざめさせられるのが、残念な印象です。「密やかな結晶」には一歩譲る、というのが、率直な感想でしょうか。
沈黙博物館 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 沈黙博物館 (ちくま文庫)より
4480039635
No.2
(5pt)

死の完結を阻止するもの

「自己を最も的確に表している物質」と問われたらきっと答えられないと思う。そんな自分では決して選べないものを第三者が選ぶことは可能か?  博物館技師である「僕」は、老婆の依頼で、彼女の集めてきた死者の形見を展示する博物館作りと同時に、新たな死者の形見集めを始める。「その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する品」 的確と思える品を手に入れる場合もあれば、どうしても得られないこともある。挙句の果てに連続殺人犯の嫌疑をかけられてしまう。「私たちの居場所はもう、他にはないのよ。さあ、一緒に帰りましょう。沈黙博物館へ」あまりにも遠くに来すぎてしまった悲しみ、そして安堵。忘れられない印象を与える物語。
沈黙博物館 Amazon書評・レビュー: 沈黙博物館より
4480803556
No.1
(5pt)

死の完結を阻止するもの

「自己を最も的確に表している物質」と問われたらきっと答えられないと思う。そんな自分では決して選べないものを第三者が選ぶことは可能か?  博物館技師である「僕」は、老婆の依頼で、彼女の集めてきた死者の形見を展示する博物館作りと同時に、新たな死者の形見集めを始める。「その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する品」 的確と思える品を手に入れる場合もあれば、どうしても得られないこともある。挙句の果てに連続殺人犯の嫌疑をかけられてしまう。「私たちの居場所はもう、他にはないのよ。さあ、一緒に帰りましょう。沈黙博物館へ」あまりにも遠くに来すぎてしまった悲しみ、そして安堵。忘れられない印象を与える物語。
沈黙博物館 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 沈黙博物館 (ちくま文庫)より
4480039635