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リビドヲ
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リビドヲの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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開けはいたって申し分ない。昭和三十年代の映画業界を舞台にした青春物のような感触だ。そこに異常 な出来事が侵食してくる。二枚目だが薄幸の主人公。母に似た映画女優。暗躍する切り裂き魔。天井裏に 隠されていた日記。やがて、そこにバブル景気真っ盛りの東京で起こる連続殺人事件が絡んでくる。肛門 を中心にして背と腹が50センチ近くも裂けてしまっている異様な死体。警察は凶器の断定もできない始 末。過去の出来事と現在の出来事が交錯し、やがて物語は驚異の結末を迎える。 大雑把に説明するとこういう感じ。どう?おもしろそうでしょ?でもね、やはり本書には新人ゆえの瑕疵 が散見されるのである。まず言っておきたいのは、過去と現在が交錯する構成処理の杜撰さ。効果を狙っ てのことだろうが、これは成功してるとはいえない。作品世界を理解しづらくしている上に、読むリズム というものを大きく阻害している。また、阿部定事件を映画に絡めたり、真相解明に量子物理学を持って きたりと意欲的な試みがなされているのだが、これも取って付けたような印象をぬぐいきれない。 物語が終わってみれば、あの鈴木光司がリングシリーズで試みたバーチャルと現実の境目のあやふやさの ようなものが強調されているのがわかるが、この結末の付け方は凡百の作家がもうすでに使っている。そ ういった点では目新しさもなかった。そしてなりより一番の関心事だった現代パートの連続殺人の方法が レイ・ラッセル「インキュバス」とまったく同じものだったのでのけぞってしまった。まさかそんなこと ではないだろうなと危惧していたのが的中する結果となったわけだ。 だが、だがである。本書はおもしろい。結果的にはそういうことになってしまう。だって、上下二段組み で350ページもある本なのに、一気に読みきっちゃったんだもの。 さて、みなさん。この感想を読んでどう思われましたか?読みたくなった?それとも読みたくなくなっ た? あっ、そうそう。もう一つ言っておきたいのが、本書は一応ミステリとしても機能しているという点。警 察小説としての側面も併せ持ち、ラストには意外な犯人も用意されている。その点でも先に言及した「イ ンキュバス」を踏襲してると言えるだろう。でも、それほどカタルシスは得られないのだが。 | ||||
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