闇の喇叭
評判
闇の喇叭の評価:
3.72/5点 レビュー 18件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全67件 21〜40 2/4ページ
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闇の喇叭の評価:
3.72/5点 レビュー 18件。 C ランク
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史実から離れてフィクションに入り始めるのは、原爆が広島、長崎だけでなく、京都にまで落とされたあたりから。日本の降伏が遅れ、沖縄はアメリカに、北海道はロシアに取られてしまい、こともあろうに北海道はロシアの傀儡国家となり日ノ本共和国として独立させられてしまいます。このあたり満州国を思わせますが、日本が南北に分かれてしまった以後の展開はむしろ、分断された現在の南北朝鮮のようです。同じ民族で同じ言語を話しながら、思想、国家体制もまったく違ってしまった、あちらで何が起きているのかもよくわからないといった状況です。
そのような暗い空気の中で、日本人は内向きになってしまい、「それでもちゃんと生活できているではないか、経済レベルはまだ世界第三位ではないか」と自分たちに言い聞かせながら生きている(現在となんだかよく似ているような気がしますが・・)、そして国家の統制はますます厳しくなるばかりで、羊の群れのようにおとなしく従っている国民たち。探偵業が禁止されたのも、捜査権は警察や公安にしかない、民間人は余計なことに首を突っ込むなという締め付けだということになっています。そんな中で、元・探偵だったことを隠しながら、東北らしい田舎で隠れるように生きている誠と純の父娘。母親も優秀な探偵だったけれど、捜査中に忽然と姿を消してしまい、もう何年も行方不明になったまま。そこへ殺人事件が起きて・・・という展開です。
まず、世界観が非常に興味深いです。しっかりしていて実在感、切迫感があります。一応、ジュニア向けに書かれた小説だそうですが、あとがきで有栖川氏自身が書かれているように「10代の読者を対象にするからといって、がらりと作風を変える必要は感じなかった。普段書いているものも十代の読者に読まれることを期待しているからだ。」ということで、大人の鑑賞にも充分耐えうる作品になっています。いわゆる善の側である主人公の高校生3人やその親たち以外に、悪の側である中央警察の刑事も悪なりの存在感があり、登場人物の個性も立っています。
今ふと気がつきましたが、近未来的な世界観の印象が強烈で、そこで生きていかねばならない主人公たちの運命が気になって、作品中で起きる連続殺人事件とトリック、その解決にまったく注意が行っていませんでした。これは一応ミステリなんですよね(汗)。いかにも新本格派的なトリックに現実味が感じられず、もどかしくてそのあたりは早読みでざーっと読んでしまっていました。個人的には作品としての評価は高いのですが、こんな読み方をされてはもしかして作者はうれしくないかもしれませんね(苦笑)。
書き始めた時は続編を書くことは想定していなかったそうですが、これは続きがあって当然でしょうという終わり方で、実際にその後、2つの続編が書かれました。これから主人公たちがどうなっていくのか、そして日本の行く末は?先を読むのがとても楽しみになりました。