神の火

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評判

神の火の評価:

3.58/5点 レビュー 53件。 B ランク

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平均点3.58pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全61件 41〜60 3/4ページ
No.21
(3pt)

構想の綻び

上巻の質感溢れる濃密な物語から、下巻に期待したが、期待外れだった。全体構想に問題があるのではないか。
下巻の前半は主人公の感傷が延々と語られる。"良"との偽装交換劇の後の展開は、更にセンチメンタリズムの嵐である。本作の結末が原子力発電所襲撃に収斂する事は誰の目にも最初から明らかだが、それを決行する主人公と友人の心理が不透明で感情移入できない。"良"の死から、いきなりの原子力発電所襲撃は展開の飛躍が過ぎよう。襲撃シーンを慌てて最後に詰め込んだかのようである。発電所の設備や襲撃計画の描写は相変わらず精緻で、「黄金を抱いて翔べ」を思わせるが、それが却って読む者に空疎感を与える。コンクリートで囲まれた原子炉の蓋の解放が物質社会への風刺に繋がり、それが主人公の心の解放の象徴となる意図は理解できるが、如何せん、襲撃計画が唐突過ぎて違和感が拭い切れない。
上巻の曖昧模糊としながらも濃密なサスペンス劇と下巻の性急過ぎる襲撃計画がアンマッチで、構想の混乱を感じさせる作品。
神の火〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈下〉 (新潮文庫)より
4101347131
No.20
(5pt)

一番好きな高村薫作品

高村薫の最高傑作は「レディ・ジョーカー」だと思っていますが、一番好きなのは、この作品「神の火」です。
サスペンス、科学系犯罪小説のストーリーですが、人間の心のゆれ、不安と希望と絶望と愛とでもいったようなものが漂っている作品です。
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.19
(2pt)

消化不良の感あり。”頭で考えて”書いた小説という印象で地に足がついていない印象。

原子力工学の技術者であり、旧ソ連のスパイである主人公とそれを取り巻く人をめぐる小説。けれど、ハードボイルドでもなく、ミステリーでもなく、スパイ小説というのでも無く、主眼はおそらく主人公の生き様の描写なんだと思う。
小説の通奏低音として、”原子力”に対する著者の強い思い入れがあるように感じられるのだが、これについての説明・描写は小説中にはあまり無い。思い入れがそこにあるのは感じるし、小説を理解するうえでは重要なんだろうけど、何で重要なのかわからない、という痛痒感が強い。また舞台背景につかわれる国際政治も、話が大げさになるだけで小説の中でうまく噛み合っていかない。これが地に足がついていない印象を与えされる原因だと思う。
私は小説にリアリティは必ずしもいらないと思う。「こんなこと、本当は絶対に無い。」ということでも、小説の世界の中で説得力・必然性があればそれでいい。が、この小説にはそうした実在感や、読者が共感できる要素が欠けている。著者の登場人物に対する思い入れが感じられず、心ではなく頭で書いた小説と感じてしまうからだ。
合田刑事シリーズにおける中身を伴った緻密な描写を高く評価するだけに、本作はとても残念。
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.18
(2pt)

登場人物の気持ちが理解できない

島田、良、日野、江口、この4人がほとんどだけど、島田の良に対する気持ち、日野の島田に対する気持ちが、正直気持ち悪いというか、なんで?と思う箇所が多々あった。特に、何でよく知りもしない良に強い親近感を島田が抱くのか、その過程もよく理解できなかった。どうも作者は、男同士の信頼関係というか友情というものを、何か勘違いしているのかな? と思わざるを得ない。 原発に対して否定的な考えなんかも説得力がないし、共感できるものもなかった。上・下を読むのにかかった時間を考えると、お勧めしません。
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.17
(2pt)

難解・・・

それぞれの国の思惑、個人の利害関係が複雑に絡み合う。緻密な文章は高村さんの特徴だが、緻密すぎてちょっとついていけなかった。原子力発電所の構造、機密文書を収めたデーターの解析など、何度も読み直した。とにかく難解な作品だった。日野と島田、この二人がなぜ原子力発電所の火を消そうとするのか、その理由もピンとこなかった。「男のロマン」で片付けるのは、あまりにも安易過ぎるだろうか?
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.16
(5pt)

心の空洞

 主人公の島田は島田海運の御曹司。最先端の原子力発電の研究者でもあった。原子力研究所を辞めた島田は、小さな科学関係専門図書輸入販売会社に勤めている。島田の出生は思い枷のように圧し掛かり、埋め難い心の空洞を生み出した。島田が原研を辞めた理由。空洞に吹く風が、上巻を駆け抜けていく。神の火とは… 人間が手を出してはいけない業火であろうか。人間を浄化する火であろうか。建設中の原子力発電施設を軸に、原発の絶対神話の土台の危うさが明らかになって行く。そして、戦後日本の危うさも明らかになっていく。心の空洞を埋めるのは希望かもしれない。島田にとっては、些細な行動すら必然である。選択した行動である。島田の緑の目は何を見て、何を考え、どう行動するのか。高村氏の研ぎ澄まされた感覚と、莫大な資料を要したであろう傑作である。
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.15
(5pt)

心の解放

 北朝鮮、CIA、KGB。主人公島田を取り巻く人々は、国を背負って生きている。犬一匹可愛いと思わなかった島田が心の空洞を埋め、自由へと旅立つ。緊迫した秘密機関とのやりとりと絶望の中から見出した光とは…一つが終焉を迎えた時、島田の心に新たな目的が確固としたものとなる。刻一刻と迫ってくる時間との戦い。誰を信用し、どの言葉が真実なのか。果たして、安らぎを見出せることが出来るのだろうか。人の悲哀と解放を描いた高村氏の傑作である。
神の火〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈下〉 (新潮文庫)より
4101347131
No.14
(5pt)

永遠のマイベスト

始めて読んだのが中学一年のとき、東と西と北があるのにどうして南がないんだ!と思ったのを思い出します。
冷戦を知らない、ましてや原子炉の構造もそれを取り巻く情報の国際的な奪い合いも知るはずのないお馬鹿な子供でも夢中になって読みました。
専門用語がごろごろ出てくるし、長いし、重いし、理解できない部分のほうが多いくらいなのに、面白くてたまらない。
小説を読む醍醐味を教えてくれる作品だと思います。
何度読み返したか分かりませんが、そのたびに自分の人生のふがいなさにため息が出ます。
出てくる人皆格好良いこと!
神の火 (新潮ミステリー倶楽部) Amazon書評・レビュー: 神の火 (新潮ミステリー倶楽部)より
4106027267
No.13
(4pt)

かなり専門的

正直難しかった。ストーリーが、というより専門用語が多かった。最後の方はハラハラして一気に読めたが、中間部分を理解するのにちょっと手間取ってしまった。でも、ストーリー展開はさすが高村 薫!!と思うほど面白かった。
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.12
(5pt)

次回男に生まれたならば

このように熱く生きてみたい気がする。島田も良も己の幸せよりも信念を持った生き方を選ぶがそこが潔く男らしくてたまらん。とにかく高村薫作品の男達は力強く格好良い。平成生まれよ昭和の力を見よ!!って感じだ。ちなみに過激派推進な訳ではなくマインドの話ですがね。
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.11
(3pt)

硬い文体と理系用語の多用が印象的

この著者の作品を読んだのは初めてである。女性著者による作品であるにもかかわらず、理系用語の多用や硬めの文体を意外に思ったのが最初の印象である。また、女性の場合、人間の内面の描き方が丁寧という印象を私は持っているのだが、この著者にはそれも当てはまらない。そして誰が何をしたいのかがよくわからないまま、上巻を読み終える。
(下巻のレビューに続く)
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.10
(3pt)

内面の描写をもっと丁寧にすべき

(上巻のレビューの続き)
下巻を半分くらい過ぎたところで、ようやく本質的な部分に入ってくる。ここからの展開はスリリングで、手に汗握って読み続けたが…。
ここまでのことをする必然的な動機が、感じられたかと言われれば否である。また、ことの起こりは男同士の間に生じたシンパシーのようなものであるが、これがうまく描かれているかというと、やはり否である。そして、ストーリーからはずれた部分が、伏線としてうまく絡み合っているかと言えば、これも否である。
この作品を科学技術や国際政治の面から見れば、よく練られていると言えるだろう。しかし、人間の内面の描写から見ると、あまり優れた作品とは言い難い。よって☆は3つである。
神の火〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈下〉 (新潮文庫)より
4101347131
No.9
(5pt)

個性のある登場人物達

 主な登場人物島田浩二、江口彰彦、日野草介、高塚良の4人にはいずれも独特とした感じが発せられている。主人公は島田だが、良がいないとこの話は完結しない。4人のの人間模様が個々に描かれている。それが高村薫の見せ所である。 話の内容は江口にスパイにしたてられてしまった島田が「トロイ計画」に巻き込まれてしまう。あくまでも最終的には島田と日野の冒険物であり、そこが最大の魅力であるが、経過には不要な箇所もある。文庫化で加筆したから尚更なのだが、ストーリーには不要でも読者としてはおいしく受け取ったつもり。あくまでも日野と江口は対立しないといけないし、島田と日野は仲が良くないといけない。そして良はひたすら自分の目標を達成しなければならない。皆が入り組んだ関係にあって皆がただすることをするだけ。小説だから作れる人間ドラマはストーリーには不要だが、面白い物だと思う。 個人的には冒険小説は好きだし高村小説はこれを読んで更に好きになった。しかし一般受けするかどうかは分からない。不要な部分は不要だと切り捨てる人もいるだろうし、内容が固く下巻は重い部分もある。高村小説好きならば読めても最初から読めるものではない気もしないわけではない。そう言うわけで星5つにしたが、個人的評価と受け取って欲しい。
神の火〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈下〉 (新潮文庫)より
4101347131
No.8
(5pt)

島田、日野、良、江口ら登場人物が魅力。

「リヴィエラを撃て」が星5つ、「黄金を抱いて翔べ」が星4つ、「照柿」が星3つと、読んだ順に自分の中の評価が落ちていたが、この作品で再び星5つに返り咲いた。神の火=原子力 への問題提起がテーマの一つなんだろうけれど、やはり作者の描く人物により強く引き付けられる。島田が主人公だったこの話もいいけれど、高塚良が主人公の物語もぜひ読みたいと思った。
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.7
(3pt)

長いのはちょっと勘弁……

はっきり言って長い。もう少し分量を圧縮できたんじゃないだろうか。スタンダールの『赤と黒』をむさぼるように読んで一日で完読した私が言うのだから間違いない。「これって、なくてもいいじゃん」という箇所がいくつか目立ったし。ちなみにストーリーとしてはまずまず。細かいディテールに気を配っていて男気をくすぐってくれる。ストーリーはありがちといえばありがちだが、変な違和感を感じない証拠でもあるから別にいいでしょう。長さの問題が解決されれば星4つなんですが、私は「無駄に長い」という評価を下しているので星3つと言うことにしておきました。通勤電車で読むのには最適な作品です。
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.6
(3pt)

新版より強気

初めに文庫版を購入し、途中で止められずに睡眠不足になりながら読み終えました。その後、絶版になった旧版を図書館で借りてきて読みましたが、文庫版とはまったく別物でした。特に、高塚良の性格が全く違い、こちらのほうが強気です。私は小説全体としては文庫版のほうが好きですが、高塚良に関しては旧版のほうが好みです。
 「わが手に拳銃を」と「李歐」の吉田一彰についても言えることですが、高村薫の登場人物は旧版の方が強気のようです。
神の火 (新潮ミステリー倶楽部) Amazon書評・レビュー: 神の火 (新潮ミステリー倶楽部)より
4106027267
No.5
(4pt)

男達の旅路

混血として生まれたがために鬱屈した少年時代を送った主人公が、日本海に面した巨大原子力発電所爆破に挑むテロサスペンスの傑作。北朝鮮に対峙する故に万全の防備を施した発電所の警備体制の隙を蟻の穴を探すがごとく、綿密な計画と調査で崩していく。元原発技術者がテロリストであるから敵としては最悪である。途中で友人が加わり、付け足しのように女も僅かにでてくる。爆弾の事細かな作り方や原発の専門用語が飛び交い、荒々しい男達の息づかいが聞こえてくる。目的はカネではない。臨界に達した原子炉圧力容器の加圧された蓋を無理矢理こじ開けて、中で燃えているウラン235の火(神の火)を見るのだ。大胆かつ危険な挑戦に命を懸ける物語。
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.4
(5pt)

リアリズムと筆力のミックス

 筆者の特徴は、細部へのこだわりにある。 原子力発電所が大きなポイントになっているこの本では、徹底的に原発そのものにこだわった。読んだ電力会社の人間が「なぜここまで外部の人が知っているのか」と絶句したとか。 しかし、読ませるのは筆力だ。スパイの厳しく、哀しい世界を、リアリズムと重ねた時、この作品が生まれた。 きっと読み終えた時、登場人物の一人ひとりが、そばにいるかのように感じるだろう。
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.3
(4pt)

寂しい結末

「後ろで「こんなスパイがどこにおるんや。こんなアホなスパイが…」とべティさんが呻いた。島田はもう聞いていなかった。」確かにもうスパイ小説ではなくなっている。ひとつの夢がつぶれた後に驚天動地の孤独なテロリズムが発動する。なかなかこれに共感を抱くことは難しい。それを充分分かった上で高村薫はこれを書いたみたいだ。彼らの「穴」は本当に埋まったのだろうか。彼らは本当に自由になったのだろうか。そう尋ねること自体、べティさんの常識の枠から外れていないということなのかもしれない。
神の火〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈下〉 (新潮文庫)より
4101347131
No.2
(4pt)

上巻の感想

「1行で事足りる連絡用の手紙のために、書いては消し、書いては消し、するつもりなのだろうか。いったいこんなときに、君はなぜそこまで、生きることに誠実でいられるのかと思いながら、島田の胸はいっそう重苦しくなった。」(283P)騙し、騙されるスパイの世界を描きながら、人間の「誠実」さ、あるいは「理想」を唯一の拠り処として生命をかける登場人物達。まだ上巻しか読んでいないので、主な登場人物達は1人も死んでいない。けれどもすべての人達の命は風前の灯のように見える。果たして彼らは生きる事が出来るのか、あるいは満足して死んでいくことが出来るのか、見守って行きたい。高村薫の描く世界の男達は、どうしてこうも「もの哀しい」のだろうか。
神の火〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123