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メサイア 警備局特別公安五係
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メサイア 警備局特別公安五係の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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表紙の美しさに惹かれ、舞台のメサイアや派生作品についてはまったく知らない状態で購入しました。残念ながら、この1冊だけではメサイアシリーズの魅力は伝わりにくいのではないかという読後感でした。何度も同じ場面の回想が繰り返されたり、既存の体制に対する批判が表面的だったりと、読むのが苦痛になることが何度かありました。メサイアという二人組の必然性も最後までよく分からず、舞台を見ていらっしゃる方々がはまるからにはそちらは良作なのだろうかと思います。タイトルに書いたとおり、はじめてメサイアシリーズに触れるには適さない作品のように感じました。 | ||||
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私は、アクションものの中でも特にこういった裏世界の話は結構好きだ。 福井晴敏は大好きだし、手嶋龍一さんのウルトラ・ダラーは素晴らしかったと思う。ちょっと違うがヤングガン・カルナバルも面白かった。 そういった視点からレビューしたいと思う。 本作について、まず手嶋さんの「ウルトラ・ダラー」や、元CIA局員が描いた「CIAは何をしていたのか?」のようなリアリティある情報戦ものを期待しているのであれば、買わない方がいい。 リアルな模写を書こうと思うなら、(情報戦の)業界用語・・・フラッシュとか・・・だけでなく、インテリジェンス・オフィサーとはそもそも何なのか?の勉強が必要だと思う。 本作品はいたるところで”スパイ”という単語を連発しているが、本作に本当の意味での”スパイ”は殆ど登場しない。 日本人にはスパイ=007やイーサンハントのイメージがあるので当然かもしれない。 ”スパイ”の本業は「あの手この手を使って情報を収集し(その過程として、不要となった情報提供者の切り捨てはある)、時にその情報をインテリジェンス化する」ことのはずだが、そういった模写はかなり少ない。 ウルトラ・ダラーの主人公のような、人脈を通じてインフォメーションを収集し、それをインテリジェンス化して一つの答えにたどり着くというじわじわとしたスパイ像はこの作品には一切無い。 正直、物語中盤で誰が黒幕なのかわかってしまって興醒めした。 いたるところでスパイが強調されているこの作品において、著者がどういうものとしてスパイを描きたかったのか、甚だ疑問である。 リアルなスパイ像を描いてしまうと、一般受けしなくなるのはわかる。私のような”マニア”でなければ、面白みを感じないだろうから。 が・・・それならばそれで、もっと007のような、そこまでいかずともヤングガン・カルナバルや攻殻機動隊のようにリアリティよりもアクションに重点を置いてしまった方がいいような気もするし、福井晴敏のようなリアリティとアクションの絶妙な融合を目指しても面白かったと思う。 本作はそういう意味で、非常に中途半端である。 ビンラディン殺害事件を見てもわかるように、”暗殺”は主として軍の特殊部隊によって行われる。 作戦計画にCIAやNSAがからむ事はあっても、直接手を下すのは”プロ”か、もしくは完全に切り捨て可能な現地雇用者が殆どだ。 「虐殺器官」のi分遣隊や、福井晴敏のDAISやSOFは、そういった点で一定のリアリティを感じさせてくれる。 (ただ、事故らしい暗殺を強調している点は、評価してもいいと思うが。) であるから、いくら軍縮が進み警察の権限が増大している世界と言っても、闇の警察官が暗殺しまくるというのには何のリアリティも感じない。 どうせなら、設定として”警察”を一切排除して、内閣直属の暗殺機関にしてしまった方が良かったのではないか。 一方で、本作のテーマは防諜だが、その部分を書くなら、TVドラマにもなった「外事警察」の方がリアルだ。 防諜=暗殺という変な固定観念があるのだろうか。防諜は何も対象を始末するだけでなく、偽情報を流したり逆に利用して情報提供者に変えたりと手段はさまざまのはずだ。それに、なにも防諜は国内だけでやるものではない。 あと、主題であるはずの”メサイヤ”の意味がはっきりわからなかった。 ”メサイヤ”は例外というが、なぜ”メサイヤだけは例外”なのか?特殊部隊で言う”バディ”のような存在なのか? 読みとれと言われればそれまでだが、正直もっとメサイヤで色々発展していくのかと思っていた。 ”メサイヤ”だけでなく、全体として人物同士の絡みが少なすぎるように感じる。もっと、相互関係に注意を払ってもよかったのではないだろうか。 結局、読み終わってから著者が何を伝えたいのかさっぱり分からなかった。 まったく架空の日本(皇歴)を作り上げるなら、現代日本に対する批判は当てはまらない。 批判したいのなら、やはりもっとリアリティが必要である。かといって、心に響く人物葛藤の模写も殆どない。 肝心の批判内容も、正直に言うならかなり”薄っぺらい”。自分が高校生時代に考えていたような内容だ。 批判するなら、福井晴敏のような捻くれていて斜に構えた批判をしてもらいたい。 ”薄っぺらい”ままでいくなら、もっと痛烈感がほしい。「僕はイーグル」の方がもっと痛烈に批判していた気がする。 まとめとして本作品は、虐殺器官のような「人間性」を考えさせられる作品ではないし、福井晴敏ワールドのような「理不尽な現実に、熱いオッサンとクールな青年コンビが立ち向かい、未来を切り開く」という絶望からの回帰も感じない。 ましてや、ウルトラ・ダラーのような「情報戦の奥深さ」を知る作品でもない。 果たして、著者は何を伝えたかったのだろうか?単に私の読解力不足なのだろうか。非常にもやもや感が残った。 ただ、最後のちょっとしたどんでん返し(というか開き直り?)は、個人的には好きだった。しいて言えば、この開き直りこそ著者の伝えたいことだったのかもしれない。この開き直りをもっと生かせた気がして、もったいないと思った。 日本でスパイものを書ける人間は少ない。せっかく購入したので、著者の今後に期待して☆2 | ||||
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